遺産相続の期限延長はできるか?手続きの仕方や期限が過ぎたときの対処方法も解説

遺産相続には、様々な手続きに期限が設けられています。

しかし、状況によっては期限延長が可能です。
焦らず以下の記事を参考に、ご自身の状況に合った対処法を理解しましょう。

ここでは、遺産相続手続きの期限延長について、以下の内容を詳しく解説します。

  • 相続放棄の期限とは
  • 相続放棄の期間伸長の申立てとは
  • どれくらいの期間伸長が認められる?

遺産相続の期限延長についてご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

相続手続きが不安な方へ
相続ナビに相続手続きをお任せください。

必要書類を代行取得
スマホ・PCで登録完了
役所などに行く必要なし

\\今すぐ電話で無料相談//

TEL:050-1720-0544

\\HPで詳しく見る//

相続放棄の期限

相続放棄の期限は「相続開始を知った日から3ヶ月以内」です。

相続放棄とは、故人の財産を相続する権利を放棄することで、故人の借金も相続しなくて済むというものです。
相続放棄を行うには、関係者に意思を示すだけでは不十分で、期限内に家庭裁判所で手続きを行う必要があります。

相続放棄が可能な期限は、自己のために相続が始まったことを知った日から3ヶ月以内です(民法第915条)。
この期間は「熟慮期間」と呼ばれ、相続放棄をするためには、原則としてこの期間中に家庭裁判所に申述を行う必要があります。

関連記事

相続が発生し、相続放棄をしたいけれど、手続きをいつまでに済まさないといけないのか分からない場合があるのではないでしょうか? 相続放棄には期間制限があるので、相続財産の中に借金などがある場合には、早めの対応が必要です。 この記事では、[…]

3ヶ月の数え方

相続放棄の期限である3ヶ月は、「自己のために相続が始まったことを知った日」から数え始めます。
この日を1日目とし、3ヶ月後の同じ日が相続放棄の期限です。

例えば、令和4年3月1日に相続が始まったことを知った場合、相続放棄の期限は3ヶ月後の令和4年6月1日になります。

ただし、期限日が土曜・日曜・祝日などの場合、その翌日が期限となります。
「自己のために相続が始まったことを知った日」は、通常、被相続人(故人)が死亡した日です。

配偶者や子供、兄弟姉妹などの相続人が故人の死亡をすぐに知った場合、相続放棄は故人が死亡した日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。

関連記事

「相続」は、人生の中で避けて通れないテーマの一つです。 しかし、相続にはさまざまな問題が伴います。 本記事では、相続放棄の手続きについて以下の点を中心にご紹介します! 相続放棄とは 相続放棄を検討した方がよいケース […]

3ヶ月は家庭裁判所に申述する期限

相続放棄には、3ヶ月という期限があります。
これは、相続放棄の申述をしなければいけない期間です。

申述とは、家庭裁判所に相続放棄の意思を伝える手続きのことです。
相続開始を知った日から3ヶ月以内に、必要書類を提出する必要があります。

注意すべき点は以下の2つです。

  • 3ヶ月は申述期限であり、手続き完了期限ではない。
  • 期限内に申述すれば、たとえ手続き完了が期限後であっても問題ない。
関連記事

相続放棄は、亡くなった方からの遺産を受け継ぐことを法的に放棄する重要な手続きです。 この手続きは感情的にも複雑であり、さまざまな法的な要求が伴います。 特に、「相続放棄申述書」の正確な作成と提出は、手続きの成功において決定的な役割を[…]

相続放棄の期間伸長の申立てとは

相続放棄には、通常3ヶ月という期限が設けられています。

しかし、様々な事情により、この期限内に判断を下すことが困難な場合もあるでしょう。
そんな方々に救済措置として用意されているのが、相続放棄の期間伸長の申立てです。

この申立てにより、3ヶ月という短い熟慮期間を延長し、より慎重かつ的確な判断を下すための猶予を得ることができます。

相続放棄の3ヶ月ルール

まず、相続放棄を3ヶ月以内に行わなければならないルールについて再度説明します。
このルールの根拠は以下の条文にあります。

民法第915条(相続の承認または放棄をすべき期間)

  1. 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、相続について単純もしくは限定の承認または放棄をしなければなりません。
    ただし、この期間は、利害関係人や検察官の請求により、家庭裁判所で延長することができます。
  2. 相続人は、相続の承認または放棄をする前に、相続財産の調査をすることができます。

この条文に基づき、相続放棄の3ヶ月ルールが定められています。

第2項に「相続財産の調査をすることができる」とあるように、相続するか放棄するかを決める前に相続財産の調査が可能です。
しかし、実際に調査を始めると、3ヶ月の期間では全く時間が足りないと感じることが多いでしょう。

3ヶ月に間に合わないなら期間伸長を

相続放棄の期限である3ヶ月に間に合わない理由として、以下の3つが典型的です。

相続財産を調査するためには、相続関係を証明する戸籍謄本の取得(通常2~6週間)が必要です。
その後、各関係先に申請して調査を行います。相続開始直後に調査を始められれば間に合うかもしれませんが、一般的には葬儀やその他の手続きが落ち着く四十九日後に調査を開始することが多いです。

四十九日が過ぎてから調査を始めると、3ヶ月の期限には到底間に合わないため、その場合は期間延長を検討するのが良いでしょう。
相続財産の把握ができなければ相続放棄の判断もできません。

被相続人の財産を管理している相続人が財産を開示してくれれば良いのですが、開示を拒むケースもあります。
その場合、相続財産を一から調査する必要があり、時間がかかるため、期間延長をして慎重に調査するのが良いかもしれません。

相続放棄を検討する上で、プラス財産だけでなくマイナス財産も重要な要素です。

被相続人の財産(通帳や不動産)を把握できていたとしても、借金の額が不明な場合には、相続放棄をする可能性があります。
このような場合には、期間延長をして時間的な余裕を持つことが賢明でしょう。

期限前であれば相続放棄の期限を延長することもできる

相続放棄には3ヶ月の期限がありますが、期限前であれば延長も可能です。

突然の相続で、財産状況や借金の存在がわからず、判断に迷うこともあるでしょう。
そんな場合でも、期間伸長の申立てをすることで、熟慮期間を延ばし、より慎重に相続放棄の判断を下すことができます。

期限の延長が認められるケース

相続放棄の期限延長が認められる可能性がある事例は次の通りです。

  • 遺産と借金の状況がすぐに確認できない場合:
    故人の遺産と借金の状況をすぐに確認できない。
  • 遺産と借金のどちらが多いかの判断に時間がかかる。
  • 相続人が被相続人と疎遠である場合:
    相続人が被相続人と離れて住んでいるため、必要な書類を揃えるのに時間がかかる。

具体例として被相続人が多くの銀行や証券会社に口座を持っていたり、複数の借り入れがある場合などで相続財産の調査に時間がかかるケースでは、相続放棄の期限延長が認められることがあります。

一方で、仕事や子育てなどの個人的な理由で忙しい場合には、相続放棄の期限延長は基本的に認められません。

期限延長の申請方法

相続放棄の期限延長を申請するには、被相続人の最後の住所を管轄する家庭裁判所で「相続の承認又は放棄の期間の伸長の申立て」を行います。

必要な書類は以下の通りです。

  • 家事審判申立書(800円分の収入印紙を貼付)
  • 被相続人の死亡が記載された戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本も含む)
  • 被相続人の住民票除票(または戸籍附票)
  • 期間の延長を求める相続人の戸籍謄本
  • 利害関係人からの申立ての場合:利害関係を証明する資料(親族の場合は戸籍謄本等)
  • 連絡用の郵便切手(家庭裁判所により異なるが、おおむね数百円分)

相続人と被相続人の関係によっては、追加の戸籍謄本が必要になる場合があります。
申立書には延長したい期間を記載しますが、実際に延長される期間は家庭裁判所が決定します。

相続放棄が決まっているときは書類のみを提出するのも方法

相続放棄をすることが決まっている場合、慌てて全ての書類を集める必要はありません

まずは「相続放棄申述書」のみを期限内に家庭裁判所に提出しましょう。
熟慮期間内に申述書を提出していれば、後から不足書類を提出しても相続放棄が認められる可能性が高いです。

被相続人の除籍謄本や相続人全員の戸籍謄本などの書類収集に時間がかかる場合でも、まずは申述書を提出しておきましょう。
申述書提出時に、家庭裁判所に他の書類の提出が遅れることを伝えておくことも忘れないでおきましょう。

どれくらいの期間伸長が認められる?

相続放棄の期間伸長は、1~3ヶ月の間で認められることが多く、特に3ヶ月の伸長が実務上も多く認められているようです。

つまり、期間伸長が認められた場合、合計6ヶ月という猶予を得ることができます。
これは、相続財産の調査や専門家への相談などを行い、慎重に相続放棄の判断をするための十分な時間となります。

6ヶ月あれば、

  • 相続財産の調査
  • 借金の有無の確認
  • 相続放棄のメリット・デメリットの検討
  • 専門家への相談

などを行い、後悔のない選択をすることが可能です。
焦らず、時間をかけてじっくりと検討することで、ベストな選択を導き出すことができます。

3ヶ月が経過した相続放棄は受理される?

ここまで、相続放棄に関する3ヶ月の熟慮期間の延長方法について説明しましたが、実は3ヶ月が過ぎていても合理的な理由があれば相続放棄は受理されることがあります。

判例では「相続財産が全くないと信じたために3ヶ月以内に相続放棄をしなかった場合、かつ、その信じる理由が妥当である場合」には、3ヶ月を過ぎても相続放棄が受理されるとされています。
したがって、3ヶ月が過ぎたからといって必ずしも相続放棄が受理されないわけではありません。

では、相続財産の調査に時間がかかり3ヶ月が過ぎた場合はどうでしょうか?

残念ながら、この場合は相続放棄は認められません。
理由は、相続財産の調査に時間がかかる場合には、期間の延長を申請すべきであり、3ヶ月を過ぎてからの相続放棄を認める理由がないからです。

相続放棄の期限を過ぎてしまった場合の対処法

相続放棄には3ヶ月の期限がありますが、うっかり過ぎてしまった場合でも、諦める必要はありません。
いくつかの方法で、相続放棄を認められる可能性があります。

遅れた合理的な理由を家庭裁判所に説明する

熟慮期間を過ぎた後に相続放棄をする場合、家庭裁判所に対して遅れた理由を合理的かつ丁寧に説明することが重要です。
やむを得ない事情があると判断されなければ、相続放棄は認められません。

熟慮期間後に相続放棄をする際には、「上申書(事情説明書)」を作成し、期間内に申述できなかった理由を詳しく記載することが望ましいです。

例えば、「被相続人とは疎遠であり、相続財産の調査に時間がかかった」などの具体的な遅延理由を上申書に記載することで、相続放棄が認められる可能性が高まります。
上申書には決まった形式はなく、A4用紙1枚に被相続人の死亡日、生前の関係性、死亡の事実を知った方法などを詳しく記載すると良いでしょう。

ただし、上申書を提出しても相続放棄が認められなかった場合、再提出はできません。
そのため、上申書を作成する際には、弁護士など法律の専門家に相談し、内容を慎重に決定することが大切です。

相続放棄が認められない場合は即時抗告という方法も

相続放棄が認められない場合、即時抗告という手続きがあります。
上申書で遅れた事情を説明しても、家庭裁判所が相続放棄を認めなければ、高等裁判所に即時抗告することが一つの選択肢です。

即時抗告は、家庭裁判所から相続放棄が認めないという通知を受けた日の翌日から2週間以内に行います。
この申し立てには、却下された判決を覆す十分な理由や根拠が必要です。

また、相続放棄の通知を受け取ってから2週間以内に申し立てをしなければなりません。
法律の専門知識が必要な即時抗告の手続きは非常に難しいため、相続放棄が却下された場合は速やかに弁護士に相談することが推奨されます。

相続放棄は、プラスの財産よりも借金の方が多く、マイナスの財産を相続したくない場合に行う手続きです。

しかし、安易に判断してしまうと、思わぬ不利益を被ってしまう可能性もあります。

そこで今回は、相続放棄をする前に必ず確認すべきポイントを詳しく解説します。

先に遺産を処分したら相続放棄できない

遺産を処分した後に相続放棄することはできません。

相続放棄を考えている場合は、被相続人の死後、遺産を自分のものにする意図で使用することは避けるべきです(民法第921条)。
このような使用が相続を意味するため、その後に放棄することはできません。

相続放棄を検討している場合、預金の引き出しや遺産の名義変更などは慎重に行う必要があります。

たとえば、葬儀費用の支払いに預金を使用した場合は、遺産を処分したとはみなされませんが、大きな金額になると処分とみなされる可能性があるため、注意が必要です。

相続放棄の撤回は原則としてできない

相続放棄を撤回することは基本的にできません。家庭裁判所に受理された後は、たとえ期限の3ヶ月前であっても撤回することはできません(民法第919条第1項)。

ただし、家庭裁判所の受理前であれば申し立てを取り下げることが可能です。
特別な事情がある場合、例えば脅迫や詐欺の被害があった場合や、未成年者や後見人が同意なしに手続きをした場合などは、相続放棄を取り消すことができます(同第2項)。

取り消しの申し立ては特別な事情を知った日から6ヶ月以内に行わなければなりませんが、相続放棄から10年が経過すると取り消すことはできません(同第3項)。

相続税の計算では相続放棄をした人も法定相続人に含める

相続税の計算では、相続放棄をした人も法定相続人に含めます(相続税法第15条第2項)。
これにより、相続放棄をしても税額が変動しないようにしています。

相続放棄を無視することで、法定相続人の数が実際の遺産分割を行う相続人の数と異なる場合があります。

例えば、被相続人の子が相続放棄した場合、遺産分割する実際の相続人が5人でも、相続税の計算では法定相続人は2人とされます。

遺産相続の期限延長についてについてまとめ

遺産相続の期限延長についてお伝えしてきました。
遺産相続の期限延長についてまとめると以下の通りです。

  • 相続放棄の期限は「相続開始を知った日から3ヶ月以内」である。
  • 相続放棄の期間伸長の申立てにより、3ヶ月という短い熟慮期間を延長し、より慎重かつ的確な判断を下すための猶予を得ることができる
  • 相続放棄の期間伸長は、1~3ヶ月の間で認められることが多く、特に3ヶ月の伸長が実務上も多く認められている

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

相続手続きが不安な方へ
相続ナビに相続手続きをお任せください。

\\今すぐ電話で無料相談//

TEL:050-1720-0544

\\HPで詳しく見る//