相続と生前贈与は、財産を次世代に引き継ぐための重要な手段です。
しかし、それぞれの手続きや税務上の扱いは異なり、適切な計画を立てることが求められます。
相続では、被相続人の財産を相続人が受け継ぎますが、相続税の負担が生じることがあります。
一方、生前贈与は、被相続人が生前に財産を贈与することで、相続税の節税対策として利用されます。
本記事では、相続と生前贈与について以下の点を中心にご紹介します!
- 生前贈与とは
- 生前贈与のメリット
- 生前贈与の注意点
相続と生前贈与について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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生前贈与とは?

生前贈与は、相続が発生する前に自分の財産を特定の人に贈与する行為です。
相続と異なり、生前贈与は自身が存命中に行うため、贈与された人の喜ぶ姿を見ることができます。
また、生前贈与には贈与税が課される場合がありますが、いくつかの制度を活用することで税負担を軽減することが可能です。
以下では、生前贈与の概要、メリット、税負担軽減制度、および注意点について詳しく説明します。
生前贈与の概要
前贈与とは、財産を所有している人が生前に自らの意思で財産を特定の人に贈与する行為です。
生前贈与の対象となる財産には、不動産、現金、株式などが含まれます。基本的に、自分が所有する全ての財産が対象になります。
生前贈与は、相続が発生する前に財産を分配することで、相続時のトラブルを回避することが目的の一つです。
生前贈与は生きている間に財産を贈与することです。 そして、生前贈与の制度は節税に効果があります。 本記事では生前贈与について以下の点を中心にご紹介します。 生前贈与とは 生前贈与のメリット 生前贈与の注意点 […]
生前贈与の非課税枠

生前贈与は、相続税の節税対策として広く利用されていますが、贈与税の負担を軽減するためにいくつかの非課税枠が設けられています。
ここでは、生前贈与における主な非課税枠について詳しく解説します。
暦年課税の基礎控除
暦年課税制度では、1年間に贈与された財産のうち110万円までが非課税となります。
この基礎控除は毎年適用され、贈与者が複数の受贈者に贈与する場合、それぞれに対して110万円の非課税枠を活用することができます。
メリット
毎年少額ずつ贈与することで、長期間にわたって贈与税の負担を軽減できます。
相続時精算課税制度
60歳以上の父母や祖父母が、18歳以上の子や孫に対して財産を贈与する場合に選択できる制度です。
累計で2,500万円までの贈与が非課税となり、超過分には一律20%の贈与税が課されます。
メリット
多額の財産を一度に移転できるため、大規模な生前贈与を行う場合に有効です。
相続税計画は、我々の生活において重要な役割を果たします。 その中でも、特に注目すべきは贈与税の課税制度の選択です。 本記事では、相続時精算課税制度について以下の点を中心にご紹介します! 相続時精算課税制度 相続時[…]
教育資金の一括贈与の非課税措置
祖父母や父母が30歳未満の子や孫に対して教育資金を一括で贈与する場合、1,500万円までが非課税となります。
資金は専用の口座に入金され、教育資金として使用されることが条件です。
メリット
教育資金をまとめて非課税で贈与でき、将来の教育費負担を軽減できます。
結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置
祖父母や父母が50歳未満の子や孫に対して結婚・子育て資金を一括で贈与する場合、1,000万円までが非課税となります。
資金は専用の口座に入金され、結婚や子育てに関する費用として使用されることが条件です。
メリット
結婚や子育てに必要な資金をまとめて非課税で贈与でき、家族のサポートに役立ちます。
住宅取得等資金の贈与税の非課税措置
祖父母や父母が子や孫に対して住宅取得資金を贈与する場合、一定の条件を満たせば、最大で1,000万円までが非課税となります。
省エネルギー性や耐震性を有する住宅の場合は、さらに非課税枠が拡大されます。
メリット
住宅購入の資金を非課税で贈与でき、住環境の改善に寄与します。
配偶者控除(おしどり贈与)
20年以上婚姻関係にある配偶者に対して居住用不動産を贈与する場合、基礎控除110万円に加えて2,000万円までが非課税となります。
メリット
配偶者に対する大規模な資産移転が非課税で行えるため、夫婦間での財産移転に有効です。
生前贈与には様々な非課税枠があり、それぞれの状況に応じて最適な制度を選択することで、贈与税の負担を大幅に軽減することができます。
生前贈与を計画的に行うためには、これらの非課税枠を有効に活用し、専門家に相談することが重要です。
特別受益とは

特別受益とは、特定の相続人が被相続人から生前に受けた贈与や遺贈によって特別な利益を得ていることを指します。
これは、遺産分割において公平を保つために考慮されるもので、他の相続人に対して不公平な状況を是正するための仕組みです。
以下では、特別受益の具体例や計算方法、そして注意点について詳しく解説します。
特別受益の具体例
婚姻の際の持参金や支度金
高額な結婚式の費用や結婚準備金は特別受益と見なされることがあります。
学費の贈与
通常の教育費を超える学費の負担、特に特定の相続人のみが受けた高額な教育費が該当します。
生計の資本としての贈与
生活費を名目にした大額の金銭贈与や、住宅購入資金、開業資金などが含まれます。
特別受益の計算方法
特別受益を考慮することで、遺産分割の公平性を保つための具体的な計算方法は以下の通りです。
特別受益を受けた人の相続分計算
(相続財産+生前贈与額)×法定相続分-生前贈与額=具体的相続分
特別受益を受けていない人の相続分計算
(相続財産+生前贈与額)×法定相続分=具体的相続分
例として、父が5000万円の財産を持ち、長女に生前贈与として1000万円を与えた場合を考えます。
この場合、残された相続財産は4000万円です。
- 長女の具体的相続分は(4000万円+1000万円)×1/2-1000万円=1500万円
- 妹の具体的相続分は(4000万円+1000万円)×1/2=2500万円
特別受益に関する注意点
- 被相続人が特定の相続人への贈与を持ち戻す必要がないという意思表示をした場合、その分の持ち戻しを行わずに相続分を計算することがあります。
- 遺留分が侵害された場合、遺留分減殺請求を行うことで、侵害された分の財産を取り戻すことができます。
この請求には時効があり、相続開始および侵害を知った時から1年以内に行う必要があります。 - 特別受益の考慮は、相続人間の公平性を保つために行われるため、遺産分割協議の際には、全相続人の理解と合意が重要です。
特別受益は、特定の相続人が被相続人から特別な利益を受けている場合に、その利益を考慮して相続分を決定する制度です。
この制度により、相続人間の公平を保つことができます。
特別受益に関する詳細な計算や手続きについては、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
特別受益については、こちらの記事もお読みください。
特別受益者とは、相続手続きにおいて、被相続人から生前に特別な利益を受けた相続人のことを指します。 この概念は、相続財産の公平な分配を図る上で非常に重要です。 この記事では、特別受益者について以下の点を中心にご紹介します! […]
生前贈与の効果

生前贈与は、相続対策として非常に有効な方法です。
生前贈与を活用することで、相続税の負担を軽減し、特定の財産を確実に受贈者に引き継ぐことができます。
以下では、生前贈与の具体的な効果とそのメリットについて詳しく説明します。
相続税の軽減
生前贈与を行うことで、相続時の財産総額を減らすことができ、相続税の課税対象となる遺産の額を減少させることが可能です。
例
子ども2人に対して10年間毎年110万円を贈与した場合、合計で2,200万円を非課税で贈与することができます。
これにより、相続財産を減少させ、相続税の負担を軽減することができます。
税制改正リスクの回避
税法は毎年のように改正される可能性があります。
生前贈与は、贈与が行われた年の税制に基づいて課税関係が決まるため、将来の税制改正リスクを回避することができます。
メリット
早めに生前贈与を行うことで、現行の税制のメリットを最大限に活用することができます。
評価額の上昇を防ぐ
将来値上がりしそうな財産を早めに贈与することで、相続時の評価額の上昇を防ぐことができます。
これにより、相続税の負担を軽減することが可能です。
例:不動産や株式など、将来的に価値が上がる可能性がある財産を早めに贈与することで、評価額が低いうちに贈与を完了させることができます。
特定の人に特定の財産を確実に引き継ぐ
生前贈与を活用することで、特定の財産を特定の人に確実に引き継ぐことができます。
これにより、相続時のトラブルを防ぐことができます。
メリット
贈与者が生存中に贈与を行うため、贈与の意思を受贈者に確実に伝えることができ、家族間の理解を深めることができます。
生前贈与は、相続税の軽減や特定の財産の確実な引き継ぎに有効な手段です。
しかし、贈与契約書の作成や遺留分の問題、老後資金の確保などの注意点をしっかりと考慮することが重要です。
計画的に生前贈与を行い、家族全員が納得できる形で財産を引き継ぐために、専門家のアドバイスを活用することをおすすめします。
生前贈与のメリット

生前贈与は、自分が生きている間に財産を他者に贈与する行為であり、相続対策として多くのメリットがあります。
以下では、生前贈与の具体的なメリットについて詳しく解説します。
相続税の軽減
生前贈与を行うことで、相続時に課税される財産を減らすことができます。
これにより、相続税の負担が軽減されます。
具体例
毎年110万円までの贈与は非課税であり、これを利用して少しずつ財産を移転することで、最終的な相続財産を減少させることができます。
減税効果が累積する
生前贈与を毎年継続して行うことで、贈与税の基礎控除を活用して、長期間にわたって税負担を軽減できます。
具体例
例えば、10年間にわたり毎年110万円を贈与することで、合計1,100万円の財産を非課税で移転することができます。
税制改正リスクの回避
税法は頻繁に改正されるため、将来の税制改正によるリスクを避けることができます。
生前贈与は、その贈与が行われた年の税制に基づいて課税関係が決まるため、現行の税制のメリットを享受できます。
具体例
現行の税制で有利な条件を満たしているうちに生前贈与を行うことで、将来の不利な税制改正の影響を避けることができます。
評価額の上昇の影響を防げる
将来値上がりしそうな財産を早めに贈与することで、評価額の上昇による相続税の負担を軽減することができます。
具体例
株式や不動産など、価値が上がる可能性が高い財産を贈与することで、評価額が低いうちに財産を移転できます。
特定の人に特定の財産を確実に引き継ぐ
生前贈与を行うことで、特定の財産を特定の受贈者に確実に引き継ぐことができます。
これにより、相続時のトラブルを防ぐことができます。
具体例
生前贈与を行うことで、特定の不動産や資産を希望する相続人に確実に渡すことができ、遺産分割時の争いを未然に防ぐことができます。
生前贈与の活用方法

生前贈与は、自分が生きている間に財産を特定の人に贈与する方法であり、相続対策として有効です。
以下では、生前贈与を効果的に活用するための方法について詳しく解説します。
暦年贈与を活用する
暦年贈与は、1年間に110万円までの贈与が非課税となる制度です。
毎年110万円を贈与することで、長期にわたって税負担を軽減することができます。
具体例
例えば、10年間にわたり毎年110万円を贈与することで、合計1,100万円を非課税で贈与することが可能です。
多くの人に贈与する
受贈者ごとに110万円の非課税枠を活用することで、より多くの財産を非課税で贈与できます。
具体例
3人の子どもに毎年110万円ずつ贈与する場合、年間合計330万円を非課税で贈与できます。
10年間で3,300万円を非課税で移転できます。
相続時精算課税制度を活用する
60歳以上の親や祖父母が、18歳以上の子や孫に対して一度に多額の贈与を行う場合に利用できる制度です。
2,500万円までの贈与が非課税となり、超過分には一律20%の贈与税が課されます。
具体例
大きな金額を一度に贈与したい場合に適しており、贈与時点での税負担を軽減できます。
教育資金や結婚・子育て資金の一括贈与を利用する
- 教育資金贈与:30歳未満の子や孫に対して1,500万円までの教育資金を非課税で贈与できます。
- 結婚・子育て資金贈与:50歳未満の子や孫に対して1,000万円までの結婚・子育て資金を非課税で贈与できます。
具体例
教育資金や結婚・子育て資金としてまとまった金額を一度に贈与することで、大きな非課税枠を活用できます。
将来値上がりしそうな財産を贈与する
将来価値が上がりそうな財産を早めに贈与することで、相続時の評価額上昇を防ぎ、相続税の負担を軽減できます。
具体例
株式や不動産など、将来的に価値が上がると予想される財産を贈与することで、評価額が低いうちに財産を移転できます。
生前贈与の注意点

生前贈与は、相続対策や財産分配の手段として有効ですが、適切に行わないと予期せぬ問題が発生することがあります。
以下では、生前贈与を行う際の主な注意点について詳しく解説します。
名義預金に注意
名義預金とは、贈与者が受贈者(通常は子どもや孫)の名義で預金口座を開設し、実質的には贈与者が管理している預金のことです。
この場合、贈与の実態がないとみなされ、相続時に相続財産として扱われる可能性があります。
対策
贈与契約書を作成し、受贈者が贈与を受けた事実を明確にすることが重要です。
贈与者と受贈者の双方が贈与の意思を確認し、合意書に署名・捺印することで、贈与の実態を証明できます。
遺留分侵害額請求に注意
遺留分とは、法定相続人が最低限受け取ることが保証された相続分です。
特定の相続人に対する過度な贈与は、他の相続人の遺留分を侵害する可能性があります。
この場合、遺留分を侵害された相続人は遺留分侵害額請求を行うことができます。
対策
生前贈与を行う際には、遺留分に配慮し、事前に家族全員と話し合いを行うことが重要です。
特定の相続人に対して過度な贈与を行う場合は、他の相続人の理解と同意を得るよう努めましょう。
老後の生活費や介護費用不足に注意
生前贈与を行いすぎると、贈与者自身の老後資金が不足する可能性があります。
予期せぬ医療費や介護費用が発生することも考慮しなければなりません。
対策
生前贈与を行う際には、自身の生活費や将来の介護費用を十分に確保した上で、無理のない範囲で贈与を行うことが重要です。
ファイナンシャルプランナーなど専門家のアドバイスを受けて、老後資金の計画を立てましょう。
定期贈与とみなされないようにする
毎年一定額を贈与する場合、定期贈与とみなされると、その全額に贈与税が課されることがあります。
定期贈与とは、将来的に一定の金額を継続的に贈与することを前提にしていると見なされる場合です。
対策
毎年贈与の際に贈与契約書を作成し、その都度贈与の意思表示を明確にすることが重要です。
贈与の意思が毎年新たに発生していることを証明することで、定期贈与とみなされるリスクを回避できます。
税務署への申告を忘れない
生前贈与を行った場合、一定額以上の贈与には贈与税の申告が必要です。
申告を怠ると、追徴課税やペナルティが課される可能性があります。
対策
贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに贈与税の申告を行うことが必要です。
贈与契約書を作成し、贈与額を正確に計算して申告しましょう。
生前贈与は、相続対策として有効ですが、適切な手続きを踏まないと、税務上の問題や家族間のトラブルを引き起こす可能性があります。
贈与契約書の作成や贈与税の申告、遺留分の配慮など、注意点をしっかりと確認し、計画的に進めることが重要です。
専門家のアドバイスを活用し、円満な生前贈与を実現しましょう。
生前贈与でよくあるトラブル

生前贈与は、相続税の節税対策として非常に有効ですが、注意を怠るとトラブルに発展することがあります。
以下では、生前贈与でよくあるトラブルとその対策について詳しく解説します。
贈与のし過ぎで、自分の老後生活が苦しくなる
生前贈与を積極的に行うことで相続財産を減らし、相続税の節税を図ることができますが、贈与をしすぎると、自分自身の老後資金が不足するリスクがあります。
対策
自分の老後資金を十分に確保した上で、生前贈与を行うことが重要です。
必要な生活費や医療費を計算し、無理のない範囲で計画的に贈与を行いましょう。
毎年の贈与が認められない「定期贈与」
一定期間にわたってあらかじめ決まった額を定期的に贈与することを「定期贈与」といいます。
定期贈与とみなされると、全体の贈与額に対して贈与税が課される可能性があります。
対策
毎年贈与契約書を作成し、その都度贈与の意思表示を明確にすることで、定期贈与とみなされないようにします。
贈与契約書には贈与者と受贈者が署名・捺印し、贈与の事実を記録します。
名義預金は贈与にならない
名義預金とは、名義人と実際の所有者が異なる預金のことです。
名義預金は贈与とみなされず、相続財産として扱われる可能性があります。
対策
贈与契約書を作成し、受贈者が預金を管理することを明確にします。
贈与の意思を確認する書類を用意し、名義預金とみなされないように注意しましょう。
生前贈与は「遺産の前渡し」、遺留分侵害のリスク
生前贈与された財産は遺産の前渡しとされるため、特別受益とみなされます。
これにより、他の相続人の遺留分を侵害するリスクがあります。
対策
遺留分を侵害しないように、事前に家族と話し合い、贈与の内容について全員が納得するようにします。
また、贈与の際には遺留分に配慮し、必要に応じて専門家の助言を受けましょう。
死亡直前の贈与は相続税の対象になる
亡くなる直前に行われた生前贈与は、相続税の対象となる可能性があります。
これは、相続税逃れを防ぐための規定です。
対策
生前贈与は計画的に行い、死亡直前の贈与は避けるようにします。
生前贈与を早めに開始することで、相続税の対象外とすることができます。
生前贈与は相続税の節税対策として有効ですが、注意を怠るとトラブルに発展することがあります。
贈与契約書の作成や家族との話し合い、専門家の助言を受けることで、これらのトラブルを防ぐことができます。
計画的に生前贈与を行い、円満な相続を目指しましょう。
生前贈与で遺留分を侵害された場合

生前贈与は、自分が生きている間に財産を特定の相続人に譲ることですが、この贈与が他の相続人の遺留分を侵害することがあります。
遺留分とは、法定相続人が最低限受け取ることが保証された相続分のことです。
遺留分を侵害された相続人は「遺留分侵害額請求」を行うことで、自分の権利を主張できます。
以下では、生前贈与で遺留分が侵害された場合の対処法について詳しく解説します。
遺留分とは?
遺留分は、被相続人の意思に関わらず、法定相続人が最低限受け取る権利がある相続財産の割合です。
兄弟姉妹以外の法定相続人(子、直系尊属、配偶者)が対象となります。
遺留分は、法定相続分の半分(直系尊属のみが相続人の場合は3分の1)です。
例えば、法定相続分が2分の1の場合、遺留分はその半分の4分の1となります。
遺留分侵害額請求とは?
遺留分が侵害された場合、遺留分を侵害された相続人は、侵害額を取り戻すために「遺留分侵害額請求」を行います。
請求は、遺贈や生前贈与を受けた者に対して行います。
具体的には、侵害された遺留分の割合を計算し、その分の金銭を請求します。
遺留分侵害額請求の手続きと注意点
請求は、相続開始および遺留分侵害を知った時から1年以内に行う必要があります。
この請求は、内容証明郵便など証拠を残す形で行うことが推奨されます。
遺留分侵害額請求権は、相続開始から10年で消滅します。
この期間を過ぎると請求できなくなるため、早めの対応が重要です。
遺留分侵害額請求の具体例
父親が亡くなり、相続人が長女と次女の2人で、長女に生前贈与で1000万円が贈与されていた場合を考えます。
父親の遺産が2000万円とすると、相続財産は次のように計算されます。
- 相続財産合計:2000万円(遺産)+1000万円(生前贈与)=3000万円
- 次女の遺留分:3000万円×1/4=750万円
次女は長女に対して750万円の遺留分侵害額請求を行うことができます。
特別受益と遺留分の関係
- 特別受益の持ち戻し:生前贈与が特別受益と認められる場合、その金額を相続財産に加算して遺留分を計算します。
- 持ち戻し免除の意思表示:被相続人が特定の相続人に対して持ち戻しを免除する意思表示をしていた場合でも、遺留分の計算には影響しません。
生前贈与によって遺留分が侵害された場合、遺留分侵害額請求を行うことで、自分の権利を守ることができます。
この手続きは、法定期間内に行う必要があり、証拠を残す形で請求することが重要です。
遺留分侵害の問題が発生した場合には、早めに専門家に相談し、適切な対応を行うことが求められます。
生前贈与でよくある質問

生前贈与は相続税の節税対策として広く利用されていますが、実際に実行する際にはさまざまな疑問が生じることが多いです。
以下では、生前贈与でよくある質問とその回答を詳しく解説します。
生前贈与はいくらまで非課税ですか?
生前贈与には、暦年課税制度と相続時精算課税制度の2つがあります。
- 暦年課税制度:1年間に贈与された財産のうち110万円までは非課税です。
この110万円の基礎控除は毎年適用されます。 - 相続時精算課税制度:60歳以上の親や祖父母が18歳以上の子や孫に贈与する場合に選択できる制度で、累計で2,500万円までが非課税となります。
ただし、110万円を超えた部分には申告が必要です。
120万円の贈与にかかる贈与税はいくらですか?
暦年課税制度の場合、贈与額から基礎控除の110万円を差し引いた金額に対して贈与税が課されます。
120万円の贈与の場合、贈与税の計算は次のようになります。
- 計算:120万円-110万円=10万円
- 税率:10万円×10%=1万円
- 結果:1万円の贈与税がかかります。
現金を手渡しして贈与すれば、税務署にばれませんか?
現金を手渡しで贈与しても、税務署はさまざまな方法で調査を行うため、贈与がばれる可能性が高いです。
正確な贈与税申告を行わないと、後で追徴税を課されるリスクがあります。
適切な手続きを踏むことが重要です。
相続時精算課税制度を選択した場合の注意点は?
相続時精算課税制度を選択する際には、以下の点に注意が必要です。
贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに申告書を提出しなければなりません。
また、一度相続時精算課税制度を選択すると、その後は暦年課税に戻ることができません。
そして、贈与された財産は相続時に相続財産に加算されるため、相続税の計算に影響を与えます。
死亡直前の贈与は相続税の対象になりますか?
死亡直前の「駆け込み贈与」による相続税逃れを防ぐため、亡くなる前の一定期間に行われた贈与は相続財産に加算されます。
2023年の税制改正により、この期間は従来の3年から7年に延長されました。贈与を計画的に行うことが重要です。
生前贈与を計画する際には、贈与税の非課税枠や各種制度を適切に活用し、法的な手続きを正確に行うことが重要です。
疑問点がある場合は、税理士などの専門家に相談し、確実な手続きを進めましょう。
相続と生前贈与についてのまとめ

ここまで相続と生前贈与についてお伝えしてきました。
相続と生前贈与の要点をまとめると以下の通りです。
- 生前贈与とは、相続が発生する前に自分の財産を特定の人に贈与する行為
- 生前贈与のメリットは、相続時に課税される財産を減らすことができる、毎年継続して行うことで、贈与税の基礎控除を活用して、長期間にわたって税負担を軽減できる点など
- 生前贈与の注意点は、他の相続人の遺留分を侵害してしまう可能性がある、毎年一定額を贈与する場合、定期贈与とみなされてしまう点など
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


