「現金をそのまま渡した場合、贈与税はかからないのでは?」と疑問に思ったことはありませんか。
実際には、手渡しか振込かといった方法ではなく、贈与した金額によって課税の有無が決ま
る仕組みです。
基礎控除や特例制度を正しく理解していないと、追徴課税や相続時の修正申告につながることもあります。
本記事では以下の内容を中心に解説します。
- 現金手渡しによる贈与と贈与税の関係
- 贈与税が発生する金額と速算表の使い方
- 申告や契約書作成など注意すべきポイント
現金を手渡しした場合でも、一定額を超えると贈与税の対象です。
基礎控除や特例制度を理解していないと、後から追徴課税を受けるリスクもあります。
本記事では、現金贈与と税金の関係や注意点を分かりやすく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
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現金手渡しなら贈与税はかからない?

現金を家族や親族に手渡しで渡した場合、贈与税が発生しないと考える方もいます。
しかし、実際には手渡しかどうかにかかわらず、一定額を超える贈与については税金の対象です。
ここでは、現金手渡しによる贈与の基本や、税務署による調査の可能性、暦年課税として認められないケースについて解説します。
現金手渡しによる贈与はできるが贈与税はかかる
現金を直接渡すこと自体は法律上認められています。
例えば、父親が子どもに毎月一定額を手渡すといった行為は贈与にあたるものです。
しかし、贈与税の課税対象は「現金の受け渡し方法」ではなく「贈与による金額」によって判断されます。
そのため、銀行振込や手渡しの違いは関係なく、年間110万円を超える現金の贈与は申告と納税が必要です。
一方で、手渡しだから記録が残らないと考えて申告を怠ると、税務署からの指摘を受ける可能性があります。
現金のやり取りでも、贈与を受けた人の口座に入金される、使途が確認できるなど、後から証拠となる情報が出てくるケースが多い傾向です。
結果的に、隠していたつもりでも課税対象になることを理解しておく必要があります。
税務署の調査によって現金手渡しがばれる
現金を直接渡した場合でも、税務署の調査によって発覚することは珍しくありません。
例えば、相続税の申告時に預金の入出金履歴が調査されると、過去に現金で渡された資金が短期間で預け入れされている事実が見つかることがあります。
また、贈与を受けた側が高額な買い物をした際、収入と支出の不一致から調査対象となる場合もあります。
税務署は金融機関や不動産取引など幅広い情報を収集しており、現金手渡しでも全く痕跡を残さないことは困難といえるでしょう。
「手渡しだから安心」という考え方はリスクが高く、後から追徴課税を受けると本来よりも大きな負担になる可能性があります。
現金の手渡しは暦年課税と認められない場合がある
贈与税には、1年間に110万円まで非課税とする「暦年課税制度」があります。
ただし、現金を手渡しした場合、その証拠が残らないと制度の適用を受けられないことがあります。
例えば、贈与を受けた証明がないと「贈与ではなく相続財産の一部」と判断されることもあるかもしれません。
暦年課税を確実に適用するには、贈与契約書を作成したり、銀行振込を利用して記録を残すことが望ましいとされています。
現金手渡しで贈与を行う場合は、領収書やメモを残すなど、後から確認できる形を整えておくことが重要といえるでしょう。
現金手渡しで生前贈与した際の贈与税はいくら?

現金を生前に手渡しで贈与する場合、金額に応じて贈与税がかかるかどうかが決まります。
贈与税は年間の合計額で判定され、110万円を超えると申告が必要です。
ここでは、110万円以下の場合とそれ以上の場合の違い、さらに税額を算出するための速算表を紹介します。
1年間の贈与額が110万円以下の場合
年間の贈与額が110万円以下であれば、贈与税はかかりません。
これは「基礎控除」と呼ばれる仕組みで、誰に対しても適用されます。
例えば、親から子に100万円を手渡しで贈与した場合は非課税となり、申告の必要もありません。
ただし、贈与額が110万円以内であっても、毎年同じ金額を繰り返し渡していると「定期贈与」とみなされる可能性があります。
定期贈与と判断されると、合計額に対して課税される場合があるため注意が必要です。
贈与が単発であることを示すために、贈与契約書を作成するなど記録を残すことが望ましいといえます。
1年間の贈与額が110万円以上の場合
1年間に受け取った贈与が基礎控除額の110万円を超えると、その超過部分に贈与税が発生します。
たとえば、親から子へ180万円を渡した場合は、基礎控除を差し引いた70万円が課税の対象です。
課税対象額に応じて定められた税率を乗じ、さらに控除額を差し引いた結果が実際の納税額です。
贈与税は段階的に税率が上がる仕組み(累進課税)になっており、贈与額が増えるほど税率も高くなるものです。
ただし、祖父母や父母といった直系尊属から18歳以上の子や孫に贈与した場合には、一般の税率より低い「特例税率」が適用されるため、条件を満たせば税負担を軽減できる場合があります。
一般税率の速算表
直系尊属以外からの贈与、または兄弟姉妹や第三者からの贈与には一般税率が適用されます。
以下の速算表を用いることで、おおよその贈与税額を計算できます。
| 課税価格(基礎控除後) | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | 0円 |
| 300万円以下 | 15% | 10万円 |
| 400万円以下 | 20% | 25万円 |
| 600万円以下 | 30% | 65万円 |
| 1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
| 1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
| 3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
| 4,500万円以下 | 55% | 400万円 |
| 4,500万円超 | 55% | 400万円 |
例えば、課税価格が300万円の場合は「300万円 × 15% − 10万円」で計算され、35万円が贈与税額となります。
特例税率の速算表
父母や祖父母など直系尊属から18歳以上の子や孫へ贈与した場合は、特例税率が適用されます。
一般税率と比較すると、同じ課税価格でも税額が低く抑えられる点が特徴です。
| 課税価格(基礎控除後) | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | 0円 |
| 400万円以下 | 15% | 10万円 |
| 600万円以下 | 20% | 30万円 |
| 1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
| 1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
| 3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
| 4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
| 4,500万円超 | 55% | 640万円 |
例えば、課税価格が300万円の場合は「300万円 × 15% − 10万円」で35万円となり、一般税率と同額ですが、高額になるほど差が広がっていきます。
特例税率の利用は贈与税の負担を軽減する大きなポイントとなるため、直系尊属からの贈与であれば積極的に適用を検討するべきでしょう。
現金贈与の未申告が発覚した場合はどうなる?

現金を手渡しで贈与した場合、申告をしなくても見つからないと考える方もいます。
しかし、税務署の調査は金融機関の入出金や不動産の購入状況など幅広い情報を把握しており、未申告が後から発覚することは珍しくありません。
ここでは、年間110万円を超える現金贈与を申告しなかった場合の追徴課税や、相続税申告への影響について解説します。
年間110万円を超える現金手渡しであれば、追徴税される
年間110万円を超える現金を贈与した場合、申告と納税の義務があります。
もし申告を怠ったまま税務署に把握されると、追徴課税の対象となります。
追徴課税には、本来の贈与税に加えて「延滞税」や「加算税」が課されることも理解しておきましょう。
例えば、親から子に300万円を手渡しした場合、本来は190万円が課税対象です。
これを申告せずに隠していたとしても、子がその資金を預金したり、不動産購入に充てたりすれば、調査の際に資金の出所が追及されます。
このとき贈与であることが判明すれば、税額だけでなく無申告加算税(原則15%)や重加算税(最大40%)が加わる場合もあります。
「現金手渡しだから大丈夫」と安易に考えると、結果的に大きな税負担を抱えることにつながりかねません。
申告を正しく行い、証拠を残しておくことが最も安全な方法だといえるでしょう。
相続税の修正申告を求められる可能性がある
現金贈与の未申告は、相続税の申告に影響を及ぼすことがあります。
相続の場面で税務署が調査を行った際、被相続人の生前の資金移動が確認され、過去の贈与が明らかになる場合があります。
特に、亡くなる前3年間の贈与は「生前贈与加算」として相続財産に含められるため、修正申告を求められるケースも少なくありません。
例えば、相続人が相続開始前に多額の現金を受け取っていた場合、それを贈与税として申告していなければ、相続財産として再計算の対象となります。
結果として、相続税の納付額が増えるだけでなく、申告漏れによるペナルティが課されることも理解しておくと安心です。
このように、現金贈与の未申告は相続税の場面で発覚することも多く、家族全体に影響を及ぼすことがあります。
後々のトラブルを避けるためにも、贈与が発生した時点で適切に申告しておくことが望ましいといえるでしょう。
現金贈与と贈与税の関係|手渡しで行う際の注意点

現金を手渡しで贈与することは可能ですが、そのままでは後々トラブルにつながることがあります。
贈与税の申告や相続時の扱いを考慮し、必要な書類を整えたり制度の仕組みを理解しておくことが重要です。
ここでは、現金贈与を安全に行うために押さえておきたいポイントを解説します。
贈与契約書を作成する
現金の手渡しによる贈与では、記録が残らないことが最大のリスクです。
そのため、贈与を行った事実を明確にするために「贈与契約書」を作成することが推奨されます。
契約書には、贈与した日付、金額、贈与者と受贈者の署名や押印が必要です。
例えば、親が子に現金100万円を贈与した場合、契約書を作成しておくことで「贈与である」という証明になります。
契約書がなければ、相続時に「実際は貸付金だったのではないか」と疑われたり、贈与の事実自体が否定される恐れがあります。
こうしたリスクを避けるためにも、書面での証拠を残すことは大切だといえるでしょう。
贈与の度に贈与契約書を作成する
贈与契約書は1回だけ作成すれば良いと誤解されがちですが、贈与の都度作成することが望ましいです。
なぜなら、毎年一定額を繰り返し渡していると「定期贈与」と判断され、非課税枠が適用されない可能性があるためです。
例えば、毎年100万円を10年間渡して合計1,000万円を贈与した場合、契約書がなく継続性が明らかであれば「最初から1,000万円の贈与」とみなされるリスクがあります。
そうなると基礎控除は1回分しか認められません。
よって、贈与税の負担が大きくなることになります。
毎回契約書を作成し、その都度完結した贈与であることを明確にしておくことが、税務上の安全策といえるでしょう。
生前贈与加算に注意する
生前贈与を行う際には「生前贈与加算」にも注意しましょう。
これは、被相続人が亡くなる前3年間に行った贈与を相続財産に加算する仕組みです。
そのため、亡くなる直前に贈与を行っても、結果的には相続税の計算に含まれてしまいます。
例えば、亡くなる1年前に子どもへ1,000万円を贈与した場合、その金額は相続財産として計算されます。
この仕組みを理解していないと「贈与税と相続税の両方がかかるのではないか」と混乱することもありますが、正しくは相続税の中で再計算される流れです。
長期的な相続対策として生前贈与を検討する場合は、早めに実行し計画的に進めましょう。
2024年(令和6年の)暦年贈与の改正内容について
2024年からは暦年贈与に関する制度が一部改正されました。
従来は「相続開始前3年以内の贈与」が生前贈与加算の対象でしたが、改正により対象期間が7年に延長されています。
ただし、18歳以降に受けた贈与については、最初の4年間は加算の対象外です。
この改正によって、短期間での贈与による節税は難しくなりました。
今後は、より早い段階から計画的に贈与を行うことが重要だといえるでしょう。
制度変更は相続対策全体に大きな影響を及ぼすため、現金手渡しであっても最新の法律を把握し、専門家のアドバイスを受けながら進めることが望ましいです。
現金による贈与をする際に贈与税を節約する方法

現金を贈与する際には、工夫次第で贈与税の負担を軽減できます。
特に基礎控除の活用や特例制度を利用することで、非課税枠を広げたり、課税額を抑えることが可能です。
ここでは代表的な方法について紹介します。
贈与税の110万円の基礎控除を活用する
贈与税には、年間110万円まで非課税となる基礎控除があります。
この仕組みを上手に活用すれば、少しずつ資産を移転しながら贈与税を回避することが可能です。
例えば、毎年100万円を子どもに贈与すれば、贈与税はかかりません。
ただし、毎年同じ金額を贈与すると「定期贈与」とみなされる場合があります。
その場合は長期間分をまとめて課税される可能性があるため、都度契約書を作成するなど工夫が必要です。
計画的に進めることで、資産移転と税負担のバランスを保つことができます。
贈与税の特例制度を利用する
基礎控除以外にも、特定の目的に応じた特例制度を活用することで大きな非課税枠を利用できます。
以下では代表的な制度について解説します。
教育資金の一括贈与
祖父母や父母が子や孫に教育資金をまとめて贈与する場合、信託銀行などを通じて手続きを行えば、最大1,500万円まで非課税で贈与できます。
学校の入学金や授業料、塾や習い事の費用も対象となるため、教育にかかる資金を幅広くカバーできる制度です。
ただし、制度には期限や使途制限があるため、金融機関での管理が必須となります。
結婚・子育て資金の一括贈与
結婚や出産、子育てに関連する費用については、父母や祖父母からの一括贈与が一定額まで非課税となります。
具体的には、結婚資金として最大300万円、子育て資金として最大1,000万円までが対象です。
結婚式費用や不妊治療費、保育料など幅広い支出に充てられますが、こちらも金融機関を通じた管理が求められます。
住宅取得等資金の贈与
住宅購入や新築・増改築に充てる資金については、一定額まで非課税で贈与を受けることができます。
非課税枠は契約時期や住宅の性能(省エネ・耐震など)によって変動しますが、最大で1,000万円以上が対象となることもあります。
自宅を取得するタイミングで利用すれば、大きな節税効果が期待できる制度です。
夫婦間での居住用不動産の贈与
婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用の不動産、またはその購入資金を贈与する場合、最大2,000万円までが非課税となります。
長年連れ添った配偶者への住まいの贈与を支援する制度であり、基礎控除の110万円と併用することも可能です。
ただし、この制度は一生に一度しか使えないため、利用するタイミングを慎重に検討する必要があります。
現金手渡しで贈与した際の贈与税についてよくある質問

現金を手渡しで贈与する場面は日常的にあり得ますが、贈与税の仕組みを正しく理解していないと、後から思わぬトラブルにつながることがあります。
ここでは、よく寄せられる質問を取り上げ、基本的な考え方を整理します。
Q.現金を手渡しで贈与した場合の贈与税は誰が払うものですか?
贈与税を納める義務があるのは、受け取った側(受贈者)です。
つまり、贈与した人ではなく、贈与を受けた人が申告と納税を行います。
例えば、親が子に200万円を現金で渡した場合、110万円を超える90万円が課税対象となり、子が贈与税を納めなければなりません。
親が代わりに税金を負担した場合、それも「さらに贈与を受けた」とみなされ、余計に課税額が増える可能性があります。
そのため、贈与を受けた人が自分の責任で税額を計算し、申告を行うことが基本です。
Q.贈与税に時効はありますか?
贈与税にも時効は存在します。
通常、申告期限から5年が経過すると、税務署はその贈与税を追及できなくなるとされています。
ただし、申告を全くしていない場合や意図的に隠したと判断される場合は、時効が7年に延長されます。
例えば、現金を手渡しで受け取り、申告せずにいた場合でも、7年以内に税務署が資金の流れを把握すれば、課税される可能性があります。
「時効を待てば大丈夫」という考えはリスクが高いものです。
延滞税や加算税を含めて大きな負担を抱える恐れがあるため、正しく申告しておくことが安心につながります。
Q.いくらまでなら現金手渡しでの贈与ができますか?
現金の手渡し自体には金額の上限はありません。
しかし、税務上の非課税枠は年間110万円までです。
この金額を超えると、贈与税の申告と納付が必要になります。
例えば、親が子へ50万円を現金で渡した場合は非課税ですが、200万円を渡した場合は課税対象額が90万円となり、贈与税を納める必要があります。
また、同じ年に複数回に分けて贈与しても合算されるため、年間合計額で判断しなければなりません。
「いくらまでなら手渡しできるか」というよりも、「110万円以内なら非課税、それ以上なら課税対象」と理解することが正確です。
現金手渡しで贈与した際の贈与税についてまとめ

ここまで、現金を手渡しで贈与した場合の贈与税について解説しました。
重要なポイントを整理すると以下の通りです。
- 贈与税は「現金の渡し方」ではなく「金額」で判断され、年間110万円を超えると申告が必要になる
- 契約書の作成や記録を残すことで、暦年課税や特例制度の適用を確実にできる
- 未申告のまま発覚すると、追徴課税や相続税の修正申告につながり、負担が大きくなる
現金手渡しは便利に思える一方で、証拠が残りにくいため税務上のリスクが伴います。
とくに相続に関連して調査されると、過去の贈与が明らかになるケースも少なくありません。
贈与契約書の作成や特例制度の活用など、事前にできる工夫を行い、将来的なトラブルを避けることが大切です。
適切な知識を身につけ、家族にとって有益な形で資産を受け渡せるよう準備していきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。