相続税計画は、我々の生活において重要な役割を果たします。
その中でも、特に注目すべきは贈与税の課税制度の選択です。
本記事では、相続時精算課税制度について以下の点を中心にご紹介します!
- 相続時精算課税制度
- 相続時精算課税制度を利用するメリット
- 相続時精算課税制度を利用するデメリット
相続時精算課税制度について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度は、特定の条件を満たす贈与に対して適用される税制優遇措置です。
この制度は、主に60歳以上の親や祖父母から18歳以上の子や孫などに対する贈与に関して選択可能です。
ここでは、相続時精算課税制度の主要な特徴と適用条件について解説します。
相続時精算課税制度の特徴
この制度は、贈与者が60歳以上の父母や祖父母であり、受贈者が18歳以上の子や孫などの推定相続人である場合に適用されます。
贈与される財産の種類や金額、回数に制限は設けられていません。
贈与された財産の合計額から特別控除額(最大2,500万円)を差し引き、残額に20%の税率を適用して贈与税を計算します。
特定贈与者が亡くなった際、贈与された財産の時価は相続財産に加算され、相続税の計算に影響を与えます。
相続時精算課税制度の選択と申告手続き
相続時精算課税制度の適用を希望する場合、贈与を受けた年の「翌年の2月1日から3月15日まで」の間に、贈与税の申告書と関連する書類を提出することが求められます。
一度この制度を選択すると、特定贈与者が亡くなるまで継続して適用され、暦年課税に戻すことはできません。
この制度は、贈与者と受贈者にとって税負担の軽減や資産移転の計画に影響を及ぼすため、適用を検討する際にはその特徴と条件を十分に理解することが重要です。
引用:国税庁
新しい相続時精算課税制度の変更点

2024年1月から施行される新しい相続時精算課税制度には、いくつかの重要な変更点が含まれています。
これらの変更は、贈与税の計算方法や申告の必要性に影響を及ぼし、贈与者と受贈者に新たな選択肢を提供します。
ここでは、この制度の主要な変更点について詳しく解説します。
年間110万円までの基礎控除の非課税
新制度では、従来の2,500万円の特別控除に加えて、年間110万円までの基礎控除が非課税とされます。
つまり、改正された相続時精算課税制度における贈与税の計算は「[(贈与額-年110万円)-2500万円]×20%」です。
贈与税申告の不要化
改正前の制度では、贈与の度に贈与税の申告が必要でしたが、新制度では年間110万円以下の贈与に関しては贈与税の申告が不要になります。
これは、手続きの簡素化に大きく寄与します。
年間110万円の基礎控除による相続税の非課税
新しい制度では、年間110万円までの贈与は相続税の計算時に相続財産に加算する必要がなくなります。
これにより、相続税の節税効果が期待されます。
これらの変更は、相続時精算課税制度を利用する際の戦略に大きな影響を与える可能性があります。
贈与を検討している方々にとっては、これらの新しいルールを理解し、適切に活用することが重要です。
相続時精算課税制度は、一見複雑に見えるかもしれません。 しかし、その基本的な考え方を理解すれば、適切な相続対策を立てることが可能です。 本記事では、相続時精算課税制度について以下の点を中心にご紹介します! 相続時精算課税制[…]
相続時精算課税制度を利用したときの税額計算例

相続時精算課税制度は、贈与税と相続税の計算において重要な役割を果たします。
この制度を利用することで、特定の条件下での贈与に対して税負担を軽減することが可能です。
ここでは、相続時精算課税制度を利用した際の税額計算の具体例を紹介します。
贈与税が非課税になるケース
相続時精算課税制度を利用すると、特定の条件下での贈与に対して贈与税が非課税となります。
例えば、祖父母から孫への2,500万円の贈与の場合、この制度を適用すると、祖父母が亡くなるまでの間、贈与税は発生しません。
この場合、2,500万円までの贈与は非課税扱いとなり、暦年課税の場合に比べて大幅な税負担の軽減が見込めます。
贈与税を支払うケース
一方、累計贈与額が2,500万円を超える場合、超過分に対しては贈与税が発生します。
たとえば、3,000万円を贈与した場合、超過分の500万円に対しては20%の贈与税が適用され、100万円(500万円 × 20%)の贈与税が必要となります。
この点は、累進課税制の暦年課税に比べて税率が低く設定されているため、大きなメリットとなります。
相続時精算課税制度を利用することで、贈与税の負担を軽減し、効率的な資産移転を行うことが可能です。
しかし、この制度を利用する際には、贈与者が亡くなった際に生前贈与を受けた財産分を相続財産に合算する必要がある点に注意が必要です。
また、一度この制度を選択すると、暦年課税に戻ることはできないため、選択には慎重な検討が求められます。
税額の計算方法

相続時精算課税制度は、生前の贈与に対する税負担を軽減しつつ、相続時には贈与された財産を相続財産に加算する制度です。
この制度の適用により、贈与税と相続税の計算方法に特別なルールが適用されます。
ここでは、相続時精算課税制度を利用した際の具体的な税額計算方法について詳しく説明します。
贈与税の計算方法
相続時精算課税制度では、贈与された財産の価額から特別控除額(最大2,500万円)を差し引いた後、残額に20%の税率を適用して贈与税を計算します。
具体的な計算例
贈与者:70歳の父
受贈者:40歳の長男
贈与額:1年目に2,000万円、2年目に1,500万円
1年目の贈与税:2,000万円は2,500万円の特別控除内に収まるため、税額は発生しません。
2年目の贈与税:1,500万円から既に使用した特別控除額(2,000万円)を差し引いた500万円に20%を適用し、100万円の贈与税が発生します。
相続税の計算方法
相続時精算課税制度を適用した場合、贈与された財産は相続財産に加算され、相続税の計算に影響を及ぼします。
具体的な計算例
被相続人:父
相続人:長男
遺産額:5,000万円
贈与財産:3,500万円
相続税の計算:
相続財産総額:5,000万円 + 3,500万円 = 8,500万円
基礎控除額:3,000万円 + 600万円 × 1人 = 3,600万円
課税遺産総額:8,500万円 – 3,600万円 = 4,900万円
相続税額:4,900万円 × 20% – 100万円(贈与税額) = 880万円
相続時精算課税に係る贈与税額控除
相続時精算課税制度を適用している場合、既に納めた贈与税額は相続税額から控除されます。
控除の具体例
相続税額:880万円
贈与税額:100万円
最終的な納付税額:880万円 – 100万円 = 780万円
相続時精算課税制度を利用することで、特定の条件下での贈与に対する税負担を軽減することが可能ですが、相続時には贈与された財産が相続財産に加算されるため、全体的な税負担を慎重に検討する必要があります。
また、一度この制度を選択すると、暦年課税に戻ることはできないため、選択には慎重な検討が求められます。
相続時精算課税制度のメリット

2024年1月から施行される新しい相続時精算課税制度には、いくつかの重要な変更点が含まれており、これらの変更は贈与税と相続税の計算に大きな影響を及ぼします。
ここでは、この新しい制度の主要なメリットについて詳しく解説します。
年間110万円までの基礎控除による非課税
新制度では、年間110万円までの贈与に対して贈与税が免除されます。
これにより、年間110万円以下の贈与については、暦年課税制度のような生前贈与加算が発生しないため、税負担の軽減が見込めます。
賃貸不動産の贈与による相続税節税
賃貸不動産などの収益性資産を贈与することで、相続税の節税が可能になります。
贈与された賃貸不動産から得られる収益は、相続時に相続財産に加算されるため、相続税の基礎控除額を超えることが少なくなり、結果的に相続税の負担が軽減されます。
将来価値が上昇する財産の贈与による税負担軽減
将来価値が上昇すると予想される財産、例えば不動産や株式などを生前に贈与することで、相続時の評価額を抑え、相続税の節税が期待できます。
特に、価値の上昇が見込まれる資産を贈与することは、相続税を抑える有効な手段となります。
これらのメリットは、相続時精算課税制度を利用する際の戦略に大きな影響を与えます。
贈与を検討している方々にとっては、これらの新しいルールを理解し、適切に活用することが重要です。
相続時精算課税制度は、生前贈与を効果的に活用するための制度として注目されています。 高額な財産を贈与する際に贈与税の負担を軽減し、相続時に清算するこの制度は、計画的な資産移転を希望する方々にとって大きなメリットを提供します。 し[…]
相続時精算課税制度のデメリット

相続時精算課税制度は、贈与税と相続税を通算することで一定の税負担軽減をもたらす制度ですが、いくつかのデメリットも存在します。
ここでは、この制度の主要なデメリットについて解説します。
直接節税になるわけではない
相続時精算課税制度は、贈与税が非課税になるというメリットがありますが、これは贈与者が亡くなった際に生前贈与した財産も含めて相続税を課税するという趣旨の制度です。
つまり、贈与税は免税となりますが、相続税は課税対象となるため、基本的には納税のタイミングを延期するというのが実情となります。
一度利用すると、暦年課税への変更ができない
相続時精算課税制度を一度選択すると、その後は永久にこの制度が適用され、暦年課税に戻ることができません。
例えば、一度この制度を利用して贈与を行った後、さらに贈与を行う場合、その贈与も全て贈与税の課税対象になります。
これは、暦年課税では年間110万円まで非課税ですが、相続時精算課税制度を利用すると、その限度額がなくなるためです。
規模宅地等の特例が利用できなくなる
小規模宅地等の特例は、一定の要件を満たすと土地の相続税評価額を最大80%減額できる制度です。
ただし、相続時精算課税制度を適用して土地を贈与すると、相続や遺贈ではなく贈与による取得と見なされるため、小規模宅地等の特例を受けることはできません。
これにより、評価額の高い宅地を所有している場合、大きな損失を被る可能性があります。
これらのデメリットを理解し、相続時精算課税制度の適用を検討する際には、その影響を十分に考慮することが重要です。
特に、将来の相続税の負担を考慮した上で、この制度の利用を検討することをおすすめします。
相続対策として注目を集めている「相続時精算課税制度」。 節税効果が期待できる一方で、実は知られざるデメリットも存在します。 この制度を本当にお得に活用するためには、メリットだけでなく、デメリットもしっかり理解することが重要です。 […]
暦年課税と相続時精算課税の比較

相続税計画における重要な要素の一つは、贈与税の課税制度の選択です。
主に暦年課税と相続時精算課税の2つの選択肢があります。
これらの制度は、それぞれ異なる特性と利点を持っています。
しかし、どちらが最適な選択肢かは、個々の状況によります。
ここでは暦年課税と相続時精算課税の比較について解説します。
暦年課税は長期的な資産移転のための選択
暦年課税は、毎年一定額(現在は110万円)までの贈与が非課税となる制度です。
この制度は、長期にわたり資産を移転したい方々にとって有利です。
また、贈与対象者が多い場合にも、暦年課税は有利となります。
相続時精算課税は一時的な大きな贈与のための選択
一方、相続時精算課税は、一度に大きな額を贈与したい場合に有利な制度です。
この制度では、贈与者ごとに2,500万円が非課税となります。
しかし、贈与者が死亡した場合、この制度を利用した贈与財産は全て、贈与時の価格で相続財産に加算されます。
結論として、どちらの制度を選択するかは、個々の状況と目標によります。
暦年課税は、長期にわたる小額の贈与を計画している方にとって有利です。
一方、相続時精算課税は、一度に大きな額を贈与したい場合に有利です。
どちらの制度も、適切に利用すれば、資産移転と節税の両方を実現することが可能です。
相続時精算課税制度の注意点

相続時精算課税制度は、相続税と贈与税の計算方法を選択する制度であり、その選択にはいくつかの注意点があります。
暦年課税制度には戻れない
一度相続時精算課税制度を選択すると、その後は暦年課税制度に戻ることができません。
このため、制度の選択は慎重に行う必要があります。
年110万円を超えたら贈与税申告が必要になる
相続時精算課税制度を選択した場合でも、年間110万円を超える贈与があった場合は、贈与税の申告が必要となります。
また、累計が2500万円を超えた場合は、超えた部分に対して、一律20%の贈与税がかかります。
小規模宅地等の特例が使えなくなる
小規模宅地等の特例は、一定の条件を満たす場合に限り、相続税の計算から一部を除外することができる特例です。
しかし、相続時精算課税制度を選択した場合、この特例を利用することはできません。
判断と計算が非常に面倒
相続時精算課税制度の適用は、贈与税と相続税の計算を複雑にする可能性があります。
そのため、制度の選択と利用には専門的な知識と経験が必要となります。
以上の点を踏まえ、相続時精算課税制度の選択は、専門家の意見を求めることをお勧めします。
相続税の節税だけでなく、将来的な税負担や手続きの負担を考慮に入れた上で、最適な選択を行うことが重要です。
相続時精算課税制度を使うべき方

相続税計画における重要な要素の一つは、贈与税の課税制度の選択です。
その中でも、相続時精算課税制度は特定の状況下で有利な選択肢となります。
ここでは、相続時精算課税制度を選択すべき具体的なケースをご紹介します。
相続財産が相続税の基礎控除の範囲内の方
相続財産が相続税の基礎控除額(現在は3000万円+600万円×法定相続人数)の範囲内である場合、相続税は発生しません。
しかし、生前贈与を行うことで、相続財産を減らすことが可能です。
その際、相続時精算課税制度を利用すれば、一度に大きな額を贈与できます。
年間110万円を超える贈与をしている方
年間110万円を超える贈与を行っている場合、贈与税が発生します。
しかし、相続時精算課税制度を利用すれば、一度に2500万円まで非課税で贈与が可能です。
これにより、大きな額の贈与を行う際の税負担を軽減できます。
賃貸マンションなどの収益物件を所有している方
賃貸マンションなどの収益物件を所有している場合、相続時にはその物件の評価額に基づいて相続税が課税されます。
しかし、生前にその物件を贈与することで、相続税の負担を軽減することが可能です。
その際、相続時精算課税制度を利用すれば、一度に大きな額を贈与できます。
値上りが予想される財産がある方
値上りが予想される財産(例えば、地価上昇が見込まれる土地や、成長が期待できる株式など)を所有している場合、その財産を生前に贈与することで、将来の価格上昇による相続税の増加を防ぐことができます。
その際、相続時精算課税制度を利用すれば、一度に大きな額を贈与できます。
贈与時に評価額が下がっている財産がある方
贈与時に評価額が下がっている財産(例えば、株価が下落している株式など)を所有している場合、その財産を生前に贈与することで、贈与税の負担を軽減することが可能です。
その際、相続時精算課税制度を利用すれば、一度に大きな額を贈与できます。
相続トラブルの可能性がある方
相続トラブルの可能性がある場合、生前に財産を贈与することで、相続人間の争いを防ぐことが可能です。
その際、相続時精算課税制度を利用すれば、一度に大きな額を贈与できます。
相続時精算課税制度を使うべきでない方

相続税計画における重要な要素の一つは、贈与税の課税制度の選択です。
その中でも、相続時精算課税制度は特定の状況下で有利な選択肢となります。
しかし、全ての方にとって最適な選択肢とは限りません。
ここでは、相続時精算課税制度を選択すべきでない具体的なケースをご紹介します。
年間110万円の暦年課税を使いたい方
暦年課税は、毎年一定額(現在は110万円)までの贈与が非課税となる制度です。
この制度は、長期にわたり資産を移転したい方々にとって有利です。
また、贈与対象者が多い場合にも、暦年課税は有利となります。
したがって、年間110万円の贈与を続けたい場合、暦年課税を選択する方が良いでしょう。
相続時に小規模宅地等の特例を適用させたい方
相続時精算課税制度を選択した場合、小規模宅地等の特例を適用することができません。
小規模宅地等の特例とは、特定の条件を満たした場合に土地の相続税評価額を最大で80%まで軽減できる制度となります。
この特例が適用されるのは、あくまでも相続した土地に対してなので、生前にその土地を贈与することで、相続税の負担を軽減することが可能です。
しかし、生前にその土地を贈与した場合、小規模宅地等の特例を適用することはできません。
したがって、相続時に小規模宅地等の特例を適用させたい場合、相続時精算課税制度を選択するべきではありません。
相続時精算課税制度についてのまとめ

ここまで相続時精算課税制度についてお伝えしてきました。
相続時精算課税制度の要点をまとめると以下の通りです。
- 相続時精算課税制度は、60歳以上の父母や祖父母から18歳以上の子や孫への贈与に適用される税制
- 相続時精算課税制度のメリットは非課税枠が拡大され、2500万円までの贈与、年間110万円も非課税にでき、価値上昇財産の相続税抑制、申告簡素化が可能。
- 相続時精算課税制度のデメリットは一度この制度を選択すると、暦年課税制度への変更ができなくなり、特例が利用できなくなるため、特定の土地については相続税が高額になる可能性がある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

