相続放棄をした場合でも遺族年金が受け取れるかは、多くの人が気にするポイントではないでしょうか。
遺族年金は、被相続人の死亡により支給されるものであり、相続放棄とは別の法律上の取り扱いがあります。
そこで本記事では、相続放棄をして遺族年金は受け取れるのかについて以下の点を中心にご紹介します。
- 相続放棄をすると遺族年金はもらえないのか
- 相続放棄をして受け取れるお金の条件
- 相続放棄をするときの注意点
相続放棄をして遺族年金は受け取れるのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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相続放棄をすると遺族年金はもらえない?

相続放棄を行うと、故人が残した財産や負債を一切受け継ぐことができなくなりますが、遺族年金に関しては例外です。
遺族年金は相続財産ではなく、遺族固有の権利として認められているため、相続放棄をしても受け取ることができます。
遺族年金は遺族固有の財産
遺族年金とは、故人が主要な収入源であった場合に、一定の条件を満たした家族に支給される公的年金の一種です。
この年金は遺族個人の権利として認められているものであり、相続財産には含まれません。
そのため、遺族年金の受給資格がある人は、相続放棄をしても問題なく受け取ることが可能です。
また、「国家公務員等共済組合法による共済年金」や「国民年金の遺族共済年金」についても同様に、相続放棄をしていても受給が認められます。
遺族年金を受け取るには手続きが必要
遺族年金は自動的に支給されるものではなく、所定の申請手続きを行う必要があります。この手続きには期限があり、原則として5年以内に申請しなければ遺族年金を受け取る権利が消滅する可能性があります。
手続きの際には、必要書類を準備し、遅れのないように対応することが大切です。
未支給年金も受け取れる可能性がある
故人が亡くなった時点で、すでに受給権が発生していたものの未払いとなっている年金(未支給年金)がある場合、一定の条件を満たす遺族はこれを受け取ることができます。未支給年金の受給要件には、以下のようなポイントがあります。
- 故人の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹であること
- 故人と同じ生活基盤を共有していたこと(生計を同じくしていた)
未支給年金も相続財産とは見なされず、遺族個人の権利として支給されるため、相続放棄を行った場合でも受給可能です。
相続放棄後も遺族年金や未支給年金は守られる
遺族年金や未支給年金は、相続放棄を行っても影響を受けない特別な財産とされています。これは、これらが遺族個人の生活を支えるために設けられた仕組みであり、故人の負債とは無関係な性質を持つからです。
遺族年金や未支給年金の受給権がある場合は、相続放棄を検討する際にもその権利が保たれることを理解し、手続きを進めていくことが重要です。
相続放棄をして受け取れるお金の条件とは

相続放棄をすると、故人が遺した財産や負債を一切引き継がないことになります。これには、預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金やローンなどのマイナスの財産も含まれます。
ただし、相続放棄をしても受け取れるお金や財産がいくつか存在します。これらは相続財産とは見なされず、特別な扱いを受けるためです。相続放棄をしても受け取れるお金は以下になります。
- 受取人が故人以外に指定されている死亡保険金や死亡退職金
- 香典
- 仏壇やお墓などの祭祀財産
- 葬祭費や埋葬料
- 遺族年金や未支給年金
これらの財産や金銭は、相続財産とは異なり、受取人固有の権利や遺族を支える目的で支給されるものとみなされるため、相続放棄を行っても受け取りが可能となっています。
特に、死亡保険金や未支給年金などは、故人の財産とは別に設定されているためです。これらの財産を受け取る際には、相続放棄を行った後でも受給手続きが必要となる場合があります。
相続放棄をして遺族年金を受け取る流れ

相続放棄をしながら遺族年金を受け取ることは可能ですが、それぞれの手続きには正確な理解と準備が求められます。以下では、被相続人の死亡届提出から相続放棄、そして遺族年金請求までの流れを詳しくご紹介します。
- 被相続人の死亡届を提出
故人が亡くなった場合、最初に市区町村役場へ死亡届を提出します。死亡届は、相続手続きや遺族年金請求を進めるための第一歩であり、通常は医師が発行する死亡診断書と共に提出します。
この手続きにあわせて、故人の身分や遺族との関係を証明するための書類も準備しておくと、後の手続きがスムーズになります。
- 相続放棄のための書類を準備
相続放棄を行うためには、いくつかの書類を準備する必要があります。以下に、必要な書類とその概要、そしてかかる費用を説明します。
- 相続放棄申述書
家庭裁判所に提出する書類で、相続放棄の意思を明確に示すために必要です。この書類の提出には約600円の収入印紙代がかかります。
- 被相続人の戸籍謄本
故人の死亡を証明するための公的書類です。取得する際の費用は約450円です。
- 被相続人の除籍謄本
故人の戸籍上の動きを証明する書類で、これも必要書類の一つです。取得費用は約750円となります。
- 相続人全員の戸籍謄本
相続人としての資格を証明するための書類です。この戸籍謄本の取得費用は1通あたり約450円です。
- 相続人全員の住民票
現在の住所を証明するために必要な書類で、取得費用は約300円前後です。
これらの書類はそれぞれ異なる役所や機関から取得する必要がありますが、相続放棄の手続きに欠かせない重要な書類です。必要書類を事前にしっかりと準備し、手続きがスムーズに進むようにしましょう。
- 家庭裁判所に相続放棄を申請
準備した書類をもとに、家庭裁判所で相続放棄の申し立てを行います。この手続きは、故人が亡くなったことを知った日から3カ月以内に完了する必要があります。期限を過ぎると相続放棄は認められなくなるため、早めに対応することが重要です。
相続放棄が認められると、相続人は故人の財産や負債を引き継がないことが正式に決まります。
ただし、相続放棄により次の相続人へ権利が移るため、関連情報を適切に共有する配慮も必要です。
- 遺族年金請求の準備をする
遺族年金を受け取るためには、以下のような書類を準備します。
- 遺族年金請求書
- 故人の年金手帳または基礎年金番号通知書
- 死亡診断書または死亡証明書
- 故人および遺族の戸籍謄本
- 故人の住民票の除票
- 請求者の銀行口座情報
これらの書類は、遺族年金の種類や状況によって異なる場合があるため、事前に最寄りの年金事務所で確認することをお勧めします。
- 必要書類の提出
収集した書類を提出して、遺族年金の請求を行います。提出先は年金の種類によって異なります。
遺族基礎年金の場合は市区町村役場、遺族厚生年金の場合は最寄りの年金事務所へ提出します。
相続放棄をするときの注意点

相続放棄は、故人が遺した資産や負債の引き継ぎを回避するための法的な手続きです。
ただし、この手続きが遺族年金の受給資格に直接影響することはありません。
しかし、相続放棄と遺族年金の受給に関連する際には、いくつかの重要な注意点を押さえる必要があります。
相続放棄や遺族年金の手続きには期限がある
相続放棄を行う際、特に注意すべきポイントは手続きの期限です。
法律では、故人が亡くなったことを知った日から3カ月以内に、家庭裁判所へ相続放棄の申述を完了しなければなりません。
この期限を過ぎると相続放棄が認められず、財産だけでなく負債も全て引き継ぐことになります。
また、遺族年金の請求についても期限が設けられており、故人の死亡日の翌日から5年以内に手続きを完了しなければ受給する権利を失う可能性があります。
これらの期限を把握し、早めに行動することが大切です。
相続放棄が認められないケースがある
ほとんどの場合、相続放棄の手続きは受理されますが、一定の条件下では認められないこともあります。
たとえば、相続放棄を行う前に、相続人が故人の財産を使用したり、売却したりした場合、それは相続を承認したとみなされます。
このような行為があった場合、後から相続放棄を申し立てても却下される可能性があります。
具体的には、故人の銀行口座からお金を引き出したり、不動産を売却したりする行動が該当します。
相続放棄を検討している場合は、故人の財産に関する行動を慎重にし、必要に応じて専門家から適切な助言を受けることをお勧めします。
相続放棄時には次順位の相続人への通知が重要
相続放棄を行うと、その相続権は次順位の相続人へと移行します。
ただし、家庭裁判所から直接次順位の相続人に通知が行くわけではありません。
そのため、次順位の相続人がその事実を知らないまま、負債などのリスクを引き継いでしまう可能性があります。
こうしたトラブルを防ぐためにも、相続放棄を決定した場合は、次順位の相続人にその旨を速やかに伝え、情報を共有することが重要です。
円滑な相続手続きを進めるためには、関係者全員が透明性のあるコミュニケーションを心がけることが欠かせません。
相続放棄をしても遺族年金は受け取れるかについてよくある質問

相続放棄後にしてはいけないことは?
相続放棄を行った後は、相続財産を処分したり、隠したり、使用したりすることは厳禁です。
これらの行為を行うと、相続放棄の効力が失われ、プラスの財産だけでなくマイナスの財産もすべて相続する義務が発生してしまいます。
相続放棄するともらえないものは?
故人が受取人となっている入院保険や傷病保険の保険金、または生前に一括で支払っていた税金や年金、保険料などが過払いとなっていた場合の還付金はもらえない可能性があります。
相続放棄をしたら遺族一時金はもらえませんか?
遺族年金(死亡一時金)は、被相続人ではなく遺族の方に支給される年金であり、その性質上、被相続人の財産には含まれません。
そのため、遺族年金を受け取ったとしても相続財産の処分には該当せず、相続放棄をしても受給が可能です。
相続放棄をしても遺族年金は受け取れるかについてのまとめ

ここまで相続放棄をして遺族年金は受け取れるのかについてお伝えしてきました。
相続放棄をして遺族年金は受け取れるのかの要点をまとめると以下の通りです。
- 相続放棄を行うと、故人が残した財産や負債を一切受け継ぐことができなるが、遺族年金に関しては例外である
- 相続放棄をしながら遺族年金を受け取ることは可能であるが、それぞれの手続きには正確な理解と準備が求められる
- 相続放棄をするともらえなくなるお金には、故人が受取人となっている入院保険や傷病保険の保険金、または生前に一括で支払っていた税金や年金、保険料などが過払いとなっていた場合の還付金がもらえない可能性がある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。