相続税の配偶者控除やデメリットについて気になる方も多いのではないでしょうか?
本記事では、相続税における配偶者控除のデメリットについて以下の点を中心にご紹介します!
- 相続税における配偶者控除とは?
- 相続税における配偶者控除の適用条件
- 相続税における配偶者控除のデメリット
相続税の配偶者控除やデメリットについて理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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相続税における配偶者控除とは?

配偶者控除は配偶者が相続するときに受けられる大きな優遇措置です。制度の仕組みを分かりやすく解説します。
相続税における配偶者の法定相続分とは?
相続税の配偶者控除とは、配偶者が相続する遺産について、相続額が「1億6,000万円以下」または「法定相続分以下」であれば相続税がかからない仕組みを指します。 相続税は遺産全体に一括して課税されるのではなく、各相続人が取得した遺産の額に応じて課税されるのが特徴です。
そのため、控除の判定も配偶者本人が受け取る遺産額を基準として行われます。 したがって、配偶者がどの程度の遺産を相続するかが、相続税負担の有無に直結する大切なポイントとなります。
相続税における配偶者控除の必要書類
配偶者控除を利用するためには、相続税の申告期限までに必ず申告を行う必要があります。申告の際にはいくつかの書類を準備しなければなりません。
具体的には、
- 配偶者控除を適用する旨や税額の軽減内容を記載した「相続税申告書」
- 役所窓口や郵送で取得する「戸籍謄本」
- 配偶者が取得した財産を確認できる「遺言書」「遺産分割協議書」
の写しなどが必要です。
さらに、遺産分割協議書を提出する場合には、相続人全員分の印鑑証明書の提出も求められます。
相続税における配偶者控除の適用条件

相続税には配偶者の負担を大きく軽減するための「配偶者控除」という特例があります。ただし、この控除を受けるには一定の条件を満たす必要があります。ここでは、具体的な適用条件について解説します。
法律上の夫婦である
相続税の配偶者控除を受けるためには、法律上の婚姻関係にあること、つまり婚姻届を提出している正式な夫婦であることが前提条件となります。たとえ離婚協議中で離婚が決まっている場合であっても、離婚届を出す前に一方が亡くなれば、残された配偶者は控除を適用できます。
一方で、事実婚の関係にある夫婦は法律上の配偶者ではないため、この制度の対象にはならず、法定相続人としての地位も認められません。
なお、この配偶者控除は妻だけでなく夫にも同様に適用される点も重要です。
配偶者が相続や遺贈などで財産を取得している
相続税の配偶者控除は、配偶者が実際に財産を取得していることが前提となります。
対象となる財産には、
- 相続や遺贈によって取得した財産
- 相続税の申告期限までに遺産分割によって得た財産
- 生前贈与加算の対象となる財産
- 死亡保険金や死亡退職金といったみなし相続財産
が含まれます。
なお、申告期限までに遺産分割が完了しなかった場合でも、所定の手続きを行えば配偶者控除を受けることが可能です。また、生前贈与加算とは、被相続人から相続開始前3年以内に受けた贈与を相続税の課税対象に加える仕組みを指します。
相続税の申告を行うこと
配偶者控除を受けるためには、相続税の申告を行うことが必須です。特に注意すべき点は、控除の適用によって相続税が実質0円となる場合でも、申告そのものは必要になるということです。
その際、申告書には「配偶者の税額軽減額の計算書」を添付します。
さらに、
- 被相続人の戸籍謄本
- 遺言書または遺産分割協議書の写し
- 遺産分割協議書に用いた相続人全員分の印鑑証明書
などの必要書類を提出しなければなりません。条件を満たしていても申告を怠ると、配偶者控除が適用されない点に十分注意が必要です。
相続税における配偶者控除のデメリット

相続税の配偶者控除は、一定の条件を満たせば大きな節税効果が得られる便利な制度です。しかし一方で、将来の二次相続の際に税負担が重くなる可能性や、申告の手間、遺産分割の方法によっては不利益につながることもあります。
ここでは、配偶者控除を利用する際に注意すべきデメリットについて解説します。
課税遺産総額の相続税は「累進課税」
相続税は、遺産の総額から 基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数) を差し引いた「課税遺産総額」に対して課税されます。課税遺産総額が大きくなるほど税率が高くなる 累進課税制度 が採用されています。
以下の表は、法定相続分に応じた取得金額に対する相続税率と控除額を示したものです。
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
| 1,000万円以下 | 10% | - |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
(参考:国税庁)
つまり、相続税は一律ではなく、相続財産の規模に応じて負担が増えていく仕組みになっています。
未分割の財産には適用不可
相続税の配偶者控除は、まだ分割が済んでいない遺産には適用できません。これは、配偶者に実際に帰属する財産に対する税額軽減制度であり、取得者が確定していない財産には適用できないためです。
原則として、相続税の申告期限(被相続人の死亡を知った翌日から10か月以内)までに遺産分割が行われない財産は、控除の対象外となります。ただし例外として、申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付し、実際に3年以内に分割が行われれば控除を受けることが可能です。
さらに、やむを得ない事情で3年以内に分割できなかった場合には、3年経過日の翌日から2か月以内に「やむを得ない事由による承認申請書」を提出することで、控除適用を認めてもらえる場合があります。
隠蔽などがあった場合には適用不可
相続税の配偶者控除を適用する際、課税価格の算定において財産の隠匿や仮装が行われていた場合、その該当する財産は控除の対象外となります。これは、控除が正確な課税価格に基づく税額軽減を前提としているためで、虚偽の申告や隠匿があると適用できません。
その場合、配偶者控除の計算に使用する課税価格の合計や相続税総額の算定過程において、隠匿・仮装された金額を除外して計算することになります。
したがって、正確な財産の把握が控除適用の前提条件であり、透明性のある財産申告が求められます。これにより、控除の適用は適正な相続税負担の軽減に限定されます。
二次相続で納税額が増加する恐れがある
相続税の配偶者控除を使って一次相続後の二次相続まで税額を試算すると、控除を適用した場合のほうが逆に不利になる可能性があります。二次相続では一次相続より基礎控除額が少なく、さらに超過累進税率が適用されるため、相続税は高くなりやすいのです。
例えば、年齢が近い夫婦で一次相続時に配偶者へ財産を集中させ、その配偶者が生前にほとんど財産を使わず亡くなると、二次相続で再び相続が発生し、結果的に税負担が重くなることがあります。
相続税における配偶者控除の二次相続時の税額比較
配偶者控除を利用した場合、子どもの相続税がどのように変わるかを、以下のケースで試算してみます。
家族構成:父、母、子
一次相続:父(遺産1億5,000万円)
二次相続:母(遺産3,000万円)
| ケース | 母の相続税 | 子の相続税 | 合計(子) |
| 母が一次相続で全財産取得 | 0円(配偶者控除適用) | 0円(一次相続) / 4,060万円(二次相続) | 4,060万円 |
| 母と子で遺産を半分ずつ取得 | 0円(母・配偶者控除適用) | 920万円(一次相続) / 1,370万円(二次相続) | 2,290万円 |
一次相続だけを見れば、母が遺産をすべて相続した場合の方が子どもの相続税負担は軽く見えることがあります。しかし、一次相続と二次相続を合算して考えると、母と子で遺産を分割した方が、子どもの総合的な税負担は約1,770万円も軽減される結果となります。つまり、配偶者控除を利用する場合には、一次相続だけで判断せず、将来発生する二次相続まで含めた全体の相続税負担を見越した慎重な分割計画が非常に重要です。
※相次相続控除は考慮していません。具体的金額は税理などに確認してください。
相続税における配偶者控除は使用しない方が良い?

相続税をできるだけ抑えることを念頭に遺産分割を検討しても、家族間の関係が円滑でない場合、話し合いが進まず計画通りに進まないことがあります。
また、一次相続で発生する相続税を現金で納付できるだけの資金が不足している場合には、まず一次相続の税負担をできる限り軽くすることが重要です。たとえば、父親が若くして亡くなり、二次相続までまだ時間があるケースでは、一次相続時に配偶者控除や遺産分割の工夫を行うことで、将来的な二次相続にかかる相続税の負担を軽減することが可能です。
専門家と相談しながら、短期・長期の両面で最適な相続対策を検討することが大切です。
相続税の配偶者控除で遺言を残すときに気を付けること

遺産の分け方を遺言書で指定する際には、十分な慎重さが求められます。たとえ家族への思いを込めて作成した遺言であっても、相続税やその他の税務面を考慮していない場合、後になって高額な相続税の負担に悩まされることがあります。そのため、遺言書を作成する際には、税務や法律の専門家に相談し、相続税や控除の適用可否などを踏まえた内容にすることが望ましいです。
また、遺言書に記載された内容に拘らず、相続人全員の合意があれば、遺産分割協議を行うことも可能で、状況に応じて柔軟に対応できる点も押さえておく必要があります。これにより、後々のトラブルや税負担を最小限に抑えつつ、円滑な相続手続きを進められます。
相続税における配偶者控除のデメリットに関してよくある質問

相続税における配偶者控除のデメリットに関してよくある質問についてご紹介します。
配偶者だけに相続させるデメリットはありますか?
配偶者控除を利用して相続を行う場合、いくつかの注意点があります。まず、他の相続人から遺留分侵害額の請求を受ける可能性があり、思わぬ金銭的な争いに発展することも考えられます。また、一次相続で配偶者に財産を集中させた場合、二次相続での相続税の負担が増えるリスクも存在します。これらのデメリットを理解したうえで、相続計画を慎重に検討することが重要です。
配偶者の相続税はいくらまで無税になりますか?
相続税の配偶者控除では、配偶者が遺産分割や遺贈によって実際に取得した遺産の正味額が、1億6,000万円以下である場合、あるいは配偶者の法定相続分の範囲内であれば、相続税は課されません。
つまり、一定額までは配偶者の税負担がゼロになる仕組みであり、配偶者が取得する遺産の額が控除の適用条件を満たすかどうかが重要なポイントとなります。これにより、配偶者の生活保障や財産の安定を図ることが可能です。
配偶者控除は相続税の申告期限のあとでも適用できますか?
相続税の配偶者控除を利用するには、原則として申告期限内に相続税の申告を行う必要があります。しかし、10か月以内に遺産分割が完了しないケースも少なくありません。その場合、申告期限内に「相続税の申告から3年以内に遺産を分割する予定である」ことを届け出ることで、後から配偶者控除を適用できる可能性を残せます。
具体的には、「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書と一緒に提出します。その後、分割完了から4か月以内に更正の請求を行い、過払い税金の返還手続きを行う必要があります。ただし、申告当初は控除の適用は受けられないため、一度は相続税を納付しなければならない点に注意が必要です。
相続税の配偶者控除とは?適用条件やデメリットについてのまとめ

ここまで相続税における配偶者控除のデメリットについてお伝えしてきました。
相続税における配偶者控除のデメリットの要点をまとめると以下の通りです。
- 配偶者控除は、配偶者が相続する遺産額が「1億6,000万円以下」または「法定相続分以内」の場合に相続税がかからない優遇制度
- 配偶者控除を受けるには相続税の申告が必須
- 控除を利用しても二次相続で税負担が増える可能性や未分割財産・隠匿財産には適用できない点、遺留分侵害のリスクなどがある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。