遺産の相続放棄の方法とは?相続放棄の注意点やメリットデメリットについて解説

遺産相続は、故人が残した財産や負債を相続人が引き継ぐ一連の手続きですが、その過程で相続人が「相続放棄」を選択することがあります。
相続放棄とは、被相続人の遺産に対する権利や義務を一切放棄することで、負債や面倒な手続きから解放される手段です。

しかし、この手続きには特定の期限や条件があり、適切に行わなければ後々トラブルを招く可能性もあります。

本記事では、遺産の相続放棄について以下の点を中心にご紹介します!

  • 相続放棄とは
  • 相続放棄のメリット
  • 相続放棄の注意点

遺産の相続放棄について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

目次
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相続が発生したときに選べる相続の方法

相続が発生した場合、相続人には以下の3つの選択肢があります。
それぞれの方法には特徴があり、相続財産の状況や相続人の意向に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。

単純承認

単純承認は、被相続人のすべての財産(プラスもマイナスも)を無条件で相続する方法です。
プラスの財産(資産)とマイナスの財産(負債)を全て引き継ぎ、相続人の意志にかかわらず、自動的に相続が成立する場合があります。

限定承認

限定承認は、相続財産に資産と負債が混在する場合に用いられる方法です。

負債を資産の範囲内でのみ引き継ぐことができます。
期限内(自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内)に手続きを行う必要があります。

相続放棄

相続放棄は、被相続人の財産について全ての相続権を放棄する方法です。

プラスの財産もマイナスの財産も一切引き継ぎません。
全ての財産を放棄(資産も負債も含む)し、単独で申述可能です。

期限内(自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内)に家庭裁判所に申述する必要があります。

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相続放棄とは

相続放棄とは、相続人が被相続人(亡くなった人)の遺産に関する一切の権利および義務を放棄することを指します。
これは家庭裁判所にて正式に手続きを行うことで成立し、相続放棄を行った者は初めから相続人ではなかったものとみなされます。

この手続きには、プラスの財産もマイナスの財産も引き継がないというメリットがあります。

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財産放棄と相続放棄の違い

財産放棄と相続放棄は、どちらも相続に関連する用語ですが、法律的な意味や手続き方法が異なります。

以下では、それぞれの違いについて詳しく解説します。

財産放棄とは

財産放棄とは、相続人が他の相続人に対して自分の相続分を放棄する意思を表明することを指します。
これは法的には相続権を失うわけではなく、遺産分割協議における個別の意思表示に過ぎません。

財産放棄は家庭裁判所への申述は必要なく、遺産分割協議の場で他の相続人に伝えれば足ります。

特定の方式はありません。

特徴

  • 相続人の地位は維持されます。
  • 遺産分割協議書を締結するまでは撤回可能です。
  • 法定の期限はありません。

財産放棄と相続放棄の比較

項目 財産放棄 相続放棄
法的効果 相続権は失わない 相続権を完全に失う
手続き方法 遺産分割協議の場で意思を表明する 家庭裁判所に申述書を提出
法定期限 なし 相続開始を知った日から3ヶ月以内
方式 任意の方法 家庭裁判所への申述が必要
撤回の可否 遺産分割協議書を締結するまでは撤回可能 一度行うと撤回不可
債務の取り扱い 負債は法定相続分に応じて負担 負債も含めて一切の相続権を失う

相続放棄のメリットデメリット

相続放棄は、相続人が被相続人のすべての財産(プラスもマイナスも)を相続しないことを意味します。

相続放棄を選択する際には、そのメリットとデメリットを理解し、状況に応じて適切な判断をすることが重要です。

相続放棄のメリット

負債を引き継がない

相続放棄の最大の利点は、被相続人の借金や負債を引き継がなくて済むことです。

被相続人が多額の負債を抱えていた場合、相続人がその負債を負担することを避けられます。
これにより、相続人自身の経済的なリスクを回避できます。

例えば、被相続人が多額のローンを抱えていた場合、そのローンを相続するリスクを避けるために相続放棄が選ばれることがあります

相続手続きの簡素化

相続人同士の関係が悪化している場合、相続手続きが煩雑になることがあります。
相続放棄を選択することで、他の相続人との関わりを最小限に抑えることができます。

相続手続きには遺産分割協議がつきものであり、これが原因で相続人同士の間でトラブルが発生することも少なくありません
相続放棄をすることで、こうしたトラブルを回避できます。

特定の相続人への財産集中

被相続人が事業を経営していた場合、その事業を特定の相続人に引き継がせたいと考えることがあります。

相続放棄をすることで、財産が分散することなく、特定の相続人に集中的に財産を承継させることができます
事業承継を円滑に進めるために、他の相続人が相続放棄を選択するケースがあります。

相続放棄のデメリット

プラスの財産も放棄する

相続放棄を選択すると、プラスの財産もマイナスの財産も一切相続しないことになります。これは、たとえ多額のプラスの財産があったとしても、その財産を相続できなくなることを意味します

例えば、大きな資産価値を持つ不動産が相続財産に含まれている場合でも、相続放棄をするとその不動産を相続できません。

他の相続人への負担

相続放棄をすると、相続権は他の相続人に移り、その結果、負債も他の相続人が負担することになります。
特に近い親族がその負担を負わされる場合、問題が生じることがあります。

例えば、相続放棄をした結果、兄弟姉妹に多額の負債が移り、その返済を迫られるケースがあります。

撤回ができない

相続放棄は一度承認されると、その後でプラスの財産が見つかっても撤回することはできません。
これにより、予期せぬ財産の発見後に後悔する可能性があります。

相続放棄をした後に、被相続人が隠し財産を持っていたことが判明した場合でも、その財産を相続することはできません。

代襲相続が発生しない

相続放棄をすると、代襲相続も発生しません。
これは、例えば自分の子供に相続させることができないことを意味します。

祖父の財産を放棄した場合、自分の子供にその財産を相続させることができなくなります。

相続放棄は、負債を引き継がないための有効な手段ですが、プラスの財産をも放棄するリスクがあります。
したがって、相続放棄を決定する前に、被相続人の財産内容をよく調べ、他の相続人との関係や状況を考慮することが重要です。

また、一度相続放棄をすると撤回できないため、専門家のアドバイスを受けながら慎重に判断することが求められます。

相続放棄のデメリットやトラブル回避の方法

相続放棄は、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も一切相続しないという方法です。
しかし、相続放棄にはデメリットや注意点があり、適切に対応しないとトラブルに発展することもあります。

ここでは、相続放棄のデメリットやトラブルを回避する方法について詳しく解説します。

相続放棄のデメリット

相続放棄をすると、被相続人の資産も負債もすべて相続しないことになります。
たとえ資産のほうが多くても、すべて放棄することになります。

例えば、被相続人が不動産や預金など多額の資産を持っていた場合でも、その資産を受け取ることはできません。

他の相続人に負担が移る

相続放棄をすると、次順位の相続人に負債が引き継がれます。
他の相続人がその負担を強いられることになります。

例えば、兄弟姉妹が相続放棄をした場合、その負債は次順位の相続人である親や子供に引き継がれます。

相続のやり直しがきかない

相続放棄を一度行うと、基本的にやり直しや撤回はできません
後でプラスの財産が見つかっても相続することはできません。

相続放棄をした後に高額な資産が見つかったとしても、その資産を相続することはできません。

うかつに財産に関わると相続放棄ができない

相続財産に手をつけると、相続放棄が認められなくなる可能性があります。

例えば、故人の預金を使用したり、不動産を処分したりすると、相続放棄ができなくなります

不動産の保存義務が残る場合がある

相続放棄をしても、不動産の保存義務が残る場合があります。

不動産を保護しなければならない場合があるため、注意が必要です。
親名義の家に住んでいる場合、その家を保存する義務があります。

トラブルを回避する方法

相続財産の調査を冷静に行う

相続放棄を検討する前に、被相続人の資産と負債を詳細に調査することが重要です。
プラスの財産があるかもしれないため、冷静に判断します。

弁護士や税理士の助けを借りて、効率的に財産を調査する方法を活用します。

他の相続人に事前に説明する

相続放棄をする場合、他の相続人に事前に説明し、理解を得ることが重要です。
これにより、後でトラブルが発生することを防ぎます。

次順位の相続人に相続放棄の理由を説明し、協力を求めることでトラブルを回避します。

故人の財産に一切手をつけない

相続放棄を検討している間は、故人の財産に一切手をつけないようにします。
これにより、法定単純承認が成立することを防ぎます

故人の預貯金を使用しない、故人の不動産を処分しないなどの注意を払います。

相続放棄には多くのメリットがありますが、同時にデメリットやトラブルのリスクも伴います。
相続放棄を検討する際には、冷静に相続財産を調査し、他の相続人に事前に説明することが重要です。

また、故人の財産に一切手をつけないようにし、法定単純承認が成立しないように注意する必要があります。
これらのポイントを押さえることで、相続放棄に伴うトラブルを回避し、適切な選択を行うことができます。

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相続放棄するべき場合

相続放棄は、被相続人の財産や負債を一切相続しないという方法です。
これには明確なメリットがある一方で、適切に行わないとデメリットやトラブルを引き起こす可能性もあります。

ここでは、相続放棄を選択するべき具体的な場合とその判断基準について詳しく解説します。

明らかに相続財産に負債が多い場合

負債が資産を上回る場合

相続放棄を選択する最も典型的なケースは、被相続人の負債がその資産を大幅に上回る場合です。

以下のような状況では、相続放棄を検討する価値があります。

被相続人が多額の借金を残して亡くなった場合、その負債を相続しないために相続放棄が有効です。
例えば、被相続人の資産が100万円しかないのに対し、負債が500万円ある場合、相続放棄をすることで大きな経済的負担を回避できます。

また、相続財産に含まれる負債が非常に大きく、相続人がそれを返済することが事実上不可能な場合も相続放棄を検討するべきです。

具体的な事例

  • 被相続人が高額の住宅ローンを残して亡くなり、その不動産の価値がローンの残額を下回る場合。
  • 被相続人が多額の消費者金融からの借金を抱えており、相続財産がそれを全くカバーできない場合。

相続問題やトラブルを避けたい場合

家族間のトラブルを避けるため

相続は時に家族間のトラブルを引き起こすことがあります。
特に遺産分割を巡る争いは深刻な対立を生む可能性があります。

以下のような状況では、相続放棄を選択することでトラブルを回避できます。

相続人同士の関係が悪く、遺産分割協議がスムーズに進まないことが予想される場合
相続放棄をすることで、こうした問題から解放されます。

また、遺産分割協議が複雑で時間がかかる場合、相続放棄をすることで、煩わしい手続きから解放されます。

具体的な事例

  • 兄弟姉妹の間で遺産分割の意見が対立している場合。
  • 相続人が多数おり、遺産分割協議が複雑化している場合。

被相続人の財産を特定の相続人に集中させたい場合

相続放棄は、被相続人の財産を特定の相続人に集中させるためにも利用できます。

以下のようなケースでは、相続放棄が有効です。

  • 事業承継:被相続人が経営していた事業を特定の相続人に継がせたい場合。他の相続人が相続放棄をすることで、事業が分散せずスムーズに承継されます。
  • 財産を特定の相続人に集中させたい場合:被相続人の財産を特定の相続人に集中させることで、相続後の財産管理が容易になります。

具体的な事例

  • 被相続人が経営していた会社を長男に引き継がせたい場合、他の兄弟姉妹が相続放棄をする。
  • 不動産を管理しやすくするために、相続人が一人に集中するよう調整する。

相続放棄を慎重に検討すべき場合

相続放棄を慎重に検討すべきケースもあります。
特に以下のような状況では、詳細な調査と専門家の助言が必要です。

また、相続財産の詳細が明らかでない場合、資産と負債のどちらが多いか不確定な状態で相続放棄をすると、後でプラスの財産が発見された場合に損をする可能性があります

具体的な事例

  • 被相続人が海外に資産を持っている可能性がある場合
  • 複数の口座や不動産が存在し、それらの価値が正確に把握できていない場合

相続放棄は、特定の状況下で非常に有効な手段です。

特に負債が多い場合や、家族間のトラブルを避けたい場合、特定の相続人に財産を集中させたい場合に有効です。
ただし、相続財産の詳細が不明確な場合は慎重に検討し、専門家の助言を仰ぐことが重要です。

適切な判断を下すために、相続放棄のメリットとデメリットを十分に理解し、計画的に対応することが求められます。

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相続放棄しない方がいい場合

相続放棄は、被相続人の財産と負債を一切引き継がないための手続きですが、すべての状況で相続放棄が最適な選択肢とは限りません。

以下では、相続放棄をしない方がいい場合について詳しく解説します。

資産と負債のバランスが不透明な場合

被相続人の財産や負債の詳細が明らかでない場合、相続放棄をする前に慎重な調査が必要です。
相続放棄をした後でプラスの財産が見つかった場合、相続できないため損をする可能性があります。

不動産や預金などの資産が存在するものの、その正確な評価額や負債の総額が不明な場合、相続放棄よりも限定承認を検討する方が良い場合があります。

プラスの財産が明らかに多い場合

相続財産がプラスの財産で占められている場合、相続放棄をすることで大きな損失を被る可能性があります。

例えば、多額の預金や価値の高い不動産が含まれている場合です。

被相続人が複数の収益不動産を所有しており、それらの資産価値が負債を大幅に上回る場合、相続放棄は不適切です。

相続トラブルを避けたい場合

相続放棄をせず、家族全員で協議して適切に財産を分配することで、相続トラブルを回避することができます。

特に、家族間での関係が良好で、協力して遺産分割協議を進められる場合は、相続放棄を選ばない方が良いです。
親が遺した財産を兄弟姉妹全員で公平に分け合うことで、家族間の絆を維持し、トラブルを未然に防ぐことができます。

特定の資産を保有したい場合

被相続人が所有する特定の資産(例えば、家族経営の事業や歴史的価値のある不動産など)を維持したい場合、相続放棄は不適切です。
家業を継ぐために、被相続人の事業を相続する必要がある場合や、家族が住み続ける予定の自宅を相続したい場合です。

相続放棄は、被相続人の負債を避けるための有効な手段ですが、すべてのケースで最適な選択肢とは限りません。
資産と負債のバランスが不透明な場合や、プラスの財産が明らかに多い場合、相続放棄を選択することで損をする可能性があります。

また、家族間のトラブルを避けるためや特定の資産を保有したい場合も、相続放棄を避けるべきです。
適切な判断を下すためには、専門家のアドバイスを仰ぎ、財産の詳細を正確に把握することが重要です。

相続放棄の手続きの流れ

相続放棄は、被相続人の財産や負債を一切引き継がない手続きです。

以下に、相続放棄の手続きの流れを具体的に解説します。

財産調査を行う

相続放棄を決定する前に、被相続人の全財産を調査します。

プラスの財産(預貯金、不動産、株式など)とマイナスの財産(借金、ローン、未払いの税金など)の全体像を把握します。
弁護士や税理士に相談して、正確な財産調査を行うことも有効です。

必要書類の準備

共通書類は、相続放棄申述書、被相続人の住民票除票または戸籍附票、申述人の戸籍謄本です。

申述人の立場による追加書類

  • 被相続人の配偶者:被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
  • 被相続人の子供または孫:被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本、被代襲者の死亡の記載のある戸籍謄本(孫の場合)
  • 被相続人の親または祖父母:被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
  • 被相続人の兄弟姉妹または甥・姪:被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本、被代襲者の死亡の記載のある戸籍謄本(甥・姪の場合)

家庭裁判所への申述

  • 提出先:被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述します。
  • 提出方法:家庭裁判所に出向いて提出するか、郵送で送付します。
  • 申述期限:相続開始を知った日から3ヶ月以内に行う必要があります。

照会書の受領と回答

家庭裁判所から照会書が送付されてきます。
これは、申述内容の確認や追加情報の提供を求めるものです。

照会書に記載されている質問に回答し、署名押印の上で家庭裁判所に返送します。

相続放棄申述受理通知書の受領

家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届きます。
これをもって相続放棄の手続きが完了します。

追加手続きや注意点

相続財産の一部を処分した場合や、相続放棄の申述期限を過ぎた場合には、相続放棄が認められない可能性があります。
相続放棄をしても、次の相続人が財産管理を始めるまで、相続財産の保存管理義務が残る場合があります。

相続放棄は、被相続人の財産と負債を一切引き継がないための手続きであり、慎重な対応が求められます。
財産調査を徹底し、必要書類を準備し、家庭裁判所への申述を正確に行うことで、相続放棄の手続きを円滑に進めることができます。

特に、申述期限内に手続きを完了させることが重要です。

相続放棄をするときの注意点

相続放棄は、被相続人の財産や負債を一切引き継がない手続きです。
しかし、この手続きにはいくつかの重要な注意点があります。

以下では、相続放棄を行う際に留意すべきポイントを詳しく解説します。

手続きの期限に注意する

3ヶ月以内の申述

相続放棄は、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。
この期間を過ぎると、相続放棄が認められなくなるため、迅速に手続きを進めることが重要です。

正当な理由がある場合には、熟慮期間の延長を家庭裁判所に申し立てることができます。

例えば、相続財産の調査に時間がかかる場合などです。

財産の処分に注意する

相続放棄を検討している段階で、被相続人の財産を処分(売却、消費など)すると、それが単純承認とみなされ、相続放棄ができなくなります。
したがって、相続放棄の手続きを完了するまでは、財産に手をつけないように注意する必要があります。

財産の一部を隠したり、消費したりすることも単純承認とみなされるため、厳格に管理することが求められます。

必要書類の準備

相続放棄申述書、被相続人の住民票除票または戸籍附票、申述人の戸籍謄本などが必要です。
これらの書類を漏れなく揃えることが重要です。

申述人の立場によって必要な追加書類があります。

例えば、被相続人の配偶者、子供、孫など、それぞれに対応した書類を準備する必要があります。
書類の不備があると、手続きが遅れる可能性があるため、注意深く確認しましょう。

相続放棄後の影響を理解する

相続放棄をすると、その相続人は最初から相続人ではなかったものとみなされます。
そのため、相続放棄をした人の子供が代襲相続することはありません。

相続放棄をした場合、その人の相続権は次順位の相続人に移ります。
これにより、他の相続人の相続割合が変わることがあります。

専門家への相談

相続放棄の手続きは複雑であり、専門的な知識が必要です。
弁護士や司法書士に相談することで、手続きを確実に進めることができます。

特に、財産の調査や書類の準備に不安がある場合は、専門家の助けを借りることをおすすめします。
また、専門家のサポートを受けることで、手続きのミスやトラブルを未然に防ぐことができます。

相続放棄は、被相続人の財産や負債を一切引き継がないための重要な手続きですが、いくつかの注意点を守る必要があります。
手続きの期限を守り、財産の処分に注意し、必要書類を揃えた上で、専門家の助けを借りることで、相続放棄を円滑に進めることができます。

相続放棄が認められない場合

相続放棄は、相続人が被相続人の財産や負債を引き継がないための手続きですが、一定の条件を満たさない場合には相続放棄が認められません。

以下では、相続放棄が認められない具体的なケースとその理由について解説します。

手続き期限を過ぎた場合

相続放棄は、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。
この期間を「熟慮期間」といい、これを過ぎると相続放棄は認められません。

借金の存在を後から知った場合など、正当な理由があれば、熟慮期間の起算点が変更されることもあります。
裁判所にその正当性を認めてもらう必要があります。

財産を処分した場合

相続放棄の手続きを完了する前に被相続人の財産を処分(売却、消費など)すると、それが単純承認とみなされ、相続放棄はできなくなります。
被相続人の預金を引き出したり、不動産を売却したりする行為は、財産を処分したとみなされます。

財産を隠匿した場合

相続放棄をしようとする前に遺産を隠すことも、単純承認とみなされます。
隠蔽行為が発覚した場合、相続放棄は無効となります。

現金や宝石などの価値ある物品を隠した場合、相続放棄が認められなくなります。

法的手続きを行っていない場合

相続放棄には、家庭裁判所に提出する相続放棄申述書や被相続人の住民票除票、申述人の戸籍謄本などの必要書類があります。
これらを期限内に正確に提出しないと相続放棄は認められません。

申述人の立場によっては追加書類も必要になります。
例えば、被相続人の配偶者、子供、孫など、それぞれの立場に応じた書類を揃える必要があります。

遺産分割協議を終えた場合

遺産分割協議書に署名・捺印している場合、基本的には相続放棄は認められません。
すでに遺産分割が確定しているとみなされるためです。

兄弟姉妹と遺産分割協議を行い、その結果に基づく書類にサインした後では、相続放棄は不可能になります。

特定の財産の管理義務がある場合

相続放棄をした場合でも、次の相続人が財産管理を始めるまでの間は、相続財産の保存管理義務が発生します。
これを怠ると法的トラブルになる可能性があります。

相続放棄が認められない場合の主な原因として、手続き期限の過ぎた申述、財産の処分、遺産の隠匿、必要書類の不備、遺産分割協議の完了、保存管理義務の不履行が挙げられます。
相続放棄を検討する際には、これらのポイントに注意し、正確な手続きを行うことが重要です。

特に、手続きの期限と財産の取り扱いには細心の注意を払いましょう。

他の相続人が相続放棄をしているか確認する方法

相続手続きにおいて、他の相続人が相続放棄をしているかどうかを確認することは非常に重要です。
特に遺産分割協議や相続税の申告、相続財産の管理において影響を及ぼすため、確認する方法を理解しておきましょう。

家庭裁判所への照会

家庭裁判所に「相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会書」を提出することで、他の相続人が相続放棄を行っているか確認することができます。
照会書を家庭裁判所に提出する際に、必要な書類を添付します。

具体的な申請方法については、家庭裁判所の案内を確認してください。

照会が可能な人

  • 相続人:被相続人の相続人は、他の相続人が相続放棄をしているかどうかを照会することができます。
  • 利害関係人:被相続人の債権者など、相続に関して正当な利害関係を有する者も照会が可能です。

必要書類の準備

  • 被相続人の住民票除票:本籍地が表示されているもの。
  • 戸籍謄本:照会者と被相続人の発行から3ヶ月以内のもの。
  • 住民票:照会者の本籍地が表示されているもの。
  • 委任状:代理人に委任する場合。
  • 返信用封筒と切手:家庭裁判所からの返信用。
  • 相続関係図:手書きのもので問題ありません。

利害関係人が照会する場合の必要書類

  • 被相続人の住民票除票:本籍地が表示されているもの。
  • 資格証明書:個人の場合は住民票、法人の場合は商業登記簿謄本または資格証明書。
  • 利害関係証明書:金銭消費貸借契約書、訴状、競売申立書、競売開始決定、債務名義などのコピー。

照会の流れ

  • 申請書の提出:必要書類を揃えて、家庭裁判所に照会書を提出します。
  • 家庭裁判所の確認:家庭裁判所が照会内容を確認し、回答が返送されます。

他の相続人が相続放棄をしているかどうかを確認するためには、家庭裁判所に照会書を提出する方法があります。

相続人や利害関係人として正当な理由がある場合にのみ照会が可能であり、必要書類を適切に準備することが求められます。
この手続きを通じて、相続手続きを円滑に進めるための情報を得ることができます。

遺産の相続放棄についてのまとめ

 

ここまで遺産の相続放棄についてお伝えしてきました。
遺産の相続放棄の要点をまとめると以下の通りです。

  • 相続放棄とは相続人が被相続人(亡くなった人)の遺産に関する一切の権利および義務を放棄すること
  • 相続放棄のメリットは、被相続人の借金や負債を引き継がなくて済むこと
  • 相続放棄の注意点は、相続放棄は一度承認されると、その後でプラスの財産が見つかっても撤回することができない、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要がある、相続放棄を検討している段階で、被相続人の財産を処分(売却、消費など)するなど

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

相続手続きが不安な方へ
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