離婚後、自分の戸籍はどうなるのか、どんな手続きが必要なのか、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。姓を旧姓に戻すか継続するかによっても、戸籍の取り扱いや必要な届け出が異なります。また、戸籍謄本の記載内容がどう変わるのか気になる方も少なくありません。
本記事では、離婚後の戸籍謄本について以下の点を中心にご紹介します。
- 戸籍謄本とは
- 離婚後の戸籍謄本
- 戸籍謄本から離婚歴を消す方法
離婚後の戸籍謄本について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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戸籍謄本とは

戸籍謄本とは、戸籍簿の写しであり、個人の出生や婚姻、死亡などの身分事項が記載された公的書類です。相続の場面では、相続人の確認や不動産・預貯金・株式・保険などの名義変更、相続税の申告といった手続きにおいて求められることが多くあります。
現在は多くの自治体で戸籍が電子化されており、”戸籍全部事項証明書”という名称で発行されることが一般的ですが、旧称である”戸籍謄本”と呼ばれることも少なくありません。
また、戸籍謄本には戸籍内全員の情報が記されているのに対し、個人のみの情報が必要な場合には”戸籍抄本(戸籍一部事項証明書)”が用いられます。
さらに、戸籍の変遷に伴い”除籍謄本”や”改製原戸籍謄本”といった関連書類も存在しており、相続手続きではこれら一式を揃える必要が生じるケースもあります。
戸籍謄本と混同されがちな住民票は現住所に関する情報を示すものであり、戸籍とは目的や記載内容が異なります。戸籍謄本の発行には本籍地の役所への申請が必要です。
離婚後の戸籍謄本はどうなる?

離婚後の戸籍は、姓の選択や戸籍の種類によって、必要な手続きや記載内容が異なります。以下で詳しく解説します。
婚姻時に改姓しなかった場合
結婚時に名字を変更しなかった場合、離婚後もそのまま戸籍の筆頭者であり続けるため、新たに戸籍を作成する必要はありません。このようなケースでは、自身の戸籍は引き続き有効で、離婚したという事実が戸籍に追記される形になります。
記載内容としては、離婚日や配偶者の氏名、離婚届を提出した役所が本籍地以外であればその送付日と受理者の情報が含まれるとされています。
また、元配偶者については”除籍”の記載とともに、その人物の戸籍の移動先が明記されることになります。
つまり、戸籍の筆頭者である当人の身分事項は変わらず、戸籍内の構成員が変化したことのみが記録されることになります。
離婚後に名字を変える必要がない場合や、改姓をしていなかった場合でも、戸籍上には離婚の事実が明記されるため、必要に応じて内容を確認しておくとよいでしょう。相続や手続きの場面で戸籍の内容が求められることもあるため、状況に応じて準備をしておくことが大切です。
婚姻時に改姓した場合
復籍する
婚姻に際して配偶者の姓に改姓した人が離婚をした場合、もっとも一般的な対応の一つが”復籍”です。
復籍とは、結婚前に属していた親の戸籍に戻ることを指し、離婚後の戸籍をそのまま継続するのではなく、婚姻前と同じ戸籍に戻るという形をとります。この手続きを選択すると、名字は自動的に旧姓に戻るとされています。
離婚届には”婚姻前の氏にもどる者の本籍”という欄が設けられており、ここに復籍する旨を記入すれば、原則として結婚前の戸籍に戻ることが可能です。
ただし、結婚前の戸籍に入っていた人がすでに死亡している場合など、元の戸籍が消除されていると、復籍先が存在しないため、新たに戸籍を編製することになります。
注意したい点として、離婚後も婚姻中の姓を名乗り続けたい場合、復籍は選択できません。
このような場合には、離婚後に婚姻時の姓を引き続き使用する届出を行い、新たに戸籍を作成する必要があります。復籍するか否かは、姓の継続希望や家族構成などによって異なるため、事前に方針を整理しておくと手続きがスムーズになるでしょう。
新しい戸籍を作る
離婚後に結婚時の姓を引き続き使いたい場合や、結婚前の戸籍が消除されている場合などには、新たに自分だけの戸籍を作る選択肢があります。
この場合、新たな戸籍が編製され、本籍地は自由に設定できます。例えば現在の住所を本籍地とすることで、将来の手続きが簡便になると考えられています。
また、新しい戸籍を作成する際には、姓をどうするかも重要なポイントです。原則として、離婚後は旧姓に戻る”復氏”の扱いになりますが、婚姻時の姓をそのまま使用したい場合には”離婚の際に称していた氏を称する届出”を離婚届と同時に提出することで対応可能です。
この届出により、婚姻中の姓を用いたまま、新しい戸籍を編成できます。ただし、この手続きには離婚後3ヶ月以内という期限があるため注意が必要です。
もしもこの期限を過ぎた場合には、家庭裁判所に”氏の変更許可申立”を行うことで婚姻時の姓を継続する方法もあります。
ただし、その際には合理的な理由を示す必要があり、必ずしも認められるとは限りません。
姓の選択によって、各種名義変更の有無や周囲への影響も異なるため、自身の事情に合わせて慎重に判断することが求められるでしょう。
結婚時の姓のまま新しい戸籍を作る
離婚後も婚姻時の姓を引き続き使いたい場合には、”離婚の際に称していた氏を称する届出”を行い、新たに戸籍を作成する方法があります。この手続きを行えば、旧姓に戻ることなく、結婚中の姓で生活を継続できるとされています。手続きは離婚届と同時、あるいは離婚後3ヶ月以内に居住地の役所へ提出することが条件となります。
この届出を提出することで、旧姓に戻らずに済むため、氏名変更による各種手続きの手間が軽減されるでしょう。たとえば通帳や保険証、運転免許証などの名義変更を回避できるため、実務面での負担を減らす手段として選ばれることもあります。
なお、婚姻中の姓を名乗るために元配偶者の承諾は不要である点も、多くの人にとって利用しやすい仕組みと言えるでしょう。
役所での手続き

役所では、どのような手続きが必要なのでしょうか?
状況別に解説します。
婚姻中に筆頭者で、離婚後に姓や住所が変わらない人
離婚後も姓や住所が変わらず、かつ婚姻中に戸籍の筆頭者であった場合、役所での手続きは簡略化されます。
このケースでは、基本的に離婚届を提出するだけで戸籍の変更は完了するとされています。新たな戸籍の作成や復籍の必要がないため、戸籍上の変更も少なく済みます。
ただし、扶養の有無によっては税制上の扱いに変化が生じる場合があります。例えば、配偶者や子どもを扶養していた給与所得者であれば、控除額に影響が出る可能性があるため、速やかに勤務先へ報告しておくことが推奨されています。
手続きを怠ると、年末調整や確定申告に支障をきたすおそれもあるため、注意が必要です。
離婚後に旧姓に戻るが住所変更なしの人
離婚後に旧姓に戻り、住所は変えずに生活を続ける場合、戸籍の移動手続きが必要となります。
基本的には結婚前に属していた戸籍へ復籍することになりますが、その戸籍がすでに消除されている場合は、新たに戸籍を作成する必要があります。住所が変わらない場合、住民票の記載内容については役所が自動で変更を行うとされています。
ただし、姓の変更に伴い、マイナンバーカードの裏書きや年金・健康保険証などの名義変更手続きは別途必要です。
これらは自動的に更新されるものではないため、忘れずに対応することが求められます。
特に保険証や公的証明書に旧姓が反映されていないと、各種手続きで支障が出る可能性もあるため、早めに確認しておくと安心でしょう。
離婚後に旧姓に戻り、住所変更する人
離婚後に旧姓へ戻り、住所も変更する場合は、複数の手続きを役所で行う必要があります。
まず、戸籍については復籍や新戸籍の編製など、戸籍異動の手続きが必要になります。これは戸籍筆頭者でなかった場合に必要とされる一般的な対応です。
さらに、住所が変わることで住民票の異動も発生します。同一市区町村内であればその役所で手続きが完了しますが、別の市区町村に引っ越す場合は、まず旧住所の役所で転出届を出し、引っ越し後2週間以内に新住所の役所へ転入届を提出しなければなりません。
また、氏名や住所の変更に伴い、マイナンバーカードの裏書き、年金の情報、健康保険証の名義や住所など、関連する各種手続きも必要となります。手続きの種類が多岐にわたるため、事前に必要書類や届出先を整理しておくことが円滑な対応につながるでしょう。
婚姻中に筆頭者ではなく、離婚後に婚姻時の姓を名乗る人
婚姻中に戸籍の筆頭者ではなかった人が、離婚後も婚姻時の姓を引き続き使用したい場合には、”離婚の際に称していた氏を称する届出”を提出することで対応可能です。
この届出は離婚届と同時、または離婚後3ヶ月以内に行う必要があります。提出することで、婚姻時の姓を保持したまま、新たな戸籍を編製することになります。
また、住所が変更となる場合には、住民票の異動も必要です。同一市町村内の移動であればその役所で手続きが完了しますが、別の市区町村へ移転する場合は、転出届と転入届の両方が求められます。
加えて、氏名や住所の変更があるため、マイナンバーカードの裏書きや年金・健康保険証の情報変更も必要になります。これらの手続きを漏れなく進めることで、生活上の混乱を防ぎやすくなるでしょう。
戸籍謄本から離婚歴を消す方法

戸籍謄本から離婚歴を消すことはできないのか気になっている方も多いのではないでしょうか?
どのような選択肢があるのか、以下で解説します。
転籍する
戸籍謄本に記載された離婚歴そのものを完全に消すことはできませんが、記載のない戸籍を新たに作る方法として”転籍”という手続きがあります。
転籍とは、本籍地を別の場所へ移す手続きのことを指し、戸籍の筆頭者が申請することで実行されます。この手続きにより、新たな戸籍には”○○から転籍”という事実のみが記され、離婚の記載は含まれないとされています。
例えば、離婚後に実家の戸籍へ復籍した後、任意の場所に新たに本籍を移すことで、新しい戸籍には離婚の履歴が表記されない形式となります。
ただし、過去の戸籍を取得されれば離婚歴は判明するため、完全に情報が消えるわけではありません。
また、転籍によって戸籍に記載されている全員の本籍が移動するため、家族がいる場合にはあらかじめ理解を得ておくことが望ましいでしょう。
転籍は書類上の手続きであり、実際にその場所に住む必要はないため、希望する本籍地は全国どこでも指定可能です。
分籍する
分籍とは、現在所属している戸籍から自分だけが抜け出して、新たに単独の戸籍を作る手続きです。離婚後に実家の戸籍へ戻った人が、自分だけの戸籍を編製する際などに利用される方法で、特に離婚歴を新しい戸籍に記載されたくないという場合に選ばれることがあります。
この手続きを行うことで、分籍後に発行される戸籍謄本には、離婚の事実や過去の婚姻歴は記載されなくなります。
ただし、過去の戸籍を取り寄せられれば離婚歴が判明するため、完全に履歴を消すものではありません。また、分籍は戸籍筆頭者とその配偶者以外の人が対象であり、筆頭者だった場合にはこの方法を選択することはできません。
さらに、分籍先の本籍地は自由に設定可能ですが、分籍後は元の戸籍に戻ることができないという制限もあるため、慎重な判断が求められます。裁判所の許可は不要なものの、手続きの性質上、事前に内容をよく確認しておくことが大切です。
離婚後の戸籍変更は慎重な判断を

離婚後の戸籍変更は、見た目以上に複雑な手続きを伴うため、慎重な判断が求められます。例えば、婚姻時の姓を継続して名乗っている場合でも、その姓が旧姓と異なるだけでなく、新たに作成された戸籍上の姓となるため、同じ姓であっても戸籍の扱いは別になります。この点を見落としてしまうと、必要な手続きを怠ってしまうおそれもあります。
また、転籍や分籍といった手段によって、戸籍の内容に間接的な変化を加えることは可能ですが、一度行った手続きは基本的に取り消すことができないため、事前に内容を十分に理解しておくことが重要です。戸籍変更は個人の記録や将来の証明に関わる部分でもあるため、手続き後の影響まで見据えて判断することが望ましいでしょう。
不明点がある場合には、専門家に相談することで、状況に合った手続きの選択がしやすくなるとされています。
離婚後の戸籍謄本についてのよくある質問

戸籍謄本だけではなく、住民票からも離婚歴を消すことはできますか?
住民票には通常、離婚そのものの記載はありませんが、姓が変更された場合に”旧氏”などの情報が追記されるため、間接的に離婚歴が推測されることがあります。こうした記載を避ける方法として、”住民票の改製”や”ほかの市区町村への転居”が挙げられます。
住民票の改製は、転居や修正の繰り返しによって記載欄がいっぱいになった際に新たな様式に切り替わる制度です。
これにより、過去の氏名履歴が住民票に記載されなくなる可能性があります。ただし、意図的に改製を狙って転居を繰り返すことは現実的ではなく、不自然に見られるおそれもあります。
また、ほかの市区町村へ転居した場合も、新たな住民票には旧姓や元配偶者の情報は記載されませんが、旧住所が残ることがあるため、完全に離婚歴を隠すことは難しいとされています。
離婚後、子どもの戸籍はどうなりますか?
離婚後、子どもの戸籍は原則として変更されません。
具体的には、婚姻時の戸籍の筆頭者が父親であれば、離婚後も子どもは父親の戸籍にそのまま残ることになります。たとえ母親が親権を持ち、子どもと同居していても、戸籍が自動的に移動することはありません。
母親の戸籍に子どもを移したい場合は、家庭裁判所に”子の氏の変更許可申立”を行い、その後に役所で入籍届を提出する必要があります。
これにより、子どもは母親と同じ戸籍に入り、姓も一致することになります。
なお、母親が婚姻中の姓を継続して使用している場合、子どもの姓が同じであることから一見不都合はないように思われますが、戸籍が異なる状態は続くため、必要に応じて手続きを検討することが大切です。
新しい戸籍謄本は何日くらいで手に入りますか?
離婚後に新しい戸籍謄本を取得できるまでには、一定の時間がかかります。離婚届を提出しても、その内容が戸籍に反映されるには通常数日から1週間ほどかかるとされています。これは自治体によって処理速度が異なるためであり、場合によってはそれ以上かかることもあるようです。
そのため、離婚後すぐに戸籍謄本が必要な場合でも、提出直後では発行ができないことがあります。役所で受理されたとしても、システムへの反映が完了していなければ”新しい戸籍”が存在していない扱いとなり、窓口で断られる可能性もあります。
急ぎで新しい戸籍謄本が必要な際には、事前に役所へ問い合わせて反映状況を確認してから訪問することがすすめられています。
確実に受け取るためにも、自治体ごとの対応日数を考慮しながら手続きを進めることが大切です。
まとめ

ここまで離婚後の戸籍謄本についてお伝えしてきました。要点をまとめると以下の通りです。
- 戸籍謄本とは、個人の身分事項が記載された戸籍簿の写しであり、主に相続手続きなどで使用される公的書類である
- 離婚後の戸籍謄本は、改姓の有無や姓の選択によって記載内容や戸籍の編製方法が異なり、状況に応じた手続きが必要となる
- 離婚歴を戸籍謄本に記載させたくない場合は、転籍や分籍によって新たな戸籍を編製する方法があるが、完全に履歴を消すことはできない
離婚後の戸籍の扱いは、人それぞれの状況や希望によって異なり、選ぶ手続きもさまざまです。
戸籍謄本の内容や届け出の方法を正しく理解しておくことで、後悔のない選択につながります。ご自身のこれからの生活を見据えながら、どの方法が適切かをじっくり考えてみてください。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。