相続が発生した場合、気になるのが相続税の税率ですよね。実は、相続税は一律ではなく、相続する財産の額に応じて税率が変動する「累進課税」という仕組みが採用されています。
本記事では、相続税の税率について以下の点を中心にご紹介します!
- 相続税とは
- 相続税の計算方法
- 贈与税との違い
相続税の税率について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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相続税とは

相続税とは、亡くなった人(被相続人)の財産を、相続人や遺贈を受けた人が取得した場合に課される国税です。対象となる財産は、不動産、預貯金、有価証券、自動車、貴金属など、金銭的な価値のあるもの全般に及びます。
相続税の申告が必要かどうかは、受け継いだ財産の内容と金額によって異なります。適切な評価と申告が求められるため、わかりにくい場合は専門家への相談もおすすめです。
相続税の税率は何パーセント?

それでは、相続税の税率は、具体的に何パーセントになるのでしょうか。以下で解説します。
基礎控除額とは
相続税の計算において重要となる「基礎控除額」とは、課税対象となる相続財産から最初に差し引かれる非課税枠のことです。つまり、一定額までは相続税がかからない仕組みです。この控除額は一律ではなく、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という計算式により算出されます。
例えば、相続人が3人いれば基礎控除額は4,800万円となり、それ以下の財産であれば相続税の申告も納税も不要です。
ただし、この判断を誤ると、あとから税務署に指摘を受け、追徴課税や延滞税が発生することがあります。また、遺言により相続人以外へ遺産を譲るケースでも、控除の計算はあくまで法定相続人の人数をもとに行います。
相続税が発生するか否かの判断は、この基礎控除額の正確な計算が第一歩となります。
税率の仕組み
相続税の税率は、相続財産の金額に応じて10%から最大55%までの範囲で段階的に設定されています。ただし、単純に受け継いだ財産の総額に税率をかけるわけではありません。
まず、遺産総額から基礎控除額を差し引き、課税対象額を算出します。その後、法律上の相続割合(法定相続分)に沿って、相続人ごとの仮の取得額を割り出し、その金額に応じた税率が適用されます。
例えば、遺産の課税額が1億円で、相続人が配偶者と子2人の場合、法定相続分に従えば配偶者が1/2、子がそれぞれ1/4ずつ取得したと仮定して税率を決めます。配偶者の取得額が5,000万円、子が各2,500万円となり、それぞれに対応する税率で税額を算出します。
これらを合計することで、全体の相続税額が決まるという仕組みです。
このように、相続税は「個別の取得額」によって税率が異なるため、法定相続人が多いほど一人当たりの取得額が小さくなり、結果として課税負担が軽減される傾向にあります。税率構造は公平性を保つために工夫されており、相続額が高額になるほど高い税率が適用される仕組みです。
相続税の計算方法

ここでは相続税の具体的な計算方法と流れを解説します。
相続税の税率表
相続税の計算には、「税率表(速算表)」と呼ばれる一覧が用いられます。これは、相続した財産のうち課税対象となる金額に対して、どの税率が適用されるのかを判断するための基準です。相続税は「超過累進課税方式」に基づいており、取得額が大きくなるほど税率も段階的に上がる仕組みになっています。
課税対象額が増えると、それに応じて税率が高くなるだけでなく、控除額も変動します。この「税率」と「控除額」はセットで示されています。
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
| 1,000万円以下 | 10% | 0円 |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
①相続する財産の評価額から遺産総額を調べる
相続税を算出するためには、まず被相続人が保有していた財産の全体像を正確に把握する必要があります。これには、現金や預貯金、不動産、有価証券、自動車、骨董品などの資産に加え、保険金や退職金といった「みなし相続財産」も含まれます。
みなし財産は民法上の相続財産ではないものの、課税上は相続と同様に扱われるため、注意が必要です。
また、相続時精算課税制度を利用して生前に贈与された財産や、相続開始前3〜7年以内の贈与財産も課税対象に加算されます。
一方で、借入金などの債務や葬儀にかかった費用などは控除対象となり、これらを差し引いたうえで各相続人の課税価格を算出します。
こうして求められた各人の課税価格を合計した金額が、「遺産総額」となります。
②課税遺産の総額を算出する
遺産総額を把握したら、次に行うのが「課税遺産総額」の算出です。これは、遺産の合計額から基礎控除額を差し引くことで求められます。
基礎控除額は一律ではなく、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という式で計算されます。
例えば、法定相続人が3人いる場合、基礎控除額は4,800万円となります。仮に遺産総額が1億2,000万円だった場合、課税遺産総額は1億2,000万円−4,800万円=7,200万円です。
この金額が、実際に相続税の課税対象となる部分になります。
法定相続人が多ければ控除額も大きくなるため、同じ遺産総額でも課税額が異なる場合があります。この基礎控除の仕組みが、相続税における最初の節税ポイントともいえます。
③課税遺産総額を相続人分で割り振る
課税遺産総額がわかったら、次はその金額を法定相続分に応じて各相続人に仮分配します。この時点では、実際の分け方ではなく、法律上定められた割合での「仮の取得額」に基づいて計算を行います。
例えば、相続人が配偶者と子ども2人の場合、法定相続分は配偶者が1/2、子がそれぞれ1/4です。課税遺産総額が7,200万円であれば、配偶者の取得額は3,600万円、子は各1,800万円となります。
この仮の取得額をもとに、次のステップで相続税率を適用して税額を求めます。実際の遺産分割が法定相続分と異なる場合でも、この段階では影響しません。
あくまで税額を算出するための「計算上の前提」として扱われます。
④相続税の総額を算出する
法定相続分に基づく取得金額が算出できたら、それぞれの金額に対応する税率を当てはめて相続税額を計算します。相続税は累進課税制度を採用しており、取得金額が高くなるほど税率も高くなる仕組みです。
例えば、配偶者が3,600万円を取得した場合、税率は20%で控除額は200万円となり、相続税額は520万円です。子どもが1,800万円ずつ取得している場合は、それぞれ15%の税率と50万円の控除が適用され、相続税額は各220万円になります。
これらを合計すると、相続税の総額は520万円+220万円×2人=960万円となります。この金額が、国に納めるべき全体の相続税額となります。
⑤相続した割合に応じた実際の相続税額を計算する
最後に、算出された相続税の総額を実際の相続割合に応じて各人に配分します。実際に誰がどれだけ財産を取得したかに基づいて按分されるため、税負担のバランスが現実に即したものになります。
また、取得者の属性によって税額に調整が加えられる場合があります。たとえば、配偶者には「配偶者の税額軽減」という大きな控除制度が適用されるため、多くの場合で納税額が0円となります。
一方、配偶者や直系尊属以外が取得した場合は、相続税額に20%の加算が行われます。
さらに、過去に贈与を受けていた場合や、未成年者・障害者が相続する場合、相次相続が発生した場合などには、所定の控除や加算が適用され、最終的な納付額が決まります。
こうした調整を経て、各相続人が実際に支払う相続税額が確定します。
相続税と贈与税の違い

相続税と贈与税は、どちらも税金の対象となる点は共通していますが、その仕組みや税率、控除制度、そして申告・納税のタイミングには以下のような違いがあります。
税率の違い
相続税・贈与税はいずれも、受け取る財産が高額になるほど税率も上がる「累進課税制度」を採用していますが、設定されている税率に差があります。
相続税の場合、課税対象となるのは基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えた金額に対してのみです。つまり、一定の財産までは非課税で相続できます。
一方、贈与税の基礎控除額は年間110万円と少額であり、それを超える贈与には10〜55%の高い税率が課されます。特に3,000万円超の贈与には55%という最高税率が適用されるため、大きな贈与を一度に行うのは高額な課税リスクを伴います。
控除・特例制度の違い
控除や特例の内容にも相違があります。相続税では、配偶者が取得した財産に対しては最大1億6,000万円または法定相続分までが非課税となる「配偶者の税額軽減」や、18歳未満の相続人には「未成年者控除」、さらに自宅や事業用の不動産に対する「小規模宅地等の特例」など、多数の軽減策があります。
一方で贈与税にも、年間110万円までの基礎控除のほか、特定の目的に応じた特例制度が存在します。例えば、「配偶者控除」では居住用不動産の取得に対し最高2,000万円まで非課税、「教育資金」や「結婚・子育て資金」の一括贈与にもそれぞれ非課税枠(最大1,500万円・1,000万円)があります。
これらは要件を満たすことで利用可能であり、長期的な贈与計画を立てることで節税に活用できます。
納税時期の違い
納税期限にも違いがあります。相続税は、相続が発生した日(被相続人の死亡日)の翌日から10ヶ月以内に申告・納税を済ませる必要があります。期限を過ぎると延滞税や加算税が発生する可能性があるため、スケジュール管理が重要です。
一方、贈与税は「贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日まで」に申告・納税するのが原則です。この期間内に前年中に受けた贈与額の合計が110万円を超えていれば、申告義務が発生します。
少額であっても繰り返される贈与は累計額が大きくなる可能性があるため、定期的な管理が求められます。
相続税の税率についてよくある質問

ここでは、相続税の税率についてよくある質問を紹介していきます。
相続税は必ず支払わないといけないのですか?
相続税は、すべての相続において発生するわけではありません。実際には、遺産の総額が一定の金額以下であれば、相続税は課されず申告も不要です。具体的には、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で算出される基礎控除額を遺産の評価額が下回る場合、相続税は発生しません。
例えば、相続人が配偶者と子ども2人の合計3名なら、基礎控除額は4,800万円になります。仮に遺産総額が4,000万円であれば、相続税の納付も申告も不要です。
ただし、注意が必要なのは、小規模宅地等の特例などの優遇措置を使うことで基礎控除以下に収めたケースです。このような場合には、相続税自体は発生しなくても、税務署への申告が必要になります。
実際には、相続税の申告が必要になるケースは限られており、国税庁の統計でも相続人全体の約10人に1人程度にとどまっています。しかし、条件に該当するかどうかの判断を誤ると、追徴課税の対象となることもあるため、事前の確認は欠かせません。
相続税と贈与税はどちらの税率が低いですか?
相続税と贈与税はどちらも財産の移転に課される税金ですが、税率を比較すると、一般的に相続税の方が贈与税よりも低く設定されています。
例えば、1,000万円の財産を相続した場合、相続税率は10%程度にとどまります。しかし、同額を生前に贈与した場合、特例税率の適用があっても30%の贈与税が課されるケースもあります。
さらに、3,000万円を超える贈与になると、最高税率の55%が適用されることもあるため、贈与税は非常に高負担になる可能性があります。
とはいえ、「贈与=損」とは限りません。贈与税には年間110万円の基礎控除があり、毎年少額ずつ贈与を行えば非課税で資産を移転できます。これを「暦年贈与」といい、長期的な視点で見れば、相続税対策として効果的に機能する場合があります。
また、贈与には教育資金や結婚・子育て資金などの特例を活用することで、一定額まで非課税になるケースもあります。相続にも配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例などがあり、それぞれにメリット・デメリットが存在します。
したがって、「どちらの税率が得か」を判断する際には、単に数字の比較だけでなく、利用できる控除や特例、家族構成や財産の内容を踏まえたシミュレーションが欠かせません。大きな財産を移転する場合には、事前に税理士と相談するのがおすすめです。
相続税の税率についてのまとめ

ここまで相続税の税率についてお伝えしてきました。
相続税の税率についての要点をまとめると以下の通りです。
- 相続税とは、亡くなった人(被相続人)の財産を、相続人や遺贈を受けた人が取得した場合に課される国税であり、受け継いだ財産の内容と金額によって異なる
- 相続税の税率は、相続財産の金額に応じて10%から最大55%までの範囲で段階的に設定されており、遺産総額から基礎控除額を差し引き、課税対象額を算出し、そこから法律上の相続割合(法定相続分)に沿って、相続人ごとの仮の取得額を割り出し、その金額に応じた税率が適用される
- 相続税と贈与税は、仕組みや税率、控除制度、そして申告・納税のタイミングなどに違いがある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。