不動産相続の不動産取得税について気になる方も多いのではないでしょうか。
本記事では不動産相続の不動産取得税について以下の点を中心に解説していきます。
- 不動産取得税とは?
- 相続では不動産取得税は非課税か?
- 不動産取得税の軽減措置について
不動産相続の不動産取得税について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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不動産相続税とは?

不動産取得税は、土地や家屋などの不動産を取得した際に課税される地方税です。
売買、贈与、交換、建築(新築、増築)など、様々な取得方法で課税されます。
登記の有無や有償か無償か、取得理由に関わらず、不動産を取得した人が納税義務を負います。
納税手続き
不動産を取得した後は、取得日から60日以内(一部自治体は異なる)に、「不動産取得申告書」を不動産所在地の都道府県税事務所に提出する必要があります。
申告書の提出が遅れた場合でも、納税通知書が送付されますが、申告を怠ると、軽減措置を受けられない可能性があります。
不動産相続の流れとは?

最初に、相続が発生してから相続税の申告・納付までの流れを見ていきましょう。
- 遺言書の有無を確認
相続が発生したら、まず遺言書を探します。
遺言書があれば、基本的にその内容に従って相続が行われます。- 遺言書の種類と保管場所
- 自筆証書遺言:作成者自筆、押印。保管場所は自由。
- 公正証書遺言:公証人が作成、保管。検認不要。
- 秘密証書遺言:作成者自筆、公証役場で存在確認。検認必要。
- 遺言書検認:必要に応じて家庭裁判所で実施。開封前に必要。
- 遺言書の種類と保管場所
- 相続人を確定
遺言書の有無を確認しながら、できるだけ早い段階で相続人を確定させます。- 法定相続人:民法で定められた相続人。戸籍謄本で調査。
- 相続放棄:債務超過などで相続を拒否。3ヶ月以内に家庭裁判所に申述。
- 相続財産を調査
相続人を確定させる作業と同時に、被相続人の財産を特定して財産目録を作成します。- 不動産:固定資産税納税通知書で確認
- その他の財産:預貯金、株、貴金属、車など
- 債務:借金、未払いの税金など
- 遺産分割協議
遺言書があれば原則として遺言書の内容に従いますが、遺言書がない場合は相続人全員で遺産分割協議を行います。- 相続人全員で遺産分割について話し合い。
- 合意内容を遺産分割協議書に記載。
- 協議不成立:家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て。
- 相続財産の名義変更
不動産を相続する場合は、相続登記をすることで名義が変更されます。- 不動産:相続登記。登記申請書、登記事項証明書など必要。
- 預貯金:金融機関に必要書類を提出。
- その他の財産:名義変更手続き必要。
- 相続税の申告・納付
- 相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に申告。
- 申告期限や納税額の不足:延滞税や加算税課税。
遺言による相続
遺言書がある場合には、原則としてその遺言書に記載されたとおりに相続登記を申請します。
遺言書に基づく相続登記は、遺産分割協議や法定相続分に基づく場合と比べて、手続きが簡略化されています。
まず、必要な書類が少なくて済みます。
通常、相続登記では被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本が必要ですが、遺言書に基づく場合は、被相続人の死亡を証明する戸籍謄本と、不動産を取得する相続人の戸籍謄本のみで済みます。
さらに、自筆証書遺言の場合を除いて、検認手続きが不要です。
検認とは、遺言書の内容を明確にして偽造変造を防止するために家庭裁判所で行う手続きですが、公正証書遺言や法務局における遺言書保管制度を利用した自筆証書遺言の場合は、この手続きが不要となります。
このように、遺言書に基づく相続登記は、必要書類が少なく、手続きも簡略化されているため、スムーズに登記申請を行うことができます。
遺産分割協議による相続
遺産分割協議は、遺言書が存在せず、法定相続人が複数人いる場合、相続財産は共有状態となります。
この共有状態を解消し、誰がどの財産を取得するかを決める手続きが遺産分割協議です。
遺産分割協議の注意点
- 協議は法定相続人全員で行う必要があります。
- 一人でも欠けた場合、協議は無効となります。
- 後日トラブルにならないよう、協議結果は書面に残しましょう。
遺産分割協議書
遺産分割協議書には、以下の項目を記載します。
- 協議日
- 相続人全員の氏名
- 被相続人の氏名
- 遺産の明細
- 遺産の分割方法
- 相続人全員の署名または記名
相続登記に必要な書類
遺産分割協議によって不動産の取得者が決まった場合、相続登記を申請する必要があります。
- 遺産分割協議書
- 法定相続人全員の印鑑証明書
- 被相続人についての出生から死亡までのすべての戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
相続では不動産取得税は非課税か?

不動産を相続する場合、多くの方が「不動産取得税」がかかるかどうか心配されます。
結論から言うと、原則として相続では不動産取得税は課税されません。
これは、相続が売買や贈与とは異なり、「形式的な所有権の移転」とみなされるためです。つまり、所有者の死亡という事象によって、財産が相続人に移転するだけであり、新たに所有権を取得したとは見なされないのです。
そのため、相続した不動産について、取得に関する申告や免除申請を行う必要もありません。
ただし、以下のケースでは不動産取得税が課税される可能性があります。
- 法定相続人以外への遺贈
- 相続時精算課税制度の利用
これらのケースでは、相続による所有権の移転に加えて、贈与とみなされる要素が含まれるため、不動産取得税が課税される可能性があります。
なお、相続税と不動産取得税は異なる税金です。
相続税は、被相続人が所有していた財産の価額に基づき課税される税金です。
一方、不動産取得税は、土地や建物の取得価額を基に課税される税金です。
つまり、相続で不動産を取得しても、相続税がかかるかどうかは関係なく、不動産取得税が課税されるかどうかは個別に判断されます。
相続で不動産取得税が課税される場合

不動産を相続した場合、一般的には不動産取得税は課税されません。
しかし、亡くなった人から不動産を譲り受けた場合、それが贈与とみなされるケースでは、注意が必要です。
ここでは、相続と贈与の区別、そして贈与とみなされる具体的な事例について解説します。さらに、贈与とみなされた場合の不動産取得税の課税方法についても詳しく説明します。
特定遺贈の場合
特定遺贈とは、遺言で特定の財産を特定の人に遺贈することです。
例えば、「自宅不動産を〇〇に遺贈する」というように、財産を具体的に指定します。
この場合、相続人以外の人が特定遺贈で不動産を取得すると、不動産取得税が課税されます。これは、特定遺贈が贈与と同じ扱いになるためです。
一方、包括遺贈とは、遺言で財産の割合を指定して遺贈することです。
例えば、「〇〇に財産の2分の1を遺贈する」というように、財産の割合を指定します。
この場合、相続人以外の人が包括遺贈で不動産を取得しても、不動産取得税は課税されません。これは、包括遺贈が相続と同じ扱いになるためです。
死因贈与の場合
死因贈与とは、贈与者が死亡した時点で効力が発生する贈与契約です。
具体的には、祖父が孫に「私が死んだらこの家をあげる」と伝え、孫が「ありがとう、もらいます」と承諾すれば、これが死因贈与となります。
死因贈与で不動産を譲り受けた場合も、不動産取得税が課税されます。
生前贈与の場合
生前贈与は相続対策の一つで、これにより不動産が譲渡される場合、受け取った者には不動産取得税が課されます。
生前贈与の目的が相続対策であったとしても、通常の贈与と同じように不動産取得税の課税対象になります。
相続時精算課税制度で生前贈与した場合
相続時精算課税制度を利用して不動産を譲り受けた場合でも、不動産取得税は課税されます。
この制度では、生前に贈与された財産は、最終的に贈与者が死亡した時点で相続税の対象になります。
しかし、不動産取得税の課税は相続税とは関係なく、贈与された時点で課税されます。
つまり、相続時精算課税制度を利用したとしても、不動産取得税と相続税の両方が課税される可能性があることを理解しておきましょう。
相続登記完了後に遺産分割をやり直した場合
不動産の相続登記が完了した後に遺産分割をやり直した場合も、不動産取得税が課税されます。
遺産分割が一度完了した後に再度行うと、それは相続人間での財産の取引と見なされ、通常の贈与と同様に不動産取得税が適用されます。
不動産取得税の計算方法とは?

不動産取得税は、土地や建物の取得時に課される税金です。税額は、以下の式で求められます。
不動産取得税 = 課税標準(固定資産税評価額)× 税率
課税標準は、通常、固定資産税評価額が用いられます。固定資産税評価額とは、毎年1月1日時点の所有者に対して課税される固定資産税の算定基準となる価格です。
実際の売買価格とは異なる場合があります。
税率は、取得する不動産の種類によって異なります。
- 土地、住宅用の建物: 3%(令和6年(2024年)3月31日までの特例)
- 店舗・事務所など住宅以外の建物: 4%
主に、住宅の取得については、軽減措置が適用されて減税される可能性があります。
不動産取得税の軽減措置

不動産取得税には、様々な軽減措置があります。
ここでは、遺贈や生前贈与などで不動産を取得する場合に適用できるものを中心にご紹介します。
- 住宅を取得した場合の軽減措置
自分が住むための中古住宅を取得した場合、床面積や耐震性が一定の要件を満たしていれば、不動産取得税の課税標準が軽減されます。
具体的には、新築住宅の取得日に基づいて、住宅の価格から100万円から1,200万円の指定された金額が控除されます。
また、新築住宅については、面積が一定の要件を満たす場合に住宅の価格から1,200万円(認定長期優良住宅は1,300万円)が控除されます。 - 宅地を取得した場合の軽減措置
令和6年(2024年)3月31日までに取得した宅地については、固定資産税評価額の2分の1を課税標準とします。
住宅用の土地を取得し、その土地に建つ住宅が軽減措置の対象となるなど、特定の条件を満たした場合、不動産取得税は減額されます。
減額される税額は、次のいずれか多い方の金額です。- 45,000円
- 土地1㎡あたりの価格×1/2×住宅の床面積の2倍(上限200㎡)×3%
不動産の相続で相続税以外に納税義務が存在する税金はあるか?

不動産を相続した場合は、相続税以外にも納税義務が発生します。
ここでは、相続税以外に課税される主な税金について詳しく説明します。
相続不動産を自己所有資産とした場合の固定資産税
相続した不動産を所有する場合、固定資産税と都市計画税が課税されます。
税額の計算方法
- 固定資産税 = 課税標準(固定資産税評価額)× 1.4%(※)
- 都市計画税 = 課税標準(固定資産税評価額)× 0.3%(※)
(※)税率は自治体によって異なる場合があります。
納税時期
固定資産税・都市計画税は、毎年1月1日時点の所有者に対して課税されます。
納税は6月と11月の2回に分けて行うことが多いです。
納税義務
故人が未納の固定資産税や都市計画税を残している場合、その納税義務は相続人に引き継がれ、相続人がこれを代わりに支払う必要があります。
納税通知書
- 死亡の翌年からは、登記された相続人のもとへ納税通知書が送られます。
- 相続登記ができていない場合は、相続人の全員が連帯して納税しなければなりません。
相続不動産を登記するときの登録免許税
相続した不動産の名義変更を行う相続登記には、登録免許税という税金がかかります。
この税金は、不動産の固定資産税評価額に税率を乗じて算出します。
相続人への相続の場合と、相続人以外への遺贈の場合では税率が異なり、相続人への相続の場合は0.4%と低く設定されています。
一方、死因贈与や相続人以外への遺贈の場合は、2.0%と高くなります。
相続登記を行う際には、事前に税額を把握しておくことが重要です。
固定資産税評価額と税率を確認し、適切な税額を納付しましょう。
相続不動産で賃貸収入があるときの所得税
賃貸マンションなどの相続は、相続人にとって新たな収入源となる一方、税務面での注意も必要です。
相続した賃貸マンションから得られる賃貸収入は、不動産所得として課税対象となります。具体的には、年間の賃貸収入から管理費や修繕費などの必要経費を差し引いた金額が課税対象となり、所得税と住民税が課されます。
不動産所得を得た場合は、毎年3月15日までに確定申告をする必要があります。
申告には、収入や経費を証明する書類が必要となりますので、事前に準備しておきましょう。
不動産所得は、他の所得と合算して税額が計算されます。
所得税の税率は所得に応じて5%~45%、住民税の税率は一律10%です。
さらに、所得税の税額に対して2.1%の復興特別所得税が課税されます。
相続不動産を処分したときに利益が出た場合の譲渡所得税
相続した不動産を売却して利益が出た場合、所得税と住民税が課税されます。
売却益は、売却金額から故人が最初に取得したときの金額(取得費)を引いて求めます。
相続した後3年以内に売却すると、相続税の一部を取得費に上乗せすることで、税金を節約できる可能性があります。
確定申告は、不動産を売却した翌年に行う必要があります。
税額は、他の所得と分離して計算します。
税率は、所得税・復興特別所得税と住民税を合わせて、所有期間が5年を超えている場合は20.315%、5年以下の場合は39.63%になります。
不動産相続の不動産取得税についてのまとめ

ここまで不動産相続の不動産取得税についてお伝えしてきました。
不動産相続の不動産取得税の要点をまとめると以下の通りです。
- 不動産取得税とは、土地や家屋などの不動産を取得した際に課税される地方税のこと
- 原則として相続では、不動産取得税は課税されない
- 不動産取得税の軽減措置は、生前贈与などで不動産を取得する際に適用される場合がある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。