NISA(少額投資非課税制度)は、個人投資家にとって魅力的な税制優遇措置を提供していますが、その相続には特有のルールと注意点が存在します。
相続時にNISA口座内の資産をどのように扱うかは、資産管理と税負担の観点から重要な意味を持ちます。
この記事では、NISA口座の相続について以下の点を中心にご紹介します!
- NISAとは
- NISA口座の相続手続き
- NISA口座の相続手続きの注意点
NISA口座の相続について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
相続ナビに相続手続きをお任せください。
スマホ・PCで登録完了
役所などに行く必要なし
NISAとは

NISA(少額投資非課税制度)は、個人投資家が株式や投資信託などを非課税で取引できる日本の制度です。
金融機関で開設できる特別な証券口座を通じて、通常発生する売却益や配当にかかる約20.315%の税金が免除されます。
この制度は、家計の安定的な資産形成を促進し、市場に成長資金を供給する目的で2014年に導入されました。
NISAの変更点
令和5年(2023年)の税制改正により、NISA制度は以下のように変更され、より利用しやすくなりました。
- 非課税保有期間の無期限化:以前はつみたてNISAは最長20年、一般NISAは最長5年の非課税期間でしたが、無期限化されました。
- 口座開設期間の恒久化:つみたてNISAは2042年まで、一般NISAは2028年までの開設期間が設定されていましたが、恒久化されました。
- 併用制度の導入:以前は併用が不可でしたが、改正後は併用が可能になりました。
- 年間投資枠の拡大:つみたてNISAは年間40万円、一般NISAは年間120万円まででしたが、改正後はつみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円、合計で最大年間360万円まで投資が可能になりました。
- 非課税保有限度額の増加:つみたてNISAは800万円、一般NISAは600万円まででしたが、全体で1,800万円まで、うち成長投資枠は1,200万円までとなりました。
NISA口座の相続で知っておくべきこと
NISA口座の相続で知っておくべきことはいくつかあります。
以下でご紹介します。
含み益の非課税
相続開始時点での含み益は非課税です。
それは、相続が発生した日におけるNISA口座で投資された商品の時価が、亡くなった方が取得した価額よりも高い場合、その利益差額に対して税金は課せられません。
非課税の継続不可
つまり、相続が始まった時点で、故人のNISA口座は閉鎖され、その資産は相続人の一般口座または特定口座に転送されます。
相続以降に発生した含み益には税金が課されます。
配当金等の課税
亡くなった日以降に受け取った分配金や配当金は非課税ではなく、所得税・地方税が課されます。
取得価額の変更
相続人が引き継ぐ際の取得価額は相続発生時の時価となります。
これにより、相続人が新たにこれらの株式等を購入した形となります。
NISA制度の理解と上手な活用は、資産運用戦略において重要な要素です。
特に最新の税制改正による変更点を把握し、相続時の手続きに注意することが重要です。
NISA口座の株式の相続

NISA口座で保有されている株式やその他の金融商品の相続には特有のルールが適用されます。
被相続人がNISA口座で株式を保有していた場合、その株式は相続人の通常口座(特定口座または一般口座)に移管されます。
重要な点は、NISA口座の非課税特典は被相続人の生存中のみ有効であり、亡くなった時点で終了するということです。
つまり、相続人は被相続人のNISA口座内の株式を非課税で引き継ぐことはできません。
取得日と取得価額の違い
通常の証券口座とNISA口座では、相続における「取得日」と「取得価額」の扱いが異なります。
通常の口座の場合、相続が発生した際に、相続人は被相続人の株式の取得日と取得価額をそのまま引き継ぎます。
これに対して、NISA口座の場合、相続人が引き継ぐ取得日は被相続人の死亡日、取得価額はその日の終値となります。
この違いは、相続後の株式売却時の利益計算に直接影響を与えます。
例えば、被相続人がNISA口座で株式を購入し、その価値が上昇した後に亡くなった場合、相続人はその株式を亡くなった日の時価で引き継ぎます。
その結果、相続人がその株式を売却した際には、被相続人の購入価格と比較して利益が発生しない可能性があります。
これは、NISA口座の株式が相続時に市場価値で評価され、新たに購入されたと見なされるためです。
これらの違いを理解することは、NISA口座を持つ投資家やその相続人にとって非常に重要です。
相続計画を立てる際には、これらの特徴を考慮に入れ、適切な対策を講じることをおすすめします。
NISA口座にある上場株式等の評価額

相続の際、NISA口座に保有されている上場株式や投資信託の取り扱いには、通常の証券口座とは異なる特有のルールが適用されます。
これらの投資商品は相続財産に含まれ、相続税の計算において特別な考慮が必要です。
ここでは、NISA口座にある上場株式等の相続税評価額の計算方法と、相続時の具体的な取扱いについて詳しく解説します。
上場株式等の相続税評価額の計算方法
NISA口座に含まれる上場株式やその他の投資商品の相続税評価額は、特定の計算方法に基づいて決定されます。
この評価額は、以下の4つの価格の中で最も低い金額で算出されます。
- 相続開始日の終値:亡くなった日の株価の終値。
- 相続開始日の当月の終値の月平均額:相続開始日が含まれる月の全取引日の終値の平均値。
- 相続開始日の前月の終値の月平均額:相続開始日の前月の全取引日の終値の平均値。
- 相続開始日の前々月の終値の月平均額:相続開始日の前々月の全取引日の終値の平均値。
この計算方法により、相続税の基礎となる株式の評価額が決定され、相続税の計算に用いられます。
相続における株式の評価については、こちらの記事もお読みください。
「相続株式評価額」とは、相続税の計算において重要な要素であり、相続される株式の価値を示すものです。 相続が発生した時点での株式の価値を正確に評価することが求められます。 相続株式評価額は、相続税の額を決定する上での基礎となります。 […]
NISA口座の相続時の取扱い

NISA口座に含まれる投資商品の相続は、通常の投資口座とは異なる特有のルールに従います。
これらのルールを理解することは、相続計画を立てる際に重要です。
ここでは、NISA口座の相続時の取り扱いについて詳しく解説します。
相続発生時までの含み益の非課税性
NISA口座で運用されている投資商品について、相続が発生するまでの期間に生じた含み益は、所得税や住民税の対象外です。
これは、NISAの非課税特典が口座名義人の生存中のみに適用されるためです。
相続発生時点での投資商品の価値が購入時よりも高い場合、その差額に対する税金は発生しません。
相続した投資商品の移管制約
亡くなった方がNISA口座で保有していた株式や投資信託は、相続人に移管されますが、これらの商品を相続人のNISA口座に移すことはできません。
相続人はこれらの商品を一般口座や特定口座に移管する必要があり、NISAの非課税特典を引き続き享受することはできません。
相続した投資商品の取得価額
相続人が株式や投資信託を受け継ぐ際の取得価額は、相続発生時の市場価値(時価)となります。
これは、相続発生時に被相続人のNISA口座内の投資商品が一旦清算され、相続人が新たに購入したと見なされるためです。
相続発生後の配当金の課税
NISA口座の非課税特典は、口座名義人の死亡により終了します。
そのため、相続発生後に受け取る配当金には通常の所得税・住民税が適用されます。
これは、相続発生日以降に発生する投資収益には非課税特典が適用されないことを意味します。
NISA口座の相続に関するこれらの情報は、相続計画を立てる際に非常に重要です。
特にNISA口座を持つ投資家やその相続人は、これらの点を理解し、適切な対策を講じることをおすすめします。
NISA口座の相続手続きの流れ

NISA口座に含まれる投資商品の相続は、特定の手続きとルールに従います。
相続発生時のNISA口座の取り扱いは複雑であり、適切な手続きを行うことが重要です。
ここでは、NISA口座の相続における手続きの流れと、その際に留意すべき点について解説します。
死亡届出書の提出
相続人は、被相続人の死亡を知った後、速やかに関連する金融機関に死亡届出書を提出する必要があります。
投資商品の移管手続き
NISA口座内の株式や投資信託を相続人の口座に移管するためには、金融機関に対して移管依頼を行います。
金融機関の一致
被相続人のNISA口座と相続人の口座は同一の金融機関であることが必要で、株式等の同一銘柄を異なる口座に分けて移管することはできません。
NISA口座の相続の際の注意点

NISA口座の相続には、特有の手続きと注意点があります。
これらを理解し適切に対応することは、スムーズな相続手続きに不可欠です。
ここでは、NISA口座の相続における主要な注意点を解説します。
移管のための口座を開設する際の注意点
NISA口座内の株式や投資信託を相続するためには、相続人名義の口座が必要です。
重要なのは、移管先の口座は故人がNISA口座を持っていた同じ証券会社でなければいけないという点です。
相続人がまだその証券会社に口座を持っていない場合は、新たに口座を開設する必要があります。
相続発生日までの含み益や配当金の非課税性
相続発生日までにNISA口座内で発生した含み益や配当金は非課税です。
これは、NISAの非課税特典が被相続人の生存中のみに適用されるためです。
相続発生日以降に発生した配当金には通常の所得税・住民税が課税されます。
売却の際の注意点
相続人がNISA口座内の株式や投資信託を売却する際は、相続発生日の時価が取得価格となります。
これは、相続発生時に株式等が新たに購入されたと見なされるためです。
売却時に利益が発生した場合、その利益に対しては課税されます。
これらの情報は、NISA口座を持つ投資家やその相続人にとって、相続計画を立てる際に非常に重要です。
特に、相続手続きの流れや税金の計算に関しては、専門家の助言を受けることをおすすめします。
NISA口座内の株式等の相続税評価

NISA口座内の株式や投資信託の相続に際しては、相続税の評価が重要な要素となります。NISA口座の特性を理解し、適切な相続税評価を行うことは、相続計画を立てる上で不可欠です。
ここでは、NISA口座内の株式等の相続税評価について詳しく解説します。
NISA口座内の株式等の相続税評価方法
NISA口座内の株式や投資信託の相続税評価額は、相続開始日の終値を基準に計算されます。
具体的には、以下の4つの価格の中から、最も低い金額を選択することができます。
- 相続開始日(亡くなった日)の終値
- 相続開始日の当月の終値の平均
- 相続開始日の前月の終値の平均
- 相続開始日の前々月の終値の平均
これらの価格の中から最も低い金額を選択することにより、相続税の負担を軽減することが可能です。
NISA口座の相続税評価の特徴
NISA口座内の株式等の相続税評価には、以下のような特徴があります。
- 相続開始日の時価が取得価格となるため、相続人にとってはプラスにもマイナスにも働く可能性があります。
- 相続開始日時点での時価が購入時より値上がりしている場合、相続人にとっては税負担が軽減される可能性があります。
- 逆に、相続開始日時点での時価が購入時より値下がりしている場合、相続人にとっては不利に働く可能性があります。
NISA口座内の株式等の相続税評価に関するこれらの情報は、相続計画を立てる際に非常に重要です。
特に、NISA口座を持つ投資家やその相続人は、これらの点を理解し、適切な対策を講じることをおすすめします。
NISAは相続対策にはならない?

NISA口座内の株式や投資信託の相続において、相続税の評価額が重要な役割を果たします。
しかし、NISA口座が必ずしも相続対策として有効であるとは限りません。
ここでは、NISA口座の相続に関する特徴と、それが相続対策として機能するかどうかについて解説します。
NISA口座の相続における特徴
NISA口座内の株式等の相続発生日時点の時価が、購入時より値上がりしている場合、相続人にとっては税負担が軽減される可能性があります。
例えば、故人が50万円で購入した株式が、相続時点で80万円に値上がりし、その後相続人が100万円で売却した場合、通常の証券口座では50万円の値上がり益に対して課税されるところが、NISA口座では20万円の利益にのみ課税されます。
NISA口座の相続が相続対策にならないケース
一方で、NISA口座内の株式等の相続発生日時点の時価が購入時より値下がりしている場合、相続人にとっては不利に働くことがあります。
例えば、故人が50万円で購入した株式が、相続時点で30万円に値下がりし、その後相続人が40万円で売却した場合、通常の証券口座では譲渡益がないため非課税ですが、NISA口座では10万円の利益に対して課税されてしまいます。
NISA口座の相続対策としての限界
これらの例から、NISA口座が相続対策として一概に有効であるとは言えないことがわかります。
相続時の市場状況や株価の変動によって、NISA口座の利点が相続人にとってプラスにもマイナスにも働く可能性があるためです。
そのため、NISA口座を相続対策として活用する際には、これらの点を十分に考慮する必要があります。
NISA口座の相続に関するこれらの情報は、相続計画を立てる際に非常に重要です。
特に、NISA口座を持つ投資家やその相続人は、これらの点を理解し、適切な対策を講じることをおすすめします。
NISA口座以外の相続税対策については、こちらの記事をお読みください。
相続税は、遺産を受け継ぐ者が支払う税金であり、その額は遺産の総額と相続人の数によって異なります。 適切な対策を講じることで、相続税の負担を軽減することが可能です。 この記事では、相続税の節税について以下の点を中心にご紹介します! […]
NISAを相続するメリット

NISA(少額投資非課税制度)は、個人投資家向けの税制優遇措置で、非課税勘定における上場株式等への投資での売却益や配当等に対する税金を非課税とする制度です。
2024年以降のNISAの特徴は、非課税期間に制約がなく、株式の売却益などに対する所得税などが免除されることが主なメリットとなります。
ここでは、NISAを相続する際のメリットについて解説します。
NISAの非課税特典
NISA口座で運用されている投資商品に関して、相続発生時までに発生した含み益には、所得税や住民税がかかりません。
これは、NISAの非課税特典が口座名義人の生存中のみに適用されるためです。
相続発生日以降に発生した配当金には通常の所得税・住民税が課税されます。
NISA口座の相続時の取扱い
NISA口座内の株式や投資信託を相続する際には、相続人名義の口座が必要です。
重要なのは、移管先の口座は故人がNISA口座を持っていた同じ証券会社であることが必要な点です。
相続人がまだその証券会社に口座を持っていない場合は、新たに口座を開設する必要があります。
NISAの相続における税制上のメリット
NISA口座の相続においては、相続発生日時点の時価が取得価格となります。
これにより、相続人にとっては税負担が軽減される可能性があります。
例えば、故人が50万円で購入した株式が、相続時点で80万円に値上がりし、その後相続人が100万円で売却した場合、通常の証券口座では50万円の値上がり益に対して課税されるところが、NISA口座では20万円の利益にのみ課税されます。
これらの情報は、NISA口座を持つ投資家やその相続人にとって、相続計画を立てる際に非常に重要です。
特に、相続手続きの流れや税金の計算に関しては、専門家の助言を受けることをおすすめします。
NISA口座の相続についてのまとめ

ここまでNISA口座の相続についてお伝えしてきました。
NISA口座の相続の要点をまとめると以下の通りです。
- NISA(少額投資非課税制度)は、個人投資家向けの税制優遇措置で、NISA口座内で購入した株式・投資信託から得られる利益を一定期間非課税とする制度
- NISA口座の相続手続きは相続人は、金融機関に対して「非課税口座開設者死亡届出書」などの書類を提出し、NISA口座内の株式・投資信託等を自身の口座に移管する必要がある
- NISA口座の相続手続きの注意点は、故人がNISA口座を持っていた同じ証券会社で相続人名義の口座を開設する必要があるなど
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

