相続といえば、亡くなった方の財産を親族が受け継ぐイメージが強いと思いますが、実は生前に財産を贈与することで、相続税対策ができるって知っていましたか?
そこで今回は、相続の贈与や贈与税について、わかりやすく解説します。
- 贈与税とは
- 生前贈与加算の対象となる人、ならない人
- 贈与税はいくらかかる?
相続の贈与や贈与税について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
相続ナビに相続手続きをお任せください。
スマホ・PCで登録完了
役所などに行く必要なし
贈与税とは

贈与税とは、親族や友人などに財産を贈与した際に課税される税金です。
贈与された財産の価値に応じて税額が決まり、納税義務者は贈与者となります。
贈与税と相続税は混同されがちですが、異なる税金です。
相続税は、被相続人が亡くなった際にその財産を相続人に移転する際に課税される税金です。
贈与税の税率は、贈与する財産の価値と贈与者の年齢によって異なります。
一般的には、贈与する財産の価値が高くなるほど、また贈与者の年齢が若くなるほど、税率が高くなります。
贈与税の控除制度もあり、一定額までは非課税となります。
また、配偶者や子供への贈与には、特別控除制度もあります。
贈与税がかかる財産
贈与税とは、親族間で財産を贈与する際に課税される税金です。
贈与税の課税対象となる財産は、現金、不動産、株式、貴金属など、あらゆる財産が含まれます。
贈与税の税率は、贈与する財産の合計額と、贈与者と受贈者の関係によって異なります。
一般的には、贈与額が大きくなるほど、税率も高くなります。
贈与税の節税対策としては、以下の方法があります。
- 年間非課税枠を活用する年間非課税枠とは、1年間に110万円までであれば贈与税がかからない制度です。
夫婦間であれば220万円まで非課税となります。 - 配偶者控除を活用する配偶者控除とは、夫婦間で贈与を行う場合に適用できる控除制度です。
最大で2,000万円まで控除を受けることができます。 - 暦年課税を選択する暦年課税とは、贈与者の生涯累計贈与額に応じて課税される制度です。
年間非課税枠や配偶者控除などの控除制度を最大限に活用することができます。
贈与税を支払う人
贈与税は、財産を贈与した人(贈与者)が支払う税金です。
贈与税の課税対象となるのは、金銭、不動産、株式など、あらゆる財産です。
贈与税の税率は、贈与額と贈与者の年間所得によって決まります。
年間所得が2,000万円を超える場合は、累進課税となります。
贈与税の支払い義務があるかどうかは、以下の条件を満たす場合に発生します。
- 1年間の贈与額が110万円を超える
- 2500万円を超える財産を一度に贈与する
- 扶養義務のない人へ財産を贈与する
贈与税を支払う義務があるかどうかは、税務署に相談することをおすすめします。
生前贈与加算の対象となる人、ならない人

生前贈与加算は、相続税の計算において、被相続人が亡くなる前に贈与した財産を相続財産に加算する制度です。
この制度は、生前に多額の財産を贈与することで相続税を節税しようとする行為を防ぐために設けられています。
生前贈与加算の対象となる人
- 相続によって財産を取得した相続人
- みなし相続財産を取得した人
- 相続時精算課税制度の適用を受ける人
生前贈与加算の対象とならない人
- 相続によって財産を取得していない相続人
- 被相続人の子供や孫の配偶者で、暦年贈与のみで財産を取得した人
- 相続を放棄し、財産を取得していない法定相続人
ただし、上記のように対象とならない場合でも、一定の条件を満たすと対象となる場合があります。
例えば、相続を放棄した法定相続人が被相続人から死亡の3年以内に金銭の贈与を受け、かつみなみ相続財産の取得者でもある場合は、贈与された金銭について生前贈与加算の対象となります。
贈与税はいくらかかる?

贈与税は、財産を贈与した人(贈与者)が支払う税金です。
贈与される財産の額や贈与者の年間所得によって税率が異なり、最大55%となります。
贈与税がかかる場合
- 1年間の贈与額が110万円を超える場合
- 2500万円を超える財産を一度に贈与する場合
- 扶養義務のない人へ財産を贈与する場合
贈与税の計算方法
贈与税は、以下の式で計算されます。
贈与税=(課税標準額×税率)-控除額
- 課税標準額:贈与額から基礎控除を差し引いた額
- 税率:贈与額と贈与者の年間所得によって決定
- 控除額:配偶者控除、特別控除など
税率表
| 課税標準額 | 税率 |
| 1,000万円以下 | 10% |
| 1,000万円超2,000万円以下 | 20% |
| 2,000万円超3,000万円以下 | 30% |
| 3,000万円超4,000万円以下 | 40% |
| 4,000万円超5,000万円以下 | 50% |
| 5,000万円超 | 55% |
例
子供に2,500万円の土地を贈与する場合、年間所得が2,500万円以下の場合、贈与税は以下のようになります。
- 課税標準額=2,500万円-110万円=2,390万円
- 税率=30%
- 贈与税=(2,390万円×30%)-0円=717万円
節税対策
贈与税を節税するには、以下の方法があります。
- 基礎控除を活用する:年間110万円までの贈与であれば、贈与税はかかりません。
- 暦年課税制度を利用する:1年間の贈与額を分割して贈与することで、課税標準額を抑えることができます。
- 相続時精算課税制度を利用する:贈与した財産を相続時にまとめて課税することで、税率を低減することができます。
贈与税は、個人が他人からの贈与を受ける際に重要な考慮事項となります。 贈与税は全ての贈与が税の対象になるわけではありません。 この記事では、贈与税がいくらからかについて以下の点を中心にご紹介します! 贈与税とは 贈与[…]
「相続時精算課税制度」っていったいどんな制度?

続時精算課税制度は、生前贈与を促進するために設けられた制度です。
最大2,500万円までの贈与が非課税となり、早期にまとまった資金を子や孫に贈与できる点がメリットです。
しかし、制度を利用する際には、以下の点に注意が必要です。
メリット
- 最大2,500万円までの贈与が非課税
贈与時に2,500万円を超える部分は、20%の贈与税が課税されます。 - 早期にまとまった資金を贈与できる
教育資金や住宅購入資金など、まとまった資金が必要な場合に役立ちます。 - 贈与税の申告が不要
毎年3月に贈与税の申告をする必要がなく、手続きが簡略化されます。
デメリット
- 暦年課税に戻せない
一度相続時精算課税制度を選択すると、その後、暦年課税制度に戻すことはできません。 - 相続時に相続税が課される可能性がある
贈与者本人が亡くなった際に、贈与した財産も含めて相続税が計算されます。
贈与額と相続財産の合計額によっては、相続税が課税される場合があります。 - 小規模宅地等の特例の適用除外
相続時精算課税制度を利用して贈与により取得した宅地等は、「小規模宅地等の特例」の適用を受けることができません。
贈与税額の計算方法・計算例

贈与税は、大切な財産を子や孫に贈与する際に発生する税金です。
贈与額によって税率が異なるため、正確な計算方法を理解しておきましょう。
計算方法について見ていきましょう。
基礎控除額を差し引く
1人110万円の基礎控除額から、過去に受けた贈与額を差し引きます。
課税標準額を算出
贈与額から基礎控除額を引いた金額が課税標準額となります。
税率を適用
課税標準額に応じて、累進課税率が適用されます。
計算例
- 親から子供への贈与額:2,000万円
- 過去に受けた贈与額:なし
計算手順
- 基礎控除額:110万円
- 課税標準額:2,000万円-110万円=1,890万円
- 税率:20%
贈与税額
1,890万円×20%=378万円
- 贈与は複数回に分けて行う
- 贈与する財産の種類によって税率が異なることを理解する
- 贈与税の控除制度を活用する
相続税計画は、我々の生活において重要な役割を果たします。 その中でも、特に注目すべきは贈与税の課税制度の選択です。 本記事では、相続時精算課税制度について以下の点を中心にご紹介します! 相続時精算課税制度 相続時[…]
贈与税がかからないようにする方法は?

贈与税とは、親族間で財産を贈与する際に課税される税金です。
相続税とは異なり、贈与された時点で課税されます。
贈与税には年間課税制度と累積課税制度の2種類があります。
一般的には年間課税制度が用いられます。
年間課税制度では、年間110万円以下の贈与であれば課税されません。
また、親族間での贈与であれば、2500万円までの累計贈与額は非課税となります。
近年、教育費や生活費などの必要経費を贈与する場合、贈与税がかからない制度が設けられました。
この制度を利用すれば、高額な教育費や生活費を贈与しても、贈与税を負担することなく、子供や孫を支援することができます。
贈与税は、節税対策としても有効です。
将来、相続が発生する際に、相続税を節税するために、生前に財産を贈与しておくという方法があります。
暦年課税制度「年110万円以下」
暦年課税制度とは、1年間に贈与した財産の合計額が110万円以下であれば、贈与税がかからない制度です。
これは、親族間での財産移転を円滑化し、節税効果も期待できる制度として注目されています。
相続時精算課税制度「累計2500万円以下」
相続時精算課税制度は、生前に贈与した財産を相続時に課税する制度です。
この制度を利用することで、相続税を節税することができます。
この制度のポイントは、以下の2つです。
- 年間110万円までの贈与は非課税
- 親族からの累計2500万円までの贈与は非課税
年間110万円の非課税枠を活用することで、少しずつ財産を移転することができます。
また、親族からの累計2500万円の非課税枠を活用することで、大幅な節税効果が期待できます。
住宅取得等資金の贈与税の非課税措置
近年、住宅取得資金を親族から贈与された場合に贈与税がかからない制度が注目されています。
非課税限度額は、省エネ等住宅の場合1000万円、それ以外の住宅の場合は500万円まで非課税です。
結婚・子育て資金の贈与税の非課税措置
結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、親や祖父母から子や孫が結婚や子育てのために資金を受け取る場合に、最大1,000万円まで贈与税が非課税になる制度です。
教育資金の贈与税の非課税措置
教育資金の贈与税非課税措置は、祖父母などから教育資金を贈与された場合に、一定の条件を満たせば贈与税がかからない制度です。
この制度を利用することで、最大1500万円(学校以外に支払う教育費については最大500万円)の贈与を非課税にすることができます。
贈与税の配偶者控除
婚姻期間20年以上の夫婦間で、自宅の取得資金を贈与する場合、最大2000万円まで贈与税が非課税となる「配偶者控除」という特例制度があります。
適用には一定の条件を満たす必要があります。
贈与税は、多くの人々が避けたいと思う税金の一つです。 しかし、適切な知識と計画があれば、贈与税をかけずに財産を移転することが可能です。 本記事では、贈与税がかからない方法について以下の点を中心にご紹介します! 贈与税とは […]
孫への贈与は有利か?

インターネット上では、「孫への生前贈与は有利」という情報が溢れています。
確かに、節税対策として有効な場合もありますが、孫が亡くなる3年以内に贈与した場合には、生前贈与加算の対象となる可能性があるため注意が必要です。
孫が相続や遺贈で財産を一切受け取っていない場合
孫が相続や遺贈で一切財産を受け取っていない場合、生前贈与加算の対象外となります。
これは、生前贈与加算が「相続人」に対してのみ適用される制度であり、孫は原則として相続人ではないためです。
孫が遺言で財産を取得した場合
孫が遺言で財産を取得した場合、生前贈与加算の対象となる可能性があります。
これは、孫が遺言によって取得した財産が「遺贈」とみなされるためです。
生前贈与加算とは、被相続人が亡くなる前に贈与した財産の価額を一定割合加算して相続税を計算する制度です。
この制度は、相続を回避するために生前に財産を贈与する行為を防ぐことを目的としています。
孫が代襲相続人となって財産を取得した場合
孫が代襲相続によって財産を取得した場合も、生前贈与加算の対象となります。
生前贈与加算とは、被相続人から相続開始前の3年以内に贈与を受けた財産を、相続財産に加算して相続税を計算する制度です。
これは、相続税対策として生前贈与を行う場合に、贈与した財産が相続財産から控除されてしまうのを防ぐために設けられています。
代襲相続とは、本来の相続人がすでに死亡している場合などに、その人の子供が代わりに相続人となる制度です。
つまり、被相続人の子がすでに死亡している場合には、孫が代襲相続人として相続権を引き継ぎます。
孫が代襲相続人となる場合、それは法定相続人が相続により財産を得るのと同じ意味を持ちます。
そのため、生前贈与加算の対象です。
孫を養子とした場合
孫を養子縁組することで相続税対策となる場合がありますが、注意点があります。
孫を養子縁組した場合、法定相続人となります。
そのため、死亡前3年以内に贈与を受けた財産は、相続税計算時に生前贈与加算の対象となります。
生前贈与加算とは、相続財産に一定割合を上乗せして計算する方法で、その結果、相続税額が増加することになります。
相続の贈与や贈与税についてまとめ

ここまで相続の贈与についてお伝えしてきました。
相続の贈与をまとめると以下の通りです。
- 贈与税とは、親族や友人などに財産を贈与した際に課税される税金を指す
- 生前贈与加算の対象となる人は、相続によって財産を取得した相続人やみなし相続財産を取得した人で、生前贈与加算の対象とならない人は、相続によって財産を取得していない相続人などを指す
- 贈与される財産の額や贈与者の年間所得によって税率が異なり、最大55%となる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


