「配偶者への贈与なら贈与税はかからない」と思っていませんか?
実は夫婦間であっても、条件を満たさなければ贈与税が課されるケースが多くあります。
一方で、税法には生活支援や長期婚姻を前提とした非課税制度も設けられており、正しく理解すれば大きな節税につながります。
本記事では、配偶者への贈与と贈与税の関係について以下の点を中心に解説します。
- 贈与税の基本的な仕組みと配偶者への適用ルール
- 贈与税が非課税となる主なケースとその条件
- 配偶者への贈与が課税対象となるケースと注意点
制度を正しく把握すれば、不要な税負担を避け、安心して財産を移転できます。
配偶者間での贈与を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
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贈与税 配偶者に関する前提知識

配偶者間での財産のやり取りは、日常生活の中で自然に行われることも多いですが、税法上は贈与として扱われる場合があります。
贈与税の仕組みや基礎控除、課税される原則を正しく理解しておくことで、思わぬ税負担を避けることができます。
ここでは、配偶者への贈与に関する基本的な考え方と制度の概要を解説します。
贈与税の基本の定義
贈与税とは、個人が他の個人から財産を無償で受け取ったときに課される国税です。
課税されるのは財産を受け取った人であり、贈与を行った人ではありません。
対象となる財産は現金や預貯金、不動産、有価証券など幅広く、形のあるものだけでなく債権などの権利も含まれます。
また、配偶者間での贈与も、一定の条件を満たさない限り課税対象です。
贈与税の仕組みは、相続による財産移転を補完する制度として設けられており、財産移転の時期や方法を調整するための重要な役割を担っています。
贈与税は毎年1月1日から12月31日までの1年間に受け取った贈与額を基準に課税されます。
配偶者への贈与でも贈与税が課される原則
配偶者への贈与は、夫婦間の財産共有の一環と考えられる場合もありますが、税法上は原則として課税対象です。
たとえば、夫婦間で不動産や高額な現金を移転した場合、贈与とみなされれば贈与税が課されます。
配偶者であっても、税務上は別の個人とされるため、無償の財産移転があれば課税されるというのが基本的な考え方です。
ただし、特例や非課税枠が設けられており、一定の条件を満たす場合には課税されないケースもあります。
こうしたルールは、不公平な税負担を避けると同時に、財産の過度な移転を抑制することが目的です。
基礎控除と暦年贈与の仕組み
贈与税制度の中でも、基礎控除と暦年贈与は多くの人に関係する基本的な仕組みです。
基礎控除は、年間110万円までの贈与について贈与税がかからない制度で、配偶者への贈与にも適用されます。
暦年贈与は、この基礎控除を利用する最も一般的な方法です。
主なポイントは以下の通りです。
- 基礎控除は暦年(1月1日~12月31日)単位で計算される
- 複数回に分けた贈与も合計額で判定する
- 暦年贈与は贈与税の最も一般的な課税方式
- 毎年同じ額の贈与を続けると「連年贈与」と判断される可能性がある
- 贈与契約書や振込記録を残すことで課税リスクを下げられる
この制度を正しく活用するためには、贈与の記録をきちんと残すことが重要です。
特に、連年贈与の疑いを避けるため、贈与の都度、契約書を作成しておくことが望ましいでしょう。
配偶者への贈与で贈与税が非課税となるケース

配偶者間の贈与であっても、一定の条件を満たす場合は贈与税がかかりません。
税法には、日常的な生活支援や将来の生活基盤を整えるための財産移転を過度に制限しないための非課税制度が設けられています。
ここでは、代表的な非課税ケースとその概要を解説します。
年間110万円以内の贈与による非課税
年間110万円以内であれば贈与税がかからない基礎控除は、贈与税対策の基本です。
この制度は配偶者への贈与にも適用され、現金や不動産に限らず幅広い資産が対象となります。
特徴と注意点は次の通りです。
- 同一年内の贈与はすべて合算して判定される
- 合計が110万円を超えると課税対象になる
- 現金・預貯金・不動産以外の資産にも適用可能
- 同額を繰り返し贈与すると「連年贈与」とみなされることがある
- 契約書や振込明細など、証拠を残すことが望ましい
基礎控除を有効活用するには、贈与額や贈与日をしっかり管理することが欠かせません。
無意識のうちに超過して課税対象となることがないよう、年間の贈与総額を把握しておく必要があります。
生活費や教育費としての贈与による非課税
生活費や教育費は、配偶者や家族の生活維持・教育支援のために必要と認められる場合、贈与税がかかりません。
これは扶養義務者からの生活費や教育費として、税法上非課税と定められています。
代表的な非課税対象と注意点は以下の通りです。
- 住宅の家賃や光熱費など、日常生活に必要な支出
- 食費や日用品などの生活必需品購入費
- 学費や入学金、教材費など教育関連費用
- 必要額を大幅に超える贈与は課税対象となる可能性がある
- 支出の用途や金額を証明できるよう記録を残すことが望ましい
この制度を利用する際は、日常生活に必要な範囲を超えないよう注意が必要です。
支出の根拠を明確にできれば、税務上のトラブルを回避しやすくなります。
配偶者控除(おしどり贈与)の特例
婚姻期間20年以上の夫婦が利用できる配偶者控除(おしどり贈与)は、居住用不動産またはその購入資金の贈与について最大2,000万円まで非課税にできる制度です。
基礎控除110万円と併用すると、最大2,110万円まで非課税となります。
制度の概要と条件は次の通りです。
- 婚姻期間が20年以上であること
- 贈与財産が国内の居住用不動産またはその取得資金であること
- 贈与を受けた住宅に継続して居住すること
- この制度は一生に一度しか利用できない
- 申告時に証明書類の添付が必要
利用を検討する際は、婚姻期間や財産の種類、居住期間などの条件を事前に確認しておくことが重要です。
条件を満たさないと非課税が認められないため、計画的な贈与が求められます。
配偶者控除(おしどり贈与)の概要と要件

配偶者控除(おしどり贈与)は、長年連れ添った夫婦間での財産移転を支援するために設けられた特例です。
婚姻期間が20年以上の夫婦であれば、一定の条件を満たすことで居住用不動産やその取得資金の贈与が大幅に非課税となります。
この制度は一生に一度しか利用できないため、タイミングや条件の確認が特に重要です。
ここでは、制度を利用するための条件と手続き上のポイントを解説します。
贈与税の配偶者控除を受けるための4つの条件
配偶者控除を適用するには、法律で定められた条件をすべて満たす必要があります。
これらの条件は、制度の趣旨に沿った贈与かどうかを判断する基準となります。
条件①婚姻期間が通算20年以上であること
贈与を行う年の1月1日時点で、法律婚に基づく婚姻期間が20年以上である必要があります。事実婚は対象外です。
条件②国内の居住用不動産または不動産の購入資金であること
対象となるのは日本国内にある居住用不動産、またはその取得に充てるための資金です。
投資用や事業用の不動産は対象外です。
条件③贈与を受けた住宅に一定期間居住を継続すること
贈与後、速やかに居住を開始し、その後も継続して居住することが求められます。
短期間で売却や転居を行うと非課税が取り消される可能性があります。
条件④配偶者控除の適用をこれまで受けていないこと
この特例は一生に一度だけ利用できるため、過去に同制度を使っていないことが条件です。
これらの条件を満たしていなければ、非課税は認められません。
制度を活用する際は、贈与前に要件を十分に確認しましょう。
申告に必要な添付書類
配偶者控除を受けるためには、贈与税の申告書に加え、条件を満たしていることを証明する書類を添付する必要があります。
これらは税務署が制度適用の可否を判断するための重要な資料です。
主な添付書類は以下の通りです。
- 婚姻期間を証明する戸籍謄本
- 贈与を受けた不動産の登記事項証明書
- 贈与契約書または贈与を証明する書面
- 居住を開始したことを確認できる住民票
- 不動産の取得資金の場合は、その用途を示す領収書や契約書
これらの書類は、記載内容や日付が要件と一致していることが求められます。
記載漏れや不備があると非課税が適用されない可能性があるため、事前の確認と準備が欠かせません。
離婚歴があっても特例を使える場合
婚姻期間20年以上という要件は通算期間で判断されるため、過去に離婚歴があっても再婚後の期間と合算できる場合があります。
ただし、同じ相手との再婚であっても、通算期間の計算方法は婚姻の継続性や戸籍の記録によって異なります。
離婚歴がある場合の主な留意点は以下の通りです。
- 過去の婚姻期間と再婚後の期間を合算できるかは戸籍記録で判断される
- 別の配偶者との婚姻期間は通算されない
- 計算方法や適用可否は税務署や専門家に確認することが望ましい
このように、離婚歴があっても要件を満たせば特例を利用できる可能性があります。
判断が難しいケースでは、早めに税理士などの専門家へ相談することで、制度の適用可否を正しく把握できます。
配偶者への贈与で贈与税が課税されるケース

配偶者間での財産移転は、特例や非課税枠がある一方で、一定条件を超える場合には贈与税が課税されます。
特に金額や用途、名義変更の仕方によっては、本人が贈与のつもりでなくても税務上は課税対象になることが多い傾向です。
ここでは、代表的な課税事例を整理し、どのような場合に注意すべきかを解説します。
年間110万円超の贈与
贈与税の基礎控除額である年間110万円を超える贈与は、原則として課税対象です。
この金額は、1月1日から12月31日までの1年間に受け取ったすべての贈与を合計して判断されます。
複数回に分けて行われた贈与も合算されるため、意識せずに超過してしまうケースも少なくありません。
また、対象は現金や預貯金に限らず、株式や貴金属などの資産も含まれます。
年間110万円を超える場合には、贈与税の申告と納税が必要となるため、贈与額の管理と記録を欠かさないようにしましょう。
生活費・教育費以外の用途に使用した場合
生活の維持や教育のための資金は非課税ですが、それ以外の用途に使われる場合は贈与税の対象となります。
たとえば、高額な趣味の道具や宝飾品の購入、旅行資金、投資や事業資金などは生活費や教育費とはみなされません。
用途が税法上の非課税要件を満たさない場合、その贈与額は課税対象として扱われます。
配偶者間であっても、資産形成や個人的な娯楽目的に使われる資金提供は贈与と判断されるため、事前に用途を明確にし、必要に応じて税務上の確認を行うことが重要です。
高額預貯金移動・口座異動による贈与とみなされる場合
配偶者名義の預貯金口座に多額の資金を移す行為は、税務上「贈与」と判断されることがあります。
特に、資金の出所が明確でない場合や、移動後に自由に引き出せる状態になっている場合は課税リスクが高まります。
課税とみなされやすいケースは以下の通りです。
- 預金口座への一括での高額入金
- 継続的な高額送金による残高増加
- 名義は配偶者だが資金の出所が本人である場合
- 実際の管理・使用権限が移っている場合
資金移動の経緯や目的を説明できる記録を残すことが、不要な課税を避けるポイントです。
不動産の持分と出資額に差額がある場合
夫婦で不動産を共同購入する際、登記上の持分割合と実際の出資額が一致しないと、その差額が贈与とみなされます。
これは、資金の一部を無償で提供したと判断されるためです。
課税対象となる具体例は以下の通りです。
- 出資割合が5割ずつなのに、実際の支払いは一方が多く負担している
- 頭金やローン返済の一部を片方が肩代わりしている
- 登記と資金負担の不一致がある場合
購入時には、持分割合を出資額に合わせることが課税回避の基本です。
資金の流れを明確にし、契約書や振込記録を残しておきましょう。
住宅ローン返済を配偶者の負担で行った場合
配偶者名義の住宅ローンをもう一方が返済すると、その金額分が贈与とみなされる可能性があります。
債務負担の軽減が無償の利益供与と判断されるためです。
課税と判断される主なケースは以下の通りです。
- ローン名義人でない配偶者が返済資金を全額負担している
- 一部負担でも、金額が多額の場合
- 長期間にわたって返済を継続している
返済割合や資金出所を事前に明確にし、契約書や銀行の返済記録を残しておくことで、課税リスクを減らすことができます。
配偶者への贈与と贈与税に関するよくある質問

配偶者への贈与に関してよくある質問をご紹介します。
Q.配偶者控除はどのように申告すればよいですか?
配偶者控除(おしどり贈与)を受けるには、贈与税の申告が必須です。
贈与を行った翌年の2月1日から3月15日までに、税務署へ申告書を提出します。
通常の贈与税申告書に加え、配偶者控除の適用を受ける旨を明記し、必要書類の添付が必須です。
添付書類には、婚姻期間20年以上を証明する戸籍謄本、不動産の登記事項証明書、贈与契約書、住民票などがあります。
また、不動産取得資金の贈与では、用途を示す領収書や売買契約書も必要です。
申告は本人または代理人が行えますが、記載漏れや書類不備があると控除が認められないこともあるため、事前に税務署や税理士に確認すると安心です。
Q.贈与税と相続税にはどのような違いがありますか?
贈与税と相続税はいずれも財産の移転に課税されますが、対象や課税のタイミングが異なります。
贈与税は、生前に個人間で財産が無償移転した場合に課され、1年間(1月1日〜12月31日)の受取額を基準に計算し、基礎控除額は110万円です。
一方、相続税は被相続人の死亡に伴い、相続人が遺産を取得したときに課税されます。
基礎控除額は「3,000万円+(法定相続人×600万円)」と大きく、計算方法も異なります。
また、生前贈与加算(相続開始前3年以内の贈与)や相続時精算課税制度の利用有無によっても税負担が変わります。
財産移転の目的や時期に応じて、どちらの制度が有利かを事前に検討することが重要です。
配偶者への贈与と贈与税に関してまとめ

本記事では、配偶者間で行われる贈与に関する贈与税の基本から、非課税となる条件、課税対象となる具体的な事例までをご紹介しました。
要点をまとめると以下の通りです。
- 夫婦間であっても、原則として贈与税の課税対象となる
- 年間110万円の基礎控除や生活費・教育費の贈与、婚姻20年以上で利用できる配偶者控除など、非課税の仕組みがある
- 高額な資金移動や不動産の持分割合の不一致など、意図せず課税されるケースがある
配偶者への贈与は、適切に活用すれば税負担を減らせる一方、要件を満たさなければ思わぬ税金が発生します。
贈与を検討する際は制度の内容を十分理解し、必要に応じて専門家に相談することも検討しましょう。
本記事が、安心して財産を移転するための一助となれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。