「戸籍謄本って、結局どんなときに使うの?」と疑問に感じたことはありませんか。相続や婚姻などの人生の節目はもちろん、行政手続きでも提出を求められる重要な書類であるため、正しい知識を持っておくことが大切です。
本記事では、戸籍謄本に関して以下の点を中心にご紹介します。
- 戸籍謄本の内容や戸籍抄本との違い
- 戸籍謄本が必要となる代表的なケース
- 取得方法と手続き時の注意点
戸籍に関する手続きで迷わないためにも、ぜひ最後までご覧ください。
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戸籍謄本とは

戸籍謄本という言葉は聞いたことがあっても、実際に何が書かれているのか、どんなときに必要になるのかを詳しく知っている方は意外と少ないかもしれません。ここでは、戸籍謄本の基本的な内容や、似た書類である戸籍抄本との違い、そして発行される主な理由について分かりやすく解説していきます。
戸籍謄本の定義と記載されている情報
戸籍謄本(こせきとうほん)とは、戸籍の中に登録されているすべての人の情報を写した公的な証明書です。全部事項証明書とも呼ばれ、法律上の家族関係を確認する際に使用されます。
具体的に記載されているのは、以下のような情報です。
- 本籍地
- 筆頭者の氏名
- 戸籍に記載されている全員の氏名、生年月日
- 父母との関係(親子関係)
- 婚姻・離婚・養子縁組などの履歴
- 死亡日(該当する場合)
このように、戸籍謄本には家族全体の構成や変化の履歴が詳細に記録されています。例えば相続やパスポート申請など、法律上の続柄を証明する必要がある場面で重要な役割を果たします。
戸籍謄本と戸籍抄本の違い
戸籍謄本とよく似た書類に戸籍抄本(こせきしょうほん)があります。どちらも戸籍から情報を抜粋した証明書ですが、大きな違いは記載される人数です。
- 戸籍謄本:戸籍に記載された全員分の情報を写したもの
- 戸籍抄本:戸籍に記載された一人分の情報だけを写したもの
例えば、相続や扶養の証明などで家族構成全体を確認する必要があるときは戸籍謄本が求められます。一方、個人としての証明が必要な場面、例えば自分自身の婚姻歴を証明したいときなどには戸籍抄本を用いることがあります。
また、両者はどちらも本籍地の市区町村で発行され、手数料や取得方法は基本的に同じです。目的に応じて正しい書類を選ぶことが大切です。
戸籍謄本が発行される主な理由
戸籍謄本が発行される理由はさまざまですが、大きく分けると家族関係の証明・法的手続き・身分確認の3つに分けられます。
- 家族関係を証明するため
例:相続手続き、扶養認定、婚姻や離婚時の届け出など
- 身分や国籍に関わる法的手続き
例:パスポートやビザ申請、帰化・国籍離脱申請など
- 本人確認や手続きの裏付け資料として
例:年金受給、保険請求、遺産分割協議書作成時など
このように、戸籍謄本は単なる書類ではなく、個人と家族の法律的なつながりを証明する重要な役割を担っています。役所や金融機関、法的手続きの場面では必要不可欠な書類といえるでしょう。
戸籍謄本が必要となる主なケース

戸籍謄本は、家族関係や身分関係を公的に証明する書類として、多くの場面で活用されています。以下では、利用頻度の高い3つのケースについて解説します。
相続手続きにおける戸籍謄本の役割
相続手続きを進める際、戸籍謄本はとても重要な書類です。なぜなら、被相続人(亡くなった方)の法定相続人を正確に特定するために、戸籍をさかのぼって確認する必要があるからです。
具体的には、被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべて収集し、その記録をもとに配偶者や子ども、兄弟姉妹などの関係性を明らかにします。転籍や婚姻・離婚している場合は戸籍が複数に分かれているため、すべてを取り寄せなければ相続人の確定ができません。
また、相続財産を分割する際には、相続人全員の確認が求められるため、戸籍謄本によって客観的に「誰が相続人か」を証明する必要があります。もし戸籍に不備があれば、遺産分割協議が進まない場合や、手続き自体が差し戻される可能性もあるため、正確な取得と確認が求められます。
婚姻・離婚・養子縁組などの身分関係の証明
婚姻届や離婚届を提出すると、その内容は戸籍に反映されます。そのため、婚姻や離婚、養子縁組といった身分上の変化を証明する際には、戸籍謄本が必要になります。
例えば、再婚時に相手との続柄を証明するために戸籍を提出する場合や、離婚後の名字を変更する際にも役所での手続きに使われます。また、養子縁組を証明する場合も同様に、戸籍謄本が必要です。
家庭裁判所に関わる申立てや公正証書の作成など、法的手続きの場面では公式な身分関係の証明書として、戸籍謄本が求められることがあります。第三者がその関係性を証明する必要がある場面では、公的書類である戸籍謄本の提出が欠かせません。
パスポート申請や国籍確認などの行政手続き
戸籍謄本は、行政手続きでもさまざまな場面で必要になります。代表的なのがパスポートの新規申請です。日本国籍を有することを確認するため、戸籍謄本の提出が求められるケースがあります。
婚姻や氏名変更後にパスポートを作成する場合は、現在の氏名と旧姓のつながりを示すため、戸籍による証明が必要です。また、海外在住の方が日本国籍を保持していることを証明するために、在外公館で戸籍謄本の提出を求められることもあります。
その他にも、児童手当や扶養控除の申請、住民票コードの登録など、本人確認や親族関係の証明が必要な行政手続きでは、戸籍謄本が使われる場面があります。身近な手続きでも必要になるため、目的に応じた戸籍の種類を事前に確認しておくことが大切です。
戸籍謄本の取得方法と注意点

戸籍謄本を使うには、まず正しい手順で取得する必要があります。ただし、自由に取れるわけではなく、申請方法や手数料、個人情報の取り扱いにも注意が必要です。
ここでは、取得に関する基本的なポイントを丁寧に解説します。
戸籍謄本を取得できる人と取得方法
戸籍謄本は、自由に請求できる書類ではありません。取得できるのは、その戸籍に記載されている本人や配偶者、直系の親族(父母・祖父母・子・孫など)に限られています。兄弟姉妹は原則として含まれませんが、正当な理由がある場合に限って請求が認められることもあります。
取得方法には主に窓口での請求と郵送での請求の2つがあります。窓口請求の場合は、市区町村の役所で申請書を記入し、本人確認書類を提示して発行してもらいます。郵送請求では、以下の書類を用意する必要があります。
- 請求書(自治体指定の用紙または任意書式)
- 本人確認書類のコピー(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 手数料分の定額小為替
- 返信用封筒(宛名記入・切手貼付済)
本人でない場合には、請求理由の記載や委任状などが必要になることもあるため、事前に本籍地の自治体に確認するのをおすすめします。
本籍地が遠方にある場合の取得手段
本籍地が現在の住まいから遠く離れていると、戸籍謄本を取りに行くのは簡単ではありません。そのような場合には、郵送での請求や一部自治体で利用できるオンライン申請サービスを活用する方法があります。
郵送で請求する場合、書類の不備によって手続きに時間がかかることもあるため、事前に自治体のホームページで必要な書類や手順を確認しておくとよいでしょう。申請先や担当課の名称、手数料の金額、送付先の住所などは自治体によって違います。
また、近年ではマイナポータルや一部の自治体で提供されている電子申請サービスを通じて、インターネット上で戸籍謄本の請求ができる場合もあります。
ただし、このオンラインサービスに対応していない市町村も多いため、自分の本籍地が対象かどうかを事前に調べておくことが重要です。
取得時に注意すべき個人情報と手数料
戸籍謄本には個人の氏名、生年月日、続柄、婚姻歴など、極めてプライバシー性の高い情報が記載されています。そのため、第三者による不正請求を防ぐために、請求者の本人確認や取得理由の明示が求められます。
提出書類に不備があると、発行が拒否されることもあるため、注意が必要です。また、代理人が申請する場合には、委任状や代理人自身の本人確認書類も提出する必要があります。
手数料については、自治体により若干の差はありますが、1通あたり450円程度が一般的です。窓口での支払いは現金ですが、郵送の場合は定額小為替を同封するのが一般的です。定額小為替は郵便局で購入できます。
個人情報を扱う書類だからこそ、取り扱いには十分な配慮が求められます。発行された戸籍謄本は、目的の手続きが終わった後も保管方法に注意し、第三者に見られないようにしましょう。
戸籍謄本を使う場面に関してよくある質問

戸籍謄本を使う場面に関してよくある疑問についてご紹介します。
戸籍謄本は家族であれば誰でも取得できますか?
戸籍謄本は、原則としてその戸籍に記載されている本人や家族しか取得できません。
具体的には、戸籍に名前が記載されている本人、配偶者、直系の親族(父母や子ども)などが対象になります。兄弟姉妹や甥・姪など、直系ではない親族については、正当な理由がなければ取得は認められません。
また、取得する際には本人確認書類の提示が必要となります。運転免許証やマイナンバーカードなどがこれに該当します。第三者が代理で請求する場合でも、委任状や関係性を証明する書類が求められるため、注意が必要です。
戸籍謄本は、個人情報の保護が強く意識されている書類です。たとえ家族であっても、その関係性が明確でないと請求が通らないケースがあります。特に離れて暮らす親族や疎遠な関係の場合には、事前に戸籍の所在や取得条件を役所に確認しておくとよいでしょう。
戸籍謄本の有効期限はありますか?
戸籍謄本自体には法律上の有効期限は定められていません。しかし、実務上では提出先の機関によって有効と認められる期間が違うことがあります。
例えば、相続や銀行手続きなどでは発行から3か月以内の戸籍謄本を求められるケースが多いようです。これは、提出時点で戸籍の記載内容が最新であることを確認するためです。
そのため、一度取得した戸籍謄本を何度も使いまわそうと考えていると、提出を断られる可能性があります。相続関係の書類では、最新の戸籍であることが厳しく求められる傾向があるため、使用目的に応じて新しく取り直すことが望ましいです。
また、婚姻や養子縁組など、戸籍内容が変更された場合は、以前の謄本が無効になることがあります。こうした変動がある場合は、念のために最新の戸籍を取得し直すことをおすすめ
ます。
提出先の条件をよく確認し、不明な点があれば事前に問い合わせることがトラブルを避けるポイントです。
戸籍謄本を使う場面についてのまとめ

ここまで、戸籍謄本を使う場面についてお伝えしてきました。要点をまとめると以下の通りです。
- 戸籍謄本は家族全員の情報が記載された証明書で、法律上の続柄などを証明するために使われる
- 相続や婚姻、パスポート申請など、人生の節目や行政手続きで提出が求められる
- 取得できるのは限られた親族であり、本人確認や手数料の準備が必要
戸籍謄本は、さまざまな手続きに欠かせない公的書類です。必要なときに戸惑わないよう、取得のルールや活用場面を理解しておきましょう。今回の記事が、皆さまの手続きの一助となれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。