相続税改正の流れとは?2013年度以降から近年までの改正のポイントを解説

日本における相続税の制度は、これまでに幾度もの改正を受けてきました。2013年度の大幅な法改正以降、相続税に関する制度がどのように変化してきたのでしょうか。

 

本記事では、相続税改正の流れについて以下の点を中心にご紹介します!

 

  • 近年の相続税改正の流れ
  • 2013年度の大幅な法改正
  • 2024年度の税制改正のポイント

 

相続税改正の流れについて理解するためにもご参考いただけると幸いです。

ぜひ最後までお読みください。

目次
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近年の相続税改正の流れについて

相続税制度は、社会構造や経済環境の変化に対応するかたちで毎年見直しが行われており、その方針は税制改正大綱という形で年末に政府から発表されます。特に2013年度以降は、大きな制度変更が相次ぎ、納税者にとっても注意が必要な状況が続いています。

 

近年の相続税制度は、資産の適正な移転を促すと同時に、課税の公平性や納税義務の履行を重視した改正が進められており、毎年の税制改正大綱の動向を確認することが不可欠です。

 

2013年度の税制改正のポイント

2013年度に行われた税制改正では、相続税に関する制度が大きく見直されました。なかでも注目されたのが、基礎控除額の引き下げです。これにより、従来は課税対象外だった世帯にも相続税の申告義務が生じるようになりました。

また、相続税および贈与税の税率構造も変更され、課税の累進性が強化されています。加えて、小規模宅地等の特例の見直しや、未成年者控除、障害者控除の取り扱い、さらには相続時精算課税制度の制度改正も行われ、より詳細な理解が求められる内容となっています。

これらの主要な改正点について、それぞれ詳しく解説します。

①相続税の基礎控除が引き下げられた

2013年度の税制改正では、相続税の課税範囲を広げるため、基礎控除額の大幅な縮小が実施されました。

 

それまで、

「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」とされていた非課税枠は、

 

改正後、

「3,000万円+600万円×法定相続人の数」へと見直されました。

 

この基礎控除額は、相続財産に対して相続税がかかるかどうかを判断する基準となる金額であり、これを下回る財産であれば、相続税の申告や納税は不要です。

 

控除額が減額された結果として、相続税の申告が必要となるケースが大幅に増加しました。

 

具体的には、従来であれば相続税の対象とならなかった中間所得層の家庭でも、一定の不動産や金融資産を保有している場合には、課税対象となる可能性が高まりました。国税庁の統計によれば、東京国税局管内で相続税の申告件数は、制度改正前の約18万6,000件から、改正後には約32万2,000件へと急増しています。

 

この改正によって、「自分には関係ない」と考えていた家庭にも相続税申告の義務が生じるケースが増えています。

②相続税の税率構造が8段階へ変更された

2013年の税制改正により、相続税の税率構造が見直され、2015年1月1日以降に発生した相続から新たな税率が適用されています。

 

この改正の主なポイントは、税率区分が6段階から8段階に細分化され、最高税率が50%から55%に引き上げられたことです。

 

具体的には、各法定相続人の取得金額が2億円を超える場合の税率が変更されました。改正前は、2億円を超える金額に対しては一律40%の税率が適用されていましたが、改正後は、2億円超~3億円以下が45%、3億円超~6億円以下が50%、6億円超が55%と、より細かな区分が設けられました。

 

この変更により、高額な相続財産を取得する相続人に対して、より高い税率が適用されることとなります。特に都市部などで不動産価格が高騰している地域では、相続財産の評価額が高くなる傾向があります。

③相続税の未成年者控除と障害者控除の控除額が引き上げられた

相続税における未成年者控除と障害者控除の控除額が引き上げられました。これにより、未成年者や障害者が相続人となる場合の税負担が軽減されることとなりました。

【未成年者控除の改正内容】

未成年者控除は、相続人が未成年である場合に、成人するまでの年数に応じて相続税額から一定額を控除できる制度です。改正前は、20歳に達するまでの年数に6万円を乗じた金額が控除されていましたが、改正後は、10万円に引き上げられました。

【障害者控除の改正内容】

障害者控除は、相続人が障害者である場合に、85歳に達するまでの年数に応じて相続税額から一定額を控除できる制度です。改正前は、一般障害者の場合は1年あたり6万円、特別障害者の場合は1年あたり12万円が控除されていましたが、改正後はそれぞれ10万円、20万円に引き上げられました。

 

例えば、相続開始時に60歳の一般障害者がいた場合、85歳までの25年間に対して10万円を乗じた250万円が相続税から控除されます。

【控除額が相続税額を上回る場合】

未成年者控除や障害者控除の額が、その相続人の相続税額を上回る場合、控除しきれなかった分は、その相続人を扶養している親族(扶養義務者)の相続税額から差し引くことができます。これにより、家族全体の税負担が軽減される仕組みとなっています。

④小規模宅地等の限度面積が拡大された

小規模宅地等の特例は、被相続人が居住または事業に使用していた宅地について、一定の要件を満たす場合に、相続税評価額を最大80%減額できる制度です。この特例により、相続人の税負担が大幅に軽減され、生活基盤や事業の継続を保護しています。

 

この改正により、特定居住用宅地等の限度面積が90㎡拡大され、居住用と事業用の併用時の合計限度面積が330㎡増加しました。これにより、より多くの相続人が特例の恩恵を受けられるようになりました。

【適用要件と注意点】

小規模宅地等の特例を適用するためには、以下の要件を満たす必要があります。

居住用宅地の場合:

被相続人が居住していた宅地を、配偶者または同居していた親族が相続し、相続税の申告期限までその宅地を所有し続けること。

事業用宅地の場合:

被相続人が事業に使用していた宅地を、事業を承継する親族が相続し、相続税の申告期限までその事業を継続し、宅地を所有し続けること。

 

また、特例の適用を受けるためには、相続税の申告期限内に申告を行う必要があります。申告期限を過ぎると、特例の適用を受けられなくなる可能性があるため、注意が必要です。

⑤相続時精算課税制度の適用要件が変更された

相続時精算課税制度とは、一定の条件を満たすことで、父母や祖父母からの贈与について2,500万円まで贈与税がかからずに受け取れる仕組みです。ただし、この制度を利用して取得した財産は、贈与者が亡くなった際に相続財産として合算され、相続税の対象になります。

 

この制度の適用条件が法改正により変更されました。

 

  • 贈与者の条件

これまで:贈与する年の1月1日時点で65歳以上

改正後:同じ時点で60歳以上に引き下げられました。

 

  • 受贈者の条件

これまで:贈与時に20歳以上で、かつ贈与者の推定相続人であること

改正後:上記に加え、20歳以上の孫も対象に含まれるようになりました。

⑥贈与税(暦年課税)の税率構造が8段階へ変更された

暦年課税における贈与税の税率が、これまでの6段階から8段階へと細分化され、より細かな課税が行われるようになりました。それに伴い、最高税率も50%から55%へ引き上げられています。

 

また、新たに一般税率と特例税率の二つに区分される点も注目すべき変更です。

 

特例税率は、祖父母または父母などの直系尊属から、18歳以上の子や孫に対して贈与が行われた場合に適用され、一般的に優遇された税率となっています。対して、一般税率は、それ以外の贈与に対して適用される通常の課税区分です。

 

このような税率の再編によって、贈与の目的や贈与者・受贈者の関係性に応じた、より適切な税負担が求められるようになりました。

2018年7月に成立した相続法改正の内容

2018年7月の改正では、現代の家族構成や生活環境に即したルールへとアップデートされ、遺族の生活や権利をより守るための制度が整備されています。その主な改正内容について紹介します。

配偶者居住権が新たに創設された

相続において、たとえば自宅(土地や建物)3,000万円と預貯金3,000万円を遺産とし、配偶者と子がそれぞれ法定相続分である2分の1ずつ取得する場合、単純に分けるのは難しい場面があります。仮に妻が自宅を相続すれば住まいは確保できますが、生活資金が不足します。一方で預貯金を相続した場合、今度は住む場所に困ることになります。

 

こうした問題に対応するため、新たに配偶者居住権という制度が導入されました。この制度を使えば、配偶者は自宅に住み続ける権利(居住権)を確保しつつ、その他の財産(たとえば預貯金)も取得できます。なお、居住権には売却や賃貸といった処分ができない制約があるため、その評価額は通常の所有権よりも低く算定される点も特徴です。

生前に自宅を配偶者に贈与した場合は相続財産の対象外になった

長年連れ添った夫婦のうち、婚姻期間が20年以上ある場合には、配偶者に自宅を生前贈与または遺贈しても、それが原則として相続財産として扱われないルールが設けられました。

 

以前は、たとえ配偶者の生活を守る目的で自宅を贈与しても、その不動産は相続時に特別受益として評価され、ほかの相続人との遺産分割に影響する可能性がありました。つまり、配偶者が自宅を受け取っている分、相続財産から受け取れるほかの遺産が減る不利があったのです。

 

今回の法改正により、20年以上の結婚生活がある場合に限り、自宅を贈与してもその分は遺産分割の対象から除かれ、ほかの財産も併せて受け取ることができるようになりました。

遺産分割前でも預貯金の払い戻しができるようになった

相続の手続きが完了する前でも、一定の条件のもとで預貯金の一部を引き出せる制度が整備されました。従来は遺産分割協議が終わるまで預貯金を動かせないため、葬儀費用や当面の生活資金の支払いに支障が出るケースが少なくありませんでした。

 

この問題に対応するため、法改正により、相続人は遺産分割前であっても一定額の預貯金を引き出せるようになっています。払い戻しには以下の2つの方法があります。

 

  • 家庭裁判所を通じた手続き

他の相続人の権利を損なわない範囲で、家庭裁判所の許可を得て仮払いを受けることができます。

 

  • 金融機関での直接手続き

各相続人は、自らの法定相続分の3分の1を限度として、1つの金融機関あたり最大150万円までを、ほかの相続人の同意なしに引き出すことができます。

 

これにより、相続手続きの途中でも、必要な資金を速やかに確保しやすくなりました。

遺言書の財産目録をパソコンで作成できるようになった

これまで自筆証書遺言は、全文を自筆で書かなければならず、特に財産目録の記載に手間がかかっていました。しかし法改正により、財産目録部分に限ってはパソコンでの作成や、通帳のコピー、不動産登記事項証明書の添付なども認められるようになり、作成の負担が大きく軽減されました

 

ただし、こうした書類を遺言に添付する際には、本人が自らの意思で用意したことを証明するため、財産目録のすべてのページに署名と押印をする必要があります。この点を忘れずに手続きを進めることが重要です。

法務局(遺言書保管所)での自筆証書遺言の保管制度が創設された

2018年度に設けられた制度により、自筆証書遺言を法務局(遺言書保管所)に預けられるようになりました。この仕組みによって、「遺言書が見当たらない」「紛失してしまった」といった相続時のトラブルを事前に防ぐことができます

 

保管手続きは遺言者本人が行う必要があり、これにより作成が本人の意思に基づくものであることも明確になります。

 

また、被相続人の死後、相続人は法務局を通じて遺言書の有無を調べたり、その内容を閲覧したりすることができ、相続手続きの透明性が高まります。

2021年度の税制改正のポイント

2021年度の税制改正では、相続税や贈与税に関していくつかの重要な見直しが行われました。

主な制度の変更点について解説します。

贈与税の非課税制度が変更された

教育資金、結婚、子育て資金の一括贈与に関する措置の見直しについて、以下のように改正されました。

教育資金の一括贈与を受けた場合

教育資金の一括贈与に対する贈与税の非課税措置については、令和5年3月31日まで延長されました。この改正により、制度の適用を受けた贈与に関して、贈与者が亡くなった場合の相続税の扱いも変更されています。

 

従来は「贈与者が死亡する3年以内の贈与」が相続税の対象とされていましたが、改正後は贈与からの経過年数に関係なく、「贈与者の死亡時点で残っている贈与資金の残額」が相続税の課税対象とされます。

 

ただし、以下のいずれかに該当する受贈者については、このルールが適用されません。

 

  • 23歳未満の者
  • 学校教育を受けている学生
  • 教育訓練給付制度の対象となる講座を受講中の者

 

また、受贈者が孫やひ孫など、子以外の直系卑属である場合には、残高にかかる相続税について2割加算が行われる点にも注意が必要です。

結婚や子育て資金の一括贈与を受けた場合

結婚や子育てにかかる費用を対象とした一括贈与の非課税制度についても、教育資金贈与と同様に、適用期限が令和5年3月31日まで延長されました。

 

さらに、改正により受贈者の年齢要件は従来の20歳以上から18歳以上に引き下げられています

 

加えて、贈与を受ける人が贈与者の子でなく、孫やひ孫などの直系卑属である場合には、贈与者の死亡時に残っていた未使用残高に対して相続税が課税され、その際は税額が2割増しとなる点にも留意が必要です。

相続時精算課税の特例が創設された

相続時精算課税制度を利用するには、贈与者が60歳以上であることが前提ですが、住宅の購入などを目的とした資金贈与については、一定の条件を満たせば、贈与者が60歳未満であっても制度を適用することが認められています。これが住宅取得等資金に係る相続時精算課税の特例です。

 

また、この制度では住宅の床面積に関する要件も緩和され、従来の50平方メートル以上から、40平方メートル以上へと基準が引き下げられ、より多くの物件が対象となるようになりました。

 

この特例により、若年層の住宅取得を支援しつつ、相続時の課税とのバランスも図られる仕組みとなっています。

2022年度の税制改正のポイント

2022年度の税制改正の主な変更点について解説します。

住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税措置が2年間延長された

住宅購入のために父母や祖父母から贈与を受けた際の非課税措置については、適用期限が2023年3月31日まで延長されました。

 

今回の改正では、既存の住宅に関する条件も見直され、従来の築年数に関する要件が撤廃され、新たに新耐震基準を満たしていることが条件として加えられました。

 

また、贈与を受ける側の年齢要件も20歳以上から18歳以上に緩和され、より早いタイミングでの住宅取得支援が可能となっています。

 

非課税となる金額については以下のとおりです。

 

  • 一定の性能を備えた良質な住宅:最大1,000万円まで非課税
  • その他の住宅:最大500万円まで非課税

相続登記が義務化された

相続によって不動産の所有権を得た場合、その取得を認識した日から3年以内に相続登記を行うことが法律で義務づけられることになりました。

 

これにより、登記を放置したままにすることで発生していた不動産の権利関係の不明確さが解消されます。

2023年度の税制改正のポイント

2023年度の税制改正の主な変更ポイントを解説します。

贈与加算期間が7年に延長された

被相続人から生前に財産の贈与を受けていた場合、その贈与分が相続税の課税対象に加えられる贈与加算の対象期間が、従来よりも延びて7年間とされることになりました。

相続時精算課税制度が改正された

贈与加算期間の延長にあわせて、相続時精算課税制度にも見直しが加えられました。これにより、同制度を選択した場合でも、毎年110万円までの贈与については非課税とする基礎控除が適用されることになります。

 

さらに、相続時精算課税を利用して贈与された土地や建物が自然災害などによって損壊や損失を受けた場合には、被害相当額を相続税の課税対象から差し引くことができるようになりました。

教育資金の一括贈与が一定期間延長された

教育資金の一括贈与に対する贈与税の非課税措置について、適用期限が2026年3月31日までさらに3年間延長されました。

 

今回の見直しでは、贈与者が教育資金管理契約の期間中に死亡し、かつその相続財産の課税価格の合計が5億円を超える場合には、たとえ受贈者が23歳未満などの要件を満たしていても、残っている資金が相続によって取得されたものと見なされる仕組みが導入されました

 

また、受贈者が30歳に達するなどして契約が終了し、残額に贈与税が課されるケースでは、特例税率ではなく一般税率が適用される点も改正ポイントです。

マンションに係る評価が変更された

2024年6月1日以降に相続や遺贈、贈与によって取得されたマンションについては、相続税評価の方法が新たに変更されることになりました。

 

これまで、実際の取引価格と相続税評価額との間に大きな差があることが指摘されており、全国的には市場価格のおよそ2.3倍程度の乖離が存在するとされています。このような不均衡を是正するために、新たな評価ルールが導入されることとなったのです。

2024年度の税制改正のポイント

最後に、2024年度の税制改正の主な変更ポイントを解説します。

住宅取得等資金の贈与税の非課税措置等が延長された

父母や祖父母といった直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合に適用される贈与税の非課税特例について、その適用期限が見直され、2026年12月31日まで延長されることになりました。あわせて、適用される非課税枠(限度額)も改正される予定です。

事業承継税制の提出期限が延長された

非上場株式などに関する相続税や贈与税の納税を猶予する特例措置について、これを利用するために必要な特例承継計画の提出期限が見直されました。従来の期限である2024年3月31日から、2026年3月31日までに延長されることが決まっています。

 

また、個人事業の承継に関する制度でも同様に、個人事業承継計画の提出期限が2年間延長されるため、今後の事業承継を予定している事業者にとっては、より柔軟な準備期間が確保されることになります。

相続税改正の流れについてのまとめ

ここまで相続税改正の流れについてお伝えしてきました。

相続税改正の流れの要点をまとめると以下のとおりです。

 

  • 近年の相続税制度は、資産の適正な移転を促すと同時に、課税の公平性や納税義務の履行を重視した改正が進められている
  • 2013年度の税制改正のポイントは、①相続税の基礎控除が引き下げられた、②相続税の税率構造が8段階へ変更された、③相続税の未成年者控除と障害者控除の控除額が引き上げられた、④小規模宅地等の限度面積が拡大された、⑤相続時精算課税制度の適用要件が変更された、⑥贈与税(暦年課税)の税率構造が8段階へ変更されたこと
  • 2024年度の税制改正のポイントは、住宅取得等資金の贈与税の非課税措置等や事業承継税制の提出期限が延長されたこと

相続税改正の背景と詳細を知ることにより、財産管理や税負担を軽減する手立てが見えてきます。改正のポイントを理解し、賢い相続計画を立てましょう。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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