贈与税の計算は、財産の贈与を受けた際に避けて通れない手続きです。
贈与額に応じて税率が異なるため、その計算方法を正しく理解することが重要です。
そこで、贈与税の計算について気になる方も多いのではないでしょうか?
本記事では、贈与税の計算について以下の点を中心にご紹介します!
- 贈与税とは
- 贈与税の計算方法
- 非課税になる場合
贈与税について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
相続ナビに相続手続きをお任せください。

スマホ・PCで登録完了
役所などに行く必要なし
贈与税とは
贈与税とは、個人から無償で財産を受け取った際に課される税金です。
この税は、生前贈与による過度な財産移転を防ぎ、相続税との公平性を保つ目的で設けられています。
贈与税の課税対象には現金、預貯金、不動産、株式、貴金属などが含まれます。
課税対象期間は1月1日から12月31日までの1年間で、基礎控除額として110万円が設定されており、この額を超えた場合に贈与税が課されます。
贈与税は、主に親子間や夫婦間などでの財産の譲渡に適用されますが、法人からの贈与は所得税の対象となります。
税率は累進課税方式で計算され、贈与額が多いほど税率も高くなる仕組みです。
ただし、一定の条件を満たせば、教育資金や住宅取得資金の贈与など、非課税措置を受けられる特例も存在します。
贈与税の申告と納税は、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに行う必要があります。
正確な申告と適切な手続きを行うことで、不要なトラブルやペナルティを回避することが可能です。
専門家の助言を活用することで、節税対策を含めた効果的な資産移転が実現します。
贈与税について気になる方も多いのではないでしょうか? 本記事では、贈与税について以下の点を中心にご紹介します! 贈与税とは 相続税と贈与税の違い 贈与税がかからない場合 贈与税について理解するためにもご参考いた[…]
贈与税の計算方法
贈与税の計算方法には、「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」の2つの方式があります。
それぞれ特徴が異なり、目的や状況に応じて使い分けることが重要です。
暦年贈与
暦年贈与は、1年間(1月1日から12月31日まで)に受け取った贈与額の合計から基礎控除額110万円を差し引いた金額に課税される方式です。
以下の手順で計算します。
- 贈与額の合計を計算
贈与者から受け取った財産の評価額を合計します。 - 基礎控除額を差し引く
基礎控除額110万円を引いた残額が課税価格となります。 - 累進税率を適用
課税価格に応じて、以下の累進税率を適用し、控除額を差し引いて税額を計算します。
一般贈与財産の税率表(親以外からの贈与など)
課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | 0円 |
200万円超~300万円 | 15% | 10万円 |
300万円超~400万円 | 20% | 25万円 |
400万円超~600万円 | 30% | 65万円 |
600万円超~1,000万円 | 40% | 125万円 |
特例贈与財産の税率表(直系尊属からの贈与など)
課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | 0円 |
200万円超~400万円 | 15% | 10万円 |
400万円超~600万円 | 20% | 30万円 |
600万円超~1,000万円 | 30% | 90万円 |
相続時精算課税制度
相続時精算課税制度は、贈与時には一定額まで非課税とし、相続時に贈与分を含めて相続税を計算する制度です。
この制度を利用する場合、以下のポイントがあります:
- 適用対象
- 贈与者は60歳以上の父母または祖父母
- 受贈者は18歳以上の子や孫
- 非課税枠
累計で2,500万円までの贈与が非課税となり、超過分には一律20%の贈与税が課されます。 - 選択の制限
この制度を選択すると、暦年贈与には戻れません。 - 相続時の再計算
贈与された財産は相続時に相続財産に加算され、相続税が再計算されます。
この制度は、まとまった額を一度に贈与したい場合や、生前贈与を計画的に行いたい場合に適しています。
ただし、相続税との関係を考慮し、慎重な判断が必要です。
まとめ
暦年贈与は毎年少額の贈与を計画的に行う際に有効で、相続時精算課税制度は一度に多額の資金を移転する際に適しています。
利用する際には、それぞれの特徴を理解し、適切な制度を選択することが重要です。
相続税計画は、我々の生活において重要な役割を果たします。 その中でも、特に注目すべきは贈与税の課税制度の選択です。 本記事では、相続時精算課税制度について以下の点を中心にご紹介します! 相続時精算課税制度 相続時[…]
税金のかからない範囲
贈与税には、一定額以下の贈与や特定の目的での贈与について非課税となる規定があります。
これにより、計画的な資産移転や贈与税の負担軽減が可能です。
以下は税金がかからない主な範囲です。
1.基礎控除額(年間110万円までの贈与)
贈与税では、毎年1月1日から12月31日までの間に受け取った財産の合計額が110万円以下であれば、贈与税はかかりません。
この基礎控除は、贈与を受ける人ごとに適用されるため、複数の人に分けて贈与することで、非課税の範囲を広げることも可能です。
2.扶養義務者からの生活費・教育費
扶養義務者(親や配偶者など)からの通常必要と認められる範囲の生活費や教育費は、贈与税の課税対象外です。
ただし、贈与された資金を貯蓄や投資に利用した場合は、課税対象となる可能性があります。
3.住宅取得等資金の非課税措置
直系尊属(親や祖父母)から、住宅取得や改修資金として贈与を受けた場合、一定の条件を満たせば、贈与税が非課税となります。
この非課税措置の限度額は、適用される年や住宅の種類によって異なります。
4.教育資金一括贈与の非課税措置
親や祖父母が教育資金を目的として18歳未満の子や孫に贈与した場合、最大1,500万円までが非課税となります。
この制度を利用するには、金融機関で専用の口座を開設し、贈与額を管理する必要があります。
5.結婚・子育て資金の一括贈与
結婚や子育てを支援するため、直系尊属から資金を贈与された場合、最大1,000万円(結婚に関する資金は300万円まで)が非課税となります。
利用には専用の管理口座の開設が必要です。
6.特定障害者扶養信託契約に基づく信託受益権
障害者を扶養するための特定の信託契約に基づいて信託された財産のうち、一定額(最大6,000万円)は贈与税が非課税となります。
これらの非課税範囲を適切に活用することで、贈与税の負担を軽減し、計画的な資産移転が可能です。
利用には各制度の条件や手続きがあるため、詳しい内容や手続きについては税理士や税務署に相談することをおすすめします。
贈与税は、多くの人々が避けたいと思う税金の一つです。 しかし、適切な知識と計画があれば、贈与税をかけずに財産を移転することが可能です。 本記事では、贈与税がかからない方法について以下の点を中心にご紹介します! 贈与税とは […]
非課税になる場合
贈与税には、特定の目的や条件を満たす場合に非課税となる特例があります。
これらを活用することで、贈与税の負担を軽減しながら計画的な資産移転が可能です。
以下に代表的な非課税措置を紹介します。
教育資金
教育資金の一括贈与は、親や祖父母などの直系尊属が18歳未満の子や孫に教育資金を贈与する場合、最大1,500万円までが非課税となります。
対象となる費用には、学費や入学金、教材費、塾の授業料などが含まれます。
この制度を利用するには、金融機関で専用口座を開設し、贈与額の管理を行う必要があります。
結婚・子育て資金
結婚や子育てを目的とした贈与では、親や祖父母からの資金が非課税となる特例があります。
結婚に関する資金は最大300万円まで、子育てに関する資金は最大1,000万円までが非課税の対象です。
この制度では、結婚式費用、妊娠・出産費用、保育料などが含まれます。
教育資金同様、金融機関で専用の管理口座を開設する必要があります。
住宅取得等資金の贈与
直系尊属から住宅取得やリフォーム資金を贈与された場合、一定の条件を満たせば非課税措置を受けることができます。
この非課税枠は、利用する住宅の種類や贈与の実行年によって異なりますが、最大で1,000万円以上が非課税となる場合があります。
要件には、住宅の床面積や耐震基準、受贈者の所得制限などが含まれます。
夫婦間での居住用不動産の贈与
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産またはその取得資金を贈与した場合、2,000万円まで非課税となる特例があります。
この制度を利用することで、住まいの名義変更や老後の住環境整備がしやすくなります。
ただし、贈与された不動産は贈与を受けた配偶者が実際に居住することが条件となります。
これらの非課税措置は、節税だけでなく円滑な財産移転を実現するための有効な手段です。
それぞれの条件や手続きを正確に理解し、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。
贈与税の期限
贈与税の申告と納税には期限が設けられており、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに手続きを完了する必要があります。
この期間中に、税務署に必要な書類を提出し、税額に応じた納税を行うことが求められます。
贈与税の期限を守らない場合、以下のリスクが生じる可能性があります。
- 延滞税の発生
納付期限を過ぎた場合、納めるべき税金に対して延滞税が加算されます。 - 無申告加算税の適用
申告を行わなかった場合、追加の税負担が課されることがあります。 - 税務調査の対象となる可能性
贈与税の申告漏れが発覚した場合、過去の資金移動や財産移転が精査されることがあります。
贈与税の申告には、贈与契約書や財産の評価証明書などの提出が必要です。
期限内に手続きを完了するためには、事前に必要書類を準備し、正確に計算することが重要です。
適切な手続きを行うことで、不要なペナルティやトラブルを防ぐことができます。
贈与税の計算や申告が難しい場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
「贈与を受けたけど、申告っていつまでにすればいいの?」「そもそも、誰が行うの?」贈与税の申告は、贈与に関わる多くの方が抱く疑問です。 贈与の金額や状況によって、申告の必要性や期限は異なります。 この記事では、贈与税の申告期限、申告義[…]
贈与税の計算に関するよくある質問
ここでは、贈与税に関するよくある質問について紹介します。
親から毎月10万円をもらうと贈与税はかかる?
贈与税には、特定の目的や条件を満たす場合に非課税となる制度が設けられています。
これらの制度を活用することで、贈与税の負担を軽減し、計画的な資産移転が可能となります。
以下に、主な非課税制度について詳しく説明します。
教育資金
教育資金の一括贈与の特例
祖父母や父母などの直系尊属が、30歳未満の子や孫に対して教育資金を一括で贈与する場合、最大1,500万円までが非課税となる制度です。
この特例を利用するには、金融機関で専用の口座を開設し、贈与資金を管理する必要があります。
対象となる教育資金には、学校の授業料、入学金、教材費、塾や習い事の費用などが含まれます。
通常の生活費・教育費の贈与
扶養義務者から必要な都度提供される生活費や教育費は、贈与税の非課税対象となります。
例えば、親が毎月子供に生活費や学費を送金する場合、これらは非課税となります。
ただし、一度に多額の資金をまとめて贈与した場合や、贈与された資金が実際に生活費や教育費として使用されず、貯蓄や投資に回された場合は、贈与税の課税対象となる可能性があります。
結婚・子育て資金
結婚・子育て資金の一括贈与の特例
直系尊属が20歳以上50歳未満の子や孫に対して、結婚・子育て資金を一括で贈与する場合、最大1,000万円までが非課税となる制度です。
このうち、結婚資金としては300万円が上限となります。
対象となる費用には、結婚式の費用、新居の賃貸料、不妊治療費、出産費用、育児関連費用などが含まれます。
この特例を利用する際も、金融機関で専用の口座を開設し、資金を管理する必要があります。
住宅取得等資金の贈与
住宅取得等資金の非課税特例
父母や祖父母などの直系尊属から、20歳以上の子や孫が住宅取得や増改築の資金として贈与を受ける場合、一定の非課税枠が適用されます。
非課税限度額は、取得する住宅の種類や省エネ性能、耐震性能によって異なります。
例えば、省エネ等住宅の場合、最大1,500万円までが非課税となることがあります。
この特例を受けるためには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅を取得し、実際に居住することが条件となります。
夫婦間での居住用不動産の贈与
配偶者控除(おしどり贈与)
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産またはその取得資金を贈与する場合、基礎控除110万円に加えて、最大2,000万円までが非課税となる特例です。
この特例を利用することで、合計2,110万円までの贈与が非課税となります。贈与を受けた不動産は、贈与を受けた配偶者が実際に居住する必要があります。
これらの非課税制度を適切に活用することで、贈与税の負担を大幅に軽減することが可能です。
ただし、各制度には細かな条件や手続きが定められているため、利用を検討する際には税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
現金手渡しはいくらまで大丈夫?
現金を手渡しで贈与する場合でも、年間110万円までであれば贈与税の課税対象にはなりません。
これは、贈与税の基礎控除額に該当するためです。
この金額を超える場合、たとえ現金手渡しで贈与したとしても、申告が必要となります。
ただし、現金手渡しによる贈与は注意が必要です。以下のポイントを押さえておきましょう。
1.贈与の事実を証明する必要がある
現金手渡しの場合、税務署から贈与の事実を疑われる可能性があります。
特に、贈与契約書や受領書などの証拠がない場合、贈与が成立したことを証明するのが難しくなることがあります。
そのため、手渡しの場合でも贈与契約書を作成することをおすすめします。
2.口座記録との整合性
税務署は、贈与者や受贈者の銀行口座の入出金履歴をチェックすることがあります。
例えば、贈与者の口座から多額の現金が引き出され、その後受贈者の口座に同額が入金された場合、贈与と判断される可能性が高くなります。
3.相続税との関係
相続開始前の7年以内に行われた贈与は、相続財産に加算される場合があります(令和6年以降は10年に延長)。
そのため、生前贈与として現金手渡しを計画的に行う場合でも、相続税対策として有効かどうか慎重に検討する必要があります。
4.正確な申告が必要
現金手渡しであっても、基礎控除額を超える贈与を行った場合は、贈与税の申告が必要です。
申告を怠ると、延滞税や無申告加算税などのペナルティが課される可能性があります。
現金手渡しでの贈与を行う際は、贈与税の基礎控除額を意識し、適切な記録や証拠を残すことが重要です。
不安がある場合は、税理士などの専門家に相談することで、トラブルを未然に防ぐことができます。
paypayなどで送金するのも贈与税がかかる?
PayPayやLINEPayなどの電子マネーを利用した個人間送金も、贈与とみなされる可能性があります。
現金や銀行振込と同様、年間110万円を超える送金を受け取った場合、贈与税の課税対象となります。
1.電子マネーの送金履歴も確認対象
電子マネーの取引履歴はデジタルで記録されるため、税務署が確認することが可能です。
送金額や頻度によっては、不自然な取引として調査対象となる場合があります。
特に、送金の金額が高額だったり、定期的な送金が行われている場合は注意が必要です。
2.非課税のケース
通常の生活費や教育費のやり取りは、その必要性に基づいて支払われている場合、贈与税が課されない非課税対象です。
しかし、一括で送金されたり、生活費以外の用途(貯蓄や投資など)に使われた場合は贈与とみなされる可能性があります。
3.適切な記録を残すことが重要
PayPayなどで送金する際には、送金の目的や金額を明確にしておきましょう。
また、必要に応じて贈与契約書を作成することで、贈与の意図や金額を証明しやすくなります。
4.贈与税の申告義務
電子マネーを利用した贈与でも、基礎控除額の110万円を超えた場合は、翌年の2月1日から3月15日までの間に贈与税の申告を行う必要があります。
申告を怠った場合、延滞税や無申告加算税が課されるリスクがあります。
5.電子マネーならではの注意点
電子マネーを利用する場合、現金や銀行送金と違い、送金の追跡が容易であるため、贈与税の対象になる取引が発覚しやすい点に注意してください。
定期的な送金が記録されている場合、それが贈与と判断される可能性があります。
PayPayなどの電子マネーで送金を行う場合も、贈与税に関するルールを正しく理解し、適切な対応を行うことが重要です。
不明点がある場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
贈与税の計算についてのまとめ
ここまで贈与税の計算についてお伝えしてきました。
贈与税の計算の要点をまとめると以下の通りです。
- 贈与税とは、個人から無償で財産を受け取った際に課される税金のこと
この税は、生前贈与による過度な財産移転を防ぎ、相続税との公平性を保つ目的がある - 暦年贈与や相続時精算課税制度に従ってポイントを押さえながら計算する
- 教育資金や結婚・子育て資金、住宅取得等資金の贈与などさまざまなシーンで非課税になる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。