親の戸籍謄本が必要になる場面は、相続や遺産分割の手続き、家系図の作成、出生の確認などさまざまです。いざ取得しようと思っても、「自分が請求できるのか」「どこに申し込めばいいのか」「何が書かれているのか」など、疑問が尽きないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、親の戸籍謄本を取得するための基本情報や注意点、手続きの流れについてわかりやすく解説します。手続きをスムーズに進めるための参考にしてください。
親の戸籍謄本について以下の点を中心にご紹介します!
- 親の戸籍謄本の取り方
- 親に代理で戸籍謄本を取得してもらう流れ
- 亡くなった親の戸籍謄本を取得する方法
親の戸籍謄本について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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戸籍謄本とは

戸籍謄本とは、正式には「戸籍全部事項証明書」と呼ばれ、同一戸籍に記載されているすべての人物の身分事項を証明する公的な文書です。主に本籍地の市区町村役場で取得でき、相続や婚姻、パスポート申請など、多くの行政手続きで必要とされます。
相続においては、被相続人の出生から死亡までをたどるために、改製原戸籍や除籍謄本とあわせて取得するケースが一般的です。
戸籍謄本の記載事項
戸籍謄本には、戸籍に記載されているすべての人物の身分事項が漏れなく記載されています。具体的には以下のような情報が含まれます。
氏名・生年月日・性別
個人を特定するための基本情報です。
本籍と戸籍筆頭者の氏名
本籍地の住所と、その戸籍の代表者(筆頭者)の氏名が明記されます。
父母の氏名と続柄
家族関係を把握するための情報で、誰が親か、どのような関係性かが明示されます。
出生・婚姻・離婚・死亡などの身分事項
各人物の出生日や婚姻・離婚の事実、死亡日などが記録され、時系列で並んでいることが多いため、人生の変遷も読み取れます。
養子縁組・認知・氏名変更などの記録
法的な身分変動(例:養子縁組や認知など)も戸籍に記載され、相続や扶養関係の確認に役立ちます。
このように、戸籍謄本は家族構成や血縁関係を公的に証明する唯一の資料であり、相続手続き、生命保険の請求、年金手続きなどでも提出が求められる重要な書類です。
また、内容が古い形式で記録されている場合は「改製原戸籍」や「除籍謄本」といった別の様式で交付されることもあるため、必要に応じて複数の書類をあわせて確認する必要があります。
戸籍謄本が必要な場面

戸籍謄本は、個人の身分関係を証明するための重要な書類であり、さまざまな場面で求められます。
特に次のようなケースで必要になることが多くあります。
相続人の特定
被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本を通じて、誰が法定相続人に該当するかを確認する際に使用されます。
出生から死亡までの連続した戸籍をたどることで、相続人を正確に把握できます。
不動産や預貯金の名義変更手続き
銀行口座の解約・名義変更や不動産登記の変更には、被相続人と相続人双方の戸籍謄本の提出が求められます。
死後事務の処理(契約解約等)
携帯電話、公共料金、賃貸契約などの解約手続きの際、死亡の事実と続柄を証明するために戸籍謄本が必要になる場合があります。
相続税の申告
法定相続人の人数によって基礎控除額が変わるため、正しい相続人の数を証明する戸籍謄本が必要です。
遺言書作成や家庭裁判所への提出
公正証書遺言の作成時や遺言執行に関わる手続きでも、戸籍謄本の提示が必要とされることがあります。
このように、戸籍謄本は主に相続に関連する手続きで多く使われますが、それ以外にも公的証明として必要になるケースがあるため、取得の際には対象者の戸籍の範囲を正確に把握しておくことが重要です。
戸籍謄本の取得方法

戸籍謄本の取得は、本人だけでなく、一定の条件を満たす親族や代理人でも可能です。
ここでは、親が子の戸籍を取得する場合と、子が親の戸籍を取得する場合、それぞれの手続きについて解説します。
親が自分の戸籍謄本を代理で取得する場合
親が本人である子どもの戸籍謄本を代理で請求する場合には、一定の条件を満たしていれば取得が可能です。なお、親と子は直系の親族関係にあたるため、原則として委任状なしでも請求できるケースがあります。
手続きの流れ
本籍地の市区町村役場へ行く
本籍地がある役所の窓口で申請を行います。
申請書を記入する
請求者(親)の情報と、対象となる子どもの戸籍情報を記入します。
本人確認書類を提出
運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類を提示します。
手数料を支払う
1通あたり450円程度の手数料が必要です(自治体により異なる場合があります)。
その場で交付または後日受領
通常はその場で受け取れますが、混雑や書類不備があると後日交付となる場合もあります。
自分が親の戸籍謄本を代理で取得する場合
子どもが親の戸籍謄本を取得することも、原則として可能です。
親子は直系の親族関係にあるため、委任状が不要な場合が多いですが、自治体によって運用が異なるため、事前確認が推奨されます。
手続きの流れ
- 本籍地の役所で申請
親の本籍地にある役所の窓口、または郵送で申請を行います。
- 申請書を作成
請求者(子)の情報と、対象である親の戸籍情報を記入します。
- 本人確認書類の提示または同封
窓口では原本提示、郵送ではコピーを同封します。
- 必要に応じて委任状を用意
自治体によっては、親からの委任状を求められることがあるため、事前に確認しましょう。
- 手数料支払い・交付
交付手数料は原則450円。郵送申請では定額小為替や返信用封筒が必要になります。
親が亡くなった場合の戸籍謄本取得について

親が亡くなった際には、相続や各種手続きを進めるうえで、亡くなった親の戸籍謄本の取得が必要となります。
戸籍謄本は、出生から死亡までの親の身分事項を記録した公的書類であり、相続人の特定や財産の名義変更など重要な手続きに欠かせません。
亡くなった親の戸籍謄本が必要な場面
亡くなった親の戸籍謄本は、以下のような場面で必要となります。
- 相続人の確定
親の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得し、法定相続人の範囲や人数を正確に把握するため。
- 遺産分割や名義変更の手続き
不動産や預貯金、株式の名義変更の際に必要です。
- 相続税の申告
相続人の続柄を証明するために戸籍謄本の提出が求められます。
- その他の死後事務手続き
携帯電話の解約や賃貸契約の解除、生命保険の請求など、さまざまな手続きで戸籍謄本が必要となる場合があります。
亡くなった親の戸籍謄本の取得方法
亡くなった親の戸籍謄本は、相続手続きや各種申請に必要な重要書類です。取得方法は複数あり、状況や利便性に応じて選択できます。
まず、最も一般的なのは本籍地の市区町村役場で直接請求する方法で、窓口で申請書を提出すれば比較的短時間で受け取れます。
忙しくて役所に行けない場合は、郵送請求も可能です。
この場合は、申請書や本人確認書類のコピー、定額小為替、返信用封筒を同封して送付し、書類が整っていれば数日から1週間程度で受け取れます。
また、平成28年から始まった広域交付制度を利用すると、親の本籍地以外の市区町村役場でも戸籍謄本を取得できるため、遠方の場合に便利です。
さらに、マイナンバーカードを所持している場合は、コンビニ交付サービスを利用して対応店舗のコピー機で24時間いつでも取得できるため、迅速かつ手軽な方法として注目されています。
それぞれの方法には申請に必要な書類や手数料が異なる場合があるため、事前に本籍地の役所のウェブサイトや窓口で詳細を確認し、スムーズな手続きに備えることが大切です。
まとめ
- 本籍地の市区町村役場で直接請求
親の本籍地の役所窓口に行き、申請書を提出して取得します。
- 郵送請求
申請書、本人確認書類のコピー、定額小為替、返信用封筒を本籍地の役所に郵送して請求します。
- 広域交付制度の利用
親の本籍地以外の役所でも戸籍謄本が取得できる制度を活用する方法です。
- コンビニ交付サービス
マイナンバーカードを持っている場合、対応するコンビニのコピー機で取得可能です。
親子関係がわかる書類とは

親子関係を法的に証明するためには、正式な公的書類の提示が求められます。
代表的な書類としては、戸籍謄本や除籍謄本があり、これらを通じて親子の繋がりや家族の状況を確認することができます。
戸籍謄本
戸籍謄本は、現存する戸籍簿の全員分の身分事項を記載した書類です。親子関係を示すための最も基本的な証明書類であり、出生、婚姻、認知、養子縁組といった親子関係に関わる情報が記録されています。
現在有効な戸籍に記載されている親子関係を確認する際に利用されます。
除籍謄本
除籍謄本は、戸籍簿から全員が除籍された後の戸籍の写しです。
亡くなった方や転籍などで現在の戸籍に記載されていない親子関係を証明するために必要となることがあります。特に相続手続きなどで過去の親子関係を遡って確認する場合に活用されます。
親の戸籍謄本についてよくある質問

ここでは、親の戸籍謄本についてよくある質問を紹介します。
戸籍謄本を取れば家族全員を証明できますか?
戸籍謄本は、同一戸籍に記載されているすべての家族の身分事項を証明する公的な書類です。
そのため、現在同じ戸籍に登録されている家族全員の情報を確認することができます。
ただし、戸籍謄本はあくまで現在の戸籍に記載されている情報に限られます。
過去に転籍や養子縁組、婚姻などで戸籍が変更された場合、その情報は現在の戸籍謄本には記載されません。
そのため、過去の家族構成や親子関係を証明する場合は、改製原戸籍や除籍謄本など、過去の戸籍の写しが必要となることがあります。
具体的な手続きや必要書類については、各市区町村の役所に確認することをおすすめします。
親が死亡してから戸籍謄本を取るのに何日かかりますか?
- 窓口申請の場合
申請当日に即日発行されることが多く、通常は1日以内で取得可能です。
ただし、混雑状況や申請時間によっては数日かかる場合もあります。
- 郵送申請の場合
書類の郵送期間を含め、申請から受け取りまで約1〜2週間が一般的です。
申請書類の不備や自治体の繁忙期によっては、さらに時間がかかることもあります。
- コンビニ交付サービスの場合
マイナンバーカードを利用し対応コンビニで取得できるため、即日取得が可能です。
親以外に戸籍謄本を代理で取得することは可能ですか?
戸籍謄本の代理取得については、取得できる範囲や条件が法律や各自治体の運用によって厳格に定められています。
一般的に、本人以外が戸籍謄本を代理で取得できるのは、本人との関係性が一定程度近い親族に限られています。
具体的には、本人の直系尊属(父母や祖父母など)や直系卑属(子や孫など)、そして配偶者については、本人の委任状なしでも代理取得が認められる場合が多く、実務上も比較的スムーズに手続きが進みます。
一方、兄弟姉妹やおじ・おば、いとこといった傍系親族や第三者にあたる場合は、代理取得のハードルが高くなります。
これらの親族が代理で請求する際には、本人の正式な委任状が必要となるほか、自治体によっては委任状の内容や本人確認の厳格なチェックが求められます。さらに、正当な理由がない場合は取得を断られることもあるため、事前に各市区町村の窓口に問い合わせて詳細を確認することが不可欠です。
また、弁護士や司法書士、行政書士などの専門家が依頼を受けて代理で取得するケースもありますが、この場合でも本人からの委任状や依頼書が必要となり、法的な正当性が求められます。
特に相続や遺産分割、裁判関連の手続きにおいては、専門家を通じて戸籍謄本の代理取得が行われることが一般的です。
総じて、戸籍謄本の代理取得は、本人との血縁関係や法的関係の近さに応じて許可される範囲が決まっており、それ以外の者が無制限に取得できるわけではありません。
そのため、代理取得を検討する際は、自分の立場や関係性を踏まえ、該当する自治体のルールを事前に把握することが重要です。
親の戸籍謄本についてのまとめ

ここまで親の戸籍謄本についてお伝えしてきました。
親の戸籍謄本の要点をまとめると以下の通りです。
- 子どもが親の戸籍謄本を代理で取得する際は、原則委任状は不要だが、自治体によって異なるため事前確認し、本籍地役所で申請書類と本人確認書類を提出、手数料を支払い取得する
- 親が子どもの戸籍謄本を代理で取得する場合は、原則委任状不要で本籍地役所に申請書類と本人確認書類を提出し、手数料を支払ってその場で受け取れる
- 亡くなった親の戸籍謄本は、本籍地の役所で直接請求するほか、郵送、広域交付制度、マイナンバーカードを使ったコンビニ交付など複数の方法で取得できるため、状況に合わせて選択し事前確認が大切
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。