相続人申告登記とは?概要から必要な書類までを詳しくご紹介

2024年4月の法改正により、相続登記の義務化が始まりました。

その中でも「相続人申告登記」は、相続人が不動産を相続したことを法務局に申告する新たな制度です。

相続登記がすぐにできない場合の代替手段として注目されています。また、相続人申告登記の手続き方法や必要な書類についても、合わせて理解しておくことが大切です。

 

本記事では、相続人申告登記について以下の点を中心にご紹介します。

 

  • 相続人申告登記の概要と、相続人申告登記のメリット・デメリットについて
  • 相続人申告登記が推奨される具体的なケースと、手続きの流れ
  • 手続きに必要な書類と相続人申告登記の注意点

 

相続人申告登記を行う必要のある方はご参考いただけると幸いです。

ぜひ最後までご覧ください。

目次
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相続人申告登記とは

相続人申告登記は、2024年4月1日に施行された相続登記義務化に伴い新設された制度で、相続人が法務局に対し、自己が相続人であることを申告する手続きです。

この申告を行うことで、相続登記の申請義務を履行したとみなされ、過料のリスクを回避できます。

申告には、被相続人の死亡を証明する戸籍謄本、申告者の戸籍謄本、住民票などが必要です。

なお、相続人申告登記は権利移転を伴わないため、不動産の売却や担保設定などの権利行使はできません。

正式な相続登記は、遺産分割協議が成立した後に行う必要があります。

相続人申告登記と相続登記との違い

相続人申告登記と相続登記は、どちらも不動産の名義変更に関わる手続きですが、その目的と内容には明確な違いがあります。

相続人申告登記は、相続人が法務局に対して自己が相続人であることを申告する手続きです。

ただし、相続人申告登記は権利移転を伴わないため、不動産の売却や担保設定などの権利行使はできません。

相続登記は、相続によって取得した不動産の所有権を登記簿に記録する手続きです。

相続人申告登記を経て、遺産分割協議が成立した後に行うことが一般的です。

相続登記を行うことで、正式に所有権が移転し、不動産の売却や担保設定などの権利行使が可能となります。

つまり、相続人申告登記は相続人の確認を目的とした手続きであり、相続登記は実際の所有権移転を目的とした手続きです。

相続人申告登記を行うことで、相続登記の申請義務を履行したとみなされ、過料のリスクを回避できます。

相続人申告登記のメリット

相続人申告登記の主なメリットは、相続登記の申請義務を履行すると、過料のリスクを避けることができる点です。

また、相続人が確定していない場合でも、登記を行うことで不動産の管理が円滑になり、相続手続きの進行をスムーズにする役割も果たします。

手続きを効率よく進められる

相続人申告登記は、相続登記の申請義務を迅速に履行するための手段として有効です。

とくに相続人が複数いるケースや、連絡が取れない相続人がいる場合でも、申告者一人で手続きを進めることが可能です。

これにより、全員の同意を得るための時間や手間を省き、相続登記の義務を早期に履行することが可能となります。

さらに、必要書類も比較的少なく、手続きが簡便であるため、忙しい方や専門知識がない方でも取り組みやすい点が魅力です。

過料を避けることができる

相続登記の申請義務は、相続を知った日から3年以内に行わなければならず、期限を過ぎると10万円以下の過料が科される可能性があります。

相続人申告登記を行うことで、相続登記の申請義務を履行したとみなされ、過料のリスクを回避できます。

特に、相続人が確定していない場合や遺産分割協議が進んでいない場合でも、申告を行うことで法的な義務を果たすことができ、安心して次の手続きに進むことができます。 

費用を抑えられる

相続人申告登記には、相続登記に必要な登録免許税がかかりません。

通常、相続登記では不動産の固定資産税評価額の0.4%の登録免許税が課されますが、相続人申告登記ではこの費用を抑えることができます。

また、必要書類も比較的少なく、取得費用も抑えられるため、全体的なコストを削減することが可能です。

これにより、相続手続きにかかる経済的な負担を軽減し、スムーズな手続きを支援します。

相続人申告登記のデメリット

相続人申告登記は、いくつかのデメリットも伴います。

権利移転が行われないため売却や担保設定ができず、遺産分割協議後は再度手続きが必要になります。

また、申告により登記簿に相続人の氏名と住所が公開されるため、プライバシーの観点で不安を感じる場合もあります。

売却ができない

相続人申告登記は、相続人が自己の相続人であることを法務局に申告する手続きであり、権利移転を伴いません。

そのため、相続人申告登記を行っても、不動産の所有権が他の相続人や第三者に移転するわけではなく、売却や担保設定などの権利行使はできません。

遺産分割協議が成立した場合、再度手続きが必要になる

相続人申告登記は、遺産分割協議が未了であったり、相続人が多数で手続きが煩雑な場合などに、相続登記の申請義務を簡易に履行する手段として利用されます。

しかし、遺産分割協議が成立した場合、正式な相続登記を行う必要があり、再度手続きが必要となります。

登記簿に氏名と住所が登録される

相続人申告登記を行うと、登記簿に相続人の氏名と住所が登録されます。

これにより、登記簿を閲覧した第三者に対して、相続人の情報が公開されることになります。

プライバシーの観点から、これを懸念する方もいるかもしれません。

相続人申告登記が推奨されるケース

相続人申告登記は、相続手続きにおいて特定の状況で非常に有効です。

例えば、複数の相続人がいる場合や、連絡が取れない相続人がいる場合、または相続登記の期限が迫っている場合などに、申告登記が推奨されます。

これらのケースでは、申告登記を通じて相続登記の申請義務を履行し、過料のリスクを回避することができます。

複数の相続人がいる場合

相続人が複数いる場合、全員の同意を得て遺産分割協議を行う必要があります。

相続人申告登記は、相続人全員の同意が得られない場合でも、相続登記の申請義務を履行する手段として利用できます。

連絡がとれない相続人がいる場合

相続人の中に行方不明や連絡がとれない者がいる場合、遺産分割協議が成立しないことがあります。

このような場合でも、相続人申告登記を行うことで、相続登記の申請義務を履行したとみなされます。

ただし、相続人申告登記は権利移転を伴わないため、不動産の売却や担保設定などの権利行使はできません。

相続登記の義務化に伴い、相続手続きの期限が近づいている場合

相続登記の申請義務は、相続を知った日から3年以内です。

期限が迫っている場合、相続人申告登記を行うことで、相続登記の申請義務を履行したとみなされ、過料のリスクを回避できます。

その後、遺産分割協議が成立した際に正式な相続登記を行うことができます。

不要な不動産が含まれているため、遺産分割が進まない場合

相続財産に不要な不動産が含まれていると、遺産分割協議が進まないことがあります。

このような場合でも、相続人申告登記を行うことで、相続登記の申請義務を履行したとみなされます。

その後、遺産分割協議が成立した際に正式な相続登記を行うことができます。

相続人申告登記の手続きの流れ

相続人申告登記の手続きは、相続登記の申請義務を履行するための重要なステップです。

この手続きは、複数のステップを経て進められます。

まず、必要書類を準備し、管轄の法務局に提出するところから始まります。その後、登記官による書類の審査が行われ、問題がなければ申告した相続人の氏名や住所が登記簿に反映されます。

この一連の流れを理解し、スムーズに進めるための重要なポイントを押さえておきましょう。

必要書類を準備

相続人申告登記を行うには、まず必要書類を準備することが求められます。

これには、被相続人の死亡を証明する戸籍謄本や除籍謄本が含まれます。
また、申告を行う相続人自身の戸籍謄本や住民票も必要です。

これらの書類は、相続人であることを証明し、申告の正当性を確認するために必須となります。

準備した書類は、管轄の法務局に提出することで手続きが進められます。

登記官に書類を提出し相続人であることを報告する

必要書類を準備したら、管轄の法務局に提出します。

法務局の窓口で申請を行い、書類の不備がないか確認してもらいます。

申請は郵送やオンラインでも可能ですが、書類の不備があった場合、直接窓口で確認した方がスムーズです。 

登記官による審査

法務局に提出された書類は、登記官によって審査されます。

審査では、提出された書類が正確であるか、相続人であることが確認されます。

審査に問題がなければ、登記が進められます。

登記官は申請した相続人の氏名や住所などを職権で登記簿に記載する

審査が完了すると、登記官は申請した相続人の氏名や住所などを職権で登記簿に記載します。

登記官が登記簿に記載することにより、相続人ということが登記簿に反映されます。

ただし、相続人申告登記は権利移転を伴わないため、不動産の売却や担保設定などの権利行使はできません。 

相続人申告登記の必要書類

相続人申告登記を行う際には、申告者が相続人であることを証明するためにいくつかの重要な書類が必要です
これらの書類を準備し、管轄の法務局に提出することで、手続きを進めることができます。
申告には、申出書をはじめ、被相続人の戸籍謄本や除籍謄本、申告者の戸籍謄本や住民票が必要です。これらの書類は、相続人であることを証明し、申告内容の正当性を確認するために必須となります。

  1. 申出書

相続人申告登記を行う際には、必要書類とともに「申出書」を提出することが求められます。

申出書は、相続人であることを法務局に申告するための重要な書類で、申請者が相続人として登録されるために必要です。

この書類には、申告者の氏名、住所、相続人である旨、申告内容の詳細などを記入します。

申出書は、相続人申告登記の手続きを進めるための正式な申請書となり、書類に不備がないことが審査に影響を与えるため、正確に記入することが重要です。

また、申出書は法務局で所定の形式に従い、提出することが求められます。

  1. 被相続人の戸籍謄本または除籍謄本

相続人申告登記を行う際、最初に必要となるのが被相続人の戸籍謄本または除籍謄本です。

被相続人の戸籍謄本または除籍謄本は、被相続人が死亡した事実を証明するために重要な書類であり、相続人であることを確認するための基礎となります。

戸籍謄本は、被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍を含んでおり、除籍謄本は、被相続人が死亡したことにより除籍された際の記録です。

被相続人が死亡しても戸籍内に他の人が残っている場合は戸籍謄本を、全員が除籍されている場合は除籍謄本を取得します。被相続人の戸籍謄本または除籍謄本は、法務局での相続人申告登記手続きにおいて、申告者が相続人であることを証明するために欠かせません。

取得方法としては、被相続人の本籍地を管轄する市区町村役場で申請することが一般的です。

  1. 申出をする相続人の戸籍謄本

相続人申告登記を申請する際には、申出を行う相続人自身の戸籍謄本も必要です。

申出をする相続人の戸籍謄本は、申出人が実際に相続人であることを証明するために用いられます。

特に、被相続人の配偶者や子どもが申出を行う場合には、申出人の戸籍謄本を提出することで、相続関係を明確に示すことができます。

申出人が兄弟姉妹の場合、被相続人に子どもがいないことや両親がすでに亡くなっていることを証明するために、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や除籍謄本も併せて必要となる場合があります。

申出をする相続人の戸籍謄本は、法務局での相続人申告登記手続きにおいて、申出人が相続人であることを証明するために必ず必要です。

取得方法としては、申出人の本籍地を管轄する市区町村役場で申請することが一般的です。

  1. 申出をする相続人の住民票

相続人申告登記を行う際には、申出をする相続人の住民票も必要となります。

住民票は、申出人の現在の住所を証明するための重要な書類であり、法務局での手続きにおいて、申出人の身元を確認するために使用されます。

住民票には、申出人の氏名や住所が記載されており、相続人申告登記においては、申出人の住所を登記簿に記載するために必要不可欠です。

なお、住民票の写しを提出する際には、申出人の氏名の「ふりがな」や「生年月日」を記載した場合、住所証明情報の提出を省略することが可能です。

ただし、申出人が日本国内に住所を有しない場合や、住民票の写しに必要な情報が記載されていない場合には、住所証明情報の提出が求められることがあります。

住民票は、申出人の住所地の市区町村役場で取得することができます。

相続人申告登記を行う場合の注意点

相続人申告登記を行う際には、いくつかの注意点があります。

申告登記は、相続登記の申請義務を履行するための手続きですが、権利移転や他の相続人への影響がないこと、また申告義務を履行するのは申出人のみである点を理解しておくことが重要です。

被相続人の不動産を売却する場合は相続登記が必要である

相続人申告登記は、相続登記の申請義務を履行するための手続きであり、権利移転を伴いません。

そのため、相続人申告登記を行っても、不動産の所有権が他の相続人や第三者に移転するわけではなく、売却や担保設定などの権利行使はできません。

相続登記の申請義務を履行したとみなされるのは申出人のみ

相続人申告登記は、相続登記の申請義務を履行するための手続きであり、申出人が単独で行うことができます。

しかし、申出人のみが申請義務を履行したとみなされるため、他の相続人が申告登記を行わない場合、過料の対象となる可能性があります。

申告者に固定資産税の請求が届く可能性がある

相続人申告登記を行うと、登記簿に相続人の氏名と住所が登録されます。

これにより、登記簿を閲覧した第三者に対して、相続人の情報が公開されることになります。

その結果、不動産の所有者が亡くなっており、相続登記が未了の場合、固定資産税の請求が申告者に届く可能性があります。

相続人申告登記についてよくある質問

相続人申告登記に関してよくある質問として、費用や手続き後の流れについて疑問を持つ方も多いです。

ここでは、申告登記にかかる費用やその後の手続きについてのよくある疑問について簡単に説明します。

相続人申告登記の費用はいくらですか?

相続人申告登記自体には、法定の手数料は発生しません。

ただし、登記に必要な書類を取得するための実費がかかります。

例えば、戸籍謄本や住民票の取得費用、交通費や郵送費などが含まれます。

これらの費用は自治体や取得方法によって異なりますが、数千円程度が一般的です。

相続人申告登記をしたらその後はどうなりますか?

相続人申告登記を行うと、法務局の登記簿に申告した相続人の氏名と住所が記載されます。

これにより、相続登記の申請義務を履行したとみなされます。

ただし、相続人申告登記は所有権の移転を伴わないため、不動産の売却や担保設定などの権利行使はできません。

その後、遺産分割協議が成立した場合は、正式な相続登記を行う必要があります。

相続人申告登記と必要書類についてのまとめ

ここまで相続人申告登記と登記を行う際に必要な書類についてお伝えしてきました。

要点をまとめると以下の通りです。

 

  • 相続人が不動産を相続したことを法務局に申告する新たな制度
  • 相続人申告登記は費用がほとんどかからず、書類の取得費用のみが必要
  • 相続人申告登記を行うことで、相続登記の過料を回避できる

 

相続人申告登記は、相続手続きの中で重要な役割を果たします。

この記事が、手続きの理解を深める一助となれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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