相続人とはどこまで?法定相続人の範囲や順位などを徹底解説!

相続の話題に触れるとき、「相続人とは具体的に誰なのか」という点において、その範囲や権利については意外と知られていないのではないでしょうか?相続に関するトラブルを防ぐためには、相続人の範囲を正しく理解しておくことが不可欠です。

 

本記事では、相続人とはどこまで?について以下の点を中心にご紹介します!

 

  • 相続人と遺言の有無
  • 相続人の範囲
  • 法定相続人であっても相続権がない場合とは

 

相続人とはどこまで?について理解するためにもご参考いただけると幸いです。

ぜひ最後までお読みください。

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相続人と受遺者との違い

人が亡くなると民法に基づき遺産を引き継ぐ相続人が決まり、範囲や割合も法律で定められています。

相続人は実際に財産を受け取る方、法定相続人は相続する権利を持つ方、受遺者は、遺言によって財産を受け継ぐ方のことを指します。

詳しい違いについて、解説します。

1.相続人は遺言の有無による

遺産を誰が受け継ぐかは、被相続人が遺言を残していたかどうかによって異なります。民法では、原則として遺言書の内容が優先されると定められています(民法第964条)。

 

そのため、遺言書に「特定の財産を誰に渡すか」や「財産の何割を譲るか」といった内容が記載されていれば、そのとおりに遺産が分配されます。遺言により財産を受け取る方は受遺者と呼ばれます。ただし、遺言書は法律で定められた方式に則って作成されなければ無効になる可能性があります。

 

さらに、遺言によっても遺留分と呼ばれる、一定の法定相続人に保障された相続分を侵害することはできません。遺留分が侵害されている場合、受遺者は法定相続人からの請求に応じて、一定の財産を返還または支払う義務が生じるため、注意が必要です。

2.法定相続人の範囲は規定されている

被相続人が遺言書を残していない場合や、遺言に記載のない財産については、民法に基づいて相続人が決まります。このとき、相続する権利を持つ人のことを法定相続人と呼びます。

 

法定相続人には、被相続人の配偶者と、血縁関係にある親族(血族)が含まれます。血族については、誰が優先して相続人となるかの順番や、受け取る遺産の割合について、法律上厳密なルールが定められています。

 

このように、遺言書がない場合でも、民法によって公平な遺産の分配ができる仕組みが用意されています。

法定相続人はどこまで?

被相続人の遺産を引き継ぐことができるのは、民法で定められた法定相続人に限られます。たとえ親族であっても、法定相続人に該当しなければ原則として相続権は認められません。

 

法定相続人に常に含まれるのは配偶者であり、これに加えて、子ども、直系尊属(父母や祖父母など)、兄弟姉妹が、順番に応じて相続人となります。子どもがいれば配偶者と子どもが共同で相続し、子どもがいない場合は父母、父母もいなければ兄弟姉妹が相続する仕組みです。

 

内縁の妻や、離婚した元配偶者、養子縁組していない配偶者の連れ子などは、特別な手続きをしない限り相続人にはなれません。

 

ただし、特別縁故者として家庭裁判所に認められた場合や、介護などの貢献が評価され特別寄与料として請求できる制度も存在します。

 

このように、相続の範囲については正確な理解が必要です。

法定相続人の順位

配偶者は常に相続人

相続が発生した際、被相続人の配偶者は常に相続人です。配偶者が存命であれば、ほかに相続人がいるかどうかに関わらず、常に財産を引き継ぐ権利を持ちます。

 

ただし、ここでいう配偶者とは、法律上の婚姻関係にある者を指しており、内縁関係のパートナーは対象外となるため注意が必要です。正式な婚姻届けが提出されていることが前提となるため、事実婚や婚約中の相手では相続権は発生しません。

法定相続人の順位

遺言書がない場合、誰が相続人になるかは民法の規定にしたがって決まります。まず、配偶者は常に相続人となり、財産を引き継ぐ立場です。配偶者に加えて、血族の中から相続順位に応じて相続人が決まります。

 

第1順位は直系卑属、つまり子や孫、ひ孫など、被相続人より後の世代にあたる方々です。子どもがいれば、配偶者とともに子どもが相続人となります。子や孫がいない場合には、第2順位である直系尊属、つまり父母や祖父母が相続人となります。さらに、直系尊属もいない場合には、第3順位として兄弟姉妹、兄弟姉妹がすでに亡くなっているときは甥や姪が相続人となります。

 

なお、親族であっても法定相続人に該当しない限り原則として遺産を受け取ることはできません。例えば、内縁の妻や離婚した元配偶者、養子縁組をしていない配偶者の連れ子などは相続権がありません。ただし、一定の条件を満たす場合には特別縁故者として財産を取得できることもあります。

 

また、先述したように、2019年の法改正によって、生前に介護などに尽力した親族は、特別寄与料を請求できる制度も設けられました。

法定相続分について

民法において、相続人同士で遺産分割の合意ができない場合に備えて、財産の取り分である法定相続分を定めています。相続人が複数いる場合、それぞれの取り分は原則として均等に分けられます。

 

例えば、配偶者と子どもが相続人である場合、配偶者が遺産の2分の1、子どもたち全体で残りの2分の1を分け合います。子どもが2人以上いる場合は、子どもたちの間でその分をさらに均等に分割します。

 

配偶者と直系尊属(父母や祖父母など)が相続人となる場合は、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1を相続します。直系尊属が複数いる場合も、この3分の1を均等に分け合います。

 

また、配偶者と兄弟姉妹が相続人となるケースは、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1を分割します。兄弟姉妹が複数いる場合も、4分の1を平等に分けるのが原則です。

 

ただし、これらの法定相続分は、あくまで基準であり、相続人同士が話し合って合意すれば、異なる割合で遺産を分割することもできます。

法定相続人の確認方法

相続が開始されたら、誰が相続人または受遺者に該当するかを確認する必要があります。そのために行うべき手続きは以下のとおりです。

1.まずは遺言書を調査し検認する

相続が開始したら、最初に行うべきは遺言書の有無を確認することです。遺言書があれば、そこに記載された相続人や遺産分割の内容が優先されるため、早期の確認が重要です。

 

自宅の金庫や書類棚だけでなく、弁護士、司法書士、税理士などに預けられていないかも調べましょう。公正証書遺言であれば、公証役場を通じて存在確認が行えます。

また、2018年の制度改正により、自筆証書遺言が法務局で保管されている場合もあります。見落としを防ぐため、あらゆる可能性を考えて徹底的に調査する必要があります。

 

なお、自筆証書遺言を発見した場合は、勝手に開封せず、速やかに家庭裁判所へ提出して検認手続きを申し立てます。検認は遺言書の真正を確認し、変造や偽造を防止するために行われる重要な手続きです。

2.戸籍謄本で確認

相続手続きは、誰が法定相続人となるかを正確に把握する必要があります。そのために重要となるのが戸籍謄本の調査です。

 

具体的には、被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本を揃え、親子関係や婚姻歴、養子縁組の有無などを確認します。昨今は家族関係が複雑化しているため、前配偶者との間に子どもがいたり、養子がいる可能性も考慮しなければなりません。

 

相続人候補が見つかった場合は、その方の現在の戸籍抄本も取得して、関係性を明確にします。また、行方不明の相続人が判明した場合には、戸籍の附票を取得して居場所を特定し、連絡を取る必要があります。戸籍謄本は被相続人の本籍地の役所で請求でき、市町村によっては郵送対応も行われています。

 

手続きを確実に進めるためには、戸籍の収集と確認作業を丁寧に行うことが大切です。

法定相続人であっても相続権がないケース

相続欠格に該当する方

法定相続人であっても、相続欠格に該当すると相続権を失います。

 

相続欠格とは、被相続人やほかの相続人を故意に死亡させたり、遺言に関して詐欺や強迫、偽造などの不正を行った場合に、法律上当然に相続権を剥奪する制度です(民法第891条)

欠格に該当する行為をした本人は相続も遺贈も受けられませんが、その子どもは代襲相続できる場合があります。

 

民法は被相続人の意思を守るため、重大な非行があった場合には厳しく相続権を制限しているのです。

相続廃除された方

法定相続人であっても、相続廃除が認められると相続権を失います。

 

相続廃除とは、被相続人が生前または遺言で家庭裁判所に申し立て、推定相続人の相続権を剥奪する制度です。虐待や重大な侮辱、著しい非行がある場合に適用され、対象は配偶者や子、直系尊属に限られます。兄弟姉妹は対象外です。

 

なお、廃除された本人は相続権を失いますが、その子どもは代襲相続人となることが可能とされています。

相続放棄をした方

相続放棄をした場合、その方は初めから相続人でなかったものとみなされ、遺産を受け取る権利を失います。

 

相続放棄は、プラスの財産だけでなく、借金などマイナスの財産もすべて対象となるため、慎重な判断が必要です。手続きは、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。

 

なお、相続放棄をした子に代わって孫が相続する代襲相続は発生しません。代襲相続については、次の「代襲相続とは」で詳しく述べます。

 

また、次順位の相続人が手続きを行うには、先順位者全員の放棄が完了していることが前提となります。

 

代襲相続とは

相続が開始した時点で、本来相続人となるはずだった方がすでに亡くなっている場合には、代襲相続が行われます。代襲相続とは、亡くなった相続予定者の子や孫が、その方に代わって相続権を引き継ぐ仕組みです。この制度は、単に相続人が死亡している場合だけでなく、相続欠格や相続廃除によって相続権を失った場合にも適用されます。

 

代襲相続が認められることで、被相続人の財産が次の世代にきちんと受け継がれるように法律で整備されています。なお、代襲相続は原則として血縁関係にある直系の子孫に限られるため、対象となる範囲にも注意が必要です。

相続財産の範囲について

相続が発生すると、相続人は被相続人のすべての財産上の権利や義務を引き継ぎます(民法896条)。ここでいう権利義務には、動産、不動産、預貯金、株式、各種債権、債務、そして財産に関する法的地位なども含まれます。

こうしたさまざまな相続財産を、プラスの財産とマイナスの財産、対象外のものに分けて、詳しく見ていきましょう。

プラスの財産

相続の対象となるプラスの財産には、次のようなものがあります。

 

■ 現金や預貯金

・手もとにある現金(タンス預金など)

・銀行や信用金庫などに預けている預貯金

 

■ 不動産

・土地

・建物(自宅、投資用不動産など)

 

■ 有価証券

・株式

・投資信託

・国債や社債など

 

■ 動産

・自動車

・宝石、貴金属、美術品など高価な動産

 

■ 債権

・周囲に貸しているお金(貸付金)

・売掛金などの各種債権

 

■ その他の権利

・ゴルフ会員権

・リゾート会員権など、市場で価値が認められる権利

 

このように、プラスの財産は現金や不動産に限らず、さまざまな種類が含まれます。

マイナスの財産

相続には、プラスの財産だけでなく、負債などのマイナスの財産も含まれます。主なマイナスの財産は次のとおりです。

 

■ 借金

・住宅ローンをはじめとする金融機関からの借入金

・消費者金融や個人間の貸し借りによる負債

 

■ 未払いの生活費

・賃貸物件の未納賃料

・未払いの税金(住民税、固定資産税など)

・電気やガス、水道といった公共料金の未納分

 

■ 医療費などの未払い費用

・病院への入院費用や治療費の支払い残

 

■ 保証債務

・借金の連帯保証人となっている場合の保証債務

 

このように、相続人は被相続人の負債も引き継ぐことになるため、財産内容を正確に把握したうえで、相続するかどうかを慎重に判断する必要があります。

対象外のもの

被相続人の財産のなかには、相続によって引き継がれないものも存在します(民法896条但書)。これらは一身専属権と呼ばれ、被相続人個人に特有の性質を持つため、相続人に承継されません。

 

一身専属権の例としては、以下が挙げられます。

 

  • 代理権
  • 使用貸借契約における借主としての地位(※貸主側の権利は相続可能)
  • 雇用契約上の労働者としての地位
  • 組合員としての地位
  • 配偶者居住権および配偶者短期居住権
  • 扶養請求権や財産分与請求権、生活保護受給権

 

ただし、扶養料や財産分与について、具体的な金額が定められた調停や審判が確定している場合には、一身専属性がなくなり、相続対象になることがあります。

 

また、位牌や仏壇、墓地、家系図などの祭祀財産は、民法上、相続財産とは区別して取り扱われるため、遺産分割には含まれません。

相続人の範囲についてのよくある質問

養子は相続人ですか?

養子も、民法上は実子と同じ立場の相続人です。ただし、注意が必要なのは普通養子と特別養子の違いです。

 

普通養子の場合、養親との親族関係が新たに成立するだけでなく、実親との親族関係も引き続き存続します。そのため、養親と実親の両方の相続に関わる可能性があります。

 

一方、特別養子の場合は、養親との親族関係だけが認められ、実親との関係は法律上消滅します。そのため、特別養子は養親側の相続人にはなりますが、実親側の相続には関与できません。この違いを理解しておくことが大切です。

相続人が未成年の場合はどうなりますか?

未成年者は、民法上、自身だけで遺産分割などの法律行為を行うことができません。したがって、相続人に未成年者が含まれる場合には、代理人を立てる必要があります。

 

親が子どもの法定代理人となりますが、相続において親自身も相続人であるケース、例えば、配偶者と未成年の子がともに相続人となる場合には、利益相反の関係が生じるため、親が子の代理人にはなれません。このような場合は、家庭裁判所に申し立てて特別代理人を選任してもらう必要があります。選任された特別代理人が、未成年者に代わって遺産分割協議に参加します。

相続人や遺言書が存在しない場合はどうなりますか?

相続人も遺言書も存在しない場合、家庭裁判所が相続財産管理人を選任する手続きに進みます。

 

まず、管理人選任の旨が2ヶ月間公告され、その間に相続人や債権者を探索する公告が続けられます。この公告期間は2ヶ月〜6ヶ月程度とされ、期間中に相続人が名乗り出なければ、相続人不存在が確定し、最終的に遺産は国庫に引き継がれます。

 

また、この公告期間中に相続人が現れなかった場合、内縁の配偶者など特別な関係にあった特別縁故者が家庭裁判所に財産分与の申し立てを行うことができます。認められれば、特別縁故者は残った相続財産の全部または一部を受け取ることができます。

相続人とはどこまで?についてのまとめ

ここまで相続人とはどこまで?についてお伝えしてきました。

相続人とはどこまで?の要点をまとめると以下のとおりです。

 

  • 遺産を誰が受け継ぐかは、被相続人が遺言を残していたかどうかによって異なり、原則として遺言書の内容が優先されると定められている
  • 相続人に常に含まれるのは配偶者であり、これに加えて、子ども、直系尊属(父母や祖父母など)、兄弟姉妹が、順番に応じて相続人となる
  • 法定相続人であっても相続権がない場合は、①相続欠格に該当する方、②相続廃除された方、③相続放棄をした方である

 

相続人は、法律上の定義と家族の状況に基づいて決定されますが、その範囲は場合によって異なります。また、遺言書の有無によっては、さらに細かな調整が必要となる場合もあるため、あらかじめしっかりと準備しておくことが重要です。

 

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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