遺産相続は、亡くなった方の財産を法定の順序に従って相続人に移転する法律上の制度です。
しかし、この過程は単純なものではありません。
相続人は、相続が開始された時点から様々な手続きを行い、それぞれに厳密な期限が設けられています。
本記事では、遺産相続の手続きの期限について以下の点を中心にご紹介します。
- いつを起点に期限を計算するのか
- 相続手続きが期限内に終わらない場合のデメリット
- 期限のない相続手続き
遺産相続の手続きの期限について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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遺産相続に必要な手続きの期限

遺産相続は、亡くなった方の財産を法定の順序に従って相続人に移転する法律行為です。
しかし、この過程には一連の手続きと期限が伴います。適切な手続きを期限内に行わないと、法的な問題や金銭的な損失を招く可能性があります。
遺産相続に関する手続きは多岐にわたり、それぞれが異なる期限を持っています。
これらの期限は、相続人が適切な行動をとるためのガイドラインとなります。
期限を遵守することで、相続人は法的な問題を避け、遺産の適切な管理と分配を確保することができます。
期限のある相続手続き
遺産相続には、いくつかの重要な手続きがあり、それぞれに特定の期限が設けられています。
以下に主なものを挙げます。
- 死亡届、火葬許可申請書:亡くなった方の死亡を公的に報告し、火葬を許可するための手続きで、7日以内に行う必要があります。
これは、遺産相続の最初のステップであり、遺産相続の全体的な手続きを開始します。 - 年金受給停止、健康保険資格や世帯主の名義変更:これらの手続きは14日以内に行う必要があります。
これらは、遺産相続人が亡くなった方の公的な記録を更新するための手続きです。 - 相続放棄、限定承認:相続を放棄したり、限定的に承認したりする手続きは、3カ月以内に行う必要があります。
これは、相続人が遺産を受け取るかどうかを決定するための手続きです。
これらの手続きは、適切な期間内に行わなければならないため、遺産相続に関わるすべての関係者がこれらの期限を理解し、遵守することが重要です。
いつを起点に期限を計算するのか?
遺産相続の手続きの期限は、一般的には「相続が開始した日」から計算されます。
これは通常、亡くなった方の死亡日となります。
しかし、特定の手続きについては、その手続きが必要となった日から期限が計算される場合もあります。
例えば、相続放棄の期限は、相続が開始した日から3カ月後とされています。
しかし、相続放棄の意思表示が必要となった日から3カ月後と解釈することも可能です。
このような状況では、法律の専門家に相談することが重要です。
相続手続きについては、こちらの記事もお読みください。
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相続手続き開始から3~10カ月以内

ここでは、相続手続き開始から3~10カ月以内の手続きについて説明します。
3カ月以内:相続方法の選択
相続が発生した際、相続人は法律上、3つの選択肢から一つを選ぶ必要があります。
それらは「単純承認」、「限定承認」、「相続放棄」です。
これらの選択は、相続の開始を知った日の翌日から3カ月以内に行う必要があります。
- 単純承認:これは最も一般的な選択で、相続人は亡くなった人の全ての財産と借金を引き継ぎます。
これは、相続人が遺産の全てを受け入れる意思を示すもので、一度行われると取り消すことはできません。 - 限定承認:この選択では、相続人は亡くなった人の財産を引き継ぎますが、借金はプラスの財産の範囲内でのみ引き継ぎます。
これは、相続人が自身の財産を保護するための選択で、遺産の価値が借金を上回る場合にのみ有効です。 - 相続放棄:この選択では、相続人は全ての財産と借金の引き継ぎを放棄します。
これは、遺産の価値が借金を下回る場合、または相続人が遺産を受け取ることを望まない場合に選択されます。
4カ月以内:準確定申告
準確定申告は、亡くなった人の所得税の申告を行う手続きで、亡くなったことを知った日の翌日から4カ月以内に行う必要があります。
この申告は、亡くなった人の1月1日から死亡日までの所得に対する税額を計算し、納税を行うものです。
準確定申告は、通常の確定申告と同様に重要であり、期限を遵守することが求められます。
準確定申告は、遺産相続の一部として行われ、相続人が亡くなった人の所得税を正確に計算し、納税する責任があります。
この手続きは、遺産相続の全体的な手続きの一部であり、適切に行われなければ、遺産相続の他の部分に影響を及ぼす可能性があります。
10カ月以内:相続税申告
相続税の申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に行うことが法律で定められています。
この期間内に、相続税の申告と納税を終える必要があります。
相続税の申告は、遺産の価値を正確に評価し、適切な税額を計算するために必要です。
期限を遵守しないと、無申告加算税や延滞税などのペナルティが科せられる可能性があります。
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相続手続き開始から1~3年以内

ここでは、相続手続き開始から1~3年以内の手続きについて説明します。
1年以内:遺留分侵害額請求
遺留分侵害額請求は、相続人が自身の法定遺留分を保護するための重要な手続きです。
遺留分侵害額請求権は、相続開始と遺留分侵害を知った時から1年以内に行使しなければならないと法律で定められています。
この期間を過ぎると、遺留分侵害額請求権は消滅し、遺留分を受け取ることが難しくなります。
遺留分侵害額請求は、遺産の価値が借金を下回る場合や、遺産分割が不公平である場合など、遺留分が侵害されていると認識した場合に行うことができます。
適切な遺留分侵害額請求を行うためには、専門家の助けを借りることを強く推奨します。
2年以内:死亡一時金の受取請求
死亡一時金は、国民年金の制度の一部で、亡くなった人の所得税の申告を行う手続きです。
この申告は、亡くなった人の1月1日から死亡日までの所得に対する税額を計算し、納税を行うものです。
死亡一時金の請求は、死亡日の翌日から2年以内に行う必要があります。
この期間を過ぎると、死亡一時金の請求権が消滅し、受け取ることができなくなります。
3年以内:死亡保険金の受取請求
死亡保険金は、被保険者が死亡した場合に保険契約に基づき支払われる金額です。
死亡保険金の請求は、被保険者の死亡日から3年以内に行う必要があります。
この期間を過ぎると、死亡保険金の請求権が消滅し、受け取ることができなくなります。
しかし、保険会社が時効を主張しなければ、期限を過ぎても請求が可能です。
適切な死亡保険金の請求を行うためには、専門家の助けを借りることを強く推奨します。
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相続手続き開始から3年10か月以内、5年10カ月以内

ここでは、相続手続き開始から3年10か月以内、5年10カ月以内の手続きについて説明します。
3年10か月以内:「配偶者の税額軽減」「小規模宅地等の特例」など特例の適用
相続税の申告には、特例という制度があります。
これは、一定の条件を満たすことで、相続税の負担を軽減するためのものです。
特例の適用は、相続開始から3年10か月以内に行う必要があります。
- 配偶者の税額軽減:配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産をもとに計算される制度です。
相続税の申告期限までに分割されていない財産は、税額軽減の対象になりません。
しかし、相続税の申告書、または更正の請求書に申告期限後3年以内の分割見込書を添付した上で、申告期限までに分割されなかった財産について、申告期限から3年以内に分割したときは、税額軽減の対象になります。 - 小規模宅地等の特例:小規模宅地等の特例は、自宅や事業用地として使っていた宅地の相続税評価額を50%または80%減額する制度です。
適用するためには、原則として、相続税の申告期限までに遺産分割を済ませて税務署に申告書を提出する必要があります。
ただし、さまざまな事情で遺産分割や申告書の提出が期限に間に合わないケースもあります。
そのようなときでも、一定の手続きをすることで小規模宅地等の特例を適用することができます。
5年10カ月以内:更正の請求(還付請求)
更正の請求は、確定申告の申告期限の後に、税額を多く申告していた場合や還付された金額が過小の場合に修正する手続きです。
更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内です。
更正の請求を行うと、税務署ではその内容の検討をして、納め過ぎの税金がある等と認めた場合には、減額更正をして税金を還付または純損失の金額を増加することになります。
したがって、所得金額の増減や所得控除の追加があっても、最終的な税額または純損失の金額に異動がない場合は、更正の請求はできません。
相続手続きが期限内に終わらない場合のデメリット

相続手続きは、遺産を法定の順序に従って相続人に移転するための一連の手続きです。
しかし、このプロセスは一連の手続きと期限が伴います。
適切な手続きを期限内に行わないと、法的な問題や金銭的な損失を招く可能性があります。
税金の軽減制度などが利用できなくなる
相続税の申告には、特例という制度があります。
これは、一定の条件を満たすことで、相続税の負担を軽減するためのものです。
特例の適用は、相続開始から3年10か月以内に行う必要があります。
期限を過ぎると、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減などの税金軽減制度が利用できなくなります。
相続税の延滞税がかかる
相続税の申告・納付期限は「相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」です。
期限内に納付しなかったときは、相続税の本税に延滞税が加算されます。
延滞税は、税金の未納に対するペナルティであり、その額は納税額と納税期限を過ぎた日数によって決まります。
新たな相続が発生してしまう可能性がある
相続手続きが終わらない間に相続人が亡くなると、新たな相続が発生するリスクがあります。
これにより、相続手続きがより複雑になり、さらに多くの手続きと時間が必要になります。
相続手続きは、適切な期間内に行わなければならないため、遺産相続に関わるすべての関係者がこれらの期限を理解し、遵守することが重要です。
特に期限のない相続手続き

相続手続きには一部期限が設けられていますが、全ての手続きが期限付きではありません。
以下に、特に期限のない重要な相続手続きについて詳しく説明します。
遺言書の検認
遺言書の検認は、遺言の存在と内容を相続人に知らせ、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。
遺言書の保管者や発見者が遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に申立書と必要書類を提出し、検認済証明書を取得することができます。
この手続きには特定の期限は設けられていませんが、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく行うことが推奨されます。
遺産分割協議・調停・審判
遺産分割協議は、相続人間で遺産の分割方法を話し合う過程です。
協議がまとまらない場合、家庭裁判所で遺産分割調停または遺産分割審判を行うことができます。
調停は相続人間の話し合いを裁判所が補助するもので、審判は裁判官が遺産分割方法を決定する手続きです。
これらの手続きには特定の期限は設けられていません。
銀行口座などの名義変更
銀行口座の名義変更は、相続が発生した際に必要となる手続きです。
被相続人が亡くなった時点で口座が凍結されるため、名義変更は不可欠です。
この手続きには特定の期限は設けられていませんが、被相続人の死亡を確認した後、遅滞なく行うことが推奨されます。
遺言書がない場合・ある場合の相続手続き

相続手続きは複雑で時間がかかるものですが、一部の手続きには法律で定められた期限が存在します。
期限を過ぎてしまうと、税金の軽減制度が利用できなくなったり、延滞税が課せられたりする可能性があります。
そのため、期限内に手続きを終えるための計画的な行動が求められます。
遺言書がない場合
遺言書がない場合、まず法定相続人を確定し、相続財産と債務を調査します。
その後、相続人全員で遺産分割協議を行います。
この遺産分割協議は、相続人間で遺産の分割方法を話し合う過程で、協議がまとまらない場合、家庭裁判所で遺産分割調停または遺産分割審判を行うことができます。
これらの手続きには特定の期限は設けられていませんが、適切に遺産を管理・分割するために重要です。
遺言書がある場合
遺言書がある場合、遺言書の内容に従って相続手続きを進めます。
遺言書の種類(自筆証書遺言か公正証書遺言か)によって、手続きの流れが異なります。
自筆証書遺言の場合、遺言書の検認手続きが必要となります。
公正証書遺言の場合、遺言書の内容を確認し、遺言執行者(遺言書に指定されている場合)に手続きを任せます。
遺言書がある場合でも、遺産分割協議を行うことが可能です。
以上の手続きは、相続人が適切に遺産を管理・分割するために重要です。
それぞれの手続きについては、専門家の助けを借りることも可能です。
相続手続きは複雑であり、適切な知識と理解が必要となりますので、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。
遺産相続の手続きの期限についてのまとめ

ここまで、遺産相続の手続きの期限についてお伝えしてきました。
遺産相続の手続きの期限の要点をまとめると以下の通りです。
- いつを起点に期限を計算するのかは、一般的には「相続が開始した日」から計算される
- 相続手続きが期限内に終わらない場合のデメリットは、税金の軽減制度などが利用できなくなる、相続税の延滞税がかかる、新たな相続が発生してしまう可能性があるなど
- 期限のない相続手続きは、遺言書の検認、遺産分割協議・調停・審判、銀行口座の名義変更など
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


