認知症は、高齢者の間で増加している問題であり、その影響は多岐にわたります。
その一つが相続です。
認知症を患っている人が相続人である場合、または相続財産の所有者である場合、その状況は複雑になります。
本記事では、相続における認知症について以下の点を中心にご紹介します!
- 認知症の相続人がいる相続手続きの問題
- 認知症の家族がいる時の生前の対策
- 成年後見人
相続における認知症について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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認知症の相続人がいる相続手続きの問題
相続は、故人の財産を次の世代に引き継ぐ重要な手続きですが、相続人の中に認知症の方がいる場合、特別な配慮と手続きが必要になります。
認知症の相続人がいる場合の相続手続きには、以下のような問題点があります。
遺産分割協議が困難に
相続においては、故人の財産をどのように分けるかを決める遺産分割協議が必要です。
しかし、認知症の相続人がいる場合、その人の判断能力が問題となります。
認知症の重度が進んでいる場合、本人の意思を正確に反映させることが困難になり、遺産分割協議が成立しない可能性があります。
代筆や代行の無効リスク
認知症の相続人が自ら署名や印鑑を押すことが困難な場合、家族が代わりに署名や押印をすることが考えられますが、これは法的に無効とされる可能性があります。
また、私文書偽造の罪に問われるリスクもあり、適切な法的手続きを通じて、正式な代理人を設定することが重要です。
相続放棄の困難
通常、相続人は相続放棄をすることができますが、認知症の相続人は自らの意思で相続放棄をすることが困難です。
相続放棄は本人の明確な意思表示が必要な法律行為であり、認知症の方が適切な判断を下すことは期待できません。
この場合、成年後見制度などを利用して法的な対応を検討する必要があります。
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成年後見制度の利用
認知症の相続人がいる場合、成年後見制度を利用することが一つの解決策となります。
成年後見人が選任されれば、相続人の代わりに遺産分割協議や相続放棄などの手続きを行うことができます。
しかし、成年後見制度を利用するには、裁判所の手続きが必要であり、時間と費用がかかることを理解しておく必要があります。
事前対策の重要性
認知症の進行は予測が難しく、突然相続が発生することもあります。
そのため、認知症の家族がいる場合は、早めに家族信託や遺言書の作成など、相続に関する事前対策を行うことが推奨されます。
これにより、相続が発生した際の手続きをスムーズに進めることができます。
認知症の親が相続人となった場合の問題点とは?
相続は家族にとって重要な手続きですが、認知症の親が相続人となる場合、特に注意が必要です。
認知症の状態では、相続手続きにおいて多くの問題が生じる可能性があります。
ここでは、認知症の親が相続人となった場合の問題点を解説します。
税負担を下げる特例が使えない
認知症の親が相続人となると、税負担を軽減するための特例措置を利用することが難しくなります。
例えば、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減など、適切な遺産分割協議を行うことで利用できる特例が、認知症の状態では適用されない可能性があります。
これにより、相続税の負担が重くなることが懸念されます。
預金口座は相続手続きが完了するまで凍結される
相続が発生すると、故人名義の預金口座は通常凍結されます。
しかし、認知症の親が相続人となっている場合、相続手続きが遅れることで口座の凍結が長引くことがあります。
これにより、相続人が日常生活に必要な資金を引き出すことが困難になる可能性があります。
不動産が共有名義になってしまう
認知症の親が相続人の一人となると、不動産の相続において共有名義が発生する可能性があります。
共有名義となった不動産は、将来的に売却や管理において複雑な問題を引き起こすことがあります。
特に、認知症の親が意思表示を適切に行えない場合、不動産の処分や管理に関する合意形成が困難になります。
認知症の相続人を隠した場合と発覚のタイミング
認知症の相続人の状態を相続手続き中に隠すことは、銀行や家庭裁判所などで様々な問題を引き起こす可能性があります。
ここでは、認知症の相続人を隠した場合の可能性とその影響について説明します。
認知症の相続人を隠すことの影響
認知症の相続人を隠す行為は、法的な問題を引き起こす可能性があります。
その発覚のタイミングは、多くの場合、遺産分割協議の段階で明らかになります。
以下では、様々な場合における認知症の相続人を隠すことの影響について解説します。
銀行での法的影響
認知症の相続人を隠す行為は、銀行取引にも影響を及ぼす可能性があります。
具体的な影響は、銀行の規定や個々の事情によります。
例えば、認知症の相続人が銀行口座を操作した場合、その行為が無効となる可能性があります。
また、銀行は顧客の信用情報を管理し、その情報が誤っていた場合、銀行自身が法的な問題に直面する可能性もあります。
したがって、認知症の相続人を隠す行為は、銀行と顧客双方にとって重大な影響を及ぼす可能性があります。
取引の無効
認知症の患者が取引の性質や結果を理解できない場合、彼らが行う契約や合意は無効とみなされる可能性があります。
銀行が適切な代表なしに認知症の方によって取引が行われたことを発見した場合、取引を取り消すことができます。
詐欺の疑い
認知症である状態を隠し、相続手続きを操作しようとする方は詐欺の疑いに直面する可能性があります。
特に金融取引が関与する場合、関係者に対する法的措置を招く可能性があります。
家庭裁判所での影響
家庭裁判所は、家事事件や少年事件を扱う場所であり、認知症の相続人を隠す行為が明らかになった場合、その影響は深刻です。
以下では、家庭裁判所での影響について解説します。
合意の無効化
家庭裁判所は資産の公正かつ合法的な分配を監督します。
認知症の相続人の状態を隠して相続手続きに影響を与えたことが発覚した場合、行われた合意や決定は無効とされる可能性があります。
法的罰則
認知症の相続人の状態を隠すことは、法的罰則を招く可能性があります。
これには、手続きの無効化や、関与した方々に対する法的責任が含まれる可能性があります。
相続手続きで認知症の人がいることがバレるタイミング
相続手続きは、相続人の意思能力を確認する重要な手続きであり、認知症の相続人がいる場合、その存在が明らかになる可能性が高いです。
具体的には、銀行での預金口座解約手続き、家庭裁判所での相続放棄・限定承認の申立て、不動産の相続登記などの際に、認知症が発覚する可能性があります。
また、法律の専門家に相談した際にも、認知症の存在が明らかになることがあります。
以下では、相続手続きにおいて相続人の中に認知症の人がいることがバレるタイミングについて解説します。
銀行の手続き時
銀行での相続手続き時に、相続人の認知状態が問題となることがあります。
特に、口座の名義変更や解約などの手続きを行う際、認知症の相続人が自らの意思で行動することができない場合、その事実が銀行によって認識されることがあります。
家庭裁判所での手続き時
成年後見制度の申立てや遺産分割協議の調停を行う際、家庭裁判所において相続人の認知状態が問題となります。
裁判所は、相続人の判断能力に関する情報を要求し、必要に応じて医師の診断書などを求めることがあります。
その他の法的手続き時
不動産の相続登記や相続税申告など、他の法的手続きを行う際にも、認知症の相続人の状態が明らかになることがあります。
これらの手続きは、相続人の意思決定能力が重要となるため、認知症の事実が関係者に知られることがあります。
遺産分割協議を行うためには
相続が発生した際、遺産分割協議は故人の財産を相続人間で分配するための重要な手続きです。
しかし、特に認知症の相続人がいる場合、遺産分割協議を進めるにはいくつかの障壁があります。
ここでは、遺産分割協議を行うために必要な対策と注意点を解説します。
成年後見制度を利用する
認知症の相続人がいる場合、遺産分割協議を進めるための唯一の対処策は成年後見制度を利用することです。
成年後見制度は、認知症などで自身の財産管理が難しくなった方の代わりに後見人が財産管理や重要な契約などを行う制度です。
後見人が本人の代理人として遺産分割協議に参加し、必要な手続きを進めることができます。
遺産分割協議せず「法定相続分で分ける」ことの問題点
法定相続分に従って遺産を分ける場合、共有状態の不動産は売却や賃貸が困難になります。また、一定額を超える預貯金の払戻しや相続税を抑える特例の利用ができなくなるなど、多くの問題が生じます。
認知症の家族がいるときの生前対策
相続人の1人が認知症になる可能性がある場合、遺言書の作成、家族信託の設定、生前贈与など、生前に対策を講じておくことが重要です。
これらの対策は、相続発生後のトラブルを回避し、スムーズな遺産分割協議を可能にします。
遺産分割協議は相続手続きの中心的な部分を占めますが、認知症の相続人がいる場合には特に注意が必要です。
成年後見制度の利用や生前対策の実施など、適切な準備と対応が求められます。
相続手続きを円滑に進めるためには、早めの計画と法的なアドバイスを受けることが重要です。
成年後見人とは
成年後見制度は、認知症や精神的な障害により判断能力が衰えた方を保護・支援するための法的な枠組みです。
成年後見人制度は、本人の財産管理や日常生活の決定などをサポートするために、成年後見人が選任されます。
ここでは、成年後見人の役割、資格、手続きの流れ、および注意点について解説します。
成年後見制度の種類
成年後見制度には、「法定後見」と「任意後見」の2つのタイプがあります。
法定後見は、本人の判断能力が低下した後に家庭裁判所に申し立てを行い、審判をもって後見人が選任される制度です。
一方、任意後見は、本人がまだ判断能力があるうちに、将来の財産管理や身上監護を任せる方と契約を結んでおく制度です。
成年後見人になるための資格
成年後見人になるために特別な資格は必要ありませんが、未成年者や破産者、本人に対して訴訟をしている者などは後見人になることができません。
法定後見の場合、誰を後見人とするかは最終的に家庭裁判所が決定しますが、任意後見の場合は本人が契約により決定します。
成年後見人になる手続きの流れ
法定後見人になるためには、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に後見開始の申し立てを行います。
申立人は、本人や配偶者、4親等内の親族などに限られた者です。
申し立てには、財産目録や医師の診断書などの添付書類が必要です。
家庭裁判所は、申立書の内容や関係者の面談、医師の鑑定などを基に後見開始の審判を行います。
注意点
成年後見人には、いくつか注意点が存在します。
以下で、その注意点について解説します。
後見人の責任
成年後見人は、本人の財産を管理し、本人の利益を最優先に考える「善管注意義務」が課されます。
また、後見人が職務を行うにあたっては、家庭裁判所に対して定期的に報告する必要があります。
後見人の選任と辞任
一度後見人に選任されると、本人が亡くなるまで職務が続きます。
辞任するには家庭裁判所の許可が必要であり、自己都合で辞めることはできません。
専門職後見人
親族間に意見の対立がある場合や本人の資産が多額の場合など、専門職後見人が選任されることがあります。
専門職後見人には報酬の支払いが必要ですが、専門的な知識と経験を持っているため、複雑な財産管理を適切に行うことができます。
成年後見制度を利用する際の注意点
成年後見制度は、認知症やその他の理由で判断能力が不十分な成人を保護するための法的な手段です。
しかし、この制度を利用する際にはいくつかの注意点があります。
ここでは、成年後見制度を利用する際の重要な注意点を解説します。
後見人は親族以外が選ばれる可能性が高い
成年後見制度において、後見人には親族が選ばれることもありますが、専門家が選ばれることが多いです。
家庭裁判所は、後見人の選任に際して、本人の利益を最も守れる人物を選びます。
これは、親族間の利害対立を避けるためや、専門的な知識が必要な場合に専門家を選ぶためです。
そのため、親族が後見人になることを望む場合は、その理由をしっかりと裁判所に説明する必要があります。
後見人には報酬が発生する
後見人には、その職務を遂行するための報酬が発生します。
特に専門家が後見人になった場合、その報酬は相続人の財産から支払われることになります。
報酬の額は、後見人の職務の内容や財産の状況によって異なりますが、事前にしっかりと確認し、相続人間で納得した上で進めることが重要です。
他の相続人の意図通りになるとは限らない
成年後見制度を利用すると、後見人が本人の代わりに遺産分割協議に参加します。
しかし、後見人は本人の利益を最優先に考えるため、他の相続人が望む遺産分割の内容と異なる結果になることがあります。
特に、後見人が専門家の場合、法定相続分を守る方向で協議を進めるため、相続人の中で合意形成が難しくなることもあります。
成年後見制度は、認知症などで判断能力が不十分な人を保護するための重要な制度ですが、利用する際にはいくつかの注意点があります。
後見人の選任、報酬、相続人間の合意形成など、事前に十分な理解と準備が必要です。
適切な対応を行うことで、本人の利益を守りつつ、スムーズな遺産分割協議を進めることができます。
認知症の相続人がいても進められる相続手続き
相続は、故人の意志と法的要件に基づいて適切に行われるべきですが、相続人の中に認知症の方がいる場合、特定の条件下で相続手続きを進めることが可能です。
ここでは、認知症の相続人がいても進められる相続手続きについて解説します。
遺言書がある場合の手続き
遺言書が存在し、その内容が法的要件を満たしている場合、遺産分割協議書の作成がなくても遺言書に記載されている通りに相続手続きを進めることができます。
遺言書によって指定された遺言執行者が、不動産の名義変更や預貯金の解約(払戻し)手続きを行います。
ただし、遺言執行者が認知症の場合は、家庭裁判所に新たな遺言執行者を選任してもらう必要があります。
法定相続分による分割
遺言書がない場合でも、すべての財産について法定相続分による分割をする場合、不動産の名義変更や預貯金の解約(払戻し)手続きは、相続人代表者一人からの申請で進めることが可能です。
ただし、金融機関によっては、預貯金の解約(払戻し)手続きに法定相続人全員の署名捺印が必要とされることもありますので、事前に確認が必要です。
成年後見制度の利用
認知症の相続人がいる場合、成年後見制度を利用して、成年後見人等が就任した方が、認知症の相続人に代わって申請を行うことができます。
これにより、認知症の相続人が不動産を相続する場合でも、登記申請などの手続きを進めることが可能となります。
認知症の相続人がいる場合でも、遺言書の存在や法定相続分による分割、成年後見制度の利用などによって、相続手続きを進めることが可能です。
しかし、これらの手続きにはそれぞれ特有の条件や要件があり、適切な対応が求められます。
相続手続きを円滑に進めるためには、早めの計画と法的なアドバイスを受けることが重要です。
遺産分割協議せず「法定相続分で分ける」ことの問題点
相続が発生した際、遺産分割協議を行わずに法定相続分に従って財産を分ける方法は、表面上は手続きを簡素化するように見えますが、実際にはいくつかの問題が発生する可能性があります。
ここでは、法定相続分で分けることの主な問題点を解説します。
共有状態の不動産は売却や賃貸ができない
法定相続分に従って不動産を分割すると、不動産は相続人間で共有状態となります。
共有状態の不動産は、全共有者の同意がなければ売却や賃貸が困難になります。
これにより、不動産の有効活用が制限され、相続人間での意見の対立が生じる原因となることがあります。
一定額を超える預貯金は払戻できない
法定相続分で分ける場合、預貯金の払戻しにも制限があります。
特に、一定額を超える預貯金は、遺産分割協議がないと払戻しができないため、相続人が必要とする資金を確保することが困難になることがあります。
これは、相続人が生活費や葬儀費用などのために迅速に資金を手に入れることを妨げる可能性があります。
相続税を抑える特例が利用できない
法定相続分で分ける場合、相続税を抑えるための特例措置の利用が難しくなります。
例えば、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減など、適切な遺産分割協議を行うことで利用できる特例が、遺産分割協議を行わない場合には適用されない可能性があります。
これにより、相続税の負担が重くなることが懸念されます。
遺産分割協議を行わずに法定相続分で分ける方法は、一見すると手続きが簡単に思えますが、実際には多くの問題が生じる可能性があります。
共有状態の不動産の管理、預貯金の払戻しの制限、相続税の特例の利用困難など、様々な問題が発生するため、遺産分割協議を適切に行うことの重要性が改めて強調されます。
相続手続きを円滑に進めるためには、早めの計画と法的なアドバイスを受けることが重要です。
認知症の家族がいるときの生前対策
認知症の家族がいる場合、相続手続きはより複雑になり得ます。
適切な生前対策を講じることで、家族が直面するであろう困難を軽減し、円滑な相続手続きを確保することが可能です。
ここでは、認知症の家族がいるときの生前対策について解説します。
遺言書を作成する
認知症の家族がいる場合、遺言書の作成は特に重要です。
遺言書によって、認知症の家族の意志が明確に表され、相続財産の分配についての指示が確定します。
これにより、遺産分割協議が困難な状況でも、故人の意志に従った適切な財産分配が可能となります。
遺言書は公正証書遺言の形式で作成することが推奨され、これにより内容の正確性や効力が保証されます。
家族信託をする
家族信託は、認知症の家族がいる場合の有効な生前対策の一つです。
信託契約により、財産管理や将来の財産の承継を信託受益者のために行うことができます。
家族信託によって、認知症の家族の財産を適切に管理し、将来的な相続時におけるトラブルを防ぐことが可能です。
また、家族信託は柔軟な設計が可能であり、家族のニーズに合わせてカスタマイズすることができます。
家族信託については、こちらの記事もお読みください。
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生前贈与をしておく
生前贈与は、相続発生前に財産を移転する方法です。
認知症の家族がいる場合、生前贈与によって相続財産を減らし、将来の相続手続きを簡素化することができます。
しかし、生前贈与には贈与税の問題が伴うため、税務上の影響を考慮し、専門家のアドバイスを受けながら計画的に行うことが重要です。
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認知症の家族がいる場合の生前対策は、将来の相続手続きをスムーズに進めるために不可欠です。
遺言書の作成、家族信託の設定、生前贈与など、さまざまな方法がありますが、それぞれの方法には特有の利点と注意点があります。
家族の状況やニーズに合わせて最適な対策を選択し、専門家のアドバイスを得ながら計画的に進めることが重要です。
亡くなった方が認知症だった場合
認知症の方が亡くなった場合、相続手続きは通常よりも複雑になる可能性があります。
認知症の状態で亡くなった方の遺産分割には、特別な配慮と準備が必要です。
ここでは、そのような状況での対応策について解説します。
遺産分割協議の困難
認知症の方が亡くなった場合、生前に適切な遺言書が残されていない限り、遺産分割協議が困難になることがあります。
認知症の状態で遺言書を作成していた場合、その内容が争われる可能性もあります。
遺言書の有効性や内容については、専門家の意見を仰ぐことが重要です。
成年後見制度の活用
亡くなった方が認知症だった場合、生前に成年後見制度が設定されていれば、その後見人が遺産分割協議に参加することができます。
後見人は、認知症の方の意志を代行し、遺産分割協議を進めることが可能です。
ただし、後見人が選任されていない場合は、新たに後見人を選任する必要があります。
相続対策の重要性
認知症の方が亡くなる前に、家族信託や遺言書の作成、生前贈与などの相続対策を行っておくことが重要です。
これらの対策により、認知症の方が亡くなった後の遺産分割協議をスムーズに進めることができます。
特に、家族信託は、財産の管理や承継を信託受益者のために行うことができるため、認知症の方の財産を適切に管理し、将来的な相続時におけるトラブルを防ぐことが可能です。
亡くなった方が認知症だった場合、相続手続きは通常よりも複雑になります。
遺産分割協議の困難、成年後見制度の活用、相続対策の重要性など、さまざまな問題が発生する可能性があります。
相続手続きを円滑に進めるためには、早めの計画と法的なアドバイスを受けることが重要です。
認知症の方が亡くなった場合の相続手続きについて理解を深め、事前に対策を準備しておくことが、スムーズで公正な相続手続きを進めるために重要です。
相続における認知症についてのまとめ
ここまで相続における認知症についてお伝えしてきました。
相続における認知症の要点をまとめると以下の通りです。
- 認知症の相続人がいる場合、遺産分割協議はできなくなり、遺産の凍結解除ができず、亡くなった人の口座からお金を下ろせなくなる問題がある
- 認知症の家族がいる時の生前の対策は、できるだけ早く医療機関を受診することはもちろんのこと、進行の度合いに応じて相続や財産管理に関して適切な対策を行う
- 成年後見人とは、知的障害・認知症・精神障害などによってひとりで決めることに不安や心配のある方が、いろいろな契約や手続きをする際にお手伝いする制度
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。