「孫に財産を残したいけれど、どんな方法が一番良いのだろう」と悩んだことはありませんか?
相続が発生した後では手続きが複雑になり、税負担が大きくなることもあります。
そのため、元気なうちに生前贈与を考えておくことは有効な選択肢といえるでしょう。
本記事では、孫への生前贈与のやり方について以下の点を中心に解説します。
- 非課税で贈与できる制度や方法
- 贈与により得られる相続税対策の効果
- 贈与税の計算方法と注意すべきポイント
将来の負担を減らし、円滑に財産を承継するために、ぜひ最後までご覧ください。
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非課税で孫へ生前贈与するやり方

孫に財産を贈るときでも、一定の条件を満たすことで贈与税がかからない方法があります。
代表的な非課税制度を知っておくと、負担を抑えながら資産を引き継ぐことが可能です。
ここでは主な非課税の活用方法を紹介します。
①教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置を活用する
祖父母が孫の教育費をまかなうためにまとまった資金を渡す場合、「教育資金の一括贈与非課税措置」を利用できます。
一定額までであれば贈与税がかからず、学費や入学金などに充てることが可能です。
この贈与税非課税措置を利用するには、金融機関を通じた手続きが必要で、利用できる期間や金額の上限も決まっています。
制度を利用する際は、国税庁や金融機関の案内を確認すると安心です。
出典:祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)|国税庁
出典:【制度概要】教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置|文部科学省
②住宅取得等資金の非課税の特例を活用する
孫が住宅を購入する際に支援する場合は、「住宅取得等資金の非課税特例」を利用できます。
省エネ基準を満たした住宅であれば非課税枠が広がるなど、細かな条件がある特例です。
契約日や住宅の性能に応じて適用範囲が変わるため、最新情報を確認することが欠かせません。
③結婚・子育て資金の贈与の特例を活用する
結婚や出産、育児にかかる費用を支援するための資金にも非課税枠が設けられています。
結婚式の費用や不妊治療費、保育料など対象範囲が広い点が特徴です。
ただし金融機関での管理が必要で、使い道が限定されているため、利用条件を事前に理解しておきましょう。
④必要なタイミングで生活費などとして渡す
日常の生活費や学費は、必要に応じてその都度渡す分には贈与税がかかりません。
例えば、学校の授業料を直接支払うなど、実際の生活に必要な支出であれば非課税となります。
ただし形式的に「毎月定額を渡す」など計画的な贈与に見なされると課税対象となる可能性があるため注意が必要です。
⑤年間110万円の基礎控除額を利用する
贈与税には「基礎控除額」があり、年間110万円までであれば誰に対しても非課税で贈与できます。
孫に毎年少しずつ渡す方法は、相続財産を分散させる手段として広く使われています。
長期的に計画して贈与することで、相続時の課税対象額を抑えやすくなるでしょう。
孫に生前贈与するメリット

孫に対して財産を渡す方法には、税金面での利点が多くあります。
相続の際にかかる負担を軽減できるだけでなく、資産承継の仕組みを効率的に整えることにもつながります。
ここでは代表的なメリットを解説します。
相続税の課税対象額を減らせる
生前に贈与を行うと、将来の相続財産が減少し、相続税の課税対象額を抑えることにつながります。
特に現金や不動産など評価額の大きい財産を早めに移転すると、相続時の負担を軽くできる可能性があります。
税務上の取り扱いは贈与の方法や時期によって異なるため、計画的に進めましょう。
相続税の税率を抑えられる可能性がある
相続税は累進課税制度が採用されており、財産の額が大きいほど税率が高くなる仕組みです。
生前贈与によって資産を分散させると、相続時に適用される税率区分を下げられる場合があります。
以下の表は課税価格の違いによる相続税率のイメージを示したものです。
| 課税価格(相続財産額) | 適用税率 | 控除額 |
| 1,000万円以下 | 10% | 0円 |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
生前に贈与して相続財産を減らすことで、相続税率を抑えられる可能性があることが分かります。
相続税の課税を一代飛ばせる
通常、財産は子へ、次に孫へと二段階で相続されます。
そのたびに課税されるため、結果的に相続税の負担が大きくなるものです。
孫に直接贈与すれば、子を経由せずに一代分の相続を省けるため、トータルの課税額を抑えられる可能性があります。
ただし、相続税の「世代飛ばし」には特例税率が加算されるケースもあるため、税理士などの専門家への確認が必要です。
贈与税を非課税にできる方法が多い
孫への贈与には教育資金、住宅取得資金、結婚・子育て資金など複数の非課税制度が設けられています。
これらを組み合わせると、大きな金額でも贈与税を負担せずに財産を移せる可能性があります。
制度ごとに条件や手続きが異なるため、適用可否を事前に確認することが重要です。
贈与税の計算方法

贈与税は、孫へ生前贈与をする際に避けて通れない仕組みです。
正しい計算方法を理解しておくと、贈与の計画が立てやすくなります。
ここでは基本的な計算手順と、孫の年齢によって異なる税率について解説します。
贈与税額の計算の基本
贈与税は「1年間に贈与を受けた財産の合計額」から基礎控除額(110万円)を差し引き、その残りに税率をかけて計算します。
計算式は以下のとおりです。
(贈与財産の合計額 − 基礎控除額) × 税率 − 控除額 = 贈与税額
例えば、年間で200万円を孫に贈与した場合、110万円を差し引いた90万円が課税対象です。
この課税価格に応じて税率が決まり、贈与税額が算出されます。
また、孫が18歳以上か未満かによって適用される税率区分が異なるため、該当する表を確認することが必要です。
特例税率(孫が18歳以上の場合)
孫が18歳以上である場合は、直系尊属からの贈与に適用される「特例税率」が使えます。
通常の一般税率よりも低めに設定されており、若い世代への資産移転を後押しする仕組みです。
| 課税価格(基礎控除後) | 税率 | 控除額 |
| 200万円以下 | 10% | 0円 |
| 400万円以下 | 15% | 10万円 |
| 600万円以下 | 20% | 30万円 |
| 1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
| 1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
| 3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
| 4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
| 4,500万円超 | 55% | 640万円 |
このように、金額が大きくなるにつれて累進的に税率が上がる仕組みです。
一般税率(孫が18歳未満の場合)
孫が18歳未満である場合は、特例は使えず「一般税率」での計算になります。
特例税率に比べて高い水準で設定されている点に注意が必要です。
| 課税価格(基礎控除後) | 税率 | 控除額 |
| 200万円以下 | 10% | 0円 |
| 300万円以下 | 15% | 10万円 |
| 400万円以下 | 20% | 25万円 |
| 600万円以下 | 30% | 65万円 |
| 1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
| 1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
| 3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
| 3,000万円超 | 55% | 400万円 |
この区分から分かるように、同じ金額でも孫が18歳未満の場合は税額が高くなります。
贈与のタイミングによって税負担が変わるため、事前に比較して検討することが望ましいでしょう。
孫へ生前贈与する際の注意点

孫への生前贈与は相続対策として有効ですが、手続きやルールを誤ると課税対象になったり、相続時にトラブルを招く可能性があります。
ここでは実務的に注意しておきたいポイントを整理します。
孫への生活費や学費は贈与税の課税対象外
日常生活に必要な費用や学費は、贈与税の課税対象にはなりません。
例えば、学校の授業料を直接支払う場合や、医療費を負担する場合は、生活維持のために必要と認められる支出として非課税扱いとなります。
ただし注意が必要なのは、「必要な都度に限られる」という点です。
毎月一定額を定期的に渡すと、形式的に贈与と見なされて課税対象になる場合があります。
あくまで臨時的・個別的な支援であることが前提です。
贈与契約書を作成する
贈与は口頭でも成立しますが、税務署からの指摘を避けるためには契約書を作成して証拠を残すことが望ましいです。
契約書には「誰が誰に」「いくら」「いつ贈与するか」を明記し、双方が署名・押印する必要があります。
契約書がないと「実際には贈与していない」と判断されるリスクがあり、贈与税の否認や相続時のトラブルにつながる恐れがあるため注意しましょう。
贈与金額や日付を変える
毎年同じ金額を同じ時期に贈与すると、あらかじめ数年分をまとめて渡す「定期贈与」と見なされる可能性があります。
この場合、非課税の基礎控除を利用できず、一度に多額の贈与をしたものと判断されかねません。
このリスクを避けるためには、贈与する金額や日付を毎回調整することが有効です。
実際に使途や状況に応じて柔軟に設定することが、形式上も実質上も適切な贈与と評価されやすくなります。
孫が贈与財産を管理する
贈与した財産は、受け取った孫が自分で管理していることが重要です。
名義だけ孫に変えても、実際には祖父母が口座を操作している場合は「贈与が成立していない」と判断される可能性があります。
そのため、口座を孫本人名義で開設し、通帳やキャッシュカードを孫が保管することが確実です。
未成年の場合は親権者が代わりに管理しますが、その場合でも「祖父母が引き続き管理している」と見なされないよう注意しましょう。
贈与税申告や手続きをする
贈与税は、非課税制度や基礎控除を超えた場合に申告が必要です。
申告を怠ると延滞税や加算税が課されるため、ルールを守って確実に手続きを行うことが欠かせません。
贈与税申告の流れは次のとおりです。
| 手続きの流れ | 内容 | 提出期限 |
| ①申告書の作成 | 贈与税申告書を国税庁サイトや税務署で入手し作成する | 翌年2月1日〜3月15日 |
| ②書類の準備 | 戸籍謄本、贈与契約書、財産の評価資料などを添付 | 同上 |
| ③申告・納付 | 税務署に申告書を提出し、税額を納付する | 同上 |
特例制度を利用する場合は、金融機関を通じた手続きや添付書類の追加が必要になることもあるため、事前に確認しておくと安心です。
相続人の遺留分を侵害しない範囲内で行う
孫への生前贈与が多額になると、将来の相続で相続人の取り分が減少し、トラブルにつながることも少なくありません。
民法では「遺留分」が定められており、一定の割合は相続人に保障されています。
相続人の遺留分を侵害するような贈与をすると、後に遺留分侵害額請求を受けることがあります。
結果的に孫が受け取った財産を返還する事態にもなりかねません。
贈与を計画する際には、相続全体のバランスを考慮することが不可欠です。
孫への生前贈与のやり方についてよくある質問

孫への生前贈与は、制度やルールを正しく理解していないと誤解を招くことがあります。
ここでは多く寄せられる代表的な疑問について解説します。
Q.贈与税は誰が払いますか?
贈与税は、財産を受け取った側である孫が支払う税金です。
祖父母や親など財産を渡す側が負担するものではありません。
ただし、実務上は祖父母が孫の代わりに納付するケースもあります。
この場合でも「孫が負担すべき税金を祖父母が肩代わりした」と扱われ、さらにその分も贈与とみなされる可能性があります。
そのため、税務上の形式を整えるためには、孫名義の口座から納付する、あるいは孫が代理人を通じて納付する方法を取るのが安心です。
実際の運用にあたっては、税理士など専門家の助言を得ることをおすすめします。
Q.0歳児の孫に生前贈与できますか?
0歳児を含む未成年の孫にも、生前贈与は可能です。
ただし未成年は自分で契約や財産管理ができないため、親権者が代理人として手続きを行います。
注意点として、名義だけ孫にした口座を祖父母が実質的に管理していると「贈与が成立していない」と判断されることがあります。
通帳や印鑑は親権者が管理し、祖父母が自由に引き出せない形にする対策が必要です。
また、教育資金の一括贈与の特例など一部制度は対象年齢や使途が限定されています。
贈与する目的や制度の条件を確認しながら進めましょう。
孫への生前贈与のやり方についてまとめ

ここまで、孫への生前贈与について基本的な制度や注意点を紹介してきました。
要点を整理すると以下のとおりです。
- 教育資金や住宅取得資金など、特例を活用すれば非課税で贈与できる方法がある
- 生前贈与を活用することで、相続税の対象額を減らし、税率を抑えられる可能性がある
- 契約書の作成や申告手続き、遺留分への配慮など、実務的な注意点を守ることが大切
孫への生前贈与は、資産を有効に活用しつつ、将来の相続トラブルを防ぐ手段となり得ます。
本記事を参考に、ご自身やご家族に合った方法を検討していただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。