現金を直接贈与するのではなく、生命保険を利用することで、受取人が受け取る保険金が非課税枠の対象になるため、贈与税や相続税の負担を軽減することができます。しかしこの方法には、いくつかの注意点や手続きがあり、メリットだけでなくデメリットも存在します。
本記事では生命保険で生前贈与する方法について以下の点を中心にご紹介します。
- 生命保険で生前贈与する方法とは
- 生命保険で生前贈与するメリットとデメリット
- 生命保険で生前贈与するときの注意点とは
生命保険で生前贈与する方法について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
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生命保険で生前贈与する方法とは

生前贈与を計画する際、生命保険を活用する方法があります。この手法は、親が受け取る生存給付金を子供に贈与する、または親が贈与したお金を使って子供が保険料を支払う仕組みです。
いずれの方法も、親から子供へ財産を移転する暦年贈与の一環として行われ、年間110万円以内の金額であれば贈与税が非課税になります。そのため、贈与税の申告も必要ありません。以下で、具体的な方法について説明します。
生存給付金を子供に贈与するケース
生命保険の中には、契約期間中に生存給付金を定期的に受け取れるタイプのものがあります。このような保険に加入し、親が受け取った給付金を子供に贈与することで、生前贈与を行うことが可能です。
【具体例】
親が「毎年100万円の生存給付金」を10年間にわたって受け取り、それを子供に渡す場合、合計1,000万円を生前贈与したことになります。しかし、暦年贈与の基礎控除である年間110万円の非課税枠を利用すれば、贈与税は発生しません。
さらに、保険料を一括前納や一時払いで支払っておくと、親の資産が減少し、将来の相続税の課税額も抑えられるメリットがあります。
子供が保険料を支払う形での贈与
もう一つの方法として、親が贈与したお金を使って子供が保険料を支払う契約形態も考えられます。この場合、次のような保険契約を結ぶのが一般的です。
- 保険料の負担者:子供
- 被保険者:親
- 保険金の受取人:子供
この契約形態では、親が年間110万円以内の金額を子供に贈与し、子供がそのお金で保険料を支払います。この方法では、子供は実質的な経済的負担がなく保険に加入でき、親は計画的に資産を移転できるため、長期間にわたって節税効果が期待できます。
相続手続きを進める上で、生命保険金は重要な財産の一つです。 しかし、生命保険金は、単純に相続財産に加算されるものではありません。 相続法には「特別受益」という概念があり、生命保険金がこれに該当する場合があります。本記事では、生命[…]
生命保険で生前贈与するメリットとデメリット

生命保険を活用した生前贈与は、財産を効果的に子や孫へ移転する方法のひとつです。適切に活用すれば、相続税対策や家族間のトラブル防止につながる一方で、いくつかの注意点もあります。
ここでは、生命保険を活用する際のメリットとデメリットについて詳しく解説します。
生命保険を利用するメリット
保険金に運用益が期待できる
保険商品の種類によっては、保険料を支払うことで運用益が発生し、最終的に贈与額を上回る保険金を受け取れる可能性があります。これにより、単純に現金を渡すよりも効率的な資産移転が可能です。
受贈者の浪費を防げる
贈与された現金をそのまま渡す場合、受贈者が計画性なく使ってしまうリスクがあります。しかし、生命保険を活用すれば、保険金は契約に基づいて支払われるため、浪費を回避しやすくなります。
受取人の固有財産として扱われる
死亡保険金は、受取人の固有財産として相続財産から分離されます。このため、遺産分割の対象にならず、相続人同士のトラブルを防止する効果が期待できます。
節税対策として有効
死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」という非課税枠があります。この枠を活用することで、現金をそのまま相続するよりも相続税を大幅に抑えられるケースがあります。
相続放棄をしても保険金を受け取れる
生命保険の死亡保険金は相続財産ではなく、受取人固有の財産とみなされます。そのため、相続放棄をした場合でも、保険金は受け取ることが可能です。
生命保険を利用するデメリット
元本割れのリスクがある
保険商品の運用成績によっては、受け取る保険金が支払った保険料を下回る、いわゆる「元本割れ」のリスクがあります。また、途中で解約すると、解約返戻金が保険料よりも少なくなることがあるため、長期的な契約維持が重要です。
インフレによる価値の目減りが生じる
長期間にわたって保険料を支払う場合、インフレによって貨幣価値が下がる可能性があります。将来的に受け取る保険金が、実際の生活費用に対して十分でないといったリスクにも注意が必要です。
特別受益として指摘される可能性がある
特定の相続人だけに生前贈与を行った場合、他の相続人から「特別受益」として主張されることがあります。これにより、遺産分割時に他の相続人の取り分が増える一方で、生前贈与を受けた人の取り分が減額されるケースもあるため、家族間の調整が必要です。
生命保険で生前贈与するときの注意点とは

生命保険を活用した生前贈与には、多くのメリットがありますが、税制上のルールや手続きの注意点を理解しておかないと、意図しない課税やトラブルの原因になることがあります。ここでは、生命保険を利用して生前贈与を行う際に、特に気をつけたいポイントを解説します。
保険金の課税対象が契約形態によって異なる
生命保険の契約形態によって、課される税金の種類が異なります。具体的には、保険料を誰が負担し、保険金を誰が受け取るかによって「相続税」「贈与税」「所得税」のいずれかが適用されます。
【主な契約パターンと課税方法】
- 相続税が課されるケース
保険料の支払い者(契約者)と被保険者が同一人物で、受取人が相続人の場合 - 贈与税が課されるケース
保険料の支払い者が別の家族で、保険金の受取人が相続人である場合 - 所得税が課されるケース
保険料の支払い者と受取人が同一人物で、被保険者が他の家族である場合
たとえば、1,500万円の保険料を払い、2,000万円の保険金を受け取る場合、課税対象の金額は税金の種類によって異なります。
このため、契約形態が税金対策において重要な要素となるので、事前にしっかりとシミュレーションしておくことが大切です。
贈与契約書の作成を忘れずに
生命保険で生前贈与を行う場合、贈与契約書を作成することが推奨されます。この書面は、税務署に対して「生前贈与の事実」を証明する重要な資料になります。贈与契約書には、以下の情報を盛り込むようにしましょう。
【贈与契約書に記載すべき項目】
- 贈与者(財産を渡す人)
- 受贈者(財産を受け取る人)
- 贈与財産の詳細(保険料の金額など)
- 贈与方法と贈与日
- 契約日および双方の署名・捺印
契約書はパソコンで作成しても問題ありませんが、署名部分は手書きにすることで信憑性が高まります。また、保険料の支払いは銀行振込で行うと、資金の流れが明確になり、生前贈与の証拠として有効です。
贈与税の申告を検討する
暦年贈与の場合、年間110万円の基礎控除を超えると贈与税が発生します。たとえば、111万円を贈与した場合は、1,000円の贈与税がかかります。このように少額の納税であっても、贈与税を申告しておくことで、税務署に「生前贈与の事実」を認めてもらえるため、後々の相続時にトラブルを回避しやすくなります。
申告が必要な場合は、贈与があった翌年の2月1日から3月15日までの間に、所定の手続きで申告・納税を行いましょう。申告を忘れると、追徴課税などのペナルティが課されることもあるため注意が必要です。
生命保険で生前贈与する方法についてよくある質問

生命保険で生前贈与する方法についてよくある質問は以下のとおりです。
親がかけてくれた保険に贈与税はかかりますか?
親が保険料を支払い、子どもが保険金を受け取る契約形態では、保険料の支払い者と保険金の受取人が異なるため、贈与税が課される場合があります。
贈与税とは、個人間で財産を受け取った際にかかる税金のことです。この場合、保険料を負担していない受取人が保険金を受け取ると、「贈与による取得」と見なされるため、贈与税の対象となるケースがあります。
このような形態の贈与は「みなし贈与」と呼ばれ、申告・納税が必要になる可能性があるため、注意が必要です。
生前贈与機能付き保険とは?
生前贈与機能を備えた生命保険とは、契約者が生きている間に一定の間隔で生存給付金を受け取ることができる保険商品を指します。このタイプの保険では、被保険者の生存中に給付金が支払われるため、計画的な資産の移転や贈与が可能になります。
生前贈与はいくらまでなら無税ですか?
暦年課税制度における贈与税は、1年間(1月1日から12月31日まで)に受け取った財産の合計額から、基礎控除額である110万円を差し引いた金額に対して課税される仕組みです。
そのため、1年間に受け取った財産の総額が110万円以内であれば、贈与税は発生せず、申告も不要です。この基礎控除を活用すれば、毎年一定額まで非課税で財産を受け取ることができます。
生命保険で生前贈与する方法についてのまとめ

ここまで生命保険で生前贈与する方法についてお伝えしてきました。
生命保険で生前贈与する方法の要点をまとめると以下の通りです。
- 生命保険を利用するメリットには、保険金に運用益が期待できたり受贈者の浪費を防げたりすることがあり、デメリットには、元本割れのリスクがあったりインフレによる価値の目減りが生じたりすることがある
- 生命保険で生前贈与するときの注意点には、保険金の課税対象が契約形態によって異なることや贈与税の申告を検討することがある
- 親が保険料を支払い、子どもが保険金を受け取る契約形態では、保険料の支払い者と保険金の受取人が異なるため、贈与税が課される場合がある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
