遺産相続分割で意見が食い違うと、分割の協議がスムーズに進まないことも少なくありません。親族間のトラブルを避けるための対処法や、遺産分割手続きの流れについて理解しておくことが重要です。
本記事では遺産相続分割について以下の点を中心にご紹介します。
- 遺産相続分割とは
- 遺産相続分割の方法
- 遺産相続分割の手続きの流れ
遺産相続分割について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
相続ナビに相続手続きをお任せください。
スマホ・PCで登録完了
役所などに行く必要なし
遺産相続分割とは

「遺産分割」とは、亡くなった人の財産を相続人が話し合い、どのように分けるかを決める手続きのことです。遺産の分け方には、遺言書の指示に従って行う方法と、相続人同士で協議や調停、審判を通じて決定する方法の2種類があります。
遺言書がある場合は、原則としてその内容に沿って遺産を分配します。この遺言の内容を実行する過程は「遺言執行」と呼ばれることもあります。
一方で、遺言書が存在しない場合や、遺言書に特定の財産についての記載がない場合、遺産は一旦、相続人全員の共有財産となります(民法第898条)。この共有状態を解消するため、相続人間で協議を行い、話し合いがまとまらない場合には家庭裁判所の調停や審判を通じて、最終的な配分を決めていくことになります。
遺産相続分割の方法

遺産を分割する際には、相続人間でどのように財産を分けるかを決める必要があります。遺産分割にはいくつかの方法があり、それぞれの財産の性質や相続人の希望に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。以下では、主な4つの分割方法を解説します。
現物分割
現物分割は、遺産をそのままの形で物理的に分ける方法です。
たとえば、預貯金や現金であれば、相続人間で額を分配すればよいため、比較的簡単に現物分割ができます。また、土地を複数の区画に分けて相続人それぞれが所有する形にする場合も、この現物分割に含まれます。
ただし、建物や高額な不動産など、物理的に分けることが難しい財産については、別の方法を取らなければなりません。
代償分割
代償分割は、特定の相続人が遺産を取得し、その代わりに他の相続人に代償金を支払う方法です。
たとえば、相続人のうち一人が家や土地を引き継ぐ場合に、ほかの相続人にはその相続分に相当する金額を代償金として支払うことが一般的です。
建物や土地のように、分筆することで価値が下がる財産の場合には、代償分割を選ぶことで資産の価値を保ちつつ分配が可能です。
換価分割
換価分割は、遺産を売却し、その売却代金を相続人間で分ける方法です。
たとえば、不動産や株式などを現金化し、相続人の人数に応じて金額を公平に分配するのが一般的です。遺産をそのまま維持することが難しい場合や、現金で分配することを希望する場合に選ばれる方法です。
換価分割のメリットは、遺産そのものを公平に分けるのが難しい場合でも、売却によって得た現金で平等に分配しやすい点です。
共有分割
共有分割は、遺産を複数の相続人で共同名義にする方法です。
たとえば、相続人全員が一つの土地や建物を希望する場合、共有名義にすることで、全員がその遺産を持つ権利を得ることができます。
ただし、共有状態のままにしておくと、後々の管理や売却の際に意見が食い違い、トラブルになるリスクがあります。そのため、できる限り現物分割や代償分割を優先し、共有分割は最終手段として検討するのがよいでしょう。
遺産相続分割で親族と揉めた場合

遺産分割協議に参加しない相続人がいる場合
遺産分割協議は、相続人全員が参加しなければ成立しません。一人でも協議に参加しない相続人がいると、その分割内容は無効になります。そのため、協議への参加を拒む相続人がいる場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることが必要です。
また、相続人の中に行方不明者がいる場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申請することで、その管理人が代理で遺産分割協議に参加できます。不在者財産管理人が関与することで、協議の成立をスムーズに進めることができます。
特別受益や寄与分で意見が割れる場合
遺産分割では、特別受益や寄与分の取り扱いがトラブルの原因になることがあります。
特別受益
生前に被相続人から特別な財産を受け取っていた相続人の取り分を減らし、ほかの相続人の分を増やす仕組みです。これにより、相続人間で「不公平だ」と感じることが多く、対立の原因となります。
寄与分
被相続人の財産の維持・増加に貢献した相続人が、その貢献に応じて多くの相続分を受け取る制度です。しかし、どの程度貢献したかについて意見が分かれることが多く、話し合いが難航しがちです。
これらの論点は感情的な対立を引き起こしやすいため、家庭裁判所の調停や審判を利用して、公平な解決を図るのも一つの方法です。
不動産の分割方法で意見が合わない場合
不動産は遺産の中でも高額資産に該当するため、分割方法についての意見が対立することが少なくありません。特に、亡くなった人が生前に住んでいた自宅の不動産は、思い入れの強さから親族間での感情的な争いに発展することがあります。
不動産の分割で揉めた場合には、家庭裁判所の審判で解決することもできますが、売却して換価分割を行うか、代償分割を検討するなど、他の分割方法を提案して合意を目指すことが重要です。
代償分割で代償金が用意できない場合
代償分割とは、遺産を取得する相続人がほかの相続人に代償金を支払うことで分割を行う方法です。しかし、不動産などの高額な遺産を取得した場合、代償金も高額になり、資金を用意できないケースがあります。
代償金の準備が難しい場合は、銀行からの借り入れや、不動産の一部を売却して資金を確保する方法を検討しましょう。また、代償分割が難しい場合には、換価分割や共有分割といった他の分割方法を採用することも考慮する必要があります。
遺産相続分割の手続きの流れ

遺産分割の手続きは、被相続人が亡くなった時点から始まり、最終的に遺産の分配が完了するまで、いくつかの段階を経て進められます。遺言書の有無や、相続人間の協議状況によって手続きの進め方が変わるため、基本的な流れを把握しておくことが重要です。ここでは、遺産分割の主な手続きと、それぞれのポイントについて解説します。
遺言書の有無を確認する
最初に行うべきことは、被相続人が遺言書を残しているかを確認することです。遺言書の有無によって、遺産分割の方法や協議の要否が変わります。遺品の中に自筆証書遺言や秘密証書遺言が見つかった場合は、家庭裁判所で検認手続きを行う必要があります。
一方、公正証書遺言の正本や謄本が見つかった場合は、原本が公証役場に保管されているため、作成を担当した公証役場に確認を取ります。また、自筆証書遺言が法務局に預けられている場合もあるため、遺言書保管制度の通知が届いた際は、法務局で内容を確認しましょう。
遺言の内容に従って遺産分割を行う
遺言書が見つかった場合は、基本的に遺言書に記載された内容に従って遺産分割が進められます。この手続きを「遺言執行」と呼び、遺言執行者が指定されている場合は、その人が名義変更などの手続きを担当します。
ただし、遺言書が無効になるケースもあるため注意が必要です。たとえば、遺言書が法律の形式に沿っていなかったり、遺言者に判断能力がなかった場合などは、無効とされる可能性があります。その場合、遺言書に基づく分割ではなく、相続人全員での協議が必要になります。
遺産分割協議を行い、協議書を作成する
遺言書が存在しない場合や、遺言書でカバーされていない遺産がある場合は、相続人全員で話し合って遺産分割を決める必要があります。この話し合いを「遺産分割協議」といい、全員が合意した内容は「遺産分割協議書」にまとめます。
協議書には相続人全員の署名と実印による押印が必要で、この協議書がないと不動産の名義変更や預貯金の引き出し手続きができません。協議がスムーズに進むよう、必要な書類を事前にそろえておくとよいでしょう。
家庭裁判所に調停を申し立てる
遺産分割協議で意見が一致せず話し合いが進まない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。調停では、裁判官と調停委員が間に立って、相続人間の合意を目指して話し合いをサポートします。
調停が成立すれば、「調停調書」という公式な文書が作成され、法的に有効な遺産分割が行われたことになります。
審判で解決する
調停が不成立の場合、家庭裁判所が遺産分割の審判を行います。審判では、法定相続分を基準に家庭裁判所が公平な判断を下します。審判の結果は強制力を持つため、相続人全員がその内容に従わなければなりません。
審判手続きは調停の不成立を受けて自動的に進むため、相続人からの追加申立は不要です。ただし、裁判所の判断を受けるまでには時間がかかるため、できる限り相続人間で話し合いをまとめる努力をすることが望ましいでしょう。
遺産相続分割についてよくある質問

遺産相続分割についてよくある質問は以下のとおりです。
5000万円を相続したらいくら相続税がかかりますか?
法定相続人が配偶者と子ども1人の場合、5,000万円の遺産を相続したとき、課税対象額に基づいて40万円の相続税が発生します。相続税額の計算は次の方法で求められます。この課税対象額800万円を法定相続分に基づいて分割すると、配偶者と子どもそれぞれが400万円ずつの遺産を取得する形になります。
遺産相続はどうやって分けるのですか?
遺産分割協議では、財産の分け方として主に5つの方法が用いられます。それが「現物分割」「換価分割」「代償分割」「共有」、そして「用益権の設定」です。
これらの方法は遺産の性質や相続人の事情に応じて選択されます。一方で、連帯保証などの負債は、通常、法定相続分に従って自動的に分割されるケースが多いです。さらに、相続人が自らの相続分を他の相続人や第三者に譲り渡すことができる「相続分の譲渡」についても、その活用方法を押さえておくことが重要です。
遺産相続分割についてのまとめ

ここまで遺産相続分割についてお伝えしてきました。遺産相続分割の要点をまとめると以下の通りです。
- 「遺産分割」とは、亡くなった人の財産を相続人が話し合い、どのように分けるかを決める手続きのことである
- 遺産相続分割の方法には、現物分割、代償分割、換価分割、共有分割の4種類がある
- 遺産分割の手続きは、被相続人が亡くなった時点から始まり、最終的に遺産の分配が完了するまで、いくつかの段階を経て進められる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。