近年、少子高齢化の影響もあり、一人っ子世帯が増えています。
一方、相続に関する知識や経験不足から、トラブルに巻き込まれるケースも少なくありません。
そこで今回は、一人っ子の相続で特に気を付けるべきポイントについて解説します。
- 一人っ子が相続する2つのメリット
- 一人っ子の場合に相続税が高い理由
- 一人っ子の相続税の節税方法
一人っ子の相続について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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一人っ子が相続する2つのメリット

一人っ子が相続人となる場合、相続人同士の揉め事や手続きの煩雑さが少なくなるという2つの大きなメリットがあります。
ここでは、円滑な遺産承継を実現するために、一人っ子が相続する際の2つのメリットについて詳しく解説します。
相続人が少ないため相続トラブルになるリスクが低い
相続人が少ない場合、遺産分割協議がスムーズに進み、トラブルが少ないというイメージを持たれがちです。
しかし、必ずしもそうとは限りません。
相続人の数に限らず、以下のような状況では、思わぬトラブルが発生する可能性があります。
- 相続財産の価値が大きい場合:相続財産の価値が高ければ高いほど、相続人の間で不公平感や不満が生じやすくなります。
- 相続財産の種類が複雑な場合:不動産や株式など、複雑な種類の財産が含まれている場合、評価や分割が難しく、トラブルに発展しやすいです。
- 相続人間に感情的な対立がある場合:過去に確執があったり、性格が合わないなどの理由で、相続人間に感情的な対立がある場合、話し合いが難航し、最終的には裁判に発展するケースもあります。
相続人が多い場合に比べて手続が楽に済む
被相続人に子が一人しかいない場合、遺産分割協議の手続きが比較的スムーズに進みやすいというメリットがあります。
相続人の意見調整が容易
相続人が一人であれば、遺産分割協議の相手は一人だけとなり、複数人の意見を調整する必要がありません。
そのため、話し合いがまとまりやすく、スムーズに手続きを進めることができます。
分割方法の選択肢がシンプル
遺産分割方法は、被相続人の財産状況や相続人の希望などを考慮して決める必要があり、複数人の相続人がいる場合は、それぞれの希望を調整しながら分割方法を決めなければなりません。
しかし、相続人が一人であれば、被相続人の意思や相続人の希望を比較的反映しやすいという利点があります。
一人っ子が相続する3つのデメリット

一般的に、一人っ子が相続するメリットとして、「スムーズな遺産分割」「揉め事がない」などが挙げられます。
しかし、実際には、想像以上の負担と孤独を伴う3つのデメリットが存在します。
相続税が高くなる
遺産を受け継ぐ際に、一人っ子であることが相続税負担を大きくしてしまう可能性があります。
その理由は、相続税の計算方法にあります。
相続税は、相続財産から基礎控除額を引いた課税対象額に対して課税されます。
この基礎控除額は、法定相続人の数によって増える仕組みになっています。
つまり、一人っ子の場合、他の兄弟姉妹がいる場合と比べて基礎控除額が少なくなるため、課税対象額が大きくなり、結果的に相続税が高額になるのです。
さらに、生命保険金の非課税枠も法定相続人数によって決まるため、一人っ子は非課税となる金額も少なくなります。
しかし、事前に対策を講じることで、一人っ子であっても相続税の負担を軽減することは可能です。
一人で相続手続する必要がある
一人っ子の場合、相続手続きは一人または二人で行うのが一般的です。
しかし、相続手続きは多岐にわたり、複雑な場合も多く、少人数では負担が大きくなります。
特に、以下のような場合は、専門家への依頼や相談を検討することをおすすめします。
- 手続きが複雑で、一人で進めるのが難しい場合
- 遺産について問題が発生した場合
- 時間や手間を節約したい場合
専門家は、豊富な知識と経験に基づき、スムーズかつ正確な相続手続きをサポートしてくれます。
具体的な専門家としては、弁護士、税理士、司法書士などが挙げられます。
それぞれの専門分野や得意分野が異なるため、状況に合わせて適切な専門家を選ぶことが重要です。
一人で抱え込まず、必要に応じて専門家の力を借りることで、スムーズな相続手続きを実現しましょう。
親と争う可能性がある
夫婦と一人っ子のご家族の場合、相続時にトラブルが起こりやすい傾向があります。
これは、相続財産の分け方や、被相続人との想い出の品への考え方が異なる場合があるためです。
このようなトラブルを防ぐために、日頃から以下のような話し合いをしておくことが重要です。
- 相続財産の分け方について:具体的な財産(預貯金、不動産など)をどのように分けるのか、話し合いましょう。
- 節税対策について:相続税対策として、どのような方法があるのか、専門家に相談するなどして、一緒に検討しましょう。
- 被相続人との想い出の品について:それぞれにとってどのような品が大切なのか、話し合いましょう。
話し合いをすることで、お互いの考えを理解し、円満な相続を実現することができます。
一人っ子相続の手続き

一人っ子相続とは、被相続人に子が一人しかいない場合の相続を指します。
相続人同士の争いが少なく、比較的スムーズに手続きを進められるというメリットがあります。
実際の相続手続きを見ていきましょう。
他に相続人がいないかを確認
相続を開始するにあたって、まず重要なのは「相続人」を確定することです。
一般的に、配偶者と子がいない一人っ子相続の場合、相続人はその配偶者と子のみとなります。
しかし、念のために以下の点も確認する必要があります。
- 過去に婚姻歴がある場合:前の配偶者との間に子がいたり、婚外子を認知していたりする場合、その子も相続人となります。
- 養子縁組をしていた場合:養子縁組をしていた養子も、実の子と同じように相続人となります。
これらの点について確認するには、被相続人の戸籍謄本を取得する必要があります。
戸籍謄本は、被相続人が亡くなったことが記載されているものだけでなく、出生から死亡までのすべての戸籍謄本を取得して確認することが重要です。
遺言の有無の確認
大切な方が亡くなられた際には、悲しみに暮れる中、様々な手続きを進める必要があります。
その中でも、遺言書の有無を確認することは非常に重要です。
遺言書があれば、故人の想いを反映した遺産分割が可能となります。
遺言書の種類と保管場所
遺言書には、大きく分けて3種類あります。
- 自筆証書遺言:故人が自らの手で作成する遺言書
- 公正証書遺言:公証役場で作成する遺言書
- 秘密証書遺言:弁護士に作成を依頼し、封をして公証人に預ける遺言書
これらの遺言書は、自宅以外にも、法務局や公証役場に保管されている場合があります。
遺言書が見つからない場合は、これらの機関に問い合わせてみましょう。
また、故人が貸金庫を利用していた場合は、そこにも遺言書が保管されている可能性があります。
検認手続きについて
自筆証書遺言と秘密証書遺言は、家庭裁判所で検認手続きを行う必要があります。
これは、遺言書の内容を確認し、偽造や変造を防ぐための手続きです。
法務局に保管されていた遺言書については、検認は不要です。
財産調査
相続人は、故人の残した財産をすべて把握する必要があります。
しかし、財産にはプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれることをご存知でしょうか?
ここでは、相続財産調査のポイントを分かりやすくまとめます。
まずは、自宅や貸金庫に残された書類をくまなく確認しましょう。
預金通帳、不動産登記簿謄本、株券、借用書、クレジットカードの請求書など、財産に関するあらゆる資料を集めます。
故人が利用していた金融機関に連絡し、死亡時点の残高証明書を請求しましょう。
預貯金口座だけでなく、証券口座や投資信託口座なども忘れずに確認します。
固定資産税の通知書などで所有している不動産を特定し、法務局で登記事項証明書を取得することで、詳細な情報を確認できます。
生命保険金は、保険証券で確認できます。
しかし、証券を紛失している場合もあるため、念のため生命保険協会へ照会を行いましょう。
上記以外にも、故人が誰かに貸したお金、借入金、連帯保証人など、様々な財産が存在する可能性があります。
契約書があれば確認するのはもちろん、故人が生前に話していたことなどを思い出し、聞き込み調査なども行うことが重要です。
相続税申告
相続税の申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。
この期限までに、税務署へ相続税申告書を必要書類とともに提出し、相続税の納税を済ませなければなりません。
相続した財産の価額が基礎控除額以下であれば、相続税の申告は不要です。
「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」などの特例を適用することで、相続税がゼロになる場合があります。
特例を適用する場合は、申告が必要です。
特例の適用を受けられるかどうかは、被相続人の財産や家族構成などによって異なりますので、詳細は税務署にご相談ください。
遺産の受取
遺産のうち、金融機関に預けられているお金や証券を受け取るためには、金融機関ごとに定められた手続きを行う必要があります。
必要な書類
- 被相続人の除籍謄本または戸籍謄本
- 相続人の戸籍謄本または全部事項証明書
- 遺産分割協議書または遺言書
- 相続人全員の印鑑証明書
- その他、金融機関ごとに定められた書類
一人っ子の場合に相続税が高い理由

一般的に、相続人が多いほど一人当たりに相続される財産は減り、相続税の負担も軽くなります。
しかし、一人っ子の場合、逆に相続税が高くなるというケースがあります。
基礎控除が少ない
確かに、相続税の基礎控除は、他の税金と比べると低いと感じるかもしれません。
しかし、基礎控除は、残された方の生活保障という重要な役割を担っています。
相続税は、被相続人が亡くなったときに、その人が残した財産に対して課税される税金です。
しかし、すべての財産に対して課税されるわけではなく、一定額までは非課税となります。
この非課税となる金額が、基礎控除です。
基礎控除の金額は、相続人の数によって異なります。
これは、相続人が多いほど、生活費などの負担も大きくなると考えられているためです。
例えば、
- 一人っ子の場合:3,000万円+(600万円x1人)=3,600万円
- 子ども4人の場合:3,000万円+(600万円x4人)=5,400万円
このように、相続人の数が多いほど、基礎控除の金額が大きくなります。
二次相続の相続税の負担が重い
ご両親の愛を受け継ぎ、財産を相続することは、人生における大きな節目の一つです。
しかし、同時に、相続税という大きな負担が降りかかる場合もあります。
特に、二次相続では、一次相続よりも相続税が高くなるケースが多く、多くの皆様を悩ませています。
二次相続における相続税負担が重い理由
二次相続における相続税負担が重くなる主な理由は以下の3つです。
- 基礎控除額の減少:二次相続では、相続人の数が一次相続に比べて減少するため、基礎控除額も減少します。
基礎控除額とは、相続税が課税されない最低限度の財産のことを指します。
基礎控除額が減少すると、課税対象となる財産が増え、結果的に相続税が高くなります。 - 累進課税による税率上昇:相続税は累進課税方式を採用しており、相続財産の額が大きくなるほど税率が高くなります。
二次相続では、一次相続で既に財産を多く相続している場合が多いため、累進課税による税率上昇の影響を受けやすく、結果的に高額な相続税を支払うことになります。 - 配偶者控除の適用なし:二次相続では、一次相続で配偶者控除を適用していた場合であっても、二次相続では適用することができません。
配偶者控除とは、一定の条件を満たす配偶者が相続財産を取得する場合に適用される税額軽減措置です。
二次相続ではこの控除を受けられないため、相続税負担がさらに重くなります。
一人っ子の相続税の節税方法

一人っ子といっても、相続税対策は重要です。
なぜなら、相続財産がまるまる自分に相続されるため、相続税額が高くなる可能性があるからです。
しかし、適切な対策を講じることで、税負担を大幅に軽減することができます。
一次相続の際、二次相続を考慮しておく
一人っ子家庭の場合、二次相続で相続税が高くなるリスクがあります。
一次相続では配偶者と子供が相続人になりますが、二次相続では子供が一人だけになります。
相続人数が減ると、基礎控除額が減り、相続税負担が重くなります。
そこで重要になるのが、一次相続と二次相続のバランスを考えた遺産分割です。
具体的には、
- 二次相続で発生する相続税をシミュレーションする
- 配偶者に節税対策をしてもらう
- 二次相続で子供に負担がかかりすぎないようにする
などの点に注意する必要があります。
二次相続は、相続税対策が複雑で、専門知識が必要となります。
二次相続に不安がある場合は、相続税に強い税理士に相談することをおすすめします。
一次相続で収益不動産を相続する
親が亡くなった場合、自宅だけでなく収益不動産も所有している場合は、一次相続で収益不動産を子供に相続することで、二次相続時に相続税を抑えることができます。
これは、収益不動産から得られる家賃収入が二次相続の相続財産となるためです。
一次相続で子供に収益不動産を相続することで、家賃収入は子供の財産となり、二次相続の対象から除外されることになります。
生命保険に加入する
一人っ子家庭でも、生命保険を活用することで、相続税対策を有効に行うことができます。
500万円の非課税枠を活用
相続税では、生命保険金に対して500万円×法定相続人数までの非課税枠が設けられています。
つまり、一次相続では1000万円、二次相続では500万円までの生命保険金であれば、相続税がかかりません。
どちらの親が先に亡くなるかわからないので、ご両親どちらが先に亡くなるかは不確定です。
そのため、一人っ子家庭であっても、500万円ずつの死亡保険金を受け取れるように、生命保険に加入しておくことが有効です。
一人っ子と兄弟姉妹がいる場合の相続の違い

近年、少子高齢化の影響もあり、一人っ子家庭が増えています。
一方、兄弟姉妹が複数いる家庭も依然として存在します。
相続において、一人っ子と兄弟姉妹がいる場合では、いくつかの点で違いが生じます。
一人っ子の相続
一人っ子の場合と、兄弟姉妹がいる場合では、相続できる財産の最終的な割合が大きく異なります。
その理由は、民法で定められた法定相続分によるものです。
法定相続分とは、被相続人が亡くなった際に、遺族が相続できる財産の割合を定めたものです。
一人っ子の場合は、法定相続人が一人しかいないため、その人が全ての遺産を相続することになります。
一方、兄弟姉妹がいる場合は、法定相続人が複数人になるため、遺産を人数で均等に分割することになります。
相続人がいないと財産は国庫に
法定相続人や特別縁故者と呼ばれる、亡くなった人と一定の親族関係にある人がいれば、彼らに財産が引き継がれます。
しかし、もし誰もいなければ、その財産は最終的に国庫に帰属することになります。
これは、民法で定められている「相続人不存在」という制度に基づいています。
相続人不存在が確定するまでの流れは以下の通りです。
- 相続人財産管理人が選任される
- 相続人の調査が行われる
- 相続人がいないことが確定する
- 特別縁故者がいるか調査される
- 特別縁故者がいなければ、財産が国庫に帰属する
相続人不在の財産が国庫に帰属する件数は近年増加傾向にあります。
これは少子高齢化や晩婚化の影響と考えられます。
もし、自分が亡くなった後、財産を国庫に帰属させたくない場合は、遺言書を作成しておくことをおすすめします。
遺言書があれば、自分の意思通りに財産を誰に譲りたいかを指定することができます。
一人っ子と配偶者で相続する場合
一人っ子と配偶者が法定相続分に基づいて相続する場合、それぞれ1/2ずつの相続分となります。
具体的な相続財産の分け方は、遺産分割協議で話し合いによって決められます。
一人っ子は相続放棄できるのか
相続放棄とは、被相続人の遺産を一切相続しないことを選択する制度です。
遺産にはプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。
相続放棄をすれば、プラスの財産もマイナスの財産も相続しなくて済みます。
相続人が相続放棄をすると、その人は最初から相続人にならなかったことになります。
そのため、他の相続人が遺産を相続することになります。
一人っ子の相続についてのまとめ

ここまで、一人っ子の相続についてお伝えしてきました。
一人っ子の相続の要点をまとめると以下の通りです。
- 一人っ子が相続する2つのメリットとして、相続人が少ないため相続トラブルになるリスクが低いことや相続人が多い場合に比べて手続が楽に済むなどが挙げられる
- 一人っ子の場合に相続税が高い理由は、基礎控除が少ないことや二次相続の相続税の負担が重いことが挙げられる
- 一人っ子の相続税の節税方法は、一次相続の際、二次相続を考慮しておくことや一次相続で収益不動産を相続することが挙げられる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
