抵当権がある土地や不動産を相続した場合について気になる方も多いのではないでしょうか。
本記事では抵当権がある土地や不動産を相続した場合について以下の点を中心に解説していきます。
- 抵当権とは
- 抵当権つき不動産を相続した場合
- 抵当権抹消とは
抵当権がある土地や不動産を相続した場合について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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抵当権とは

抵当権とは、お金を借りるときに、返済の担保として設定される権利です。
具体的には、債務者が返済できなくなった場合、債権者は抵当権設定された不動産を競売にかけ、その売却代金から弁済を受けることができます。
抵当権は、土地や建物など、登記できる不動産に設定することができ、登記簿に記載されるため、第三者に対抗することができます。
抵当権の設定には、債務者と債権者の合意と、登記が必要であり、債務が完済されると抹消されます。
抵当権つき不動産を相続した場合

抵当権のついている物件を相続したら、まずは抵当権の内容を調べる必要があります。
仮に借金について相続した場合には相続放棄を考えることもできます。
また、債務を完済したら抵当権抹消登記をしなければならず、第三者の借金を担保している抵当権の場合、第三者が返済するか否かで不動産の将来が左右されます。
抵当権つきの不動産を相続した場合は、確認するポイントがありますのでみていきましょう。
不動産の抵当権の有無を確認する方法
1.不動産登記簿等を取り寄せる
- 司法書士に依頼するか、法務局で直接取得する。
- 内容は「表題部」「権利部(甲区)」「権利部(乙区)」に分かれる。
- 抵当権に関する事項は「権利部(乙区)」に記載。
2.抵当権設定の有無と抹消を確認する
- 「権利部(乙区)」に「抵当権設定」の記載があるか確認。
- 記載事項に下線がある場合は抹消されている。
- 下方にある「抵当権抹消」の記載も確認。
3.現在の債務額を確認する
- 債権額は設定時の金額であり、現在は減少している可能性が高い。
- 現在の債務額は債権者である金融機関に確認する。
- 借入金の残高証明書と預貯金の残高証明書を請求する。
不動産を分割した場合
不動産を分割した場合、抵当権は分割された各不動産に移転するわけではありません。
抵当権は、分割前の不動産全体に付いているため、分割後も不動産全体に付いたままとなります。
そのため、抵当権が付いた不動産を複数人で相続する場合、抵当権が誰に帰属するかを明確にする必要があります。
抵当権が複数人に帰属すると、債権者は抵当権を実行して、不動産を差し押さえ、売却して債権を回収することができます。
抵当権を複数人で共有する場合は、抵当権の持分を明確にしておくことが重要です。
抵当権の解除
抵当権を解除するには、債権者の同意を得て、抵当権抹消登記をする必要があります。
抵当権を解除すると、不動産の価値が下がる可能性があるので、慎重に検討する必要があります。
抵当権を解除せずに不動産を分割する場合は、抵当権が誰に帰属するかを明確にしておくことが重要です。
また、抵当権が実行された場合のリスクについても理解しておく必要があります。
不動産を分割した場合の抵当権の扱いについてのポイント
- 抵当権は分割された各不動産に移転するわけではありません。
- 抵当権は、分割前の不動産全体に付いているため、分割後も不動産全体に付いたままとなります。
- 抵当権が複数人に帰属すると、債権者は抵当権を実行して、不動産を差し押さえ、売却して債権を回収することができます。
- 抵当権を複数人で共有する場合は、抵当権の持分を明確にしておくことが重要です。
また、抵当権を解除する方法についても検討する必要があります。
- 不動産を分割する際、抵当権を解除せずに所有権を移転する場合、抵当権の帰属を明確にする必要があります。
また、抵当権が実行された場合のリスクについても理解しておく必要があります。
抵当権を相続したときの対処法

抵当権を相続した場合、6つの対処法があります。
以下で紹介します。
相続放棄を検討する
相続放棄とは、相続人としての地位を放棄し、相続財産を一切受け取らないことをいいます。
住宅ローン付きの不動産を相続した場合、相続人は住宅ローンの債務も相続することになります。
そのため、住宅ローンの返済が困難な場合は、相続放棄を検討する必要があります。
相続放棄は、相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。申述が遅れると、相続放棄ができなくなるので注意が必要です。
相続放棄をすると、相続財産を一切受け取ることができなくなります。
また、相続放棄をした相続人は、相続人としての権利も失います。
そのため、相続放棄をするかどうかは、慎重に検討する必要があります。
相続放棄を検討している場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士は、相続放棄のメリットとデメリットを説明し、相続放棄をするかどうかの判断をサポートしてくれるでしょう。
なお、相続放棄をすると、相続税の納税義務も免除されます。
団体信用生命保険を適用する
住宅ローン付きの不動産を相続した場合、相続人は住宅ローンの債務も相続することになります。
そのため、住宅ローンの返済が困難な場合は、相続放棄を検討する必要があります。
しかし、相続放棄をすると、相続財産を一切受け取ることができなくなります。
そのため、住宅ローンが残っている不動産を相続する場合、相続人はローン返済義務を負います。
しかし、被相続人が団体信用生命保険に加入していた場合は、保険金によってローンが完済されるため、相続人は返済義務を負いません。
団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの契約者に万が一のことがあったときに、住宅ローンの返済義務を追わず、残高が0になる保険のことです。
団信に加入していれば、契約者が死亡または所定の高度障害状態になった場合、団体信用保険生命保険が、住宅ローン残高に相当する保険金が生命保険会社から銀行に支払われ、債務の返済に充当されます。
つまり、団体信用生命保険に加入していれば、住宅ローンの返済が困難になったとしても、相続放棄をせずに住宅ローン付きの不動産を相続することができます。
住宅ローン付きの不動産を相続する予定がある場合は、団体信用生命保険への加入を考え、万が一に備えておきましょう。
家を売却して返済する
抵当権付きの住宅を相続した場合、住宅を売却して抵当権を返済する方法があります。
抵当権を返済しないと、債権者が住宅を差し押さえ、競売にかける可能性があります。
住宅を売却するには、抵当権を抹消する必要があります。
抵当権を消滅させるためには、抵当権者へ抹消手続きを依頼し、残りの借入金を完済する必要があります。
抵当権を抹消するには、権利者情報の確認が不可欠です。
抵当権者の住所や連絡先は、抵当権証書に記載され、抵当権証書は、住宅の登記簿謄本に添付されています。
抵当権者の住所や連絡先がわからない場合は、法務局に問い合わせて確認することができます。
抵当権を抹消すると、住宅の所有権が相続人に移ります。
住宅を売却するには、不動産会社に依頼するか、自分で売却することができます。
住宅を売却して抵当権を返済する方法は、抵当権の残高や住宅の市場価値によって、最適な方法が異なります。
抵当権の残高が住宅の市場価値よりも大きい場合は、住宅を売却しても抵当権を返済できない可能性があります。
その場合は、抵当権を残したまま住宅を売却するか、抵当権を譲渡するなどの方法を検討する必要があります。
住宅を売却して抵当権を返済する方法は、相続した住宅を処分する方法の1つです。
住宅を売却する前に、抵当権の抹消や住宅の市場価値などを考慮して、最適な方法を選択することが重要です。
債務者変更登記を行う
債務者変更登記とは、相続した住宅の抵当権の債務者を、相続人に変更する登記のことです。
この登記を行うことで、相続人は住宅の所有者であると同時に、抵当権の債務者にもなります。
これにより、住宅を売却したり、抵当権を解除したりする際に、相続人が直接手続きを行うことができるようになります。
債務者変更登記を行うには、以下の手順が必要です。
- 相続登記を行う
- 債務者変更登記の申請書を作成
- 登記申請書を法務局に提出
債務者変更登記は、司法書士に依頼するのが一般的です。
司法書士に依頼すれば、手続きを代行してもらうことで、手間や時間の節約ができます。
債務者変更登記を行うことで、相続人は住宅の所有権と抵当権を同時に取得することができます。
これにより、住宅の管理や売却がスムーズに行えるようになるでしょう。
なお、債務者変更登記を行う際には、抵当権の残高を全額支払う必要があります。
また、抵当権の残高を相続人が支払えない場合は、抵当権の抹消登記を行う必要があります。
限定承認を行う
限定承認とは、相続財産の一部または全部を相続する意思を表示し、相続財産の負債の範囲内でのみ相続債務を負担する制度です。
限定承認を行うと、相続財産の負債が相続財産の価値を上回る場合でも、相続人は相続財産の価値を超える部分の債務を負担する必要はありません。
限定承認を行うメリットは、相続財産の価値を超える債務を負担する必要がないことです。
デメリットは、相続財産の一部または全部を相続できないことです。
限定承認を行うかどうかは、相続財産の価値と債務の額を慎重に検討して判断する必要があります。
限定承認を行うには、相続開始から3か月以内に家庭裁判所に限定承認の申述を行う必要があります。
抵当権の抹消登記を検討する
相続した家で抵当権がある場合、抵当権抹消登記を検討することがあります。
抵当権抹消登記とは、抵当権を抹消するための登記手続きです。
抵当権抹消登記には、以下のメリットがあります。
- 抵当権が消滅するため、抵当権者による競売のリスクがなくなります。
- 抵当権が消滅するため、抵当権が設定されていることを理由に、不動産の売却が難しくなることはありません。
- 抵当権が消滅するため、抵当権が設定されていることを理由に、ローンを借り入れることが難しくなることはありません。
抵当権抹消登記には、以下のデメリットもあります。
- 抵当権の債権者を特定し、債務を全額支払う必要があります。
- 抵当権抹消登記の手続きは複雑で、時間がかかります。
抵当権抹消登記は、相続した家の状況や、今後の不動産の利用方法によって、検討するかどうかを判断する必要があります。
相続不動産に抵当権が設定されている場合の遺産分割

相続する不動産に抵当権が設定されている場合、遺産分割はどのように行えば良いのでしょうか?
債務者が被相続人の場合で抵当権設定の原因が住宅ローンの場合
被相続人が団体信用生命保険に加入していた場合、相続人は債務を負担せずに不動産を相続することができます。
団体信用生命保険とは、住宅ローン契約者本人が死亡または高度障害状態になった場合に、保険会社が残債を金融機関に支払う保険です。
被相続人が団体信用生命保険に加入していなかった場合、相続人は法定相続割合に応じて債務を負担することになります。
法定相続割合とは?

法定相続割合とは、民法で定められた相続人の相続割合です。
相続人が誰であるかは、被相続人の配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹の順に決まります。
そして、それぞれの相続人が相続できる割合が法定相続割合です。
例えば、被相続人に配偶者と子が1人ずついた場合は、配偶者が2分の1、子が2分の1を相続します。
法定相続割合は、相続人の権利を守るために定められたものです。
相続人が誰であるか、そして相続人が相続できる割合を把握しておくことは、相続手続きをスムーズに進めるために重要です。
なお、法定相続割合は、被相続人が遺言書を作成することで変更することができます。
抵当権設定の原因が住宅ローン以外の場合
遺産の不動産に抵当権が付いている場合、その抵当権設定の原因が住宅ローン以外の場合、借金の返済義務は相続人全員に法定相続分に応じて発生します。
例えば、故人が事業資金として借金をしていた場合、その借金の返済義務は、相続人全員が法定相続分に応じて負うことになります。
抵当権設定のある不動産も、通常の不動産と同様、一般的な遺産分割の対象となります。
つまり、相続人の一人が当該不動産を相続することが可能です。
その場合、相続人は、抵当権の債権者から借金の返済を求められる可能性があり、返済できない場合は、不動産を差し押さえられて競売にかけられる可能性があります。
そのため、抵当権付きの不動産を相続する際には、借金の額や返済状況をよく確認し、相続するかどうかを慎重に検討する必要があります。
抵当権抹消とは

抵当権抹消とは、抵当権を消すことです。
抵当権を消すには、債務を完済するか、裁判を起こす必要があります。
抵当権とは、債権者が債務者が債務を返済しなかった場合に、債務者の財産を差し押さえることができる権利です。
抵当権が設定されている不動産を相続した場合、抵当権を消さなければ、不動産を売却したり、担保にしたりすることができません。
債務を完済すれば、抵当権は自動的に消滅します。
しかし、債務を完済できない場合は、裁判を起こして抵当権を消す必要があります。
裁判を起こす場合は、弁護士に依頼するのが一般的です。
抵当権抹消の手続きは、不動産の所在地を管轄する法務局で行います。
手続きには、抵当権抹消登記申請書、抵当権抹消証明書、債務を完済したことを証明する書類などが必要です。
抵当権抹消の手続きには、費用がかかります。
費用は、不動産の評価額や抵当権の額によって異なります。
抵当権抹消登記の手続きの流れ
抵当権抹消の手続きは、複雑で時間がかかります。
抵当権が設定されている不動産を相続した場合は、早めに手続きを開始することをおすすめします。
抵当権抹消登記は、住宅ローンなどの債務を完済した際に、不動産登記簿から抵当権の情報を抹消する手続きです。
手続きは自分で行うこともできますが、複雑なため専門家に依頼するのが一般的です。
- 必要書類を準備する
抵当権抹消登記に必要な書類は以下の通りです。
- 抵当権抹消登記に必要な書類
- 登記申請書
- 登記済証または登記識別情報
- 抵当権抹消原因証明情報(弁済証書など)
- 抵当権者(金融機関)の登記申請委任状
- 銀行の資格証明書
- 所有権登記名義人の住民票または戸籍謄本
- 法人登記簿謄本(法人の場合)
これらの書類は、金融機関や法務局で取得できます。
- 登記申請書を作成する
登記申請書は、法務局で入手できます。
必要事項を記入し、必要書類を添付して、法務局に提出します。
- 法務局に登記申請を行う
登記申請は、管轄の法務局で行います。
必要書類を提出して、登録免許税を納付します。
- 登記完了
登記申請が受理されると、法務局から登記識別情報通知書が送付されます。
これで、抵当権抹消登記が完了します。
抵当権がある土地や不動産を相続した場合についてのまとめ

ここまで抵当権がある土地や不動産を相続した場合についてお伝えしてきました。
抵当権がある土地や不動産を相続した場合の要点をまとめると以下の通りです。
- 抵当権とは、お金を借りるときに、返済の担保として設定される権利
- 抵当権のついている物件を相続したら、まずは抵当権の内容を調べる必要がある
- 抵当権抹消には、債務を完済するか、裁判を起こす必要がある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。