相続登記の手続きは初めて行う方にとって、どの書類が必要で、どのタイミングで準備すべきかが分からず、戸惑うことが多いものです。
相続の方法や状況に応じて必要な書類が違うため、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。
本記事では、相続登記に必要な書類に関して、以下のポイントを中心に解説します。
- 相続登記のケース別に必要な書類とは?
- 書類の取得方法と手続きを円滑に進めるための注意点
- 海外居住の相続人や数次相続の場合に必要な特別な書類
相続登記をスムーズに進めるための準備に役立てていただければと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
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【ケース別】相続登記に必要な書類

相続登記する際に必要となる書類は、相続の方法や状況によって違います。
ここでは、具体的なケース別に必要な書類について説明します。
遺産分割協議によって相続する場合
遺産分割協議は、複数の相続人が遺産をどのように分けるかを決める重要な手続きです。
相続人全員が同意した場合、その協議内容を記載した遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書には、全ての相続人が署名し、押印する必要があります。
この協議書は相続登記において、所有権移転の根拠となります。
加えて、相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書も必要です。
これにより、相続人が誰であるかが証明されます。
また、遺産分割協議書の他にも、相続する不動産に関連する書類(固定資産評価証明書)なども提出が求められます。
法定相続分に従って相続する場合
法定相続分に従って相続が行われる場合は、遺産分割協議しなくても相続が完了します。
この場合でも、相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書は必要です。
相続人の確認のために必要な書類であり、相続人の確認ができることで登記手続きが進められます。
また、不動産の相続に関しては、固定資産評価証明書を提出することも求められます。
この証明書により、相続する不動産の評価額が確定し、登記手続きが円滑に進みます。
遺言書に基づき法定相続人が相続する場合
遺言書に基づいて相続が行われる場合、法定相続人が相続することになります。
遺言書があることで、相続人が誰かが明確になります。
遺言書が正当であることを確認するために、公正証書遺言の場合はその原本を、手書き遺言の場合は家庭裁判所の検認手続きを経た写しを提出します。
また、相続人の確認が必要なため、相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書が必要です。
加えて、遺言書に記載された内容を証明するため、場合によっては法定相続情報一覧図も添付することが求められることがあります。
遺言に基づき法定相続人以外が相続する場合
法定相続人以外の人が遺言に基づいて相続する場合は、相続人全員の同意を得る必要がありません。
この場合、遺言書に基づく相続となりますが、相続人でない人物が受け取る場合、遺言書の写しに加え、その受贈者の身分証明書(戸籍謄本)や印鑑証明書が必要となります。
さらに、遺言書の内容が確実であることを証明するために、法定相続人以外の相続者が記載された遺言書の内容に矛盾がないかを確認する必要があります。
この手続きにより、遺言通りに相続が進められることが確保されます。
必要書類の取得場所と取得方法

相続登記を進める際には、いくつかの重要な書類を提出する必要があります。
以下に、代表的な必要書類とその取得場所、取得方法について詳しく説明します。
戸籍謄本
- 取得場所:戸籍謄本は、相続人や被相続人の本籍地の市区町村役場で取得できます。
- 取得方法:市区町村の役場の窓口、または郵送、さらに一部の自治体ではオンラインでも取得可能です。
インターネットを利用してマイナンバーカードを使えば、コンビニエンスストアで取得することもできます。
戸籍謄本は、相続人全員が提出しなければならないため、各相続人の戸籍謄本も事前に取得しておくことが必要です。
住民票の除票
- 取得場所:住民票の除票は、被相続人が住んでいた住所地の市区町村役場で取得できます。
- 取得方法:窓口で直接申請するか、郵送で請求する方法が一般的です。
住民票の除票は、被相続人がその住所に住んでいた証明として重要な役割を果たします。
取得後は、相続登記のために提出する必要があります。
住民票、戸籍の附票
- 取得場所:住民票や戸籍の附票は、被相続人が最後に住民登録していた市区町村役場で取得できます。
- 取得方法:役場の窓口、または郵送で申請できます。
また、インターネットを通じてマイナンバーカードを使用すれば、コンビニで取得できる自治体もあります。
附票は、住所移転の履歴を証明するために使用されます。
固定資産評価証明書
- 取得場所: 固定資産評価証明書は、相続対象となる不動産が所在する役所で取得できます。
- 取得方法:役所の固定資産税課で申請します。
申請時には、不動産の所在がわかる情報(地番や家屋番号など)を準備しておく必要があります。
郵送でも申請できる自治体がありますが、最新の評価額が記載された証明書を提出しなければならないため、できるだけ最新のものを取得してください。
法定相続情報一覧図の写し
- 取得場所:法定相続情報一覧図は、法務局で取得できます。
- 取得方法:まず法務局に法定相続情報一覧図を作成して提出する必要があります。
その後、この一覧図の写しを取得し、相続登記に必要な書類として添付できます。
法定相続情報一覧図を提出することで、相続人の確認を簡素化でき、関連する添付書類を省略できるため、登記手続きがスムーズに進みます。
登記申請書
- 取得場所:登記申請書は、法務局から取得できます。
- 取得方法:法務局で直接入手するか、法務局の公式ウェブサイトからダウンロードして使用します。
登記申請書は、相続による所有権移転のために必要な書類であり、相続登記するために必須です。
正確に記入し、必要書類と一緒に提出します。
相続登記に必要な書類の有効期限

相続登記に必要な書類には、有効期限が設けられているものもあり、書類を提出する際には期限内に取得したものであるかを確認することが重要です。
そのため、相続登記に使用する書類を準備する際には、各書類の有効期限をしっかりと把握し、遅延しないように手続きを進めることが求められます。
古い戸籍謄本や印鑑証明書の利用が可能
通常、相続登記に使用するための戸籍謄本や印鑑証明書は、取得した日から一定の期間内であれば使用できます。
古い書類でも問題ない場合がありますが、注意しなければならないのは、これらの書類に記載された内容が最新であることが必要だという点です。
相続人の確認が求められる場合には、戸籍謄本や印鑑証明書が現在の状態を正確に反映している必要があります。
そのため、古い書類を使用する場合でも、その内容に変更がないかを確認することが大切です。
もし変更があった場合は、新しい戸籍謄本や印鑑証明書を取得することになりますが、基本的には取得後数ヶ月以内の書類であれば問題なく使用できます。
固定資産評価証明書は最新を添付
相続登記を進める際に、固定資産評価証明書を提出する必要があります。
この証明書は、不動産の評価額を証明するものであり、毎年更新されます。
相続登記する際には、最新の固定資産評価証明書を添付しなければなりません。
古い証明書を提出しても、その評価額が不正確な可能性があるため、登記手続きが滞ることがあります。
最新の評価証明書を提出することで、不動産の正確な評価額に基づいて登記手続きができ、手続きがスムーズに進みます。
固定資産評価証明書は、各市区町村の役場で取得でき、郵送での請求も可能ですが、手続きには数日から1週間程度かかることがあるため、早めに準備しておくことをおすすめします。
例外的に戸籍に期限があるケースも
相続手続きが長期間にわたる場合や、相続開始から一定の期間が経過した場合には、戸籍謄本の取得日が重要となることがあります。
この場合、相続登記する際に提出する戸籍謄本は、取得から6ヶ月以内のものが必要とされることがあります。
これは、相続人の確認が正確に行われるための措置であり、戸籍の内容に変更があった場合には、最新の戸籍謄本を提出しなければならない場合があります。
このような場合、戸籍謄本に期限が設けられることを理解し、必要なタイミングで新しい書類を取得することが重要です。
相続登記の書類を用意する際の注意点

相続登記に必要な書類は、手続きの進行を円滑にするために非常に重要です。
適切に書類を用意することで、登記手続きがスムーズに進み、遅延や追加手続きの手間を避けられます。
以下に、相続登記に必要な書類を準備する際の注意点をいくつか挙げます。
これらのポイントを押さえておけば、手続きがスムーズに進みます。
① 戸籍は新しいものから順に取得していく
相続登記を進めるために最初に必要な書類は、被相続人および相続人の戸籍謄本です。
相続人を確認するために戸籍を遡って取得する必要がありますが、取得する順番に注意が必要です。
戸籍は、新しいものから順番に取得していくことが重要です。
例えば、被相続人の死亡時からさかのぼる形で戸籍を取得し、その後、相続人の戸籍も新しいものから順に取得します。
これにより、相続人の確認がしっかりと行え、誤った情報を基に手続きが進むのを防げます。
必要な戸籍謄本をきちんと遡って取得することで、相続登記に必要なすべての情報を把握できるため、後々の手間を減らせます。
② 相続人が海外居住の日本人である場合は住民票と印鑑証明書の代わりとなる書類を用意する
相続人の中に海外に住んでいる日本人がいる場合、通常の住民票や印鑑証明書を取得できません。
海外に住んでいる場合は、住民票と印鑑証明書の代わりに、以下のような書類を用意する必要があります。
まず、住民票の代わりに「戸籍の附票」や「国外居住証明書」を提出できます。
また、印鑑証明書の代わりには、署名証明書や、現地の公的機関で発行された証明書を使用することが求められます。
これらの書類は、相続人が実際に海外に居住していることを証明するためのものです。
海外に住んでいる相続人の書類は、各国の法制度や手続きに従って取得する必要があるため、事前に確認し、適切な書類を用意することが重要です。
③ 数次相続の場合は元の相続と次に発生した相続両方の戸籍謄本が必要になる
数次相続の場合、つまり、被相続人が亡くなった後、相続手続きがさらに複雑になる場合があります。
例えば、相続人の一部がすでに亡くなっており、その相続分が次の相続人に引き継がれる場合などです。
この場合、元の相続の戸籍謄本と次に発生した相続の戸籍謄本の両方を取得する必要があります。
元の相続の戸籍謄本は、初回の相続が開始されたことを確認するために必要であり、次に発生した相続の戸籍謄本は、次の相続人を確認するために必須です。
数次相続の場合、相続人が複数代にわたって関係していることも多いため、すべての相続に関わる戸籍謄本を遡って取得し、相続人の確認を正確に行うことが大切です。
相続登記に必要な書類に関してよくある質問

相続登記に必要な書類に関してよくある質問をご紹介します。
相続登記を司法書士に頼むといくらかかりますか?
相続登記を司法書士に依頼する場合、費用は一般的に3万円から8万円程度が相場です。
費用は相続する不動産の数や相続人の人数、手続きの複雑さによって違います。
また、登記に必要な「登録免許税」は不動産の評価額に基づき、通常0.4%が課されます。
さらに、必要な書類の取得費用(戸籍謄本や住民票など)や法定相続情報一覧図の発行費用が追加される場合もあります。
事前に見積もりを取り、費用の内訳を確認してから依頼することをお勧めします。
相続登記にかかる期間はどのくらいですか?
相続登記にかかる期間は、手続きの内容や準備が整うまでの時間によって違います。
一般的には、書類の準備が整った後、登記申請自体は数日から1週間程度で完了することが多いようです。
書類の準備期
相続登記に必要な書類を揃えるには、戸籍謄本や住民票、印鑑証明書、固定資産評価証明書などを取得する必要があります。
これらの書類を揃えるには、役所に出向く必要があり、数日から数週間かかることもあります。
相続人が海外に住んでいる場合や数次相続の場合は、書類を揃えるまでに時間がかかることがあります。
登記申請後の期間
登記申請後、法務局での審査が行われます。
通常、登記申請から数日から1週間程度で登記が完了します。
ただし、申請内容に不備があった場合や追加書類の提出が必要な場合は、さらに時間がかかることがあります。
司法書士に依頼する場合
司法書士に依頼した場合、書類の準備から登記申請までの期間は、司法書士が迅速に手続きを進めてくれるため、短期間で完了することが多いようです。
費用がかかりますが、手間を省き、確実に手続きを進められます。
相続登記に必要な書類についてのまとめ

ここまで、相続登記に必要な書類について解説してきました。
内容をまとめると、以下の通りです。
- 相続登記の手続きには、ケースに応じて違う書類が必要であり、事前に確認して準備することが重要
- 海外居住の相続人や数次相続の場合、特別な書類や手続きが求められることがある
- すべての書類を順番通りに取得し、手続きを進めることで、スムーズに相続登記が完了する
相続登記は正確かつ迅速に行うことが大切です。
準備を整えておくことで、手続きを効率よく進め、遅延やトラブルを防げます。
今回の記事が、相続登記の手続きに役立つ情報となり、スムーズな進行に繋がれば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。