相続放棄受理証明書は、相続放棄が正式に認められたことを証明する重要な書類です。
本記事では、相続放棄受理証明書について以下の点を中心にご紹介します。
- 相続放棄申述受理通知書との違い
- 相続放棄受理証明書が必要なケース
- 相続放棄受理証明書の取得方法
相続放棄受理証明書について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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相続放棄受理証明書とは

相続放棄受理証明書とは、家庭裁判所が相続放棄の手続きが正式に認められたことを証明する公的な書類です。
相続放棄とは、本来なら財産を引き継ぐ立場にある人が、被相続人のプラスの財産(預貯金や不動産など)もマイナスの財産(借金やローンなど)も一切引き継がないことをいいます。相続放棄を行うには、家庭裁判所へ申述し、受理される必要があります。
ただし、相続放棄の申述が受理された事実は、一般に公表されません。このため、申述人以外の第三者が相続放棄の有無を確認する手段として、相続放棄受理証明書の提出を求める場合があります。不動産の名義変更や遺産分割手続き、債権回収業者への対応など、さまざまな場面で必要となることがあります。
相続放棄受理証明書は、特定の人が相続放棄した事実を明確に示す役割を持っており、相続関係の整理において重要な書類です。
相続放棄申述受理通知書との違い

相続放棄申述受理通知書は、家庭裁判所が相続放棄の申述を受理したことを申述人本人に通知するための書類です。対外的な証明書ではなく、申述手続きが完了したことを本人に知らせる役割を持っています。
相続放棄受理証明書の相続放棄申述受理通知書との違いを以下に解説します。
①再発行できる
相続放棄申述受理証明書は、相続放棄が正式に認められたことを示す公的な証明書であり、必要に応じて何通でも発行することが可能です。
たとえば、不動産の名義変更や債権者への提出など、複数の手続きに使う場合でも、都度発行を依頼できます。ただし、注意すべきなのは、相続放棄の申述が受理されてから30年以内に限り再発行ができるという点です。これは家庭裁判所が相続放棄に関する記録を保存する期間が30年と定められているためです。
一方、相続放棄申述受理通知書は、申述手続きが完了したことを申述人に知らせるためのものです。この通知書は相続放棄完了時に一度だけ発行され、再発行することはできません。
手続きに際しては、この違いをしっかり理解しておくことが大切です。
②申述人以外も請求できる
相続放棄申述受理証明書は、相続放棄をした本人(申述人)だけでなく、利害関係を持つ第三者も発行を申請できる点が特徴です。ここでいう利害関係人とは、相続財産の管理や処分により利益を得る、または損失を回避する立場にある人を指します。
たとえば、被相続人に対して貸付金の返済を求めていた銀行や消費者金融、自治体なども該当し、相続人の有無や責任関係を確認するために証明書を請求することが認められています。
これに対し、相続放棄申述受理通知書は、手続きを行った本人にのみ送付される書類であり、第三者が取得することはできません。申述受理証明書と申述受理通知書では、発行対象者や利用範囲に大きな違いがあるため、手続き時には注意が必要です。
相続放棄受理証明書が必要なケース

相続放棄受理証明書が必要なのはどのようなケースなのでしょうか。以下に解説します。
①相続債権者に相続放棄を証明するケース
相続放棄をしたにもかかわらず、被相続人の借金やローンの支払いを求められることがあります。このような場合、相続債権者に対して、自分が相続人ではないことを証明する必要が生じます。その際に提出するのが「相続放棄申述受理証明書」です。
相続債権者とは、亡くなった方の借金や未払金の返済を相続人に請求できる立場の人を指します。相続放棄が認められると、申述人は法律上初めから相続人ではなかったとみなされるため、債務を支払う義務はありません。しかし、相続放棄の事実は債権者に自動的に通知されないため、請求が続くこともあります。
その場合、「相続放棄申述受理証明書」や、簡易的には「相続放棄申述受理通知書」の写しを提示して対応します。特に債権者が正式な証明書を求める場合には、申述受理証明書の提出が必要となるため、手続きの流れを理解しておくことが大切です。
②他の相続人が相続登記をするケース
被相続人の不動産を相続する際には、名義変更のために「相続登記」の手続きが必要です。
この相続登記を行う相続人や受遺者にとって、他に相続放棄をした人がいる場合、その事実を証明する書類が求められます。この際に提出するのが、「相続放棄申述受理証明書」または「相続放棄申述受理通知書」(の写し)です。
通常は、相続放棄をした本人から通知書の写しをもらい提出しますが、もし入手できない場合でも、利害関係人として自ら家庭裁判所に申請し、証明書を取得することが可能です。
なお、登記申請では原本添付が原則のため、通知書を提出する場合には「原本還付」を忘れずに依頼しましょう。相続登記をスムーズに進めるためにも、必要書類の準備には十分注意が必要です。
③他の相続人が金融機関の相続手続きをするケース
被相続人の預貯金や株式などの金融資産を引き継ぐ際、相続人の中に相続放棄をした人がいる場合には、その事実を金融機関に証明しなければなりません。
このとき、必要となるのが「相続放棄申述受理証明書」や「相続放棄申述受理通知書」の写しです。金融機関によっては、通知書ではなく正式な証明書の提出を求められることもあるため、事前に必要書類を確認しておくことが重要です。
通常、相続放棄をした申述人から通知書の写しをもらうことで対応できますが、入手できない場合は、相続人自身が「利害関係人」として家庭裁判所に申請し、証明書を取得することも可能です。
スムーズな相続手続きを進めるためには、金融機関ごとの対応ルールにも十分注意を払いましょう。
相続放棄受理証明書の取得方法

相続放棄受理証明書の取得方法を以下に詳しく解説します。
①本人が申請する場合
相続放棄受理証明書は、相続放棄を行った本人(申述人)が直接申請することができます。申請先は、被相続人が亡くなる直前に住んでいた地域を管轄する家庭裁判所です。家庭裁判所によって必要書類や申請書の様式が異なる場合があるため、事前に公式サイトなどで確認しておきましょう。
申請に必要なものは、相続放棄受理証明申請書、相続放棄受理通知書、申述人の本人確認書類(運転免許証や健康保険証など)、そして郵送申請の場合には返信用封筒と切手です。費用は1通あたり150円で、収入印紙で納付します。
申請書は家庭裁判所のホームページからダウンロードでき、記載例も用意されていますので参考にするとスムーズです。郵送と窓口で必要書類の取り扱いが若干異なる点にも注意しましょう。
②他の相続人・利害関係人が申請する場合
相続放棄受理証明書は、申述人本人だけでなく、他の相続人や受遺者、債権者などの利害関係人も申請できます。申請先は、被相続人が最後に居住していた地域を管轄する家庭裁判所です。費用は1通につき150円分の収入印紙を用いて納付します。
必要書類として、相続放棄受理証明申請書と本人確認書類に加え、利害関係を示す資料の提出が求められます。たとえば、相続人であれば戸籍謄本や相続関係図、債権者であれば金銭消費貸借契約書やローン契約書などが必要になります。法人が申請する場合は、法人資格証明書と代表者の本人確認書類も必要です。
申請内容や必要書類は申請者の立場によって異なるため、事前に家庭裁判所へ問い合わせて確認しておくと安心です。
③申請期限は30年
相続放棄受理証明書の発行には期限があります。
家庭裁判所が相続放棄に関する記録を保管しているのは原則として30年間と定められているため、この期間を過ぎると証明書の発行ができなくなる可能性があります。相続放棄の事実を後から証明しようとしても、保管期間が終了していれば確認できなくなってしまうため、注意が必要です。
もっとも、通常の債権は10年以内に時効により消滅するため、30年を経過してから相続放棄の証明が求められる場面は多くはありません。しかし、相続登記が長期間行われないケースでは、30年以上経ってから証明書が必要となるリスクもあります。こうした事態を防ぐためにも、早めの相続手続きが重要です。
相続放棄受理証明書についてのよくある質問

相続放棄申述受理通知書を紛失してしまったらどうすればよいですか?
相続放棄申述受理通知書を紛失してしまった場合、そのままでは相続放棄受理証明書を申請できません。この通知書には重要な「事件番号」が記載されており、証明書取得には事件番号の確認が必要だからです。紛失時は、まず「相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会」を家庭裁判所に申請しましょう。
照会は、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行い、手数料は無料です。申請には、亡くなった方の戸籍謄本や住民票の除票、照会者の戸籍謄本や住民票、さらに相続関係図などが必要になります。
これにより事件番号や受理年月日を確認でき、その後、正式に相続放棄受理証明書の申請手続きが進められます。利害関係人が照会する場合は、さらに関係を示す書類も求められるので注意しましょう。
相続放棄申述受理証明書は再発行が可能ですか?
相続放棄申述受理証明書は、一度発行された後でも、再度申請すれば何度でも再発行してもらうことが可能です。ただし、再発行ができるのは、相続放棄の申述が受理されてから30年以内に限られます。これは、家庭裁判所が相続放棄に関する記録を30年間保管することが理由です。
申請する際には、発行手数料として1通あたり150円分の収入印紙が必要になります。また、申請先は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。再発行の手続きも、初回の取得時と基本的には同じ流れとなり、必要書類や本人確認書類の提出が求められます。
手続きには多少の手間がかかりますので、相続放棄申述受理証明書は大切に保管し、万が一再発行が必要になった場合には、早めに申請を行うようにしましょう。
相続放棄受理証明書についてのまとめ

ここまで相続放棄申述受理証明書についてお伝えしてきました。相続放棄申述受理証明書について要点をまとめると以下のとおりです。
- 相続放棄申述受理証明書は対外的に提出できる公的な証明書で、再発行や利害関係人の請求が可能である。一方、相続放棄申述受理通知書は申述人本人への通知用であり、再発行や第三者の取得はできない
- 相続放棄受理証明書は、被相続人の借金請求への対応、不動産の相続登記、金融機関での相続手続きなど、相続放棄を証明する必要がある場面で提出を求められる重要な書類である
- 相続放棄受理証明書は、申述人本人や利害関係人が家庭裁判所に申請して取得する。申請には必要書類と収入印紙150円が必要で、発行は相続放棄から30年以内に限られるため注意が必要
相続放棄受理証明書は、相続放棄を正式に証明する重要な書類です。申述受理通知書との違いや取得方法を正しく理解しておくことで、相続手続きや債権者対応をスムーズに進めることができます。必要となる場面に備え、早めに手続きを確認しておきましょう。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。