相続は、家族間の絆を反映する重要な手続きですが、時には深刻なトラブルや不和がその過程を複雑にします。
特定の相続人に対して遺産を相続させたくないという強い意志がある場合、法律は「相続排除」という手段を提供しています。
この記事では、相続廃除について以下の点を中心にご紹介します!
- 相続廃除とは
- 相続廃除の条件
- 相続廃除の注意点
相続廃除について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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相続廃除とは

相続廃除は、被相続人が特定の推定相続人に対して相続権を失わせることができる法的手段です。
これは、被相続人に対する虐待や重大な侮辱、その他の著しい非行があった場合に限り、家庭裁判所によって認められます。
相続廃除の対象者と遺留分
相続廃除の対象者は、遺留分を有する推定相続人に限られます。
これには配偶者、子供、直系尊属が含まれます。
兄弟姉妹は遺留分がないため、相続廃除の対象にはなりません。
相続廃除が認められると、対象者は遺留分を含む一切の相続権を失います。
相続廃除の手続きができるのは被相続人のみ
相続廃除の申立ては、被相続人自身によって行われます。
生前に申立てを行う方法と、遺言書による意思表示をして遺言執行者が申立てを行う方法があります。
どちらの方法も、家庭裁判所の審判を経て、相続廃除が認められる必要があります。
相続欠格との違い
相続廃除と似た概念に相続欠格がありますが、これらは異なる制度です。
相続欠格は、被相続人を故意に死亡させたり、遺言書を偽造・隠匿したりした場合に、自動的に相続権が失われるものです。
一方、相続廃除は、被相続人の意思に基づいて特定の相続人の相続権を失わせる制度です。
相続廃除は、被相続人に対する重大な非行があった推定相続人に対して、被相続人の意思により相続権を失わせることができる重要な制度です。
この制度は、被相続人の意思を尊重し、不当な行為を行った相続人に対する法的な対応を可能にします。
しかし、相続廃除は容易に認められるものではなく、厳格な要件を満たす必要があります。
相続廃除の条件

相続廃除は、特定の相続人から相続権を剥奪するための法的手段ですが、この手段を利用するためには、一定の厳格な条件を満たす必要があります。
相続廃除が認められるケース
相続廃除が認められる主なケースは以下の通りです。
- 被相続人に対する虐待:これには身体的、精神的な虐待が含まれ、被相続人への深刻な害をもたらす行為が対象となります。
- 重大な侮辱:家庭内の平和を著しく害するような行為や、被相続人の名誉や感情を深く傷つける行為が該当します。
- その他の著しい非行:犯罪行為、浪費、ギャンブルなど、被相続人に対して著しい迷惑をかける行為が含まれます。
これらの行為があった場合、被相続人は家庭裁判所に相続廃除を申し立てることが可能です。
相続廃除が認められないケース
相続廃除が認められないケースも存在します。
これには以下のような状況が含まれます。
- 虐待や侮辱が一時的または軽度で、相続廃除を正当化するほどの重大性を欠いている場合。
- 被相続人に対する非行が、法的に相続廃除を認めるほどの重大性を持たない場合。
相続廃除は、被相続人が特定の相続人に対して相続権を剥奪するための重要な法的手段です。
しかし、その適用は厳格な条件に基づいており、虐待、重大な侮辱、著しい非行があった場合にのみ、家庭裁判所が相続廃除を認める可能性があります。
これらの条件を満たすことは容易ではなく、実際に相続廃除が認められるケースは限られています。
相続廃除の手続き方法

相続廃除は、特定の相続人からの長年の暴力や虐待、重大な侮辱、著しい非行などがあった場合に、その相続人から相続権を剥奪できる制度です。
ここでは、相続廃除の申し立てができるケース、相続廃除が認められる要件、および相続廃除の手続き方法について解説します。
生前廃除は家庭裁判所に申立をする
生前廃除は、被相続人が存命中に家庭裁判所に申し立てる手続きです。
この申し立てが認められると、特定の相続人は相続権を失います。生前廃除を行うためには、相続人が被相続人に対して虐待、重大な侮辱、または著しい非行を行ったことを証明する必要があります。
遺言廃除は、遺言に意志を明記する
遺言廃除は、被相続人が遺言にて特定の相続人を相続から除外する意志を明記する方法です。
この遺言による廃除は、被相続人の死後に効力を発揮し、遺言が法的に有効であることが必要です。
相続廃除の申立て後の流れ
相続廃除の申立てが行われた後、家庭裁判所は申立ての内容を検討し、必要に応じて証拠や証言を収集します。
廃除が認められると、相続人は相続権を失い、その旨が戸籍に記載されます。
ただし、相続廃除が認められる確率は比較的低く、約15%程度とされています。
相続廃除の注意点

相続廃除は、特定の相続人に対して相続権を剥奪する重要な法的手続きです。
しかし、この手続きにはいくつかの重要な注意点があります。
ここでは、相続廃除の際に考慮すべき主要なポイントについて解説します。
代襲相続の可能性
相続廃除を行っても、廃除された相続人の子孫は代襲相続の対象となる可能性があります。
これは、廃除された人物の子や孫が、その方の相続権を引き継ぐことを意味します。
したがって、相続廃除を行う際には、その影響が次世代に及ぶことを理解しておく必要があります。
相続欠格との違い
相続廃除と混同されがちな「相続欠格」という制度もありますが、これらは異なるものです。
相続欠格は、被相続人に対する重大な犯罪など特定の事由により、相続権が自動的に失われる制度です。
一方、相続廃除は、被相続人が特定の相続人に対して家庭裁判所に申し立てを行い、その相続権を剥奪する手続きです。
廃除の認定は困難
相続廃除が認められるケースは限られており、その確率は低いとされています。
被相続人に対する虐待や重大な侮辱、その他の著しい非行など、特定の条件を満たす必要があります。
家庭裁判所はこれらの条件が満たされているかどうかを厳格に審査し、相続廃除の申立てを認めるかどうかを決定します。
廃除の取り消しの可能性
相続廃除は、一度行われた後でも特定の条件下で取り消すことが可能です。
これは、相続廃除が誤って行われた場合や、廃除された相続人と被相続人との関係が改善された場合などに適用されます。
相続廃除の取り消しは、再び家庭裁判所に申し立てを行うことによって行われます。
相続廃除は複雑な法的手続きであり、その適用には慎重な検討が必要です。
これらのポイントを理解し、適切な準備と手続きを行うことが重要です。
遺言で廃除する方法

遺言による相続人の廃除は、遺言書にその意向を明確に記述することで可能となります。
廃除の根拠となる事実を詳細に記載することが求められます。
遺言者が亡くなった後、遺言書で指名された遺言執行者が家庭裁判所に相続人廃除の申立てを行うことになります。
この際、遺言執行者は、遺言書に記載された廃除の理由となる事実を証明する証拠を用意することが重要です。
廃除の申立ての手続きは以下の通りです。
- 遺言執行者は、遅滞なく、その推定相続人の廃除や取り消しを家庭裁判所に請求しなければなりません。
- その旨の申立書を作成し、添付書類とともに家庭裁判所に提出します。
- 相続廃除の申立てがなされた後、家庭裁判所で審判手続きが行われます。
遺言で廃除を行う場合、遺言執行者の存在が不可欠となります。
そのため、遺言書で遺言執行者を指定しておくことが重要です。
また、廃除が必ず認められるわけではないため、遺言執行者に対して、推定相続人廃除の申立てをしたい旨を事前に伝えておくことが重要です。
以上が、遺言で廃除する方法についての説明です。
遺言で相続人を廃除することは、適切な手続きと理解をもとに行われるべき重要な手続きです。
代襲相続とは

代襲相続は、相続法において重要な概念の一つです。
代襲相続は、特定の状況下で相続権が次世代に移行することを可能にします。
ここでは、代襲相続の基本的な概要と発生原因について解説します。
代襲相続の概要
代襲相続とは、本来相続人となるはずだった方が、被相続人よりも先に死亡した場合や、相続権を失った場合に、その方の子どもが本来の相続人に代わって財産等を相続する制度です。
例えば、被相続人の子どもが先に死亡していて、その子どもに孫がいる場合、被相続人が亡くなると、その孫が代襲相続人として遺産を相続することになります。
さらに、孫が先に死亡していて、孫に子ども(ひ孫)がいる場合には、「再代襲相続」が発生し、ひ孫が相続人になります。
代襲相続が生じる原因
代襲相続が生じる主な原因は以下の通りです。
- 被代襲者が相続の開始前に死亡したとき:相続が開始する前に、本来の相続人が亡くなった場合、その子どもが代襲相続人となります。
- 被代襲者に相続欠格事由が生じたとき:相続人が何らかの理由で相続権を失った場合(例えば、被相続人を殺害した場合など)、その子どもが代襲相続人となります。
- 被代襲者が相続廃除されたとき:相続廃除によって特定の相続人が相続権を失った場合、その子どもが代襲相続人となります。
代襲相続は、相続人が予期せぬ理由で相続権を失った場合に、その人の子孫が遺産を相続できるようにするための重要な制度です。
相続計画を立てる際には、この代襲相続の概念を理解し、適切に対応することが重要です。
代襲相続人を相続廃除することはできる?

相続廃除は、特定の相続人に対して相続権を剥奪する重要な法的手続きです。
しかし、相続廃除された相続人に子どもがいる場合、代襲相続によりその子どもが相続権を得る可能性があります。
この状況において、代襲相続人も相続廃除することができるのかという疑問が生じます。
ここでは、この問題について解説します。
代襲相続人の相続廃除の可能性
相続廃除によって特定の相続人が相続権を失った場合、その子ども(代襲相続人)が相続権を得ることが一般的です。
しかし、相続廃除された相続人の子どもに対しても相続廃除を適用することは、一般的には認められていません。
代襲相続人を相続廃除するためには、その代襲相続人自身が虐待や侮辱などの行為を行ったという具体的な事情が必要です。
相続廃除の対象となる条件
相続廃除は、被相続人に対して虐待を行った、重大な侮辱を加えた、その他著しい非行があったなど、客観的に相続権を失わせてもやむを得ないと認められる事情が必要です。
これらの条件は、代襲相続人に対しても同様に適用されます。
つまり、代襲相続人がこれらの行為を行っていない限り、単に「相続廃除された人の家族に遺産が流れるのが気に入らない」という理由だけでは、代襲相続人を相続廃除することはできません。
代襲相続人を相続廃除する際の注意点
代襲相続人を相続廃除する場合、その事情が直ちに代襲相続人にも及ぶわけではないため、慎重な審査が必要です。
相続廃除は、相続人の相続権を失わせるという重大な効果があるため、裁判所はこの手続きを認めるかどうかを慎重に判断します。
そのため、代襲相続人を相続廃除するためには、具体的な証拠や事情を明確に示す必要があります。
相続廃除は複雑な法的手続きであり、特に代襲相続人を対象とする場合はさらに複雑になります。
このため、相続廃除を検討している場合は、法律の専門家である弁護士に相談し、適切なアドバイスやサポートを受けることが重要です。
遺言で廃除する場合の注意点

遺言を通じて特定の相続人の相続権を剥奪することは、遺産相続において重要な手段の一つです。
しかし、この手続きにはいくつかの重要な注意点があります。
ここでは、遺言で相続人を廃除する際に留意すべき主要なポイントを解説します。
遺言執行者の必要性
遺言による廃除を行う際、遺言執行者の存在が不可欠です。
遺言者が亡くなった後、遺言執行者は家庭裁判所へ廃除の申し立てを行う責任を負います。
そのため、遺言書内で遺言執行者を明確に指名しておくことが重要です。
遺言執行者は、廃除の申し立てや関連する手続きを適切に行うため、専門知識を持つ人物、例えば弁護士を指定することが望ましいでしょう。
廃除の認容は保証されない
遺言による廃除の申し立てが常に認められるわけではありません。
廃除は相続人の権利を完全に剥奪する重大な影響を持つため、家庭裁判所は廃除を認めるかどうかを慎重に判断します。
実際、廃除が認められるケースは全体の約2割に過ぎません。
したがって、廃除が認められない場合の対策も考慮することが重要です。
廃除を成功させるための対策
廃除が認められる確率が低いことを踏まえ、成功させるためには、弁護士などの専門家を遺言執行者に指名し、生前から廃除の要件をしっかりと検討し、準備しておくことが重要です。
廃除の根拠となる事実を裏付ける証拠の収集や、遺言書に廃除の理由を明確に記述することも不可欠です。
遺言による相続人の廃除は、法的な複雑さを伴う手続きです。
特に、廃除の要件を満たすことの証明は簡単ではないため、法律の専門家である弁護士に相談し、適切なアドバイスやサポートを受けることをおすすめします。
早期の相談により、必要な証拠を確保し、廃除の成功率を高めることが可能です。
生前廃除や撤回も可能

相続廃除は、特定の相続人から相続権を剥奪する法的な手段ですが、この手続きは一方的ではありません。
実際、生前廃除やその後の撤回が可能であり、これにより相続の手続きはより柔軟に対応できます。
ここでは、生前廃除と撤回の手続きについて解説します。
生前廃除の手続き
生前廃除は、被相続人が生存中に家庭裁判所に申し立てを行うことで実施されます。
この申し立てには、廃除する理由を詳細に記述する必要があり、これには虐待や重大な侮辱、その他の著しい非行が含まれます。
申立書と関連書類を提出し、審判が確定した後、必要な届出を行います。
遺言に基づく廃除の申立て
遺言に基づく廃除では、被相続人が遺言書にて相続人の廃除を指示し、遺言執行者がその死後に家庭裁判所へ申し立てを行います。
この際、遺言書には廃除の理由を明確に記載し、遺言執行者には事前にこの意向を伝えておく必要があります。
相続廃除の撤回
相続廃除は、一度行われた後でも特定の条件下で撤回することが可能です。
相続廃除の撤回は、被相続人が相続人を許す気持ちになった場合に適用されます。
相続廃除の撤回は、家庭裁判所への「相続人廃除の審判の取消し」の申立てによって行われます。
生前廃除と撤回の可能性は、相続廃除の柔軟性を高め、被相続人により多くの選択肢を提供します。
しかし、これらの手続きは複雑であり、法的な助言を受けることが望ましいです。
相続廃除やその撤回は、被相続人の意志に基づいて慎重に行われるべき手続きです。
相続廃除は誰に相談するべきか

相続廃除は、特定の相続人の相続権を剥奪する重要な手続きです。
しかし、この手続きは複雑であり、専門的な知識が必要です。
ここでは、相続廃除に関する相談先について解説します。
弁護士への相談が重要
相続廃除の手続きは、法的な知識と経験が必要です。
そのため、相続廃除を検討している場合、弁護士に相談することが最も効果的です。
弁護士は、相続廃除の要件を満たしているかどうかの判断、必要な書類の準備、家庭裁判所への申立てなど、手続き全般をサポートしてくれます。
相続廃除の申立てには証拠が重要
相続廃除を成功させるためには、廃除事由に該当する事実を証明する必要があります。
このため、弁護士は証拠収集にも力を入れます。
証拠が不十分な場合、廃除の申立てが認められない可能性が高くなります。
早期の相談が望ましい
相続廃除は、被相続人の生前に準備を始めることが望ましいです。
生前に弁護士に相談し、適切な対策を講じることで、相続廃除の成功率を高めることができます。
また、遺言による廃除を検討している場合も、遺言書の作成や遺言執行者の指定について、弁護士のアドバイスが役立ちます。
相続廃除は、特定の相続人に遺産を相続させたくない場合に有効な手段ですが、その手続きは複雑であり、法的な知識が必要です。
そのため、相続廃除を検討している場合は、早めに弁護士に相談し、適切な対策を講じることが重要です。
弁護士は、相続廃除の要件を満たしているかの判断、必要な書類の準備、家庭裁判所への申立てなど、手続き全般をサポートしてくれるため、相続廃除の成功率を高めることができます。
相続廃除についてのまとめ

ここまで相続廃除についてお伝えしてきました。
相続廃除の要点をまとめると以下の通りです。
- 相続廃除とは被相続人が特定の相続人に対して虐待や重大な侮辱を受けた場合、またはその他の著しい非行があった場合に、その相続人の相続権を剥奪する制度
- 相続廃除の条件は被相続人に対する虐待、被相続人に対する重大な侮辱、その他の著しい非行など
- 相続廃除の注意点は相続廃除された相続人に子供がいる場合、その子供(代襲相続人)が相続権を得る可能性があり、また相続廃除は取り消すことが可能
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。