グローバル化の進展により、海外在住の相続人を持つ方が増えています。
しかし、海外送金は、国内送金とは異なり、様々な注意点があります。
ここでは、遺産相続の海外送金や海外在住の相続人がいる場合の注意点について解説します。
- 遺産分割後の海外送金は
- 海外在住の相続人がいる場合は?
- 海外在住の相続人がいる場合の注意点
遺産相続の海外送金についてご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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相続手続きの原則

相続手続きを行う上での基本的なルールについて説明します。
「相続人全員の関与が必要」という話を聞いたことがある方も多いでしょう。
故人が遺言を残していない場合、原則として、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。
この協議では相続財産の分割方法について話し合い、決定には相続人全員の合意が求められます。
一人でも合意しない場合、協議は成立せず、最悪の場合、裁判所が関与する調停手続きに進む可能性があります。
例えば、不動産の名義を特定の相続人にまとめる場合、その内容で相続人全員が合意したことを示す遺産分割協議書を法務局に提出する必要があります。
遺産分割協議は対面だけでなく、電話やメールでも可能ですが、遺産分割協議書には相続人全員の署名と捺印が必要です。
遺産分割後の海外送金は

遺産分割後の資金移動について、遺産分割と相続手続きが完了した後は、相続人間で合意した通りに財産を分配します。
海外在住の相続人がいる場合、預金は海外送金が可能ですが、手数料が高く手続きも煩雑です。
しかし、以下の方法を考えることで負担を減らすことができます。
具体的には、
- 日本国内の銀行口座に振り込む
- 日本在住の家族や代理人に受け取ってもらう
- 預金以外の財産を相続する
これらの方法を利用することで、負担や手続きの煩わしさを軽減できます。
海外在住の相続人がいる場合は?

相続人が海外に住んでいても、原則として手続きに変わりはありません。
遠方にいるからといって協議に参加しなくてよいわけではなく、遺産分割協議書への署名捺印も免除されません。
また、日本国内で必要な戸籍などの書類も揃える必要があります。
さらに、海外在住の相続人には特有の書類が必要で、現地の在外公館に行く必要があるため、手続きが複雑になります。
加えて、「親の介護が必要な時に日本にいなかった」などの理由で、遺産分割協議がまとまりにくいこともあります。
したがって、海外に住んでいる相続人を持つ家庭では、これらの問題を避けるために、早期に遺言書を整備することが効果的です。
相続人が海外にいても、遺産分割協議が必要

相続人が海外にいても遺産分割協議が必要です。
遺産分割協議は相続人全員で行わなければなりません。
海外在住であっても特別な扱いはなく、相続人としての権利や義務は変わりません。
遺産分割協議は、相続人全員で遺産をどのように分けるかを話し合い、その結果を遺産分割協議書にまとめることです。
この協議書には相続人全員の署名と捺印が必要です。
海外に住む相続人から署名と捺印を得るには時間がかかることがあります。
万が一の時に備えて、必要な手続きを事前に確認しておきましょう。
相続人が海外に住んでいるときにやること

近年、グローバル化の進展により、海外に住む相続人が増えています。
しかし、相続人が海外に住んでいる場合、遺産分割手続きは国内に在住している場合と比べて複雑になります。
印鑑証明書の代わりにサイン証明書を取得する
相続人が海外に住んでいる場合は、印鑑証明書の代わりにサイン証明書を取得することができます。
サイン証明書は、相続人の署名や捺印が本物であることを証明する書類です。
在外公館等で発行することができます。
サイン証明書を取得するには、以下の書類が必要です。
- パスポート
- 戸籍謄本
- 除籍謄本
- 相続関係書類
詳しくは、在外公館等にお問い合わせください。
相続手続きは複雑なため、専門家に相談することをおすすめします。
弁護士や司法書士などの専門家は、相続に関する法律知識や経験を活かして、具体的なアドバイスをしてくれます。
必要な場合は在留証明書も取得する
海外在住の相続人が不動産を相続する場合、在留証明書が必要です。
この証明書は、相続人の住所を証明するもので、年金受給や不動産登記、学校の受験手続きなどにも使用されます。
在留証明書の取得方法
- 申請場所
在住国の日本大使館・領事館で申請します。
やむを得ない事情で本人が公館に行けない場合は、委任状を使って代理申請が可能な場合もあるので、事前に確認してください。基本的に本人による申請が原則です。 - 申請と発行
申請を行い、在留証明書を発行してもらいます。
必要な書類
- 日本国籍を有していること及び本人確認ができる書類
例:有効な日本国旅券など - 住所を確認できる文書
例:滞在許可証、運転免許証、納税証明書、公共料金の請求書、現地の警察が発行した居住証明など、住所の記載があるもの - 滞在開始時期(期間)を確認できるもの
滞在期間が3か月未満の場合は、今後3か月以上の滞在が確認できるもの。例: 賃貸契約書、公共料金の請求書など。 - 戸籍謄(抄)本
証明書上の「本籍地」欄に番地まで記載する場合に必要です。
詳細は、在外公館のホームページで確認してください。
遺産分割協議書を郵送or一時帰国してもらう
海外在住の相続人が遺産分割協議に参加できない場合、2つの方法があります。
遺産分割協議書を郵送してもらう
- 忙しくて一時帰国できない場合は、遺産分割協議書を郵送し、サイン証明書を取得する方法があります。
- サイン証明書は、公証役場で取得できます。
- 本人確認書類としてパスポートと海外の住所がわかるもの(在留証明や免許証等)が必要です。
- 公証人の前で遺産分割協議書に署名し、本人自らが署名したことを証明します。
- サイン証明書は、印鑑証明書と同じ公的な証明書類として扱われます。
一時帰国して遺産分割協議に参加する
- 一時帰国中に日本の公証役場でサイン証明書を取得する方法もあります。
不動産を相続する場合
在留証明書が必要となります。
一時帰国前に取得しておくとスムーズです。
いずれの方法を選択する場合も、円滑な遺産分割協議のために、早めに準備しておくことが大切です。
海外在住の相続人がいる場合の注意点

近年、グローバル化の進展により、海外在住の相続人が存在するケースが増加しています。
しかし、海外在住の相続人がいる場合、遺産分割手続きは国内に在住している場合と比べて複雑になります。
サイン証明(署名証明書)
サイン証明(署名証明書)は、日本での印鑑証明書の代わりに使える書類です。
これは、海外在住の方が本人の署名および拇印であることを証明するために、現地の日本領事館などで発行されます。
外務省によれば、サイン証明(署名証明書)は「日本に住民登録をしていない海外在留者に対し、日本の印鑑証明に代わるものとして日本での手続きに使用されるもので、申請者の署名(および拇印)が確かに領事の面前で行われたことを証明するもの」です。
申請者本人が現地の日本領事館などの公館に出向いて申請する必要があります。
公館が近くにあれば便利ですが、ない場合は公館まで出向く必要があります。
また、一部の公館では事前予約が必要です。余裕を持ったスケジュールで準備することをお勧めします。
日本に一時帰国する予定がある場合、日本でサイン証明を取得することも可能です。
日本の公証役場にパスポートや「海外の住所が分かる書類」を持参し、公証人の面前で分割協議書や委任状に署名することで、サイン証明を作成することができます。
この「海外の住所が分かる書類」は「在留証明書」にあたります。
そのため、日本でサイン証明を取得する場合は、帰国前に現地の領事館で在留証明書を取得しておくとスムーズです。
在留証明書
外在住の方が相続財産として不動産名義を取得する際には、住民票の代わりに在留証明書が必要です。
この証明書を発行するためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 日本国籍を有していること
- 現地で既に3ヶ月以上滞在しており、現在も居住していること
発行申請の際には、パスポートに加え、賃貸借契約書や公共料金の請求書など、滞在期間と居住地を証明できる書類を持参します。
領事館によっては永住ビザや現地の運転免許証も受け付けてくれる場合がありますが、事前に確認することをお勧めします。
細かい手数料や申請方法などの詳細については、証明を受ける予定の在外公館に直接お問い合わせください。
相続税の申告
相続税の申告期限は注意が必要です。
日本の被相続人から遺産を受け取った場合、海外在住の相続人も日本の相続税を申告しなければなりません。
被相続人が保有していた財産は、日本国内に限らず海外にある財産も課税対象となります。
ただし、被相続人と相続人の双方が10年以上海外に住んでいる場合、海外財産は課税対象外です。
相続税の申告期限は、原則として相続発生から10ヶ月以内です。
10ヶ月という期間は長いように感じられるかもしれませんが、実際には家族の死後の手続きは財産に関するものだけではありません。
特に海外在住の相続人が関与する場合、話し合いの機会が限られる可能性があります。
また、書類のやり取りには国際郵便を使用するため、国によっては時間がかかることもあります。
例えば、コロナ禍では一度のやり取りに1ヶ月以上かかることもありました。
申告期限を過ぎるとペナルティがあるため、日程に余裕を持って全体の計画を立てることをお勧めします。
海外送金や為替レートの変動に注意する
海外在住の相続人が日本の銀行口座を持っていない場合、海外送金が必要となることがあります。
この際、海外送金が可能かどうか、送金手数料、そして為替レートの変動に注意が必要です。
送金の可否や手数料は銀行によって異なるため、手続きを始める前に必ず確認しておくことが重要です。
また、為替レートの変動により送金額が変わることもあるため、有利なレートのタイミングで送金できるよう、時間に余裕を持って手続きを進めましょう。
海外送金以外の方法で相続してもらう場合

海外送金は、手数料や為替レートの影響を受けやすく、手続きも煩雑になるというデメリットがあります。
そこで、円滑な遺産分割を実現するために、海外送金以外の方法を検討することが重要です。
海外在住相続人が日本に銀行口座を持っている場合
多くの金融機関は現金での海外送金に対応しておらず、日本国内に口座がある場合のみ対応するケースが一般的です。
そのため、海外在住の相続人に日本の銀行口座があるか確認することが重要です。
国内口座がある場合、相続した金銭をその口座に振り込むことで、財産相続を円滑に進めることができます。
金銭以外の財産を相続してもらう場合
海外送金は手間と時間がかかるため、海外在住の相続人とよく相談して、金銭以外の財産、特に不動産を相続する方法も考えられます。
不動産については、相続人の居住国の法律に基づき、現地または日本国内で手続きする必要があります。
遺産相続の海外送金についてまとめ

遺産相続の海外送金についてお伝えしてきました。
遺産相続の海外送金についてまとめると以下の通りです。
- 海外在住の相続人がいる場合、預金は海外送金が可能ですが、手数料が高く手続きも煩雑である
- 相続人が海外に住んでいても、原則として手続きに変わりはなく、遠方にいるからといって協議に参加しなくてよいわけではなく、遺産分割協議書への署名捺印も免除されない
- 海外在住の相続人がいる場合の注意点としては、日本での印鑑証明書の代わりに使えるサイン証明の提出や不動産名義を取得する際には、住民票の代わりに在留証明書が必要である
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。