相続手続きでは、遺産分割の内容について「公的な証明が求められる場面」に悩む方も多く見受けられます。
本記事では、以下のポイントを中心に分かりやすくご紹介します。
- 遺産分割協議成立申立書とは
- 手続きの流れと必要書類
- 利用時に注意すべきポイント
相続に伴うトラブルを防ぎ、スムーズな手続きに役立てていただければ幸いです。
ぜひ最後までご覧ください。
相続ナビに相続手続きをお任せください。
スマホ・PCで登録完了
役所などに行く必要なし
遺産分割協議成立申立書とは

相続人間で行った遺産分割協議の内容について、家庭裁判所にその成立を申立てる際に使用する書類です。通常、相続人同士で協議がまとまり、協議書を作成して署名押印すれば手続きは完了しますが、何らかの事情で正式な遺産分割協議書を作成できない場合や、協議の成立を公的に認めてもらいたい場合に、この申立書を活用します。
たとえば、相続人の一部が行方不明の場合や、成年後見人が代理して協議に参加した場合など、後々のトラブルを防ぐために家庭裁判所の関与を求めるケースが該当します。申立書を提出することで、家庭裁判所が協議成立を確認し、正式な「調停調書」や「審判書」として遺産分割の内容が確定します。
遺産分割協議成立申立書を使える場合
この申立書が使えるのは、基本的に次のような場合です。
協議自体は成立しているが、形式的な証明が必要なとき
相続手続きでは、金融機関や法務局から正式な協議成立の証明を求められることがあります。特に、未成年者や後見人が関与した場合には、家庭裁判所の審査を経た証明が必要となる場合があります。
協議に問題がなかったことを第三者に示したいとき
将来の紛争予防のため、家庭裁判所の認定を得たうえで遺産分割を確定させたい場合にも適しています。
相続人の一部が署名できない、あるいは協議書の作成に支障があるとき
例えば、認知症を患っている相続人がいる場合など、単純に協議書を作るだけでは手続きが進まないため、家庭裁判所の手続きを活用する必要があります。
遺産分割協議書との違い
遺産分割協議書は、相続人全員の合意によって作成する私文書であり、原則として当事者同士で完結するものです。公的な手続きを経る必要はなく、金融機関や法務局での相続手続きにも一般的に使用できます。
これに対して、遺産分割協議成立申立書は、家庭裁判所の審査を受け、調停や審判という形で遺産分割の成立を公的に認定してもらうための手段です。つまり、単なる当事者間の合意文書である協議書とは違い、裁判所の関与を経て成立が認められるため、より強い証明力を持つ点が特徴です。
また、遺産分割協議書は後日争われる可能性を完全には排除できませんが、裁判所の手続きを経た協議成立であれば、強制力や証拠力が高く、相続登記などの公的手続きにもスムーズに利用できるメリットがあります。
遺産分割協議成立申立書に添付する必要書類と入手方法

遺産分割協議成立申立書を家庭裁判所へ提出する際には、所定の書類を揃える必要があります。以下に、必要書類とその取得方法を詳しくご紹介します。
被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本|本籍地の役場で入手
被相続人が死亡した事実を証明するため、死亡の記載がある戸籍謄本が必要です。この戸籍謄本は、被相続人の本籍地の市区町村役場にて交付申請ができます。郵送請求や、自治体によってはオンライン申請に対応している場合もありますので、事前に確認しておくとスムーズです。
申請人が相続人であることを示す戸籍謄本|本籍地の市区町村役場で取得
申請人が正当な相続人であることを示すため、自身に関する戸籍謄本も必要です。これも本籍地の市区町村役場で取得でき、必要に応じて出生から現在までの連続した戸籍(戸籍の附票など)を求められることもあります。
申請人の印鑑証明書|住民登録のある市区町村役場で取得
申請書に押印する実印が本人のものであることを証明するため、印鑑登録している自治体で印鑑証明書を取得します。印鑑登録していない場合は、事前に登録手続きが必要です。
申請人の実印
提出書類には、登録された実印による押印が求められます。忘れずに準備しておきましょう。
査定額がわかる査定書|日本自動車査定協会または買取業者が発行
遺産に自動車が含まれる場合は、車両の査定額を明記した書類が必要です。日本自動車査定協会(JAAI)や、自動車買取業者などに依頼して査定書を発行してもらいます。
対象車両の置き場所が変わる場合は車庫証明書|警察署で入手
車両の保管場所が変更になる場合には、新たな車庫証明書の提出が求められることがあります。車庫証明は、警察署で申請します。申請には、保管場所の使用承諾書や地図なども必要となるため、準備が必要です。
第三者が代理で手続きをする場合は委任状
本人以外が申請手続きする場合は、正式な委任状の提出が必要です。委任状には、委任者の署名と実印による押印が求められます。
遺産分割協議成立申立書の作成手順

相続手続きにおけるトラブルを防ぐためにも、遺産分割協議成立申立書の作成は慎重に行うことが重要です。ここからは、遺産分割協議成立申立書の作成手順について詳しくご紹介します。
遺産分割協議を成立させる
遺産分割協議成立申立書を作成するためには、「遺産分割協議」により、遺産の分け方について合意を形成する必要があります。協議は、相続人全員が参加することが原則であり、一人でも欠けてしまうと無効になるため注意が必要です。話し合いでは、各自の希望を出し合いながら、財産の内容や評価額をもとに具体的な分配方法を決めます。もし意見がまとまらない場合は、家庭裁判所での調停を利用することも検討しましょう。
相続財産である車の査定を受ける
遺産分割の対象に車が含まれる場合は、その評価額を明確にしておくことが重要です。相続税や公平な財産分配のためにも、専門業者に依頼して正式な査定を受けることをおすすめします。査定額がわかれば、遺産分割協議の際に、現金や他の財産とのバランスを取りながら分配案を作成しやすくなります。なお、車の名義変更手続きにも査定結果が必要になる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
遺産分割協議成立申立書の様式を入手する
協議がまとまったら、次は「遺産分割協議成立申立書」の作成に進みます。この書類は、家庭裁判所に提出するためのもので、各裁判所のウェブサイトから様式をダウンロードできる場合もあります。必要に応じて、直接窓口で入手することも可能です。使用する様式は地域や案件によって変わることがあるため、提出先の裁判所で最新の書式を確認しておく必要があります。
必要事項を記載する
申立書には、相続人の氏名・住所・続柄、被相続人の情報(氏名・本籍・死亡年月日)、相続財産の内容や分配方法などを正確に記載します。財産の種類が複数ある場合は、それぞれ具体的に記載する必要があります。特に不動産や車両など、登録が必要な財産については、登記事項証明書や車検証の情報をもとに、正確に記載しましょう。記載内容に不備があると、再提出を求められる場合があるため注意が必要です。
相続する者が署名押印する
記載が完了したら、相続人全員が自筆で署名し、実印で押印します。単なる認印では受理されない場合があるため、事前に実印を用意しておきましょう。また、相続人の印鑑証明書も併せて提出が求められるため、こちらも取得しておきます。全員分の署名・押印が揃った申立書を提出することで、正式に遺産分割協議が成立し、各相続人が財産を受け取るための手続きへと進められます。
遺産分割協議成立申立書を利用する際の注意点

遺産分割協議が無事にまとまり、協議成立の申立てする場合でも、いくつか注意しておきたいポイントがあります。申立書の提出だけで全てがスムーズに進むわけではないため、事前にしっかり確認しておきましょう。
ローンは残っていないか
最初に確認しておきたいのは、遺産となる財産にローンなどの債務が残っていないかどうかです。
たとえば、亡くなった方が所有していた不動産に住宅ローンの残債がある場合、その不動産を相続するだけでなく、ローンも引き継ぐことになります。これを知らずに相続すると、後から多額の債務返済を求められる可能性があります。
遺産分割協議する際には、財産だけでなく負債も含めた「正味の遺産状況」を把握することが重要です。銀行や金融機関に問い合わせるほか、故人の郵便物や契約書類を整理して、負債の有無をしっかり確認しておきましょう。場合によっては、相続放棄や限定承認といった選択肢を検討することも必要です。
任意保険の名義変更も忘れずおこなう
さらに見落としがちなのが、任意保険の名義変更です。
たとえば、自動車保険や火災保険、生命保険など、故人が契約していた任意保険は、相続人が引き継ぐ場合には名義変更手続きが必要になります。特に自動車保険は、車両の名義変更とセットで行う必要があるため注意が必要です。
名義変更を怠ると、万が一事故やトラブルが発生した場合に補償を受けられなかったり、保険契約自体が無効になってしまったりする場合があります。遺産分割協議書により車両や不動産などの引き継ぎが決まったら、できるだけ早く保険会社へ連絡し、必要な手続きを進めましょう。
また、保険内容についても一度見直し、相続後の状況に合ったプランへ変更することもおすすめです。相続財産に付随する保険契約は、すべてが自動的に引き継がれるわけではないため、油断せず丁寧に手続きを完了させることが大切です。
遺産分割協議成立申立書に関するよくある質問

ここでは、遺産分割協議成立申立書について、よく寄せられる疑問をわかりやすく解説します。
遺産分割協議成立申立書はどこでもらえますか?
遺産分割協議成立申立書は、基本的に家庭裁判所で取得できます。各家庭裁判所の窓口や公式サイトで配布されているほか、地域によっては事前にダウンロードして印刷できる場合もあります。
また、申立書には、被相続人の情報や相続人全員の署名・押印、相続財産の内容などを記載する必要があり、記載漏れがあると再提出を求められることもあるため、あらかじめ記入例を参考にしながら丁寧に準備しておくとよいでしょう。
申立てにあたっては、申立書のほかにも戸籍謄本、住民票、固定資産評価証明書など、添付が求められる書類が多いため、必要書類のリストを事前に確認しておくことも大切です。
遺産分割協議成立申立書を利用するメリットはありますか?
遺産分割協議成立申立書を活用するメリットは、法的な裏付けを得られる点にあります。相続人全員が合意している遺産分割内容を正式に文書化し、さらに裁判所の手続きを通じて成立を認めてもらうことで、後々のトラブル防止に大きく役立ちます。
特に、相続人同士の関係性に不安がある場合や、将来的に内容の正当性を証明する必要が出てくる可能性がある場合には、申立書を利用しておくとよいでしょう。
また、遺産分割協議書単体では不動産の名義変更や預貯金の解約手続きに使えるものの、万一、誰かが「そんな話は聞いていない」と争いを起こした場合には対応が難しくなります。
これに対して、家庭裁判所を通して成立させた申立書があれば、裁判所の判断を経た公的な証明として強い効力を持つため、金融機関や法務局でもスムーズに手続きを進めやすくなります。
遺産分割協議成立申立書についてのまとめ

ここまで、遺産分割協議成立申立書について解説してきました。
要点をまとめると以下の通りです。
- 遺産分割協議成立申立書は、相続人間の協議内容を公的に証明するために家庭裁判所へ提出する書類です。
- 提出には、戸籍謄本や印鑑証明書、財産に関する資料などの準備が必要です。
- 手続きの際には、負債の有無や名義変更など細かな点にも注意が必要です。
遺産分割に関するトラブルを防ぎ、円滑な相続手続きを進めるためにも、正しい知識と準備が欠かせません。今回の記事が、皆さまの手続きに少しでもお役立ていただければ幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。