思いがけず空き家を相続してしまい、どうすれば良いか戸惑っていませんか?
管理の手間や税金の問題など、空き家の所有には様々な注意点があります。
放置してしまうと、特定空き家に指定され、固定資産税が大幅に上がってしまう可能性もあります。
本記事では、空き家の相続について以下の点を中心にご紹介します。
- 空き家とは
- 資産価値がある空き家の対処法
- 資産価値がない空き家の対処法
空き家の相続について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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空き家と相続の関係

ここでは相続と空き家について解説します。
相続とは
相続とは、ある人が亡くなった際に、その人の財産や権利・義務が家族などの関係者に引き継がれる制度を指します。
亡くなった人は「被相続人」と呼ばれ、財産などを引き継ぐ人は「相続人」とされます。
相続には2つの種類があります。1つは、被相続人が遺言書を残していた場合の「遺言による相続」、もう1つは遺言がない場合に、法律で定められた配偶者や子どもなどが財産を受け継ぐ「法定相続」です。相続に関する基本的なルールは民法に定められており、これらを総称して「相続法」と呼ぶこともあります。
相続によって引き継がれる財産は「相続財産」と呼ばれ、現金や不動産だけでなく、借金などの債務も含まれる点が特徴です。
また、一定額を超える相続財産には相続税が課税され、これは被相続人の遺産を国に申告し、納税する必要があります。
空き家とは
空き家とは、住まれていない、または利用されていない状態が常態化している建物およびその敷地を指します。
法律上は、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、居住や使用の実状がない建物および付属の土地(国や自治体所有のものを除く)を「空家等」と定義しています。
全国で空き家が急増している背景には、人口減少や高齢化に加え、相続によって使われなくなった住宅が放置されるケースが多いことがあります。
実際、空き家の取得原因の半数以上が相続によるものとされています。
空き家を相続する際には、まず相続手続きとして相続人や財産の特定、遺産分割協議などを行い、その上で「相続するかどうか」「売却するか」「活用するか」を判断する必要があります。
相続人が複数いる場合には協議が難航することも少なくなく、合意形成が重要な課題となります。
空き家を相続するメリットには、売却して現金化できることや、賃貸に出して収益を得る可能性があることが挙げられます。
一方で、老朽化した建物の修繕・解体などにはコストがかかり、相続後も固定資産税などの税負担が発生します。
管理が不十分な場合には行政からの指導やペナルティが課せられるリスクもあるため、空き家を引き継ぐ際には慎重な判断が求められます。
空き家の相続が発生した場合の対処法

実際に空き家の相続が発生した場合、どのような対処をすればよいのでしょうか。
以下で空き家に資産価値がある場合とない場合について解説します。
空き家に資産価値がある場合
空き家に資産価値がある際は、以下のような対処法が挙げられます。
売却する
相続した空き家に資産価値がある場合、売却を検討するのが一つの方法です。
空き家を売却することで、一定の税金が発生することはありますが、将来的にかかる管理費用や税金を回避できるメリットがあります。
特に、売却後は固定資産税や都市計画税が課税されなくなり、物件の管理や維持にかかるコストから解放されます。
また、相続した空き家を売却する際には、譲渡所得にかかる税金が発生しますが、相続から3年以内に売却した場合、一定の要件を満たせば「空き家に係る譲渡所得の特別控除(最大3,000万円)」を受けることができます。
この特例を適用することで、譲渡所得税を軽減できるため、売却時の節税効果が期待できます。
さらに、空き家を売却することで、まとまった金額を手に入れることができ、今後の生活費や別の投資に活用することができます。
ただし、売却は所有権を手放すことになるため、その点についても事前にしっかりと検討する必要があります。
賃貸用不動産として貸し出す
相続した空き家を賃貸用不動産として貸し出す選択肢もあります。
賃貸物件として活用すれば、毎月安定的な家賃収入を得ることができます。
しかし、空き家をそのまま賃貸に出すことはできません。
リフォームやハウスクリーニングを行い、住居としての機能性を高めるためには一定の初期費用が必要です。
また、賃貸物件として貸し出すと、貸主としての責任が発生します。
居住者の生活に関わる問題やインフラの不具合が発生した場合には、対応しなければならないため、管理責任をしっかりと果たす必要があります。
加えて、賃貸として貸し出す場合、「空き家に係る譲渡所得の特別控除」を利用することはできません。
賃貸物件として貸し出すことで、固定資産税や都市計画税の支払いを家賃収入で補うことができるため、税負担の軽減にも繋がります。
ただし、入居者が見つからない場合には家賃収入が得られず、管理費用が無駄になってしまうことも考慮しておく必要があります。
住居にする
相続した空き家を自身の住居として活用することも一つの選択肢です。
特に、相続税の申告・納付義務がある場合、相続人が住居として利用することで相続税を大幅に減額できる可能性があります。
この際に利用されるのが「小規模宅地等の特例」の「家なき子特例」であり、一定の条件を満たすと、相続した宅地部分の相続税評価額が最大80%減額される特典を受けることができます。
また、相続した空き家が売却や賃貸に向いていない場合でも、自身の居住用として利用することで、税制面でのメリットを享受しつつ、物件を有効活用することができます。
特に、相続した空き家が実家などである場合は、思い入れがある場所をそのまま住居として利用することで、感情的にもメリットが大きいこともあります。
セカンドハウスとして活用する場合は、自治体からの認定が必要な場合があるため、事前に確認することが重要です。
なお、セカンドハウスとして利用する場合、空き家控除は適用されませんので、その点も注意が必要です。
空き家に資産価値がない場合
空き家に資産価値がない際は、以下のような対処法が挙げられます。
解体する
相続した空き家に資産価値がない場合、解体して更地にすることも選択肢の一つです。
特に、建物が経年劣化している場合や、長期間放置されている空き家は、リフォームやリノベーションが費用対効果に見合わないことが多く、解体してしまう方が有益な場合があります。
更地にすることで、土地だけで売却できる可能性が高まります。
解体後に土地のみで売却することで、買い手が見つかりやすくなるというメリットがあります。
多くの購入者は、古い家屋の解体に費用がかかることを懸念し、そのままでは購入に踏み切れないことがあります。
しかし、更地にしてから売却することで、買主にとっての負担を軽減し、より多くの選択肢を提供することが可能です。
ただし、解体には高額な費用がかかることがあります。
一般的に、木造住宅の解体費用は100万円以上になることが多く、その点を十分に考慮する必要があります。
また、解体した後は、土地にかかる固定資産税が高くなる可能性があります。
特に、住宅用地の特例が適用されなくなるため、税負担が増加する点にも注意が必要です。
解体後に更地で売却する場合、土地の売却がしやすくなる一方で、解体費用とその後の税負担に十分留意しながら進めることが重要です。
自治体などに寄付をする
空き家に資産価値がない場合、売却が難しいときには、自治体や法人への寄付も選択肢の一つです。
寄付することで、固定資産税や都市計画税の負担から解放され、行政指導のリスクも回避できます。
また、寄付を通じて、空き家の所有権が第三者に移転するため、空き家を放置することで生じるリスクや費用を軽減することが可能です。
寄付先としては、自治体、法人、個人が考えられますが、特に自治体に寄付する場合は、その自治体が空き家を受け入れる条件が整っているかを事前に確認することが重要です。
一部の自治体では、特定の条件を満たせば無償で空き家を受け入れてもらえることがありますが、使用目的がない場合は受け付けてもらえない場合もあります。
また、法人への寄付は譲渡所得税が課せられる可能性があるため、寄付する際は税金面での注意が必要です。
ただし、NPO法人や公益法人への寄付であれば、譲渡所得税が非課税となることもあります。
寄付によって空き家の税負担を回避できるだけでなく、社会貢献としての意味を持たせることができるため、特に寄付が受け入れられる団体を見つけた場合、良い選択肢となり得ます。
相続放棄する
相続した空き家に資産価値がない場合、相続放棄を選択することも一つの方法です。相続放棄をすることで、相続財産のすべてを相続しないことになります。
この場合、空き家の所有権も取得せず、相続税や固定資産税、都市計画税などの税負担や、行政指導のリスクからも解放されるため、負担を回避できます。
相続放棄は、相続人が相続の開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所に申立てを行い、「相続放棄申述書」を提出する必要があります。
相続放棄を認められると、空き家を含むすべての遺産を相続することなく、法的にその財産から解放されます。
ただし、相続放棄を選択すると、空き家だけでなく全ての遺産を放棄することになるため、他の財産も一切受け取らなくなります。
つまり、空き家だけを放棄することはできない点に注意が必要です。
また、相続放棄を行った後でも、空き家が国庫に帰属した場合、相続財産管理人が管理を開始するまでの間、管理義務が発生する場合があります。
このため、相続放棄を選択しても、すぐに何もしなくて良いわけではなく、管理上の義務が生じることがある点に留意が必要です。
空き家を放置するリスク

空き家を放置することには、さまざまなリスクがあります。
まず、「特定空家等」に指定されることが問題です。
この指定を受けると、倒壊の危険性や衛生上の問題が指摘され、自治体からの指導を受けることになります。
改善しない場合、行政代執行で強制的に解体され、その費用を所有者が負担することになります。
また、空き家を放置すると、固定資産税や都市計画税が増えるリスクがあります。
特に「特定空家等」に指定されると、住宅用地の特例が適用されず、最大で6倍の税金を支払うことになります。
税負担が増すことで、管理や売却が困難になることもあります。
さらに、空き家が経年劣化し、倒壊や周辺住民とのトラブルを引き起こす可能性もあります。
外壁の剥がれや瓦の落下で通行人が怪我をすることもあり、最悪の場合、所有者が賠償責任を負うことになります。
放置すればするほど資産価値も低下し、売却が難しくなります。
空き家を放置することは多くのリスクを伴うため、早期に適切な対策を講じることが重要です。
空き家の相続についてのよくある質問

ここでは、空き家の相続についてよくある質問を紹介していきます。
空き家を相続した後は何をすればいいのでしょうか?
空き家を相続した後、まずは相続手続きを進めることが大切です。
最初に、相続人を確認し、遺言書があればそれに従います。
その後、法定相続情報一覧図を取得し、空き家の分割方法を決定します。
複数人で相続する場合は、遺産分割協議を行い、協議書を作成します。
次に、相続登記を行うことが必要です。相続登記をしないと、空き家の売却や貸し付け、解体ができません。
さらに、相続税の申告が必要な場合があります。これらの手続きはできるだけ早く行い、相続後のトラブルを防ぎましょう。
特に令和6年から相続登記が義務化されるため、早期対応が求められます。
空き家を相続した際の節税対策はありますか?
空き家を相続した場合、節税対策として「小規模宅地等の特例」が有効です。
これにより、空き家の宅地部分の評価額が最大80%減額されます。
条件として、相続人が生前に空き家に居住していたことが求められます。
また、空き家を売却する際には「居住用財産に係る譲渡所得の特別控除」を利用できます。
この特例では、売却利益から最大3,000万円の控除が可能です。
空き家が昭和56年以前に建てられており、相続開始前に他の居住者がいなかった場合に適用されます。
相続後3年以内に売却すれば、譲渡所得税を軽減できる可能性が高くなります。
税理士と相談し、最適な対策を取ることが大切です。
空き家を相続したくない場合はどうすればいいですか?
空き家を相続したくない場合、不動産会社に買い取ってもらう方法があります。
買い取りなら、すぐに現金化でき、仲介手数料や解体費用を抑えられますが、売却価格は市場価格の6~8割になることが多いです。
また、無償譲渡も一つの方法で、周囲の人や不動産会社に譲渡することができます。
最近は無償譲渡物件をマッチングするサイトもありますが、譲渡時に税金が発生する可能性があるため注意が必要です。
さらに、相続土地国庫帰属制度を利用し、相続した土地を国に引き渡すこともできますが、解体や手数料が必要です。
選択肢を検討し、自分に合った方法を選びましょう。
空き家の相続についてのまとめ

ここまで空き家の相続についてお伝えしてきました。
空き家の相続についての要点をまとめると以下の通りです。
- 空き家とは住まれていない、または利用されていない状態が常態化している建物およびその敷地を指し、管理が不十分な場合には行政からの指導やペナルティが課せられるリスクもあるため、空き家を引き継ぐ際には慎重な判断が求められる
- 資産価値がある空き家は、売却を検討する、賃貸用不動産として貸し出す、自身の住居として活用するなどの選択肢が挙げられる
- 資産価値がない空き家は、解体して更地にする、売却が難しいときには自治体や法人へ寄付する、相続放棄をするなどの選択肢が挙げられる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。