相続の寄与分という制度を利用することで、貢献度に応じて法定相続分よりも多くの財産を相続することが可能です。
しかし、寄与分が認められるためにはいくつかの要件を満たす必要があり、計算方法も複雑です。
そこで今回は、相続の寄与分について、わかりやすく解説します。
- 寄与分とは?
- 寄与分が認められるための要件は?
- 寄与分を主張できる期限は?
相続の寄与分について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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寄与分とは?

相続において、被相続人の財産を取得する際に考慮される「寄与分」とは、被相続人の財産の形成に貢献した分を指します。
具体的には、家事労働、育児、介護、事業への協力などが寄与分に含まれます。
寄与分が認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 被相続人の財産の形成に実際に貢献していること
- 寄与した内容が相当なもの
- 寄与した時期が相当なもの
特別寄与料との違い

相続税の計算において、相続財産に加算される「特別寄与料」と混同されやすい「相続貢献度加算額」ですが、実は全く異なる制度です。
相続貢献度加算額は、被相続人の財産の維持・増加に貢献した相続人に、その貢献度に応じて相続財産に加算される制度です。
一方、特別寄与料は、被相続人の生計維持や療養看護などに寄与した相続人に、その寄与度に応じて支払われるものです。
相続貢献度加算額は、相続財産の維持・増加に貢献した相続人にのみ認められる制度であり、被相続人の生計維持や療養看護などに寄与した相続人には認められません。
一方、特別寄与料は、被相続人の生計維持や療養看護などに寄与した相続人にのみ支払われるものであり、相続財産の維持・増加に貢献した相続人には支払われません。
相続貢献度加算額の算定方法は、被相続人の財産の維持・増加に貢献した相続人の貢献度に応じて、相続財産の一定割合を加算するものです。
特別寄与料の算定方法は、被相続人の生計維持や療養看護などに寄与した相続人の寄与度に応じて、一定の基準に基づいて算定されます。
相続貢献度加算額は、相続税の計算において相続財産に加算されるため、相続税額が増加する可能性があります。
一方、特別寄与料は、相続税の計算において相続財産に加算されないため、相続税額には影響しません。
このように、相続貢献度加算額と特別寄与料は、制度の目的、対象者、算定方法、相続税への影響などが全く異なる制度です。
寄与分が認められるための要件

相続における寄与分とは、被相続人の財産の形成または維持に貢献した相続人に対して、遺産分割において特別に考慮すべき部分を指します。
寄与分が認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。
具体的な貢献内容
単に家事や育児を行ったというだけでは寄与分とは認められません。
具体的にどのような貢献をしたのかを明確にする必要があります。
例えば、以下のようなものが該当します。
- 被相続人の事業の手伝い
- 家計の管理
- 被相続人の介護
- 相続財産の取得資金の提供
貢献の程度
貢献の内容だけでなく、その程度も考慮されます。
単発的な貢献ではなく、継続的に貢献していた場合や、他の相続人よりも大きな貢献をしていた場合、寄与分として認められる可能性が高くなります。
貢献と遺産の関係
貢献内容と遺産との間に合理的な関係を築いている必要があります。
例えば、被相続人の事業を手伝っていた場合は、その貢献によって得られた利益が遺産の一部となっていることが求められます。
証拠資料
寄与分を主張するには、貢献内容を証明する証拠資料が必要です。
例えば、領収書、日記、証人証言などが該当します。
寄与分が認められるかどうかは個別に判断される
上記の要件をすべて満たしていても、寄与分が認められるかどうかは個別に判断されます。
家庭裁判所は、各相続人の貢献内容や程度、遺産の状況などを総合的に考慮して判断します。
寄与分が認められにくい理由

被相続人に対して特別な貢献をした相続人が、法定相続分よりも多く遺産を相続できる「寄与分制度」。
一見、公平な制度のように思えますが、実は多くのハードルがあり、実際に認められるケースは決して多くありません。
厳しい「特別の寄与」の要件
寄与分が認められるためには、「特別の寄与」という要件を満たす必要があり、これが非常にハードルが高いのが現状です。
具体的には、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
- 被相続人の事業に関する労務の提供、または財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法があったこと:単に同居していただけ、家事手伝いをしていただけでは足りません。
- 「特別の寄与」があったこと:上記のような行為が、他の相続人が行わない程度に特別なものであったことが求められます。
- 被相続人の財産の維持又は増加があったこと:寄与行為によって、被相続人の財産が維持または増加していることが必要です。
これらの要件をすべて満たすことは容易ではなく、特に「特別の寄与」については、具体的な基準が定められていないため、判断が難しいという問題があります。
裏付け資料をそろえにくい
相続における「寄与分」は、介護など特別な貢献をした相続人が、より多くの財産を受け取れる制度です。
しかし、その認定には厳しい条件があり、裏付け資料をそろえることが非常に困難です。
まず、「寄与分」が認められるためには、貢献が「著しい」ものであり、一般的に家族として当然求められる範囲を超えている必要があります。
具体的には、介護、看護、家事労働、経営・事業の継承など、金銭的な利益に直接結びつかない貢献も含みます。
さらに、その貢献が事実であったことを証明する必要があります。
日記、メモ、領収書、写真、録音・録画など、客観的な証拠が必要です。
証人となる家族や友人の協力も得られると良いでしょう。
このように、「寄与分」を主張するには、時間と労力、そして費用がかかります。
弁護士に相談するなど、専門家のサポートを受けることも検討しましょう。
感情的な対立を招きやすい
相続において、貢献度に基づいて寄与分を主張することは、感情的な対立を招きやすいといえます。
なぜなら、異なる相続人によって行われた貢献を量的に評価することは難しいからです。
例えば、一人の兄弟姉妹が長年親の介護を行ったことを理由に、より多くの遺産を相続すべきだと主張した場合、他の兄弟姉妹はそれは単なる子の義務だと反論するかもしれません。
このように、貢献度に基づいて寄与分を主張することは、主観的な判断に頼らざるを得ないため、感情的な対立を生みやすいのです。
寄与分を主張できる期限

相続税の計算において、被相続人の財産形成に貢献した相続人が、より多くの財産を受け取れる制度が「寄与分」です。
しかし、この寄与分を主張できる期限は意外と知られていません。
寄与分を主張できる期限は、相続開始後1年以内です。
この期限を過ぎてしまうと、たとえ実際に貢献していたとしても、寄与分として認められなくなってしまうので注意が必要です。
もし、自分が寄与分を主張できる可能性があると思われる場合は、早めに弁護士や税理士に相談することをおすすめします。
寄与分の計算方法

寄与分の計算は、個々の状況によって複雑になるため、一概には言えません。
しかし、基本的な流れは以下のとおりです。
寄与内容の評価
まず、被相続人の財産の維持・増加にどのような貢献をしたのかを具体的に明らかにする必要があります。
寄与内容としては、以下のようなものが挙げられます。
- 家業の手伝い:家業を手伝っていた期間、貢献度、本来受け取るべき給与など
- 介護:介護期間、介護内容、ヘルパーなどの費用
- 財産管理:財産管理の内容、期間、本来受け取るべき報酬など
- その他:上記以外にも、被相続人の財産の維持・増加に貢献したことが認められれば、寄与分として評価されます。
寄与額の算定
寄与内容を評価したら、次にその寄与額を算定する必要があります。
算定方法としては、以下のようなものが考えられます。
- 比較衡量方式:同様の状況における第三者の労務の対価と比較して算定する方法
- 代替費用方式:寄与者がいなければ代わりに必要だった費用を算定する方法
- 所得差方式:寄与者がいなければ得られたはずの所得と実際に得た所得の差を算定する方法
寄与分の控除
算定された寄与額を、遺産総額から控除します。
ただし、控除額は遺産総額を超えてはいけません。
相続分の調整
寄与分を控除した後の遺産総額を、法定相続分に基づいて相続人の間で分配します。
ただし、各相続人の遺留分は侵害されないようにする必要があります。
寄与分の請求方法

被相続人に対して特別な貢献をしたと感じている場合、法定相続分だけでは不公平だと感じるかもしれません。
そのような場合、寄与分を請求することで、貢献に見合った遺産を受け取ることが可能となります。
以下では、寄与分の請求方法について詳しく解説します。
遺産分割協議
寄与分の請求方法は、遺産分割協議において行います。
具体的には、以下の手順で行います。
- 寄与分を請求する相続人が、他の相続人に対して寄与分の請求書を提出します。
- 請求書には、貢献内容、貢献期間、貢献額などを記載します。
- 他の相続人は、請求書の内容を検討し、合意できれば寄与分を認めます。
- 合意できない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。
寄与分は、遺産分割協議において重要な要素となります。
寄与分を請求する場合は、事前にしっかりと準備しておくことが大切です。
遺産分割調停・寄与分を定める処分調停
遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所に申し立てて遺産分割調停を利用することができます。
これは、裁判所の力を借りて、遺産の分割方法について話し合い、解決を目指す方法です。
調停を利用する場合には、証拠となる書類や印紙などが必要となります。
遺産分割審判
遺産分割調停で合意に至らない場合、裁判所が遺産の分け方を決める手続きのことを遺産分割審判といいます。
裁判官が審理を行い、遺産の性質や種類、各相続人の貢献度などを総合的に勘案して、判決を下します。
遺産分割審判を申し立てるためには、家庭裁判所へ申立書を提出する必要があります。
申立書には、被相続人の情報、相続人の情報、遺産の情報などを記載する必要があります。
寄与分の請求以外でできる相続対策

寄与分とは、被相続人の財産の維持・増加に貢献した相続人が、他の相続人よりも多く遺産を受け取れる権利のことです。
しかし、寄与分請求は、認められるかどうかが曖昧な場合も多く、相続人間で争いになる可能性もあります。
ここでは、寄与分請求以外にもできる相続対策についてご紹介します。
遺言書を残しておく
相続で起こりやすいトラブルの一つが、寄与分に関するものです。
介護や家事など、被相続人のために貢献した相続人が、法定相続分よりも多く遺産を受け取るべきだと主張する権利です。
しかし、寄与分は複雑な計算が必要で、裁判に発展することも少なくありません。
そこでおすすめしたいのが、対策遺言書です。
遺言書に寄与分を考慮した遺産分割を明記することで、相続人間での争いを未然に防ぎ、円満な相続を実現することができます。
対策遺言書には、以下のような内容を盛り込むことができます。
- 具体的な寄与内容と評価
- 寄与分をどのように考慮した遺産分割を行うのか
- 寄与分を考慮しない理由(寄与分がない場合など)
対策遺言書を作成することで、寄与分に関する不安や疑問を解消し、相続人全員が納得できる遺産分割を実現することができます。
生前贈与
生前贈与とは、被相続人が生きている間に、将来の相続を考慮して財産を贈与することです。
寄与分と異なり、贈与された財産は贈与者の自由な意思で贈与できるため、揉めにくいというメリットがあります。
また、生前贈与には、節税効果も期待できます。被相続人が亡くなった後に相続によって財産を取得する場合、相続税がかかります。
しかし、生前贈与の場合は、贈与された時点で贈与税が課税されます。
贈与税の税率は相続税よりも低いため、生前贈与をすることで、節税効果を得ることができます。
「特別寄与料」制度で、寄与分を主張できる人の範囲

従来の相続制度では、被相続人の財産は原則として法定相続人だけが継承していました。
しかし、「特別寄与料」制度が導入されたことにより、法定相続人以外の親族も、被相続人の財産形成に貢献したとして、寄与分を主張できるようになりました。
この制度を利用することで、例えば、被相続人の介護や家事労働を長年担ってきた兄弟姉妹、あるいは、被相続人の事業を支えてきた従業員などが、貢献に見合った対価を受け取ることができるようになります。
ただし、寄与分を主張するには、以下の条件を満たす必要があります。
- 被相続人の財産形成に実際に貢献していること
- 貢献内容が客観的に認められるものであること
- 寄与分を主張する権利を放棄していないこと
これらの条件を満たすことができれば、家庭裁判所に「特別寄与料」の支払いを請求することができます。
相続の寄与分になる条件についてまとめ

相続の寄与分についてお伝えしてきました。
相続の寄与分についてまとめると以下の通りです。
- 相続において、被相続人の財産を取得する際に考慮される「寄与分」とは、被相続人の財産の形成に貢献した分を指す
- 寄与分が認められるための要件は、具体的な貢献内容やその程度も考慮され、貢献内容と遺産との間に合理的な関係が築けていることが必要であり、根拠資料が必要である
- 寄与分を主張できる期限は、相続開始後1年以内とされている
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。