贈与税の配偶者控除は、特に婚姻関係にある夫婦にとって魅力的な税制優遇策です。
この制度を利用すれば、一定の条件を満たすことで、贈与税の負担を大幅に軽減することが可能です。
本記事では贈与税の配偶者控除について以下の点を中心にご紹介します。
- 贈与税の配偶者控除とは
- 贈与税の配偶者控除の条件
- 配偶者が贈与を受けても非課税になるもの
贈与税の配偶者控除について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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贈与税の配偶者控除とは

贈与税の配偶者控除は、結婚生活が20年以上続いている夫婦の間で適用される特例で、主にマイホームに関する贈与が対象となります。
この制度を活用することで、贈与税がかからずに最大2,000万円の財産を配偶者へ贈与することが可能です。
通常、夫婦間であっても、110万円を超える財産を贈与した場合には贈与税が課されます。
しかし、長年協力して築き上げた財産に対しては優遇措置が取られています。
この特例では、マイホームの購入資金や、配偶者が住むための住宅そのものを贈与する場合に、贈与財産の価額から2,000万円を差し引くことが認められています。
贈与税は、贈与された財産の価額から基礎控除を差し引いた金額に税率を掛けて計算します。
したがって、この特例を利用すると課税対象額が大幅に減り、結果として贈与税の負担が大きく軽減される仕組みです。
例えば、贈与税率は財産の価額によって異なり、200万円以下では10%、それを超えると段階的に税率が上がりますが、この配偶者控除を利用することで、課税対象額がゼロになる、または軽減される可能性があります。
この特例は、長期の結婚生活を送る夫婦を支援する意図で設けられたものであり、マイホームの取得を通じて暮らしをより豊かにする手助けとなります。
贈与税の配偶者控除の条件
贈与税の配偶者控除を利用するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
この特例は、結婚生活が長く続いている夫婦間で、住宅に関連する財産の贈与を優遇する制度です。
ただし、適用には以下の条件が設定されています。
- 婚姻期間が20年以上であること
贈与が行われた時点で、婚姻期間が連続して20年以上あることが求められます。
婚姻期間は、婚姻届の提出日からカウントされますが、もし一度戸籍を抜いた期間がある場合、その期間は婚姻期間として認められません。
- 住宅関連の贈与であること
対象となる贈与は、居住用の不動産(マイホーム)や、その購入資金に限定されます。
- 贈与後に住むこと
贈与を受けた住宅に、翌年3月15日までに実際に住み始め、その後も引き続き居住する見込みがあることが必要です。
- 同じ配偶者からの特例適用が1回限りであること
この特例は、同一の配偶者間では一生に一度しか利用できません。
上記の条件が必要になりますが、注意点があります。
贈与を受けた土地や建物をすぐに売却するようなケースでは、税務署から不適切な適用として指摘を受ける可能性があります。
この場合、土地や建物の譲渡益にかかる税金を不当に軽減しようとしたとみなされることがあるため、十分な注意が必要です。
配偶者が贈与を受けても非課税になるもの
結婚生活が20年以上の夫婦間で適用される贈与税の配偶者控除では、非課税の対象となる財産はマイホームに限定されず、金銭も含まれる場合があります。
以下に、具体的な対象を説明します。
- 居住用の土地や建物
居住用不動産やその関連権利(例:借地権)が非課税の対象です。
この場合、贈与を受けた人は、その不動産に翌年3月15日までに居住を開始し、その後も住み続けることが求められます。
例えば、自宅の土地や建物そのものを贈与された場合が該当します。
- 居住用不動産を購入するための資金
自宅を購入するために贈与された金銭も非課税の対象となります。
この場合、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその資金を使って居住用不動産を購入し、さらにその日までに居住を開始する必要があります。
その後も継続的にその家に住む見込みであることが条件です。
将来の相続も視野に入れ使うこと
相続税には配偶者に対する特別な控除があり、これは「配偶者の税額軽減」と呼ばれます。
この制度により、配偶者が取得した相続財産について、法定相続分相当額または1億6,000万円のいずれか高い方までは相続税がかかりません。
この優遇措置は、配偶者が生活基盤を維持するために重要な役割を果たしています。
そのため、贈与税の配偶者控除を活用するかどうかは、将来の相続税への影響を考慮しながら判断することが必要です。
例えば、贈与税の特例を利用して財産を贈与することで、配偶者が相続時に取得する財産が減少する場合、結果として相続税の負担が軽減されるケースがあります。
一方で、相続税控除の枠を十分に活用できない可能性もあるため、どちらが有利になるかのシミュレーションが不可欠です。
配偶者控除を適切に利用するためには、将来の相続の状況や税負担を想定した上で計画的に判断することが大切です。
税務の専門家に相談しながら、最適な選択を進めることをお勧めします。
その他の配偶者優遇制度とは
配偶者に対しては、贈与税の配偶者控除以外にも、さまざまな優遇措置が設けられています。
これらの制度を活用することで、配偶者の生活基盤をより安定させることが可能です。
以下に代表的な制度を紹介します。
- 配偶者居住権
被相続人が所有していた建物に配偶者が住んでいた場合、遺産分割や遺言による指定に基づき、配偶者はその建物に終身または一定期間、引き続き居住する権利を得ることができます。
この「配偶者居住権」は、相続財産を分割する際に、配偶者が住む場所を確保しやすくするための重要な制度です。
- 配偶者保護に関する特例
婚姻期間が20年以上の夫婦の場合、居住用の不動産が贈与や遺贈で配偶者に渡った際、その不動産は原則として遺産分割の対象外となります。
この特例により、配偶者が居住する場所を確保するための負担が軽減されます。
これらの優遇制度を活用するには、それぞれの条件を正確に理解し、適切な手続きを行うことが必要です。
配偶者の生活を守るための重要な制度として、贈与税控除とあわせて活用を検討するとよいでしょう。
贈与税の配偶者控除の特例を受けるために必要なこと
贈与税の配偶者控除の特例を利用する場合、税額がゼロになるケースでも贈与税の申告が必要です。
申告時には、婚姻期間や夫婦関係を証明するための書類を提出する必要があります。
以下は、主に必要とされる書類の概要です。
- 戸籍謄本または抄本
贈与を受けた日から10日を過ぎた後に発行されたもので、婚姻期間を証明するためのもの。
- 戸籍の附票の写し
同様に、贈与を受けた日から10日経過後に作成されたもので、夫婦の居住関係を確認するために必要です。
- 居住用不動産の取得を証明する書類
具体的には、登記事項証明書やその他の取得を示す書類が該当します。
これらは、不動産が実際に贈与されたことを確認するための証明になります。
- 固定資産評価証明書(不動産の場合)
居住用不動産が贈与された場合、その不動産の評価額を算出するための資料として必要となります。
申告に必要な書類は、贈与の内容や財産の種類によって異なる場合があります。
不動産ではなく金銭の贈与を受けた場合、固定資産評価証明書は不要ですが、その他の書類は必須です。
配偶者控除の特例を受けるには、必要書類を正確に準備し、期限内に税務署に申告することが大切です。
準備不足や手続きの遅れがないよう、計画的に進めましょう。
贈与税の配偶者控除の対象不動産について

居住用不動産が対象
贈与税の配偶者控除の適用の対象となるのは、居住用不動産に限られています。
そのため、別荘やセカンドハウス、賃貸用の収益物件などは、この制度の対象外となります。
具体的には、夫婦が実際に生活の拠点として使用している住宅、もしくはその購入資金が該当します。
また、この制度が適用されるのは国内にある不動産のみです。
海外にある住宅や土地を贈与した場合は「おしどり贈与」の優遇措置を受けることができません。
そのため、老後を海外で過ごす計画がある場合や海外不動産を贈与する場合は、別の方法を検討する必要があります。
利用を検討する際には、不動産の種類や所在地について条件を十分に確認しておくことが大切です。
不動産を購入するための資金の贈与も対象
特例では、居住用不動産そのものを贈与する場合に加え、その購入資金の贈与も対象に含まれます。
具体的には、居住用不動産の取得を目的とした資金であれば、2,000万円まで非課税となります。
また、似たような制度として、「住宅取得等資金の贈与税の非課税」があります。
これは子や孫が住宅を購入する際に贈与された資金に適用されるものですが、こちらは「資金」のみが対象であり、不動産自体を贈与した場合には適用されません。
贈与税の配偶者控除の対象者とは

贈与税の配偶者控除は、夫婦間で利用できる特例ですが、すべての夫婦が対象となるわけではありません。
この制度を利用するには、いくつかの条件を満たす必要があります。
- 婚姻期間の条件
この特例は、長期間連れ添った夫婦を対象にした制度です。そのため、婚姻期間が「20年以上」であることが必須条件となります。
また、贈与を受けた居住用不動産には、贈与された年の翌年3月15日までに住み始める必要があります。
贈与が成立するタイミングや住居に関する要件を満たしていない場合、この控除を利用することはできません。
- 一度きりの適用
この制度は、同じ配偶者からの贈与に対して1回限り適用されます。
しかし、一度この控除を利用した後に離婚し、再婚した場合は、新しい配偶者との婚姻期間が20年以上に達すれば、再び利用することが可能です。
- 法的な婚姻が必須
贈与税の配偶者控除には、法律上の婚姻関係が求められます。
つまり、婚姻届を提出し、法的に夫婦として認められていることが条件です。
事実婚や内縁関係にある場合、たとえ長い期間連れ添っていても、この特例を利用することはできません。
これらの条件を満たしていない場合、贈与税の配偶者控除を活用することはできないため、適用を検討する際には、これらの要件をしっかりと確認することが重要です。
贈与税の配偶者控除についてよくある質問

配偶者に贈与するとき、いくらまでなら非課税ですか?
夫婦間での財産の贈与においても、贈与税の基本ルールが適用されます。このルールに基づき、1月1日から12月31日までの1年間に贈与された財産の合計額が110万円以下であれば、贈与税は発生しません。この金額は「基礎控除」として知られており、非課税枠として機能しています。
したがって、配偶者に対して財産を贈与する際、110万円以下であれば、贈与税の申告を行う必要もありません。ただし、この金額を超える場合には、贈与税の申告が必要になるため、贈与額をしっかり確認することが重要です。
夫婦間で贈与をしたらバレますか?
夫婦間で財産を贈与した場合でも、一定額を超えた贈与には贈与税が課されるため、正確に申告を行うことが法律で義務付けられています。特に婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産やその取得資金を贈与した場合には、「贈与税の配偶者控除」という特例を利用することが可能です。この特例により、基礎控除額110万円に加えて最大2,000万円が控除されるため、贈与税の負担を軽減できます。
ただし、この特例を利用するには贈与税の申告が必要です。申告がない場合や不正な贈与があった場合には、税務署が調査を行う可能性があります。不動産の名義変更や大きな金銭の移動は記録に残るため、これをきっかけに贈与が判明することもあります。したがって、夫婦間での贈与であっても、適切な手続きを行い、税法を遵守することが重要です。
贈与税の配偶者控除のデメリットは?
贈与税の配偶者控除は、婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産やその取得資金の贈与を非課税にできる特例ですが、適用にはいくつかのデメリットがあります。
これを相続対策として利用しようと考える場合は、特に注意が必要です。
1. 相続税の軽減効果がほとんどない
贈与税の配偶者控除を利用して自宅を贈与しても、相続税の負担軽減にはあまり効果が期待できません。その理由の一つに、相続税にも配偶者向けの優遇措置があることが挙げられます。例えば、相続財産において配偶者が取得する部分については、1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い方までが非課税となる制度があります。
さらに、相続時には自宅の土地評価額を最大80%減額できる「小規模宅地等の特例」が適用されることもあります。これらの特例により、配偶者が相続税を負担するケース自体が少なくなるため、贈与税の配偶者控除を利用する意義が薄れてしまう場合があります。
2. 生前贈与は費用がかかる
生前贈与には、相続に比べて手続き費用が高くなる可能性があります。たとえば、不動産の贈与を行う場合には、所有権移転登記にかかる登録免許税や司法書士への報酬、さらに場合によっては評価証明書の取得費用が必要です。これらの費用が積み重なることで、生前贈与を行うコストが相続よりも高額になることがあります。
贈与税の配偶者控除についてのまとめ

ここまで贈与税の配偶者控除についてお伝えしてきました。
贈与税の配偶者控除の要点をまとめると以下の通りです。
- 贈与税の配偶者控除というのは、結婚生活が20年以上続いている夫婦の間で適用される特例で、主にマイホームに関する贈与が対象となる
- 配偶者が贈与を受けても非課税になるものは、居住用の土地や建物、居住用不動産を購入するための資金が挙げられる
- 贈与税の配偶者控除の対象者には、婚姻期間の条件や一度きりの適用であることを理解しておく
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。