相続放棄を進める際に、必要な手続きの一つが「相続放棄照会書」の提出です。照会書の役割や正しい記入方法を知らないと手続きが遅れてしまうこともあります。特に、初めて相続放棄する方にとっては、書類の内容や提出期限について戸惑うことも多いでしょう。
本記事では、相続放棄照会書の役割や必要な書類、手続きの流れについて以下の点を中心に解説します。
- 相続放棄照会書とは?その役割と必要性
- 相続放棄照会書の書き方と注意点
- 相続放棄手続きの流れと重要なポイント
これらを理解し、相続放棄の手続きをスムーズに進めるための参考にしていただければ幸いです。是非、最後までご覧ください。
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相続放棄照会書とは

相続放棄照会書とは、相続人が相続放棄する際に、家庭裁判所や他の関連機関に提出する正式な書類です。この照会書は、相続人が相続放棄したことを証明し、手続きが適正に進むことを確保するためのものです。相続放棄とは、被相続人の財産を一切受け取らず、負債についても責任を免れる法的手続きです。相続放棄した相続人は、その後、遺産に関する権利や義務を一切持たなくなります。
相続放棄照会書の目的
相続人が相続放棄したことを証明することが目的です。この書類は、相続放棄を公式に申し立てた後に提出し、相続放棄が適切に行われたことを家庭裁判所に確認してもらうためのものです。相続放棄することで、相続人は故人の遺産を一切受け取らないだけでなく、故人が残した負債についても一切責任を負わなくなります。
相続放棄照会書の提出は、相続放棄の意思が家庭裁判所に正式に伝えられたことを示し、相続放棄手続きを法的に完了させるための重要な一歩です。家庭裁判所は、この照会書に基づいて相続放棄が適切に行われたことを確認し、その後、相続放棄に基づく法的手続きを進めます。また、この書類は、相続人が相続放棄を決定したことを証拠として残すため、後のトラブルを防ぐためにも重要です。
相続放棄申述の流れ

相続放棄の申述は、相続人が相続する権利を放棄するための正式な手続きです。以下の流れを通じて、相続放棄の申述が受理されるまでの過程が進みます。相続放棄は一度行うと取り消せないため、慎重に手続きを進めることが重要です。
①相続財産の調査
相続放棄を決定した場合、最初に行うべきは相続財産の調査です。これには被相続人の財産だけでなく、負債や借金の調査も含まれます。相続財産の内訳を把握することで、放棄するべきかどうかを冷静に判断する材料が揃います。必要書類としては、相続人の戸籍謄本や被相続人の死亡診断書、相続人全員の印鑑証明書が求められます。また、相続放棄する前に、相続財産の内容を十分に確認し、放棄の意図を明確にしておくことが大切です。
②相続放棄の申述
相続放棄する場合、家庭裁判所に相続放棄の申述をします。この申述は、相続人が居住する地域を管轄する家庭裁判所で行うことになります。家庭裁判所に提出する書類には、申述書の他に相続人の戸籍謄本や住民票、相続人の印鑑証明書などが必要です。申述をする際は、全ての相続人が放棄する意志を示す必要があり、特に一部の相続人だけが放棄する場合は、他の相続人との合意も求められることがあります。
③相続放棄照会書の到着
家庭裁判所に相続放棄申述を提出すると、数週間から数ヶ月の時間を要することがあります。その後、家庭裁判所から「相続放棄照会書」が届くことになります。この照会書は、相続放棄が適切に行われたかを確認するための書類です。照会書には、相続人の意向や相続財産の状況について記載されており、申述に関する詳細な情報が求められることがあります。この段階で再度提出書類を確認し、不備がないようにしておきましょう。
④相続放棄回答書の返送
相続放棄照会書が届いたら、それに対して「相続放棄回答書」を返送します。この回答書には、相続放棄する意図が明確に記載されている必要があります。回答書の返送後、家庭裁判所が放棄の手続きを進め、最終的な審査が行われます。この段階では、注意深く記入することが求められるため、慎重に記載内容を確認してください。
⑤相続放棄申述受理通知書の到着
相続放棄申述受理通知書は、相続放棄が正式に受理されたことを示す通知書です。この通知書が届けば、相続放棄の手続きが完了したことになります。その後、相続放棄の効力が発生し、相続人は相続から完全に除外されます。
相続放棄は一度行うと元に戻せません。そのため、申述をする前にしっかりと相続財産を調査し、放棄する決断を下すことが重要です。
相続放棄照会書の書き方

相続放棄照会書は、相続人が相続放棄の手続きを進めるために必要な書類です。相続放棄する場合、法定相続人は家庭裁判所に対して放棄の意思を伝える必要があります。照会書には、まず自分が相続人であることを証明するための基本的な情報を記入します。また、相続放棄を希望する理由や、遺産を受け取ったことがあるかどうかの確認も求められる可能性があります。
被相続人との関係
照会書には、被相続人との関係を明確に記入する必要があります。例えば、親子、配偶者、兄弟姉妹など、相続人としての立場を記載します。これは、相続放棄の手続きを進める上で必要な情報であり、家庭裁判所が相続人を特定する際に使用されます。関係が誤って記載されていると手続きが遅れる可能性があるため、正確な情報を記載することが重要です。
被相続人の死亡をいつ知ったか
相続放棄する際には、被相続人が死亡したことをいつ知ったかを記入する欄があります。相続放棄には期限があり、通常は被相続人の死亡を知った日から3ヶ月以内に手続きしなければなりません。死亡を知った日を正確に記載し、期限内に手続きを進めることが必要です。
自分が相続人であることをいつ知ったか
相続放棄を希望する場合、自分が相続人であることをいつ知ったのかを記入します。相続人としての立場を認識した日が明確であることが求められます。これも、相続放棄の手続きにおける重要な要素です。
被相続人の遺産を消費したり、受け取ったりしたことがあるか
照会書には、被相続人の遺産を受け取ったことがあるか、あるいは消費したことがあるかについても記載する欄があります。相続放棄する場合、遺産をすでに受け取ったり、消費したりしている場合には、その事実を明記することが必要です。これにより、相続放棄の条件が満たされているかどうかが確認されます。
相続放棄する理由は何か
相続放棄の理由を記入する欄もあります。理由は法律的に必須ではありませんが、記載することで手続きがスムーズに進むことがあります。例えば、被相続人が多額の借金を抱えていた場合や、遺産に問題がある場合など、放棄する理由を説明できます。
自分の意思で相続放棄を選択したか
相続放棄は強制ではなく、相続人が自分の意思で選択するものです。そのため、照会書には自分の意思で相続放棄を選んだことを確認する項目があります。この確認は、後日、相続放棄が無効でないことを証明するために重要です。
遺産を取得できなくなることへの理解を明記する
相続放棄を受理されると、その相続人は遺産を一切受け取れなくなります。このことを照会書で確認し、その理解を示す必要があります。相続放棄した場合、その後に遺産の取得ができなくなることを理解していることを明記することが求められます。
署名・押印
最後に、照会書には署名と押印が必要です。署名は、自分が記入した内容が正確であることを証明するためのものです。また、押印は、書類が正式なものとして受理されるために欠かせません。相続放棄照会書を提出する際には、署名と押印を忘れずに、手続きを完了させることが重要です。
相続放棄照会書を記入するときのポイント

書類を正確に記入することは、後の手続きをスムーズに進めるために非常に大切です。以下のポイントを押さえて、正しく記入しましょう。
申述書と矛盾しないように回答する
相続放棄照会書を記入する際には、すでに提出した申述書と矛盾しないように注意が必要です。申述書に記載した内容と照会書の内容が一致していない場合、手続きが遅延した場合は、家庭裁判所から再度確認を求められることがあります。提出する書類はすべて整合性を持たせ、内容に齟齬がないように確認して記入することが重要です。
申述書と同じ印鑑を使う
照会書に押印する印鑑は、申述書と同じものを使用しなければなりません。違う印鑑を使用すると、書類に不備があると見なされ、手続きに時間がかかることがあります。特に、相続放棄は法的に重要な手続きであるため、書類に不正がないよう、一貫性を保つことが求められます。
嘘の内容を記載しない
相続放棄照会書に記載する内容は、全て真実でなければなりません。嘘の内容を記載した場合、法的な問題が生じる可能性があります。相続放棄を申述する理由が正当である場合でも、虚偽の記載は法的効力を失わせる原因となります。正確な情報を記載し、誠実に手続きを進めることが大切です。
返送期限を厳守する
相続放棄照会書には、必ず返送期限が定められています。この期限を守らないと、手続きが進まなくなり、最終的には放棄が認められない可能性もあります。照会書を受け取ったら、速やかに記入しましょう。万が一、期限を過ぎてしまう場合は、事前に家庭裁判所に相談することをお勧めします。
代筆が認められるケースはまれ
相続放棄照会書の記入は、基本的には本人が行わなければなりません。代筆が認められるケースは非常に稀です。万が一、本人が記入できない事情がある場合、代わりに記入する場合には、事前に家庭裁判所に確認を取ることが必要です。代筆する場合でも、代筆者の氏名や理由などが詳細に記載される必要があります。
家庭裁判所から電話がくるケースもある
相続放棄照会書の内容に不明点がある場合や、追加情報が必要とされる場合、指定された期限内に適切に対応することが求められます。電話での問い合わせには迅速かつ正確に応じ、必要な情報を提供するようにしましょう。
相続放棄の手続きを正確に進めるためには、照会書の記入時に注意深く対応することが不可欠です。以上のポイントを守り、書類に不備がないようにすることが重要です。
相続放棄照会書に関してよくある質問

相続放棄照会書に関してよくある質問をご紹介します。
相続放棄が認められるまで何日かかりますか?
相続放棄の手続きが認められるまでの期間については、家庭裁判所によって違います。通常、相続放棄の申立てを家庭裁判所に行ってから、照会書を受け取るまでの期間は1週間から2週間程度ですが、その後の審査が完了するまでに、さらに数週間を要する場合があります。
相続放棄は、相続開始を知った日から3ヶ月以内に申立てする必要があります。家庭裁判所は、提出された申立書や証拠書類を基に、相続放棄が適切であるかどうかを確認します。場合によっては追加の書類提出や補足説明が求められることもあり、これにより手続きにかかる期間が延びることがあります。
特に注意が必要なのは、相続放棄の申立てが遅れると、遺産を相続したものとみなされることです。このため、早めに手続きすることが推奨されます。一般的に、相続放棄の意思が確定し、照会書が提出された後、家庭裁判所から放棄の許可が出るまで1ヶ月程度を見込んでおくと良いでしょう。
相続放棄の照会期限はいつまでですか?
相続放棄の照会書の期限については、法律上明確に定められています。相続放棄の申立てが受理された後、家庭裁判所から送られてくる照会書には、通常、期限が設定されています。この期限を過ぎると、照会書が無効となり、相続放棄の手続きが進められなくなる可能性があります。
相続放棄の照会書の提出期限は、家庭裁判所からの通知に基づき、通常1ヶ月以内とされています。この期間内に必要な書類をすべて提出し、放棄の意思が確認された場合にのみ、相続放棄が認められます。提出が遅れると、再度手続きを進めなければならないことがあるため、期限内に手続きを完了させることが重要です。
また、相続放棄の照会期限は、相続人が相続の開始を知った日から起算されるため、相続人によって違うことがあります。このため、各相続人が相続の開始を知った日を確認し、その日を基準に手続きを進めることが大切です。
家庭裁判所の審査に時間がかかる場合もあるため、余裕を持って早めに手続きを進め、必要な書類を提出するよう心がけましょう。
相続放棄照会書についてのまとめ

ここまで、相続放棄照会書の役割や必要書類、手続きの流れについて解説してきました。要点をまとめると以下の通りです。
- 相続放棄照会書は、相続放棄の意思を家庭裁判所に正式に伝えるための重要な書類
- 書き方や記入内容に不備がないよう、照会書の正確な記入と提出が必要
- 相続放棄手続きには期限があり、早めに手続きを進めることが推奨される
相続放棄の手続きは、一度決定すると取り消せません。そのため、慎重に確認をしながら進めることが重要です。この記事が、相続放棄の手続きをスムーズに進めるための参考となり、不安を解消する一助となれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。